新・地震学セミナーからの学び
13 マントル固体論は間違っている
右の二つの図は、地球内部の深さと名称、そして温度と密度の関係を表しています。地震波の速度から計算して推定したと言われているものです。従来の考え方では、地殻の内部にはモホロビッチ不連続と言う地震の伝播速度が大きく異なる層があって、その下は2900kmまで、マントルという固体が占めていると考えられてきました。そこから5100kmまでは外核という液体層があり、さらにその先に内核という今度は固体の中心部分があると言う認識でした。しかし、図からもわかるように2900kmという深部における温度は4000℃を超える高温になっています。このような高温下であっても、地震波を伝播させることが出来る固体が存在するのでしょうか。どのような物質であっても熔融してしまうのではないのかと思います。

地球内部の各深さの名称と、そこにおける温度と密度と信じられているもの。
右の図は、その高温の地球内部を地震波が伝播していく経路といわれているものです。中心角103〜143度の間には地震波が到達しない「地震波の影」と言われる部分が存在することは、観測事実であります。この観測事実を説明するためには、外核、内核の存在を考慮すると”うまくいく”ということからその存在が信じられているのです。しかし、上の図に関して述べたように、このような高温下でも存在する固体が存在しないということになれば、この図の地震波伝播経路はまったくの間違いということになってしまいます。マントル固体説が間違っているとすれば、現在の地震学は土台から崩壊してしまいます。マントルトモグラフィーもです。
地球内部を伝播する地震波の経路であると信じられているもの。実際の地震波はこのような経路を伝播するのではない。
実際はどうなのか、というのが一連の新地震理論であります。モホロビッチ不連続面の下に地震波を伝播させる、橄欖岩から構成された固く、緻密な地殻第二層が存在するのです。103度まではそこを通過して伝播していきます。途中で、玄武岩からなる第一層へも少しずつ浮上して、台地を揺るがせていきますから、103度付近で、減衰してしまうのです。143度から180度の間へは、地球内部を通過して伝播していく地震波が到達しているのです。こうした理由で、「地震波の影」ができるのです。ニューオフィスGにも詳しく論じてあります。ライブラリーならば、38 39 を、セミナーならば、58 197などをも参考にしてみてください。 註:文字サイズは中に合わせてあります。

マントルが固体という誤解が生まれた原因はニューオフィス57を参照してください。

地震波の伝播経路に関してはセミナー[1314][1315]に最新の考え方が示してあります。(2007,9,16)

この問題はレオロジーの解釈を「マントルは熔融物質であるが高圧下では弾性体としても挙動する」 と解釈しなおしています。セミナー[1464]仮説の修正[1465]マントルトモグラフィーの理解に最新の解釈を示しています。(2008.7.26)

・マントル(二層構造である地殻の下部)が熔融していることについては「マントル熔融論の証明」(2009,10,09)を参照してください。

・最新の説明は [2339]および[2341]レオロジーに関する地球物理学者の間違い解釈(続)(2016,10,02) を参照してください。

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