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1451
地球温暖化詐欺とガイアの意識
2008-07-08(Tue)
地球温暖化の問題に関しては、すでにニューオフィス42 「地球温暖化」を予言するモデルの危うさにおいて、シミュレーションモデルの危うさを指摘しました。モデルには海底火山から放出される地球内部の熱量がカウントされていないことが、私は致命的な欠陥だと思っています。

次の番組は、環境問題として取り上げられている地球温暖化の対策が実は科学者の賛同が得られているわけでははなく、政治的なプロパガンダで進められているという内容の告発番組の一部です。字幕を抜粋して紹介しておきますが、巨大なマーケットに成長した気象産業の実態が暴露されています。

こうした利権構造は

セミナー[1193]利権構造に潰された地震予知体制で紹介した、測地学的地震研究を追及する姿勢にも感じられますので、環境問題ではありますが、この地震学セミナーで紹介することにいたしました。

「地球温暖化詐欺」のビデオはリンクが切れていますので、http://watch-fr-br.iza.ne.jp/blog/entry/634402/を参照してください。)再度リンクを張り直します。


地球温暖化詐欺1/8

私たちは理性の時代にいると思っています。

地球温暖化への警鐘は科学を装っていますが、科学ではなくプロパガンダです。

20世紀の地球温暖化と人類が排出した温室効果ガスを関連付ける直接的な証拠はありません。結局嘘だということです。CO2が気候を変えているとは言えません。そんなことは過去に一度もありませんでした。

温室効果ガスのCO2が大気中に増加し、それから気温が上昇すると仮定していますが、氷床コアの記録では全く逆だと分かりました。つまり、人間が気候を変えているという理論の最も根本的な前提が間違っていると分かったのです。

つまり全部胡散臭いんです。人為的地球温暖化説はもはや気候環境だけの理論ではありません。それはこの時代をつかさどるモラルと政治的大義なのです。

この番組では地球の気候は常に変動しており、現在の地球には何の変哲もないことや、人為的か否かに関わらず気候が二酸化炭素により変動するという見解を否定する科学的証拠を紹介します。いたるところで人為的な気候変動は疑いの余地なく証明されていると言われています。しかし、それは嘘です。

【地球温暖化詐欺】

Tim Ball教授:地球温暖化を信じないという人々がいますが、私は違います。私は地球温暖化は信じていますが、人為的なCO2が原因だとは思っていません。

Nir Shviv教授:数年前に聞かれたら私もCO2が原因だと答えたでしょう。私も一般の皆さんと同じようにメディアに耳を傾けてましたから・・・。

空想的終末論じみたニュース報道が増加しています。もはや、政治家は気候変動に疑問を挟んだりはしません。反対意見には非寛容的なんです。地球上での最悪の気候犯罪者(CO2排出者)が政治的に絶対許されないということは、気候変動の正統性を疑うことです。地球温暖化は政治を超えてしまいました。それは一種の新しい倫理観です。

人為的地球温暖化説への熱狂は激しさを増していますが。多くの気象学者は科学的な論拠は崩壊していると言っています。たとえば歴史的には二酸化炭素が現在の3倍から10倍あった時代もありました。もし、CO2が気候に大きな影響を与えるのならば、気候復元で分かるはずです。

地質学的な時間概念で気候について考えれば気候変動の主原因がCO2だとは思わないでしょう。ここ数十年間の主な気候変動の中でCO2で説明できるものはありません。CO2で気候が変わるとは言えません。そんなことは過去に一度もありませんでした。

人間が原因で気候システムに破滅的な変化が起きているとか、何千人もの科学者が地球温暖化に一致した意見を持っているとか言われていますが、それを真実だと思っていない科学者はたくさんいますし、私もその一人です。人為的な地球温暖化というのは通常の科学的な理論とは違います。

(報道内容)は大きな国際組織の承認を得てメディアによって伝えられています。国際連合、気象変動に関する政府間パネル、略してIPCCです。IPCCは他の国連団体と同じように政治的なものです。最終的な結論は政治的に導かれます。IPCCは1500〜2000人の世界的な科学者で構成されていると言っていますが、名簿を見れば分かる通り真実ではありません。科学者以外の人がたくさんいます。

IPCCは人数を2500人まで増やすために、グループレビューや政府関係者などを受け入れ始めました。IPCCは近づいてくる人々に賛同を求めたりしません。多くの人は反対なのです。議論に同意せず、辞めた専門家をたくさん知っていますが、執筆者リストに記載されたままです。

私はもう環境保護運動と呼びたくありません。単なる政治活動家の運動だからです。彼らは世界的な規模で大きな影響力を持つようになりました。(グリンピース)

気象学者は資金を得るために問題を必要としているのです。パニックを作り出すことに常に関心を持っています。気象科学にお金が流れて来ますから・・・。

現在地球温暖化頼みの仕事が何万とあるのが実状です。ビッグビジネスです、それ自体が巨大産業になっています。もし地球温暖化の寄り合い所帯が崩壊したら、非常に多くの人が仕事を失い新たに仕事を探すことになるでしょう。

西洋人が気象災害の脅威を煽り、発展途上国の工業発展を妨害しているという話でもあります。それはアフリカンドリームを葬るのに熱心な人がいることです。アフリカンドリームとは発展することなのです。環境保護運動は発展途上国の発展を妨害する最強の勢力と化しています。地球温暖化の物語とはどのようにメディアの恐怖扇動が世代をつかさどる思想になったかという訓話でもあります。

地球温暖化ビジネスは宗教じみています。賛同しないと異端者と言われます。私は異端者です。この番組の製作者は全員異端者です。

さらに時期をさかのぼると中世の温暖期以前にもっと暖かい時期があります。青銅器時代のとても長い期間です。完新世の気候最温暖期と呼ばれています。気温は現在より著しく高く、三千年以上続きました。8千年さかのぼると完新世に入ります。今現在の間氷期よりずっと温暖でした。北極熊は今私たちと共に生きているのですから、その時代を生き抜いたのは明白です。優れた適応能力があり、過去の温暖期にも何の問題もありませんでした。過去の気候変動は明らかに自然現象でした。

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以上が日本語字幕スーパーを抜粋して紹介したものです。

二酸化炭素の排出が気温上昇の直接的原因ではないのなら、また、これまでにも地球は気温の変動を繰り返してた変哲のない自然現象である・・・というのなら、環境サミットの影も薄いものになってしまいます。

地震学においても、断層と地震の関係において因果関係の取り違えがありますが、温暖化現象に関しても、因果関係の取り違えが起きています。気温が上昇するからCO2が上昇すると言う関係のようです。気温の上昇は別の原因で生じているのが本当のようです。

本当の危機は科学知識を持ちながら、富を得るためにはこのような詐欺行為をも平気でできるという人間の意識、ガイアの意識を無視して勝手気ままにCO2を排出したり、廃液を垂れ流したり、地球に感謝する心を忘れた唯物思想にあるのかもしれません。サロンに書きましたが、「人類にとって重要な任務を持っている科学者こそが、人類の不幸の原因を培っているという、恐ろしい逆説が進行しているようです。」・・・ということかもしれません。


先ほどNHKのテレビ番組「鶴瓶の家族に乾杯」を見ていました。福井の永平寺中学の子供たちが校門を出るときに、一人残らず振り返って学び舎に一礼して下校する姿に感動を覚えました。

教室の掃除も感謝の心で雑巾掛けをする姿に、道元禅師の教えが今も息づいているのを感じて心が温まりました。

子供たちは校舎に感謝して下校していましたが、自分は地球にどれだけ感謝して生きているのだろうかと自問して、ガイア意識に不快な思いをさせているなぁ・・・と恥じ入りました。

紹介した【地球温暖化詐欺】の第二部から第五部はサロンに載せてあります。

http://blog.goo.ne.jp/isshy73177

1452
2008-07-10(Thu)
地球温暖化理論のウソ
昨日の新聞にWILL増刊号の広告がのっており、「定説ってウソだらけ」という言葉が目に飛び込んできました。「ガンは迷わず切除」という定説もウソだという話は先日の放射線専門医の講演で聞きましたが、色んなところに定説のウソがあるものです。

地球温暖化の原因についても[1451]で紹介したように定説のウソがあるようです。

「地球の気候に一番大きな影響があるのは雲の量である。雲の量は、宇宙空間から飛来する宇宙線の量できまる。宇宙線は太陽風が多くなると減少する、つまり、太陽が風を送らないと、宇宙線が増えて、雲が多くなり、地球は寒くなる。」というのが本当のようです。

(「地球温暖化詐欺」のビデオはリンク切れになっていますので、http://watch-fr-br.iza.ne.jp/blog/entry/634402/を参照してください。)


地球温暖化詐欺1/8より

アル・ゴアが示した、気温とCO2の強い相関関係は因果関係が違っているようです。気温の上昇が先に起こってその後CO2が増えてくることが記録からわかる。つまり、太陽活動が活発だと雲が少なく気温が上がってCO2も増える。太陽が不活発になると、雲が多くなり、地球が寒冷化し、生物の活動が減ってCO2が出なくなる・・・なんという明快な理屈でしょうか。

過去百年間の北極の気温はCO2とは無関係であり、太陽活動と密接な関係があることは宇宙物理学者が認めていることなのです。ウソを流しているのはメディアなのです。


http://video.google.com/videoplay?docid=8486751216888618909&hl=enより


サミットは何をやっているのでしょうか。日本はCO2排出権を今年は1〜2兆円購入する?いったいこれはどうしたということでしょうか、税金の無駄遣いの極めつけでしょう。それとも、知っていても国際政治という複雑な利害の中ではガンジガラメで、自由に動けないということなのでしょうか、空しい気がします。

地震学の定説にもウソがあるといい続けてきましたが、地球温暖化危機説とおなじく、間違いを正すことが未だにできません。

プレート説の間違い、地震波の伝播経路の間違い、活断層説の間違いなどがこれほど明瞭になっているのに、水素爆発とその傷痕に関する因果関係の取り違えに地震学者は気付いてくれません。

しかし、一般の方には賛同してくださる方が増えているのです。石田地震科学研究所では活断層の調査よりも、水素濃度を計測する全国観測網の構築に血税を使用すべきだと思っているのですが、ご協力をいただいた寄付金で少しずつ進展しています。

実は[1434]で紹介しましたように、寄付金の中から現地観測で使用できる検知器の購入を検討していましたが、取扱店の担当者の方が地震爆発論に賛同してくださいまして、破格のボランティア特別価格で提供していただけることになりました。誠に有難く感謝申し上げます。

さらに観測会員にも申し込みを頂き、寄付まで頂戴いたしました。メールには、見積価格はボランティア特価としたこと、石田理論に賛同していること、観測のメンバーになりたいこと、 寄付金として、会社名で振り込みます・・・などと書いてありました。ありがとうございました。

1453
2008-17-12(Sat)
スマトラ沖地震再考

[1449]で述べた「スンダ海溝には断層は見つからないでしょう。」というコメントを撤回します。理由は現地調査の報告を見るとスンダ海溝のほうが大きな地変がありそうだからです。

スマトラ沖地震が発生した直後に海洋研究開発機構が行った調査結果に、興味深いものがありました。

http://www.jamstec.go.jp/jamstec-j/PR/0503/0328/index.html


海洋開発研究機構サイトより加工させていただきました。

スンダ海溝付近の斜面に段差が100メートル以上あるという海底崩壊現象が見られます。


洋開発研究機構サイトより

このように、スンダ海溝に大きな地震の傷痕が残っていますので、爆発の角度(押し円錐の傾斜角度)は[1449]および;ニューオフィス46で述べたような、西上がりになるのではなく、もっと垂直に近いものだと思われます。写真に見られる大きな崩落は衝上げ断層(Thrust)によるものか、または岩手・宮城内陸地震において荒砥沢ダム上流に発生したような崩落が起こって、やせ尾根のように残っているものなのかは不明です。

しかし、インド洋を襲ったあの大津波が、[1449]に紹介したピボットライン付近での地変だけで発生したとは考えにくいので、もっと沖合いのスンダ海溝に近い部分で衝上げ断層が発生したことが推定できます。ピボットライン付近の東西にできる沈降領域と隆起領域も押し円錐の引き領域と押し領域に該当しますが、より大きな断層が出来るのは、沖合いのThrustではなかったかと思われます。こうした爆発が北方に連鎖的に連続して起きたことが大きな被害を引き起こした地震のメカニズムであると考えられます。

また、同じ海洋研究開発機構の調査結果速報の図面からも、海洋底の上面部分にまで達するようなThrustが形成された様子が伺えます。今回の地震ではこのような大規模な爆発がアンダマン海域までの5箇所で同時に起きたことがうかがえます。


海洋研究開発機構・調査結果速報より


1454
2008-07-12(Sat)
連鎖震源の考え方
海洋研究開発機構の調査結果速報には、人工衛星から見た津波の高さをもとに、海底地盤の変動を計算した図面が載っていました。

こうのような海底の変動は通常起こるような爆発が一箇所という点震源では説明できません。

これは深発地震の特徴としてニューオフィス48に紹介した連鎖震源の考え方で説明できます。

日本海溝や南海トラフでもその可能性がありますが、海溝に沿っては地殻の厚さが急変するために、熱の流れが激しい場所です。ここでは冷却過程にある熔融マントルのチャネルが連結したサージチャネルが存在している可能性があります。そのチャネルが球形に近いものならば単震源になりますが、ナマコ上の形態をしていれば、爆発点つまり震源が連鎖状に並ぶことが考えられます。そのような、地震の場合にはスマトラ沖地震のように、隆起する領域と沈降する領域が帯状に並ぶことになります。


海洋研究開発機構サイトより

海洋研究開発機構が行った余震の調査を見ても、地震波形は熔融マントル内での地震波形特有の形状をしているのが分かります。

1455
2008-07-16(Wed)
「地震の謎を解く」の講演
昨日は母校の土木科OB会組織が主宰する「CE技術の会」において、「地震の謎を解く」と題する講演をさせていただきました。機器の不調により準備しておいたパワーポイントが使えませんでしたので、分かりにくい講義になったかもしれませんが、活発な質問をいただき、ANSへの賛同を得ることができました。元建設省キャリア組の方、電力会社に居られた方、大手ゼネコン退職者も多く居られましたが、ダム建設のサイト選定、運用方法などと地震との関連に関心があるようでした。地震発生の理屈を踏まえると、運用時に急激な水位変動を与えないことが肝要であること、また断層上にダムサイトを選定するのは、当然危険であることなど、議論が進みました。懇親会ではあるキャリア組の方から、緊急地震速報の体制では内陸地震に対して効果が薄いので、早くこうした予知のための観測体制を敷くべきだという声があり、自分もコンパス観測を実施するから頑張れという激励を受けました。聴講者の何名かの方から会員申し込み方法の問い合わせがきております。

使用できなかったパワーポイントの資料をアップしておきます。

http://www.ailab7.com/ceprezen.ppt

1456
2008-07-20(Sun)
解説用DVDを計画中
現在パワーポイントで作った下記映像の解説ナレーションを作っています。

http://www.ailab7.com/ceprezen.ppt

計画では一本のDVDに仕上げる予定です。

とりあえず、石本博士のマグマ貫入理論の画像についての解説文を紹介します。



こうした宏観現象などの異常現象は弾性反撥理論ではほとんど説明することができません。

それでは次に、マグマ貫入理論を紹介します。この説はフンボルト海流、フンボルトペンギンなどとして名前の残っているドイツの博物学者フンボルトの地震観を基礎とするものですが、日本の小川琢治、石本巳四雄という先覚者が唱えた地震学説です。

なかでも、地震研究所の第二代所長を務めた石本博士のマグマ貫入論は押し円錐理論として有名であり、昭和初期には一世を風靡する勢いがあったのです。

博士らは岩脈という異質の岩石が、貫入している現場を見て、地震現象とは何らかの原因でマグマが岩盤中に貫入する現象であろうと推定しました。

マグマが貫入する方向に地震の押し領域が発生し、それ以外の領域に引き領域が発生すると考えると、地表に現れる断層や、押し引き分布がうまく説明できることを発見しました。押しとは地震による地盤の初動が震源から離れるように動くことを意味し、引きとは震源に近づくような動きのことを意味します。

押し円錐が垂直な場合には、直下型地震となり、震動被害が大きくなります。規模の小さな地震でも直下で地表へ向けての爆発が起こりますから被害が大きくなるのです。

押し円錐の軸が水平の場合には、振動被害は大きくなりませんが、地盤が沈下したり、海洋部では津波の原因にもなります。

押し円錐の中心部が震源であり、ここで爆発的な貫入エネルギーが放出されるのですが、当時は貫入のエネルギー源が何なのか分かりませんでした。水素の化学反応という点に理解が向けられなかったために、爆発といえばダイナマイトの爆発のようなExplosionだけしかイメージできなかったのでしょう。その後、爆発ならば、全領域が押し領域になるはずだという短絡的発想が勢いを増して、貫入理論が廃れてしまったことは残念なことです。

貫入理論は通説では説明できない直下型地震の説明もできますし、ダブルカップルというような物理的イメージが希薄な通説よりははるかに優れた理論であります。

この貫入理論のベースにあるのは、フンボルトが火山活動を綿密に観察した結果として得られた洞察によるものであります。

フンボルトは中南米の火山活動を現地で観察し、貫入現象が深部で起こるのが地震、浅部で起こるのが火山活動であると見抜き、両者には密接な関係があると考えていました。

石田仮説はこのマグマ貫入の原因が地下水の爆発的解離現象とそれによって発生する解離ガスの結合爆縮現象であるとしています。

水が酸素と水素に解離するときに、マグマ溜りがボイラーの容器のような働きをなし、平衡破綻型と呼ばれる爆発が起きていること、これが地震の第一段階であり、第二段階では解離した水素と酸素が爆鳴気として結合し、爆縮反応を起こすこと、この二つのプロセスが短時間に起きていることが地震の真相であるとしています。

火山の爆発というのは、第一段階だけで終了し、爆縮反応が起きない場合の自然現象であると解釈されます。

この、熱解離する水素に関連して起きる二段階の地震メカニズムを簡略化して水素爆発説と呼んでいます。

以上が解説文です。マグマ溜りが存在しない深発地震や、小規模の地震は、第一段階が、ゆっくりとした反応で、爆発は起こらず、第二段階の爆鳴気爆縮のみという地震ではないのかと考えられます。巨大地震というのは最初の段階で爆発、次の段階で爆縮が起こり、押し引き領域の境界が破れて断層が生じ、被害が大きくなるのだと思われます。大きな地震では二回の爆発音があったという経験談が聞かれるのはこのためだと推定されます。小さな地震では断層はできません。

注:水素爆発ならば全領域が押しになる・・・という短絡的発想の典型が次のサイトにあるbintagire氏のような発言です。

http://d.hatena.ne.jp/goito-mineral/20040913

「bintagire 2004/09/14 09:10

せめて、メタンにすればいいのにねと思ってしまいます。そもそも、水素爆発では、メカニズムは説明できないのに・・・。地下核実験だとすべて押しだったりします。」

自然現象として起きる水素爆発は二段階の反応がありますが、ダイナマイトや核爆発では第一段階しか起こらないのです。このサイトを読むとbintagire氏は地震学を専門的に学んだ方のようですが、地震学教育がフンボルトの直感を葬り去ったようです。

1457
2008-07-22(Thu)
アイソスタシーという矛盾概念
解説用DVDのナレーションの中から「アイソスタシーの概念」を紹介します。マントル熔融説に関連する地球科学上の重大問題の提言でもあります。



アイソスタシーという概念は地球科学の中では大変重要な意味を持っています。この概念があるために、アトランティスやムーなどの大陸が沈没したというのは「あり得ない話」という結論になっているのです。

アイソスタシーの概念を説明する前に、地殻の定義をしておく必用があります。

通説では大陸というものは最上部に花崗岩が存在し、その下に安山岩や玄武岩があるとされています。海洋底拡大説から導かれる結論でもありますが、海底には花崗岩は存在しないと言われています。さらにその下にはカンラン岩と云う硬くて緻密な岩石があり、地震波の伝播速度が大きく違うことが知られています。この境界面を発見者の名前をつけてモホロビッチ不連続面、略してモホ面と呼んでいます。

通説ではこのモホ面より下をマントルと呼んでいます。マントル内部には温度の高い部分があって、そこを境に上部マントル、下部マントルと呼びます。モホ面までと、上部マントルを含んだ部分を岩石圏、その下を岩流圏と呼ぶこともあります。岩流圏といっても、固体であり、せん断波であるS波も通過するとしています。つまりマントルは固体であるという立場を取っています。

一方石田仮説では、地球誕生以来の歴史から類推して少し解釈を変えています。地球は誕生してからしばらくは、マグマオーシャンという状態で陸地は存在していませんでした。

冷却が進行し、薄皮のように固形化した陸地が誕生し、海が形成され、やっと動植物や人間が生活できる環境ができたというのが間違いのない歴史であります。冷却は現在も進行していて、陸地の下はマグマオーシャンの状態であると推定できます。したがって、固形化した部分を地殻と呼び、その下には熔融状態のマグマが存在していると考えるのはごくノーマルな判断であります。

そこで、石田仮説では、モホ面の下にある固体部分までを地殻とよび、その下のマントルは熔融マグマであると解釈します。なお、この考え方は勝手な憶測で決めているのではなく、後で説明する地震波の伝播経路の検討からも誘導される根拠のある推定であります。

ではここで、アイソスタシーの概念を説明します。これは「地殻はマントルよりも軽いので氷山が海に浮いているように、浮かんでいるのである。」という概念です。

通説での地殻、つまりモホ面までの厚さは大陸では厚く、海洋部分では薄いのでそのように見えるのですが、アルキメデスの原理により大きな浮力を得るために、大陸は厚くなっている、という解釈です。

ウェゲナーはこの解釈に基づいて大陸の一部が急に厚さの薄い海洋底に変化することはあり得ない、として陸橋説を論破しました。

しかし、固体であるマントルが、固体である地殻を浮力によって浮かべている・・・という説明はレオロジーという概念を使用しても、正当性が疑問視されます。レオロジーとは、固体であっても、長い時間を掛ければ氷河が移動するように変形・移動することができるという考え方です。

石田仮説では、大陸は冷却されやすく、分厚くなりますが、海洋では冷却され難くて、地殻が薄いのだと解釈します。

以上が解説文です。物質は固体であっても、長時間掛ければ変形し、移動するというレオロジーという概念は地震波の伝播問題を扱うスタート点で、マントル中を伝播すると仮定したことの矛盾を繕うために採用された「こじ付け的概念」だと思っています。実験室ではレオロジーが証明されているという認識なのでしょうが、岩石は水を含めば融点が極端に下がるということが分かっていますから、無水状態での実験結果を信じてレオロジーに固執するべきではありません。

1458
2008-07-22(Thu)
大陸移動の原動力に関する矛盾
次に大陸移動の原動力についての新旧2説の解説文を紹介します。



ウェゲナーの大陸移動説がいったん否定される原因となったのは大陸移動の原動力に関して説明できなかったからです。当時は岩流圏のマントルが流動する時に、その上の地殻を含むプレートが粘性摩擦によって引きずられるからであるという考え方がなされていたのですが、計算するとそれには無理があることが判明しています。

現在ではマントルの移動とは関係なくプレート自身の自重によって、沈降していくという能動的移動論という解釈が採られています。

つまり、海嶺で誕生したプレートは移動して海溝まで到達する間に冷却され、密度が高くなって、自重によって沈降していくという考えかたです。テーブルクロスがずり落ちるように水平部分のプレートを引っ張って流動して行くという解釈です。

ということは日本海溝では、太平洋プレートが自重で沈降しているのであって、ユーラシアプレートに乗っている日本列島に圧力を掛けて、それによって日本列島に巨大地震を発生させるというようなメカニズムは考え難いのではないかという解釈も出てくることになります。

それにしても、日本海溝から太平洋の海嶺までは地球円周の三分の一くらいの距離すなわち、約13,000kmもあります。その大きなテーブルクロスを6%にも満たない高々700kmの長さの沈み込みプレートの自重によって引きずり下ろすことなどできるわけが無い・・・というのが冷静な見方ではないでしょうか。

そのようなプレート論で地震の発生は説明できないということも冷静に考えれば分かることであります。

以上が解説文であります。通説のプレート論では陸側プレートに圧力を掛けて、山脈を構成させたり、潜り込んで地震を発生させたりするような能力は期待できません。ただ自重で沈んでいくというのですから・・・。

太平洋の真ん中で沈んでもおかしくないわけですが、なぜ海溝までたどり着くのか納得できる説明はありません。

1461
2008-07-24(Thu)
4000ガルの発生理由
6月22日の毎日新聞に岩手宮城内陸地震で4000ガルの加速度が生じた理由が解説してありました。地層の境界で揺れが増幅したとか、「SP変換波が生じた」ということですが、このような加速度は爆発現象でしか説明できないように思います。


別の記事では「山中佳子・名古屋大准教授は、地震波を解析し、今回の地震の断層面が長さ約40km幅約15kmに及ぶことを突き止めた。この断層面が19秒かけて最大で約4メートル動き、地震が発生したと予想する。」ともありますが、19秒かけて4メートル動く物理現象から4000ガルの加速度は絶対に発生しません。

また、新聞記事には地表面では4022ガルだが、同じ場所の地下260mの地震計では上下動が640ガルという小さなものであったことが報告されています。爆発点である震源に近いにもかかわらず加速度が小さいということは動きが拘束されているということを意味しています。

これは、[1427]で述べたように地表面は自由端として自由に動けますが、地下内部は固定端として拘束されているために、動きが自由でないために加速度が小さくなることを意味しています。つまり地震が爆発現象であることを物語っているのであって、揺れが増幅したとか、変換波が生じたということではありません。ここにも、断層地震学の破綻が現れています。

1462
2008-07-24(Thu)
また東北で大きな地震
また、東北地方で大きな地震がありました。東北地方の被害者にはお気の毒なことですが、この地震から地震の真相を学ぶべきだと思います。報道を紹介しておきます。


太平洋プレート内部で発生=二重面の下層、小地震は頻発

7月24日2時45分配信 時事通信

 岩手県で震度6強を観測した地震は、陸側のプレート(岩盤)の下に沈み込む太平洋プレートの内部で起きた「スラブ内地震」とみられている。平田直東大地震研究所教授は「震源が相当深い。岩手・宮城内陸地震のような内陸型ではなく、太平洋プレートの沈み込みに関係する地震」と述べた。

 震源地付近は、太平洋プレートが東から西に向かって深く潜り込んでいる。気象庁によると、地震のメカニズムは東西方向に引っ張られた正断層型で、沈み込む太平洋プレート内の深い所ではこのタイプの地震が起きることが知られている。

 同教授は「この規模の地震がどの程度の頻度であるのか分からないが、起きても不思議はない場所」と指摘。東北地方で規模の大きな地震が続いたが、タイプが異なり、関連性はないという。 

岩手で震度6強 太平洋プレート内部で発生か

02:42更新 http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/disaster/163696/

 東北地方の太平洋側では、東から西に移動している太平洋プレート(岩板)が陸のプレート(北米プレート)の下に沈み込んでいる。今回の地震は、太平洋プレートの内部で起きた地震とみられ、2つのプレートの境界で発生する海溝型地震とはメカニズムが異なる。

 東北大学の海野徳仁教授によると、太平洋プレートの内部で起こる地震は、上下の2層構造になっており、今回は下面で発生したため、震源が120キロという深さだった。上面と下面では地震のメカニズムも異なり、上面側では断層面に圧縮力が働く「逆断層型」、下面では断層面が引き離されように力が働く「正断層型」の地震が起こることが知られ、今回の地震は正断層型だという。

 東北地方で近年に起きた太平洋プレート内部の地震としては、平成15年5月に宮城県・気仙沼沖の深さ70キロで発生したマグニチュード(M)7・1の地震がある。この地震は、太平洋プレートの上面側で起きた逆断層型だった。

 今回の地震は、岩手、青森県を中心に広い範囲で強い揺れが観測された。これは、震源が深いために地表での距離が離れていても震源からの距離の差が小さいためで、震源の深い地震の特徴の一つだ。

 海野教授によると、太平洋プレートの下面側ではマグニチュード(M)6級までの地震は観測されるが、M7に近い規模は極めてまれだという。また、一般に震源が深いほど、余震の回数は少ないとされる。

東北地方で火災、落石、倒木…1か月で2回目の震度6.7

7月24日2時32分配信 読売新聞

 東北地方をまた激しい揺れが襲った。岩手県の太平洋側北部で震度6強を記録した24日未明の地震。震度5弱以上の地震は今年に入って7回目で、東北地方ではわずか約1か月の間に2回目の震度6となった。頻発する地震に、寝静まった町は不安に包まれた。

 「いきなりドーンという突き上げがあって、大きな横揺れが来た」

 震度6強を観測した岩手県洋野町。就寝中だった主婦、菖蒲沢ユリ子さん(61)は「先月の揺れよりずっと大きかった。戸棚の中のコップや食器が割れていた」と声を震わせた。

1. 町役場2階で仕事をしていた企画課の佐々木貴光さんは「最初『ドーン』と大きな縦揺れがあり、それから横揺れが続いた。揺れは大きく、カウンターにあった花瓶が落ちて割れ、給湯室の食器類も割れてめちゃくちゃになった。窓ガラスにもひびが入ったようだ」と地震直後の様子を語った。(後略)

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いずれも、太平洋プレートとの関連で、「地震のメカニズムは東西方向に引っ張られた正断層型」という解説になっています。なぜプレートの上面では押されて逆断層になり、プレートの下面では引っ張られて正断層になるのか理屈が理解できません。

「いきなりドーンという突き上げがあって、大きな横揺れが来た」という体験談からは、地震が爆発であることを物語っています。断層地震説に拘る人はいつまでたっても、プレートとの関連を捨てようとしませんから、新しい地震観・・・といってもフンボルトの地震観に戻すだけなのですが・・・を早く広めないといけません。

それでは、「岩手、青森県を中心に広い範囲で強い揺れが観測された。これは、震源が深いために地表での距離が離れていても震源からの距離の差が小さいためで、震源の深い地震の特徴の一つだ。」と言う通説の解説とは違う地震爆発説での解説をしておきます。


深発地震ではウラジオストックあたりの地震でも東北沿岸の震度が大きくなることがあります。これは大陸端部では地殻が海洋に向けて次第に薄くなっていくので、モホ面以下の固い部分も地表に近くに位置することが原因です。マントル内部での爆発の震動が、この緻密な部分を伝播して広がるからです。今回の地震は震源が直下であったので、異常震域という問題は起きませんでしたが、大陸方面や関西、中部域での深発地震ですと、震央が無感なのに、東北では有感になるという異常震域という問題になります。

断層という爆発の傷痕ができるのは固体である地殻の内部で起きる地震の場合だけです。このような深部ではマントルは熔融していますから、正断層というような傷痕ができることはありません。

断層に関する所見に、異論があるようですが、濃尾地震で発生した断層に関しては「断層は地震の後に現れたという興味深い目撃談 」があります。地震の後からズルズルとゆっくりと動くようです。ライブラリーから抜粋します。


 例へば、明治二十四年濃尾地震の時は岐阜の東北方面数粁のところに極めて鮮かな土地の段違ひ、すなはち断層が出現した。この断層は地震と殆ど同時に出現したのであるから、断層の成生が全く地震波を発生する本源であるかの如く考へられてしまつたのである。

 當時においても故大森博士はこの断層が殆ど瞬間的に発生したものではなくて、地震後極めて緩やかにズルズルと段違ひになつたといふ話を目撃者たる一農夫から聞いて來られ、著書の中にも載せてをられるが 、・・・・・。


1463
2008-07-25(Fri)
多重震源という現象
岩手北部の地震はマルチプルショック(多重震源)であった可能性があるという報道があります。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080724-00000077-mai-soci

<岩手北部地震>7〜8秒に3回連続のマルチプルショック

7月24日15時1分配信 毎日新聞

 岩手北部地震では、7〜8秒に3回連続で地震が発生していた可能性のあることが24日、東京大総合防災情報研究センターの古村孝志教授(地震学)の分析で分かった。同様の現象は、昨年7月に起きた新潟県中越沖地震などでも観測されている。しかし、単発の地震が多いと考えられていた地下の深いプレート(岩板)内部で起きた地震では珍しい。

 複数の地震が、短時間で発生する現象は「マルチプルショック」と呼ばれる。

 地震波には、最初に到達するP波と大きな揺れのS波がある。

 古村教授は防災科学技術研究所(茨城県つくば市)のデータを解析した。その結果、最初に小さなP波が観測され、この約5秒後に最初のP波の6〜7倍の大きさのP波、さらにその2秒後に同程度のP波が観測されていたことが分かった。また、S波もP波に対応する形で7〜8秒間に3回発生した。この結果から、プレート内部で破壊が3回続けて起きたことが判明した。古村教授は「プレート内部での地震発生メカニズムの解明に役立つのでないか」と話す。【斎藤広子】

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

以上が毎日新聞の報道です。

防災科学技術研究所のサイトによると、マルチプルショックとは、次のようなものだそうです。

「比較的大きい地震の記録において、複数のP波とS波が検出される事がある。地震断層が滑らかに破壊されず、複数と見なせる断層破壊が一つの地震断層を形成する場合である。これを多重震源(マルチプルショック)と言う。」

一例として示されているのが、昨年7月に起きた新潟県中越沖地震でのマルチプルショックで、次のような波形に現れているそうです。


東大地震研究所強震動グループサイトより

断層地震説で考えると、震源は破壊の開始点であって、断層の終点まで破壊が進行するという解釈ですから、多重震源というのはどのようなことなのか、物理的な現象としてイメージしにくいです。

地震爆発説では[1456]で述べた、爆発という第一段階と爆縮という第二段階が起こっていることがマルチプルショックの一つの原因である可能性があります。

また、[1454]で述べた、ソーセージ型のマグマ溜りの中で爆発点つまり震源が連鎖的に並ぶ連鎖震源では、図のようなダブルショックだけでなくそれ以上の複数回のショックが発生する可能性もあります。

深発地震はマグマ溜り内部での爆発ではなくて、熔融マントル内での爆発現象であると考えられますが、今回のように大きな爆発になるとマントル対流の内部に解離ガスの貯留場所が複数できて、その場合も連鎖震源になって、多重衝撃(マルチプルショックの真意)となる可能性があります。

記事の中には「単発の地震が多いと考えられていた地下の深いプレート(岩板)内部で起きた地震では珍しい。」とありますが、深発地震は通常今回のような大きな地震は少なく、単発つまり[1454]にある単震源の場合が多いということを意味しています。

マルチプルショックとは多重衝撃というべき現象で、多重震源とは意味が違うように感じられますが・・・どうでしょうか。

1464
2008-07-26(Sat)
仮説の修正
ある方から貴重な意見をいただきました。[1356]にあるAの波が理論に合わないように見えるのは、一箇所での波形記録を見ているからであって、何点かの記録を並べた表示で見れば理論に合うことが分かるという指摘です。確かに図に示すように、USGSのデータから岩手宮城内陸地震という浅発地震と岩手北部地震という深発地震(111km)との波形記録を並べてみると、すくなくともP波に関しては、浅発でも、深発でも、どちらも理論に合っていることが分かりました。


時間スケールを同じにしましたが、深発地震に爆発が2回起きていること、表面波が小さなものであることなどの点を除けば両者は良く似た波形になっています。発生時刻は米国時間です。

ということはP波が固・液不連続面からマントル内に進入しているということですが、マントルが固体であるということなのか、その方とも検討を重ねました。

これまでの提言を何らか修正しなければなりませんが、マントル固体論では、深発地震が海溝部でしか起こらないことを合理的に説明することができませんし、なぜ海嶺では浅発地震しか起こらないのかも説明できません。海嶺付近のブラックスモーカーから、熱水が噴出する現象も、マントル熔融論のほうが合理的に説明ができます。もちろん地球誕生後の歴史から推定しても、地球内部は冷却が進行中の熔融体であると考えるほうが合理的であります。

得られた結論は逆レオロジー的解釈でした。マントルは熔融しているけれども、密度が大きく、粘性の高い流動体であるから、高圧下での爆発的現象による短周期振動に関しては固体(弾性体)的に振舞うという考え方です。

低周波振動に対しては個体的な伝播特性は示しませんが、高圧下の高周波振動に対しては固体的な伝播を可能にしているというものです。固体であるけれども長期の圧力が作用すると流動化するというレオロジーよりは地球内部の物理現象を説明するのに納得しやすいものに思えます。

片栗粉を水で練った状態にすると、流動体として動き、静水力学的性質も示しますが、短い周期で飛び跳ねれば、沈むことなく歩けるのと同じ理屈です。岩石は水が存在するだけで融点が極端に下がるということですから、マントル固体論に拘る必要はないと思います。P波もS波も短周期成分は伝播できるという仮説を採ることにいたします。したがって、P波は地殻とマントルの固・液不連続面からマントル中に進入できるという解釈になります。ご批判があればお聞かせください。

追記:

平凡社の百科事典では「地球の非弾性的性質」という説明にレオロジーの解説が次のようにありました。

【地球の非弾性的性質】

もし地球が完全、弾性体であるならば、たとえば、いちど地震が起れば永久に地球をゆさぶり続けることになる。しかし、実際には地震波はしばらくすると減衰してしまうから、地球が完全弾性体でないことはまちがいない。いっぽうスカンディナヴィア付近の土地が隆起し続けていることが知られている。これは氷河時代にその地方をおおっていた氷が溶け去ったため、地殻をマントルに押し込んでいた力がなくなって、地殻が回復運動をしているのだと考えられる。このように考えると、マントルは粘性流体であるとも考えられる。もちろん、マントルは地震波の縦波・横波の両方を伝搬させるから、純粋な粘性流体とは考えられない。このように地球は半ば弾性的で半ば粘性流体的な物質である。このような物質をレオロジカルrheologicalな物質という。

現在の地震学では弾性体に主眼が置かれていて粘性流体が従という感じですが、粘性流体に主眼を置いて弾性体を従とする見方をすれば、上に述べた逆レオロジー的解釈というのも結局レオロジーになるようです。私がレオロジー論を正しく理解していなかったのかもしれませんが、マントルは粘性流体であるという点に重点を置いてレオロジー論を採用したいと思います。

1465
2008-07-26(Sat)
地球トモグラフィーの理解
「マントルは粘性流体であるが、弾性体として地震波を伝播させる性質をも持っている。」というのがレオロジーの意味する内容である・・・と解釈するならば、これまでに述べてきた石田仮説での表現を部分的に修正しなければなりません。

誤解を生みますので、[1356]の一部と地球トモグラフィーについてコメントした[1357][1358][1319][1325]を削除した記事も[○○○-1]と表示して添付してあります。

地球トモグラフィーに関してはレオロジー論によって「マントルは弾性体としての性質をも持つ」と解釈しますから、地震波という爆発による振動を伝播させていると言えます。したがって、計算そのものは成立しますが、その結果の解釈に疑問が残ります。

計算の結果を見て、プレートの潜り込む姿であるとか、スタグナントスラブというプレートの一部分が存在しているという解釈がなされていますが、マントルは本質的には粘性流体ですから、マントルの内部にプレートが沈み込むとか、プレートの一部が存在しているとかの議論はできないのではないかと思います。あくまで、粘性流体の一部分つまり、人体にたとえれば臓器の一部が捉えられたと言うことであり、解析の結果から固形物が存在することが判明したという解釈はできないということです。

計算結果を見て、プレートが潜り込んでいるように見えるのは、「粘性流体としてのマントル対流が地球内部へと潜りこんでいる姿を捉えている。」というのが正しい解釈ではないかと思います。

1466
2008-07-28(Mon)
地震学者の意見を聞きたい
石田仮説として主張したい最大の要点は地震が断層によって発生するのではなく、地球深部で起きる水の爆発的な解離と結合という化学反応であるということです。

この地震爆発説への反論として予想される内容を推定して、プレートテクトニクス理論の矛盾およびマントル固体説の矛盾にまで言及せざるを得なくなって仮説の内容を広げてきましたが、マントル固体説の矛盾に関してはレオロジー論の解釈によって解決ができそうなことが分かりました。

したがって、地震波の伝播経路とか、地震波の伝播速度、および地球トモグラフィーに関して展開してきた議論の一部を修正しました。

これまで、地震学者から何の反応もなかったのは、「地震波の伝播経路に誤解がある」とか「地球トモグラフィーは成立しない」とかの主張が現代地震学の全否定のような響きがあって障害となっていたのかもしれません。

今後は「マントルは熔融しているけれども、衝撃波に対しては弾性体としての挙動をすることもある。」と解釈して仮説を修正しますので、少しは真剣に地震爆発説への議論に関心を向けていただけるのではないかと期待しています。

また、地震学の流れという視点ではフンボルト以来の地震観に戻ろうという主張ですから、地震爆発論はそれほど突拍子も無い仮説ではありません。

「石田仮説はユニークすぎてついていけない。」というような物知りぶった人もいますが、大博物学者フンボルトの地震観を知らないだけのことで、昭和初期にはかなり多くの地震学者が、この地震観に基づく石本博士の理論を受け入れていたのです。石本博士のマグマ貫入理論が否定された原因は「爆発ならば全方位が押しになるはず」というものだったようですが、石田仮説で提唱するものは、単なる爆発現象ではなく、解離と結合という二段階の化学反応ですから、全方位が押し領域になるのではないことを説明できます。爆発説を否定する材料がなくなったわけですから、プレートテクトニクス論および断層地震説一辺倒である研究の方向を変えていただければと期待しています。地震学者・研究者からのご意見をお待ちしています。

1467
2008-07-29(Tue)
なぜ正断層ができるのか
今回の岩手北部地震はプレート内部の地震で、「正断層型」の地震であったという報道があります。


記事によると、「海側のプレートが沈み込み続けると、海側のプレートの内部にひずみがたまる。これを解消する地震がプレート内地震だ。」と解説してあります。

海嶺で誕生したプレートは海溝付近で冷却されて重くなり、自重でマントル内に沈降するということになっていますが、自重で沈むだけのプレートがなぜ「ひずみ」を蓄積できるのでしょうか、ひずみを開放してなぜ地震になるのでしょうか。理屈に合わない説明ばかりが続きます。

「活断層は地下にある岩盤の切れ目で、過去に地震で壊れたことがある「傷跡」」とありますが、傷跡がなぜ急にずれ動くのでしょうか、断層の形状が分類してありますが、なぜ逆断層になったり、正断層になったり、横ずれ断層ができるのでしょうか。



爆発論での解釈では断層の形状は震源の深さと押し円錐の軸がどのように傾斜しているかで決まってきます。スマトラ沖地震のように衝上断層(Thrust)が海溝沿いに直線状にできるのは、図のような単震源では無くて、[1354]のように連鎖震源であったものと考えられます。地震が起こる原因は化学反応のエネルギーによるもので、爆発的な衝撃力で地震を発生させます。

断層地震説に基づく新聞解説を読んでも、読者には地震の真相が何も伝わらないというのが本当のところでしょう。

1468
2008-07-30(Wed)
メカニズム解の解釈
日本における地震学の変遷に関する興味深い文章がありました、2006年の記事です。昭和初期に活躍された小川琢治、石本巳四雄らの先覚者が唱えた、マグマ貫入理論がアメリカ生まれの断層地震説に完全に敗れ去った画期的な講演といってもいいかもしれません。

  「地震は断層です」――安芸敬一先生の思い出

                                  松田時彦

(前半略) 

 思い出すのは古いことです。地震はマグマや熱が原因であるとする考えが日本で支配的であった40年あまり前のことです。1961年(昭和36年)春の地震学会で個人講演の壇上に立たれた安芸先生は開口一番(だったと思います)、私は洗脳されて帰って参りました。地震は断層ですと明確におっしゃいました。当時安芸先生はアメリカから帰国されたばかりだったようです。私は、断層が地震の原因だと直感的に思っている伝統的な地質屋の一人でしたので、この地震学の専門家のいさぎよい「転向」声明にひそかに心から拍手を送ったものです。会場は地質学教室があった東大理学部2号館の講堂でした。地震学会に入会したばかりかあるいは入会しようと思っていた私はどんな学会かと思ってその講堂に出かけて、偶然この意義ある光景に出会いました。念のため当時の「講演会 講演要旨」(ガリ版)を探し出しましたが、このときの安芸先生の講演題目は「レーリ一波位相速度から求めた日本の地下構造」(15分)となっています。この年の前年にチリ地震があり、3年後に新潟地震がおこりました。新潟地震は安芸先生によって日本で初めて地震モーメントから震源断層が推定された”記念すべき地震”となりました(Aki.1966)。(中略)

 その後いつの間にか安芸先生は地震研を去られました。私はその後濃尾地震の地震断層を追って歩いていましたが、地震を起こしたと思われるその断層が互いに数kmも離れて雁行した3つの断層(いまでいうセグメント)に分かれていました(温見、根尾谷、梅原の各断層)。その三つは地下で合体して一つの長い断層になっているのか、それとも地下の震源でも3つに分かれたまま一つの濃尾地震を起こしたのか。そんな野外で得た疑問を安芸先生にお話したことがあります。安芸先生は震源においても3つに分かれていてよいといわれたように思います。濃尾地震を起こした断層は繰り返し岩盤を切断して現在では両側の岩盤を2000m以上もずらしています。そんなに大きく岩盤がずれていても3つの断層は地下でもそれぞれ離れていてその間に断層のないギャップがあるのてしょうか。今となっては安芸先生にさらに教えて頂くこともできなくなりましたが、お姿を懐かしく思い出しております。ありがとうございました。ご冥福をお祈り致します。

(2006年 安芸敬一先生を偲んで より)

http://kouzou.cc.kogakuin.ac.jp/Mr.AkiHomepage/honnshou/honnshouTop.htm

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以上が松田時彦先生が語る偉大な地震学者安芸敬一先生の思い出です。

しかし、私にはどうしても、4000ガルを超えるような衝撃が断層がすべるという物理現象から生まれるとは思えないのです。爆発という化学反応、または将来証明されることになるかも分からない核融合反応という高エネルギーを発する現象であるとしか思えません。

安芸先生の断層地震説に影響を受けておられる方々は地震の発振メカニズムに関してメカニズム解として表現されるものを信奉しておられます。気象庁のサイトには初動発振機構として丁寧な解説があります。

http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/mech/index.html

しかし、この発振機構の説明は断層説を正しいものとする前提で考えられています。マグマ内部の水素ガスが爆発を起こして、押し・引き分布ができると解釈しても理解はできます。


セミナー48でも解説しましたが、メカニズム解で採用しているB図のようなケースは爆発点がC図のように連鎖状に並んでいると考えれば押し円錐理論からでも説明が可能です。

気象庁サイトにあるメカニズム解の例として説明のあるD図はB図に当てはめて節面が考えられていますが、物理現象としてはE図のように押し円錐の軸が少し折れ曲がった、ほぼ単一震源の押し引き分布ではないのかと思われます。地震のたびにメカニズム解というものが発表されていますが、それによって地震の本当の姿が把握できるのかどうか疑問に思っています。

安芸先生が偉大な地震学者であることは認めますが、メカニズム解ではどちらの節面に断層ができるのか分からないという説明がありますように、物理的なイメージが希薄です。石本先生の直感によるマグマ貫入爆発論は物理的イメージが明快に持てるすばらしいものだと思います。B図はダブルカップルというものですが、なぜ二つの偶力がダブルカップルとして作用するのか、物理的にはまったくイメージができません。押し円錐および連鎖震源の考え方のほうがはるかに物理的なイメージが明瞭です。

1469
2008-07-30(Wed)
飯田汲事先生の著書より
それほど古い本ではありませんが、昭和47年発行の飯田汲事先生の「地震」という書籍には四象限型の押し引き分布では説明できない分布があり、押し円錐が有効であるという記述があります。四象限型の分布は震源が浅く、押し円錐の軸が水平の場合の特殊な事例であるという解釈(笠原慶一先生の解説がニューオフィス48にあります)のほうが地震現象を明確に捉えていると思います。飯田先生の書籍から紹介します。

晩年の飯田先生とお話したときに先生はプレート論を板論と称しておられ、「板論は怪しいね」と懐疑的な発言をされていたのを覚えています。

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いろいろの地震の初動分布を調べてみると、地震によってはそれが四象限型にはならないものがある。この場合、初動の押しと引きの二種類を境する曲線が円錐曲線で表わされるのである。下に一例を示した。


震源がモホ面より下にある場合には屈折作用によって節線が複雑になります。


二種の波動を境する曲線すなわち節線は楕円であったり、双曲線や放物線になったりしている。これは円錐に交わる平面の角度によっていろいろな形ができるからである。(管理人補足:[1467]に示すようなもの)円錐形が生ずるには、震源の相接した二点が両側に急に運動する場合にできる。したがって震源で爆発現象として一方の壁を破って物体が突出するような現象が行なわれれば、これが実現できる。これは地殻内にマグマ溜があってそれが急激な運動を起こして、周囲の弱い岩石を破壊して貫入することによって地震が起きるという、マグマ貫入説として説明されるわけである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

以上が飯田先生の記事からの紹介です。

昭和36年にアメリカ帰りの安芸先生が転向宣言されて断層地震説を支持された後でも、飯田先生はマグマ貫入理論を捨ててはおられませんでした。そのご、全ての分布が四象限型で表示できることがわかったということのようですが、表示は可能になったとしても、物理的なイメージは大変希薄になってしまったように思います。

1470
2008-07-31(Thu)
安芸先生の功績は何だろう
安芸敬一先生を偲ぶ記念文集の中に笠原慶一先生のものがありました。私は昭和34年に発刊された笠原先生の「地震の科学」という書籍から、マグマ貫入論や押し引き分布論を学びました。しかし、笠原先生が昭和58年発刊された「地震の力学」にはマグマ貫入論や押し引き分布論はまったく載ってなく、人名索引には石本先生の名前すらありません。なぜこのような大きな変化が起こったのか、この一文を読んで、安芸敬一先生という偉大なる地震学者の影響力があったことを納得しました。

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 あのころ

                                             笠 原 慶 一

 「産まれた時期がよかったのですよ」。昨年末の受章祝賀会で安芸さんは、ご功績を讃えた私に対して、こう謙遜されました。それが私の耳に残る、安芸さんの最後の言葉になってしまいました。

 思い出は五十年もの昔に遡ります。あのころ、1950年代のこと、地震の震源とはどういうものかについて、国際的な議論が白熱していました。米国やソ連(当時)では断層ずれを前提にした波動解釈が主流であり、一方、我か国では豊富な観測資料(S波)の支えもあって、断層原因説は伝統的に否定されていました。私ごとで恐縮ですが、かつて地震研の談話会(月例研究会)で断層震源モデルの発表をしたところ、会場出口で長老の先生に呼び止められ、「あヽいう話はもっと偉くなってからするものですよ」と注意されました。当時の雰囲気をお察し下さい。

 両陣営の見解差ははるか昔からあったものです。しかし戦後に国際交流が進んだ結果、相違は歴然となり、加えてそれが地震学の基本問題に関わるものですから、放置できない対立状態になっていました。

 安芸さんの鮮やかな一石が投じられたのは、そんな時代のさなかです。渡米して、あちらの地震計に描き出された長周期波形の簡単さに感動した安芸さんは、長周期表面波を使うことにより、基本的な争点であった起震力の型式に明確な結論を導きました。この最初の論文は1960年の米国の雑誌(JGR)に掲載されましたが、地震研の図書室で取り出すと、製本のその論文部分は手あかに汚れ、破損していました。いかに多くの人が閲覧したか、その痕は今でも残っていることでしょう。

 それまで表面波といえば震動の伝わり方、つまり地殻構造の研究材料とばかり思われていました。それが発生源、つまり震源のメカニズムを探るのにも有用になったわけで、地震学に全く新しい展望を開くものでした。この新分野がにわかに活況を帯びてきたのはいうまでもありません。

その中で、またも画期的な成果(安芸.1966)か出ました。1964年新潟地震からの表面波の実振幅を世界中の記録に基づいて解析したもので、震源に働く力をモーメントの大小で見積もると、動的量(波動)が静的量(断層変動)とほぼ一致しました。すなわち波動発生が急激な断層ずれで説明できることをエネルギー論的に実証したものといえましょう。

 この間、他にも多くの研究者の努力があり、先の国際論争は今の見解に収斂するに至りました。双方痛み分けでした。その道のりは「日本の地震学の概観」(地震学会、1967)に見られます。そのなかで、たとえば安芸さんは、“ひとくちにいって地震は断層である”ことを具体的根拠に基づいて結論しておられます。こうして十数年来の国際論争、もっといえば、「地震とは何か」との人類古来の懸案はようやく解決の日を迎えたのでした。

 安芸さんには、昨年末の受章祝賀会で本当に久しぶりにお会いしました。当時の思い出にふけりつつ、NHKの番組ではないが「あのころ歴史が動いた」ことを共感し合ったものです。冒頭の言葉はそんな会話のなかで出てきたものでした。

                             (東京大学名誉教授)

http://kouzou.cc.kogakuin.ac.jp/Mr.AkiHomepage/honnshou/kasahara.htm

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以上が笠原先生の文章です。今では安芸先生の「アキリチャ」とも敬称される応用数学のような地震学の教科書が地震研究者のバイブルのようになっているようです。

しかしそれでも、古来から観測されてきたたくさんの地震現象をこのバイブルで解き明かすことはできません。なぜ発光現象があるのか、なぜ地電流が流れるのか、なぜ断層が動く前に怪音が発するのか、そしてなんと言っても、4000ガルを超えるような爆発的衝撃が断層運動からなぜ発生するのか・・・などなど説明しきれないものばかりです。

文中にある「「地震とは何か」との人類古来の懸案はようやく解決の日を迎えたのでした。」という理解には賛同しかねるものであります。

有史以来観測されてきた地震現象に関してはこのセミナーで「ゴールド博士から学ぶ」として13回のシリーズで紹介していますのでご覧ください。

さて、タイトルにある「安芸先生の功績」に関してですが、現在の応用数学のような地震学の教科書を見て思うのですが、数学は現象を合理的に説明する有用なものですが、数学から引き出される結果をみて現象を理解するというのは、誤導の原因になります。地震学はまだそこまで現象を正確には把握できていない段階だと思います。ゴールド博士が教示しているような地震現象の不可思議さを(博士はガス噴出説ですが)解き明かすことが先決です。解き明かした事実を説明する道具として数学は有用なものですが、メカニズムが不明である段階で数学を登場させて断層説を強要しているような雰囲気を私は感じます。

この意味で安芸先生の功績を正しく判断するのは歴史の仕事だと思っています。

追記:

セミナー[1023][1165]でも紹介しましたが、石本博士の「科学と単純性」という論考から学ぶべきものがあると思います。紹介した文章の前文には次のような言葉があります。「もし、二つ以上の系統付ける方法がありとすれば、その中にて最も単純なるものを採用すべきである。」

そのあとに続くのが以下の文章です。

「科學者の中には事更に複雑なる自然現象を解析して、より深く進み得たと得々たるものも居るが、科學の進展に対しては果して如何なる寄輿をなしたかは疑問である。自然研究は簡箪なるものを以て行ふべきものが、自己の手腕を人々に見せんが爲めに、事更に難解なる考察方法を採るものもある。科學の進歩は決して事の難易にて定まるものでは無い。同じく説明出来るならば、単純化せるものを採用するのが科學の根本原理である。以上は要するに人々の思想間題であつて、如何に自然を見、如何に自然を研究すべきか、心の中に書かれたるものの当否に帰着されるものである。自然研究に携わる人々の才能を越えてもその背後にある思想が適当でなければ、如何に研究に没頭しても無駄の結果を齎すのである。」

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