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1311
2007-09-08 (Sat)
地震観を改めよう
サイト検索をしていましたら、同じ2chに面白い意見が載っていましたので紹介します。誹謗する人もあれば、賞賛してくださる方もあります。

紹介する意見からは着実に新地震論が理解され受け入れられていくのを感じますが、石本博士の記事にある次のコメントが真実味を帯びてくるようです。

「大学で習ったことを後生大事に覚えている者の方が後れ、全部忘れてしまったものの方がかえって成功をする」
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824 :がんいち:2007/08/31(金) 22:20:22 ID:ijh9w5Mg
>817
少しでもプレート理論に疑問を持ったら、石田先生の新地震学セミナーを読んでみてください。
http://www.ailab7.com/Cgi-bin/sunbbs2/index.html
いかにプレート理論が矛盾を抱えているかわかります。
山本先生とは少し異なり、石田先生は地震の原因を「水素解離説」を唱えていますが、どちらも地震爆発説に変わりはありません。
2chに石田先生を罵倒するようなスレ([1215]に紹介したものなどのこと)があるのですが、その罵倒の仕方がリチャード陰謀論の罵倒の仕方にそっくりで、

根拠を示すことの出来ない総論否定と、重箱の隅を突っつくような物ばかりです。まあ、真実が分かれば、地震学者は失業ですから必死です。
あんなスレで意味のない罵倒をしていること自体がすでに勝負あったって感じなんです。阿保丸出しですよ。墓穴掘ってます。

実は地震学でプレート理論一辺倒なのは、アメリカと日本だけで、フランス、ロシア、インドあたりは違うんですよ。
その辺りも怪しいです。

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このスレには書き込んでいないようですが、「新地震論」のどこが間違っているのかと言う質問をされた方に対して、「何々を読め」「何々教授の本に書いてあるから勉強しろ」と言うような口調を拝見すると、チャーチワードが書いている高慢なイギリスの教授の話が思い出されます。(セミナー[98]参照)

以下は寄付を戴いたかたのサイトにある応援演説ですが、何回も紹介していただいて有難く思っております。

http://yorutono.jugem.cc/?day=20070907

・地震爆発説の石田博士のBBSは懇切丁寧&面白いのです♪

地震爆発説を提唱されている石田博士の目から鱗の解説をご覧下さい♪

新地震学 石田理論は素晴らしい!これを理解せずして明日はないでしょう^^;

・新地震学 石田工学博士の動画をご覧下さい!

なんどもリンクしてますが、ホント目から鱗ですよ!
またBBSでは懇切丁寧に2ちゃんで批判的な方々の為に解説をしています(立派)

このセミナーでも紹介した「巨大地震は水素核融合で起きる」(セミナー[1251])を著わされた山本氏とは発生原因の見解が違っておりますが、紹介した意見にもあるように「地震爆発論」と言うことでは同じであります。中越地震の原因が長岡市深沢での液化炭酸ガスの圧入にあるとする意見でも同じであります。

早く間違った地震観を改めないと、人為的に起こしてしまう地震による悲惨な事故が再発するような気がしてなりません。

1312
2007-09-09 (Sun)
地震学の創造的破壊を期待する
「創造的破壊」と言う言葉は、アメリカの経済学者シュンペーターが唱えたコンセプトで、資本主義経済の発展の原動力は企業の「破壊」と「創造」の絶え間のない繰り返しによるものであるという考え方であります。

地震学が発展するためにも、古い概念で説明できない事象が現れたのなら、古い概念は破壊し、破棄する必要があります。しかし、地震学においてはこうした手法がまったく採られておりません。プレートテクトニクス理論は多くのほころびを見せているのに、(とくに日本とアメリカでは)破棄されることがありません。

地球内部に存在するという核の存在は地震波が到達しない地震波の「陰の領域」を説明するために導入されたものですが、「陰の領域」は存在しないことが分かっても、導入され続けており、さらに複雑な内核というものまで導入されてしまっています。

「陰の領域」がないことが分かった時点で後戻りしていれば、「走時表」も違った形になったはずです。しかしながら、現実は後戻りすることなく、「陰の存在」は「核の存在」を誘導するための歴史的役割があった・・・というような珍妙な議論がなされております。プレートの存在も、核の存在も事実として学校教育の中でも真理扱いされています。

「創造的破壊」が必要であると思われるものについて、いくつかを述べてみたいと思います。

セミナー[1215]および、ニューオフィス15ニュオフィス18でも、解説しましたが、一旦否定されたウェゲナーの大陸移動説が古地磁気の研究によって再び認められたということになっています。しかし、その古地磁気の扱いには大いに疑問があります。



大西洋の30度回転
大陸が移動したことが証明されたとしている研究の一つは、イギリスのニューカッスルグループのものです。

ヨーロッパ大陸とアメリカ大陸の岩石が示す残留古磁気を調べると、閉じていた大西洋が2〜3億年かかって30度回転し、両大陸が移動して大西洋が形成されたことが分かるというものです。残留磁気を調査すると岩石が固まった時に磁極がどの位置にあったかが分かるわけですが、磁極が移動した軌跡を描くと、図の右下に示すような二本の曲線となり、これを30度回転させると一本になると言うことから、両大陸が移動した証拠とされ、ウェゲナーの大陸移動説が復活しました。

しかし、アメリカ大陸はカンブリア紀と二畳紀に海底に沈んでおり、アメリカ大陸は存在していません。したがって少なくとも、4〜5個のデータは大陸移動を示す資料としては相応しくありません。残る3〜4個のデータが、大陸移動の証拠ということになりますが、最新の資料である白亜紀から現在までだけでも、地球磁場の逆転現象は平均して44万年に一回の割合で起きているのです。

この磁場逆転は地軸が傾くために起こる(ポールシフト)逆転ではなく、単に地球の磁場だけが逆転すると理解されています。しかしポールシフトが起こっても磁場は逆転するわけですから、磁極がこのようにスムーズにナメクジが這い回った軌跡のように移動することはありえません。

セミナーにも書きましたように、磁極の移動軌跡は連続線となることはありません。あえて言えばUFOの出現・移動のように、消えては現れるようなものになるでしょう。

何よりも、数点の資料しかないのに、30度回転させて一致するというのはどう考えても自説に都合の良いように「恣意的」にデータを選んだと疑われても仕方がありません。当時はそれだけしかデータが得られなかったとしても、その後のデータ増加から判定し直す誠実さがなければいけないと思います。

現に採集データが各大陸で報告されるようになると、ナメクジの這い回ったような曲線は無数に描かれてしまうことがセミナー[1217]で紹介したように分かっています。

つまり、ニューカッスルグループが「大陸移動が証明された」と言っている古地磁気の研究というのはもはや破綻しているわけです。


インド亜大陸の北上
ニューカッスルグループの研究に先立って報告されたのはロンドングループのものです。インド亜大陸が南半球から北上してユーラシア大陸に衝突し、現在もヒマラヤ山脈を押し上げているという研究です。

ニューカッスルグループの立場は、最初は「大陸は移動せず、磁極だけが移動した」と考えて、二つの大陸上の資料から磁極移動曲線を求め、その結果を見て(ご都合主義に過ぎませんが)大陸を移動させました。

一方ロンドングループは最初から磁極の位置は動かないとして、大陸だけが移動したと考えてインドを北上させています。

彼らの研究ではデカン高原の岩石に記録された古地磁気は伏角の絶対値だけが意味があるとして立論しています。伏角はその地点が南半球にあるのか北半球にあるのかを示す重要な角度ですが、地磁気の逆転は地軸の移動(ポールシフト)によるのではなく、地球磁場だけが逆転するのだから、伏角の絶対値だけを調べればよいという(ご都合主義的)見解を採用しています。

伏角の絶対値だけが意味があるというのは、ニューカッスルグループの見解でもあるのですが、現在も高校の教科書ではそうなっているらしいです。

しかしこれも前述したように、ポールシフトが起これば立論の前提が崩れ去ってしまいます。ポールシフトが起こり得ることはアインシュタインも支持したハプグッド教授の地殻移動論([766]など多数)が的確な理由を示してくれていますし、かつて起こった証拠はシベリアにあるマンモスの墓場、各地で見られる生きたままの姿を示している化石などから明らかでしょう。

さて、なによりも、ニューカッスルグループの地球の磁極が移動するという立場とロンドングループの磁極は移動しないと言う立場とはまったく違うものです。どちらかが正しければ、片方は間違っています。両方正しいと言うことはありえません。であるにもかかわらず、大陸移動説が証明された研究として、ニューカッスルグループの研究もロンドングループの研究も同じように扱われているのはおかしいと思います。

私はどちらの研究もおかしいと思います。磁極の移動はナメクジのような軌跡になることはありませんし、インド亜大陸の移動軌跡がスムーズな線になることも、間違った解釈だと思います。

大陸上の岩石が記録している古地磁気の偏角と伏角は地軸移動によって変化したその時々の地球磁場を記録しているだけであって、斉一論的に移動したのではない、つまりナメクジの軌跡のように連続して結ぶべき性質のものではないと思っています。ポールシフトによる変動と言うのは激変的であって、一年に数ミリずつ移動するという斉一的な変化ではありません。

以上の見解は石田理論作成時から言い続けてきましたが、石本博士のように「元来科学書というものは、すべて正しいことが書いてあると思うと大間違いである。」という見解を持つ方が少ないのでしょうか、「教科書を読め」「基礎から勉強せよ」と言うアドバイス(?)が多いために、いまだに地震研究者の耳には届かないようです。

1313
2007-09-11 (Tue)
続・地震学の創造的破壊を期待する
地震学における「創造的破壊」を期待するもう一つの件はニューオフィス57および、ニューオフィス53に解説した件です。
つまり、地球内部に存在するという外核と内核の存在に関して、またその結果得られる走時表に関して、或いはマントル固体論に関しての破壊・破棄の期待です。

直感的に考えても、マグマオーシャンが冷え固まって地球表面に薄皮のような地殻が出来たのですから、地球内部は今もなおマグマオーシャンのままだと思うのですが、いつの間に固体になったのでしょうか。不思議な思いがいたします。

固体であると考えられるようになったのは、地震波の伝播する様子を計算によって調べだしてからのことです。最初に計算を行ったのは、ドイツのグーテンベルグであることはニューオフィス57に述べたとおりです。


(NHKブックス「地震の科学」および「理科年表」より)

彼の計算では上図に示すように地震波が地球内部を伝播すると仮定しましたが、その仮定はマントルが固体であると仮定するのと同じことなのです。固体でなければ地震波は彼が仮定したような伝播経路を取ることはありません。(注-2参照

しかし現在に至るまで固体であると確認されたことは一度もありません。

また深さ2900kmの位置に核があると考えたのも、グーテンベルグでした。核を導入したのは、地震波が届かない「陰のゾーン」という範囲があるらしいということから、これを説明するために導入されたわけです。しかし、その後観測技術が進歩してみると、「陰のゾーン」など存在しないことが明らかになったのです。

この時点でなぜ核の存在を否定しなかったのでしょうか。まったく理解しがたいことですが、存在しない「陰のゾーン」に地震波が到達していることが判明したときに、「創造的破壊」をするどころか、その波を説明するために、内核というものがあるという驚くべき「捏造」(?)が行われたのです。

現在では外核は液体で、内核は固体であるということがまことしやかに信じられ、教科書にまで載っております。

その「捏造」された地球内部観に基づいて地震波が複雑に反射と屈折を繰り返していることになっていて、それに基づいて地震波の到達時間を調べたものが走時表というものです。

計算による走時表と実測による走時表とが驚くほど(似過ぎていると思うほど・・・)良く一致している(ニューオフィス53の図ー2と図ー3参照)ことから、グーテンベルグ以来行われてきた地震波の計算は正しいことが証明されているという錯覚を抱いているようです。しかし、また、その結果おかしな矛盾がいっぱい出てきてしまっています。

ただし観測による実測値といっても、実測値を決定するために、計算値の助けを借りないと判別できないほどの曖昧な認定作業であり、ここでもデータの恣意的認定という疑いが残ることは53で解説したとおりです。

では、マントルが固体であると考えているために、どのような矛盾が生じているかを説明します。

火山から噴出するマグマは地球内部のマグマオーシャンの一部が噴出しているというのが素直な考え方ですが、現代地震学ではプレートとプレートが擦りあって出来る摩擦熱によって局所的に熔融した岩石が地表に上昇してきて噴火している、これがマグマの正体である、ということになっております。

(気象庁のサイトより)

火山はプレートの境界以外にも存在しますので、擦れあって出来たマグマが大陸奥地の火山までどうやって移動するのか説明が出来ません。またハワイ島にある火山から噴出している溶岩はどこで擦れ合って生成されたのでしょうか、説明ができません。

たとえプレート間の摩擦熱で発生したとしても、それが地表までどうやって上昇するのかも説明が不可能です。

摩擦によって岩石が熔融するためには高速度の往復運動が必要だと思うのですが、そんな現象が起きているとは思えません。プレート境界にはアスペリティーという動き難い場所とズルズル動く場所があると学者は言いますが、そんな場所で岩石を熔かすような摩擦熱が発生するとは思えません。(注-1参照)

地球内部が高熱であることは誰もが認めていることですが、地震学者は

・ 地球内部は高熱であるが熔融はしていない、
・ (熔融していない)固体であるが、長い年月のうちには熔融物質であるかのように対流する。

という解釈をしています(専門用語でレオロジーと呼んでいる考え方です)。

最近の研究では、「高熱の岩石は水が存在すると簡単に熔融してしまう。」という研究成果(セミナー[702])が出てきているのですが、岩石を「高温・高圧」の中で実験してみたら確かに固体のままで存在した、という実験報告に拘束されておられるのでしょうか、地球固体論の「創造的破壊」にまでは進めないようです。

そのほかにも、大地震の後には地球が長期間震動していることが観察されますが、2900kmの深部まで固体であればそのような震動は不可能であると思います。地震学は、地球固体論の出発点になったグーテンベルグの仮定にまで戻って、「創造的破壊・破棄」を行うべきであると思います。

(注-1):さすがに、摩擦だけがマグマ生成の原因では無いようですが、マントル固体論に拘るために難解な説明が行われて居ます。http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/kazan-03.htm

(注-2)セミナー[1291]で解説したように、P波の一部は地球内部を通過して、180度〜142度の裏側へ伝播します。しかし、それ以外のP波は地球内部ではなく、二層構造の地殻内部を伝播しているはずです。

教科書に書いてあること以外信じられないという方はセミナー[1290]も参考にしてください。

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1314
2007-09-12 (Wed)
地震波の伝播経路模式図
[1313]では、「固体でなければ地震波は彼(グーテンベルグ)が仮定したような伝播経路を取ることは(BC間を除いて)ありません。」と書きましたが、ではどのような伝播経路を通るのかを模式図で示して見たいと思います。

左の図は地殻の厚さが100kmと仮定し、地殻最下端部のP波の伝播速度を8km/s、マントル最上部でのP波の伝播速度を3km/sとして計算した屈折関係図です。震源はごく浅い場所と仮定します。右の図は地震波の記録中に示す@〜Bの意味を示す図です。
P波が最大の入射角90度で進入すると、中心角度λは10.2度、屈折角度θrは19.5度となります。90-19.5=70.5度の角度には、地震波は進入できません。したがってグーテンベルグが仮定したような伝播経路をとることはありません。
地球内部へ侵入した波は地球内部で伝播速度が増大するものと思いますが、現状では明確には分かりません。しかし、やがて「固液複合系の力学物性」というような研究が進めば明らかになってくるものと期待しています。
模式的には黒矢印で示すような範囲内をP波は進行していると思います。それ以外のP波及びS波は赤矢印で示すような伝播経路とるものと考えられます。なお、地球内部から地殻に達した点A’ではPKSに類似するようなS波が生まれる可能性がありますし、B点では別のP波が地球内部に進入する可能性があります。もちろん、地殻内部でも(少なくとも二層以上で)伝播速度の違いによる屈折現象がおきています。

このような経路で伝播する場合に、定説地震学で観測値とされているような走時表となるのかどうか分かりませんが、繰り返し述べているように、観測値を読み取る場合の判定に恣意的な操作があるのではないかという疑いを持っています。

下の図は「New PSN Earthquake Data Files」というアメリカ各地で観測された地震波形の資料から、近地地震(A)と12日発生のインドネシア地震(遠地地震B,C,D)を示したものです。(http://psn.quake.net/cgi-dos/event.exe 参照)

近地地震の場合はP波とS波の到達時間が、走時表から得られるものと一致しているように思えますが、遠地のスマトラから伝播した地震波は走時表から得られるもの(下部に矢印で示されている)と一致するのかどうかよくわかりません。中心角度が130度〜150度という遠地からの地震であるために、P波は外核で屈折して届かないこと、最初に届く波はPPとかPKPという波であること、S波が届くまでに種々の波が届くことなどを意味しているのだと思いますが、S波の到達時刻を波形からどうやって見積もるのか、PPとかPKPとかPPPという波をどうやって判別するのか良く理解できません。走時表の助けを借りても判別は難しいように思います。

「New PSN Earthquake Data Files」に収録してあるその他の波形を見ても、理論走時を満たすようなデータが得られるのかどうか、疑問です。どこかに大きな錯誤があるような気がしてなりません。

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1315
2007-09-16 (Sun)
地震波の伝播に関する新しい考え方
[1314]に示した、地震波形(B〜D)は、距離(中心角度)が130度〜150度という遠地からの地震であるために、P波は外核で屈折して届かないこと、最初に届く波はPPとかPKPという波であること、などを示しているという解釈が定説の解釈だと思います。しかし、定説が正しいとすると、103度以内の地震波であれば、P波もS波も計算値と一致しなければなりません。ところがpsn.quake.net - /quakes/の地震記録を調べてみますと、下に示すように計算値と一致しないデータがたくさんあります。

「陰の領域」といわれる103度〜142度の間でP波が遅れるのは分かりますが、103度までの間でこれほど一致しないというのは理解ができません。
これは、地震波がグーテンベルグの仮定したような地球内部に侵入して『固体マントル』内を伝播するのではないことを意味しているのではないでしょうか。走時表の中の103度までの範囲に示されているP波S波は単なる仮定の上の波であって、実際には存在していないのではないかと思います。
記録に現れる103度以内の波の実体は地殻内部を伝播している波ではないのだろうかと言う気がいたします。
実測値として表示されているデータはこうした波の中から理論に合うものだけを恣意的に選択しているという可能性は無いのでしょうか。
少なくとも2層以上の密度差のある成層構造の地殻内部を伝播する波([1314]で赤い矢印の波)が存在するはずですが、その波は定説ではどのように扱われているのか、走時表にはなぜ現れないのか、などについて定説に詳しい方のご教示をお願いしたいと思います。

また、遠地地震の場合の「地震波の陰」が出来る解釈も、地球内部の外郭で屈折されるからP波が届かないという解釈になっていますが、地殻と液体マントル間で屈折が生じるために、届かなくなるという解釈も可能であるように思います。したがってライブラリー39で述べた減衰説は撤回します。

下図は[1314]の遠地地震に該当する9月12日に発生したスマトラ地震の波形記録を震央距離の順に並べて表示したもので、NSGSのサイトに載っているものに加筆したものです。

たとえば図中のL1およびL2という地震波は[1314]に示したA点(までの間)で地球内部に潜り込み、A’点で地殻にたどり着くP波とそこから発生するS波を意味しているのかもしれません。またL3という波はB点(までの間)で地球内部に進入したP波が浮上したものであるという解釈が可能なように思います。
いずれにしても、マントル内部のP波の伝播速度がわからないと、具体的な計算は不可能です。今後の研究成果を待ちたいと思います。

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1316
2007-09-17 (Mon)
科学を志す人々に求められる姿勢
昨日のテレビ「近未来予測」という番組で、温暖化対策の一環として計画されているCO2地下封じ込めプロジェクトの話題が放映されていました。危惧してきたとおり、封じ込めの危険性はまったく認識されていないようでした。
ノルウェーでもカナダでも、アルジェリアでも既に稼動している世界的に認められた実用技術であるという肯定的な姿勢で番組がつくられていました。
しかし、これは[1285]でも指摘したように、「地震爆発論」から言えば危険な計画であります。地震学が間違っているために、その危険性が認識されておりません。マグマが地下の浅い部分に毛細血管のように流れている日本のような火山帯に位置する場所と、そうでないノルウェー、カナダ、アルジェリアとでは、危険性がまったく異なります。

地震学は難攻不落の堅城のように理論構成が出来上がっていて、間違いを指摘することは大変な困難を感じますが、間違いの出発点は地震波の伝播経路をマントル内部にあるとしたグーテンベルグの仮定にあると思います。
しかし、その仮定の吟味をする際にその仮定どうりに地震波が伝播していないことを何故見逃してしまったのでしょうか。
地球内部のマントルを伝播する地震波は一部分だけであって、仮定のように伝播している波が存在しない、という可能性があります。
地震学のみならず、[1312]で解説したように大陸移動、プレートテクトニクスなど地球科学の多くの分野で、信奉する学説を証明することに熱心な余り、恣意的にデータを扱うという悪い習慣があるように思えてなりません。実用科学である工学の世界ではすぐに結果が出て間違いが分かってしまうので、早く理論修正がなされますが、地球科学の世界では修正されるまでの期間が長いように思います。
そうした変化の少ない世界に住むと、

「「石田理論」とは、超越論的な視点を必要としない工学的な思考を、時間的なスパンも空間的な広がりも大きな、つまり必然的に超越論的な視点を要求する地球科学的なモデルにあてはめようとした結果、生まれた悲劇(喜劇?)だといえるでしょう。また、ここから類推すれば、工学的な思考が人文的な知に安直に適用された際、石田理論と同様のことが生じる可能性も考えられます。」

というような、オメデタイ地球科学礼賛者も作ってしまうようです。(地震爆発説否定的意見より)
石本博士の「科学を志す人々へ」を熟読玩味していただきたいと思います。

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1317
2007-09-19 (Wed)
地震波の伝播に関する新しい考え方(2)
[1315]に紹介した8ケースは何れも震源が浅い場合の地震波形でありますが、どの場合もP 波とS波の到達時刻が定説の理論値とは一致していません。したがって、走時表の正当性が疑われるところであります。
一方で、以下に示す図は(条件を同じにして考察するために)震央距離が何れも14度〜18度のケースであり、A図を除いて理論値と良く一致しているように見えます。なぜこのように定説の理論値と合う場合と合わない場合があるのか、当初は不思議でした。

しかし、良く検討してみると、Aは浅い地震(10km)であり、B〜Dはいずれも深い地震であることが分かり、そのことが原因で一見して定説のような理論値になっていることが推定できます。
つまり深発地震とは、地殻の下部の液体マントル内部で水素ガスの爆発が起こっていると考えると(石田理論)、爆発(地震)で発生するのはP波だけであり、このP波が地殻の最下端に衝突してS波が発生することが推定できます。
すなわち、図中のP波は液体マントル内で発生し、マントル中と地殻中とを共にP波として伝播する波ですが、図にあるS波の場合は液体マントル中をP波の伝播速度(S波の速度に近いはず)として伝播し、地殻に進入し、誕生してからはS波の伝播速度で伝播する波ですから、全体としてS波の伝播速度に近い速度で伝播しています。このことが、P波もS波も定説による理論値と非常に近い到達時刻になっている原因だと思われます。しかし、定説で解釈されているようにマントル中をS波として伝播するわけではないと思います。

深発地震の地震波形が非常に単純で、浅発地震のようにS波の後から表面波などが続かないことなど、液体マントル内での爆発であるとすれば納得できる現象だと思います。
[1275] でも解説しました「深発地震における異常震域」の問題も、液体マントル中で発生したP波が地殻下部にある高速度伝播地帯(地殻第二層)を通過して関東方面に速くかつ強く伝播するという現象であると考えると「異常」という言葉を使用しなくても明瞭に納得できると思います。
なお、震源が海域の場合には、地殻の厚さが薄いために、浅発地震に分類されるケースでも、C〜D図のような地震波形になる場合があります。

何回も述べますが、グーテンベルグが「数値積分計算」のために仮定した、マントル固体論は訂正すべきであると思います。たとえ地震学の革命になってしまおうとも、間違いは撤回すべきであります。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1318
2007-09-20 (Thu)
深発地震動の繰り返し現象
地震波の伝播に関する研究は定説の走時表を基にして多くの研究がなされてきましたので、[1315]に示す程度の疑問の提起ではなかなか「マントル熔融論」を納得していただけないようです。
また、深発地震の波形は非常にシンプルで到達時刻などの読み取りが明瞭に行えるようで、読み取り間違いなどは無さそうですが、それでもやはり[1317]程度の説明では納得していただけないようです。
検索してみましたら、東京大学で深発地震に関して興味深い研究がなされていました。
[1317]に示す中央距離(約14度)より短い11度前後の記録を解析して、詳細な分析がなされています。次に示すような水平方向に揺れるS波の記録が元になっています。

東京大学川勝研究室「ScS反射法地震学」より)

図中のScS とsScSの意味は右図に示すように、地球内部の核で反射して戻ってくるS波と一旦地球表面へ向かって伝播し、そこで反射して再度核でも反射してきたS波という意味だそうです。何れも、マントル中をS波として伝播するという解釈です。
ScS とsScSが何度も繰り返して到達していることは確かですから、地球内部には密度が大きく変化する領域があることは確かのようです。しかしそれはマントルが熔融していてもありえる話ですから、熔融マントルの密度が大きく変化して、P波を反射させる層があるのだと思います。

さて、マントルが熔融していればS波は伝播できませんから、どのように上記の波形記録を説明するのかが問われます。
私は[1317]で説明したように、ScSというのはP波の震動であり、sScSとは、そのP波が地殻に進入して誕生するS波のことだと思います。
ScS とsScSの組み合わせが5回ほど到達していますが、これも最初のScSnという波は P波として地殻と密度変化層(コアと呼んでもいいのかもしれませんが外核ではありません)との間を反射している波であると解釈しています。その反射P波が地殻に衝突するたびにS波を誕生させているのがsScSnと書かれている波であると思います。

結論にあります
「660km不連続面の深さは、沈み込んだスラブがマントル遷移層に停滞していると考えられている領域で最も深く、隣接する領域よりも10km程度深い」
という記述は理解ができません。

「地震爆発説」では地震の発生原因として「プレートが沈み込む」という現象を想定しておりませんし、そのようなことが起こっているとは信じられません。
地震は地殻内部での浅発地震でも、熔融マントル内での深発地震でも、熱解離によって発生する水素ガスが貯留され、それが爆発を起こしている現象であると考えております。

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1319-1
2007-09-22 (Sat)

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1319
2007-09-22 (Sat)
地球トモグラフィーには矛盾がある
下図は東京大学川勝研究室のサイトに載っていた、地球トモグラフィーに関する書籍の案内と、その前提になっているP波の地球内部伝播経路の仮定図に加筆したものです。

(川勝研究室サイトと「最新地震論」学研より)

地球トモグラフィーは地震波が右図のような伝播経路を取るとすれば成立する話ですが、そうでなければ成立しません。
何度も言及している伝播経路に関するグーテンベルグの仮定が正しければと言うことです。前提条件が満たされなかったら解説図にあるような話はすべて信用できないことになります。
右図のような単純化された伝播経路を仮定することは数値計算の手法としては計算が大変容易になりますが、現実の伝播経路はそのような単純化されたものではありません。
[1314][1318]などに解説したように、地殻内部で発生した地震では、地球内部を通るP波はほんの一部であり、他は地殻内部を伝播する可能性があります。地殻の下部の溶融マントル内で起こる地震でも、図のような単純化された伝播経路ではないはずです。

地震波の伝播経路を見直して、再検討をしなければ地球内部の話は混乱を増すばかりだと思います。

1320
2007-09-23 (Sun)
浅発地震と深発地震との明瞭な波形の違い
[1315]で紹介した浅発地震と、[1317]で紹介した深発地震とでは地震波形に明瞭な違いがあります。
浅い地震の場合には直達するP波とS波が存在しない場合がありますが、深発地震では必ず直達するP波とS波が存在します。グーテンベルグが仮定した伝播経路を地震波が通るとすれば、深さによってこのような違いは起こらないはずです。浅くても深くても基本的に同じような波形になるはずであります。

つまり、これは100km前後と推定される地殻(場所によって厚さに違いがありますが)の内部とその下のマントル内では伝播速度に大きな違いがあること、すなわち固体と液体(熔融マントル)の違いがあるということを意味していると解釈した方が妥当だと思います。

因みに、深発地震を遠地地震として検出すると、地震波形がどのようになるのかを調べてみました。深さ185.1kmというトンガ海域で起こった深発地震を40度〜152度の間で記録したものであります。震央距離の順にA図〜F図まで並べてみました。

A図〜E図までには直達するP波が観測されています。F図の152度という遠隔地で初めて[1314]に示した浅発地震(スマトラ地震)のようなP波の到達時間の遅れが現れます。
この場合の遅れは浅発地震が遅れる原因([1314]で考察した地殻と熔融マントル間での屈折)とは違う原因であるように思われます。つまり、地球内部にP波の伝播速度が大きく変化する層が存在して、そこでの屈折現象が原因で遅れるのではないかと推定されます。

いずれにしても、浅い地震では直達するP波が観測されないのに、深発地震では明瞭に現れること、そしてこのように遠方にまでP波が届くと言うことは、地震波の伝播経路が地殻とマントル間に於ける屈折現象が主な原因([1314][1317][1318]参照)となって、定説とは大きく違うことを意味していると思います。

マントルが熔融していると考えなければ、このような浅い地震と深い地震における地震波形の明瞭な相違は説明がつかないと思います。

定説地震学で採用されている地震波の走時表というのは、仮定の上で想像した波に関するものであり、実測値で証明されているというのは誤解であると思います。
また、走時表の実測値というのは少なくともPとSに関しては深発地震のデータを中心に選定するという無意識かもしれませんが結果的には「恣意的」な選定作業があるのではないかと言う気がいたします。

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1321
2007-09-25 (Tue)
地震は爆発現象である
「財界にいがた」10月号に下記の記事が載るそうです。

― 2つの震源の中間地点で、1万トンの高圧CO2が
地中深くに注入されていた! ―
マスコミが報じない中越連続大地震“人災説”の根拠

取材を受けてはおりませんので、内容に「地震爆発説」が出てくるのかどうかはわかりませんが、地震学者では説明のできない内容を雑誌が取り上げるのは初めてのことではないでしょうか。
地震学が方向転換するきっかけになって欲しいと期待しております。

また10月からは緊急地震速報がスタートしますが、その説明に出てくる「揺れは小さいが、スピードが速いP波、スピードは遅いが揺れが大きいS波」という地震波の解説と紹介してきた地震波形(深発地震のP波とS波など)がどうもイメージが一致しないと言う声があります。<br>緊急地震速報の解説では次のようになっております。
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緊急地震速報とは?
2種類の「地震波」の時間差を利用
地震が発生すると、2つの「地震波」が発生します。1つは「P波(初期微動)」、もう1つは「S波(主要動)」です。
P波
 揺れは小さいが、スピードの速い地震波。最初に小刻みにカタカタと揺れる。
S波
 スピードは遅いが、揺れの大きい地震波。大きくユラユラと揺れる。
 震源から離れていれば離れているほど、P波とS波の到達には時間差が生じます。緊急地震速報では、このP波とS波の時間差を利用します。地震計でP波の揺れを検出し、S波の規模や到達時間を推定。揺れの大きなS波が来る前に、揺れを予告することができるのです。
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たしかに、[1320]に紹介したB、C、D図に現れるP波やS波からはP波が初期微動というイメージはありませんし、上の解説とは一致しません。
神戸の地震ではテレビ局の職員がベッドの上で飛び跳ねるような衝撃を受けていた画面がありましたが、其の時の波動を連想させるような波形であります。
セミナー[1248]などでも紹介したように、中越地震では畑の大根がピョンピョンと白兎のように地中から抜け出て飛び跳ねた・・・という話がありますが、神戸でも中越でも980ガルを超える衝撃的P波が働いたからです。

こうした現象からも分かるのですが、原発の装置に980ガルを超える予想外の衝撃波が働いたというのは地震が爆発現象であるからです。
P波が爆発によって生じる衝撃的な縦波であること、しかし爆発点から離れると急激に減衰すること、その縦波が伝播速度が速いために初期微動として遠方にまで伝播していることを意味しています。

初期微動も波形の振幅を拡大してみると衝撃波のような形状をしているのかも知れませんが、少なくとも深発地震の波形が衝撃波のような形状をしているのは、地震が爆発であることを示していると思います。

また、岩脈などで複雑に構成されている地殻内部の爆発(浅発地震)と違い、深発地震は熔融マントル内での爆発ですから、P波しか発生しないこと、岩脈などによる吸収や変形作用がないことなどが、地震波が爆発時の波形を維持したまま伝播している理由だと推定されます。

「緊急地震速報」で利用される初期微動は浅い地震の場合ですから、複雑な岩脈の中で衝撃波が吸収されたり、反射・屈折したりして、最初の衝撃波的波形から変形していくことが「微動」になる一番大きな理由であると思います。

いずれにしても、深発地震の波形は「地震は爆発現象である」という説を証明しているのではないでしょうか。

なお、縦揺れと横揺れという現象と縦波、横波とは直接の関係はありません。縦波という衝撃波が水平方向に作用すれば横揺れが激しくなりますし、垂直方向に作用すれば、「底から突き上げられた」とか「ストンと落ち込むような感じ」という変動を受けることになります。
セミナー[803]など参照)

1322
2007-09-26 (Wed)
現代地震学には根本的な間違いがある
「財界にいがた」10月号が発行されたようです。まだ入手しておりませんが、入手された方の報告によればこのセミナー([1251]以降数回)でも紹介してきた山本寛氏の「巨大地震は水素核融合で起きる」からの引用もあるそうです。
山本氏の主張も地震爆発論でありますから、これを機会に定説地震学が大きく進路変更することを期待しておりますが、一点気になることがあります。

それは山本氏の主張はプレートテクトニクス論に立脚して論旨が構成されていることです。氏の著書p150には次のようにあります

「著者は「海洋プレート」が「大陸プレート」の下に潜り込むという「プレートテクトニクス」の考えを否定するものではない。著者が否定するのは、このときに、「歪エネルギーが蓄積され、それが急激に開放されて地震となる」という部分である。」

と述べておられます。
つまり、地震が起きるのは、潜り込むプレートによって「水」を含んだ地殻が地球内部に引き込まれ、其の水がマントル中の「珪素」や「アルミニュウム」「鉄」などの金属と触れて「原子状」の「水素」が発生し、これが核融合を起こしているというものです。
水素の核融合という新しい観点ですが、定説プレートテクトニクス理論との折衷案のような形であることが、熱解離によって発生する水素ガスの爆発という私の考え方とは違っています。
私はプレートテクトニクスそのものが間違っていると考えておりますから、これを捨てないと地震学の発展はないという立場です。したがって山本氏の説がプレート論の延命に繋がるようなら、地震学の「創造的破壊」が遠のいてしまうのではないかと気になるわけです。

このセミナーを最近読み始めた方にとっては、膨大な記事を読むのは大変なことですし、主張する内容も少しづつ変化してきている部分がありますので、石田理論としての「地震爆発説」の内容を簡単にまとめておきました。

活断層地震説の否定:地震は断層が動いて起こるのではありません。石本巳四雄博士が考えられたマグマの爆発的な貫入現象を伴う水素ガスの爆発現象です。断層は地震の結果として発生するものですが、小さな規模の地震(爆発)では発生することはありません。断層とは巨大な爆発によって生じる傷痕に過ぎません。原発サイトで断層調査に見落としがあったというのは見当違いだと思います。地震の前には本当に存在しなかった可能性があると思います。

マグマ爆発説を石本博士が出された昭和の初期には爆発的反応の原因が分からなかっただけです。熱解離によって発生する水素ガスが爆発の原因であるとすれば、博士の考えられた「押し引き分布」とか「押し円錐理論」というものは、地震現象を大変分かりやすく説明できる立派な理論であります。
震源におけるダブルカップリングなどという理論よりもよほど物理的イメージがすっきりとする考え方であります。

地球トモグラフィーの否定:コンピューターの発達とともに、地震波の伝播時間を利用して、人体と同様に地球内部を健康診断のように調べようとする地球トモグラフィーという計算手段が大きな研究手法になってきています。

しかし、この方法は地震波の伝播する経路を前提として仮定しなければなりません。解説してきたようにこの仮定が大きく違っていますので、いくら精密な計算を行ったところで、結果はまったく信用できないものになっています。

トモグラフィーの前提にあるのは「マントル固体論」ですが、マントルは熔融しています。マントルを構成している熔融物質が地球表面から噴出している場所が火山地帯です。地球は冷却の過程にあって、表面が冷却して地殻になっていますが、内部はマグマオーシャンのはずです。
レオロジーという「固体であるが、対流もする」という考え方は成立しないと思います。
マントルを構成する岩石は高温下では水を含むと簡単に溶融してしまうことが分かっています。プレート間の摩擦で発生する高熱でマントルが熔融し、これが火山から噴出するマグマになるというのは有り得ない話です。

海溝型巨大地震の原因説の否定:海溝で発生する巨大地震の原因がプレートテクトニクス理論によって導かれるプレートの圧縮歪みであるという説明になっていますが、これも正しいものではありません。プレートテクトニクス理論はセミナーで解説してきたようにいたるところで破綻しております。
プレートテクトニクスと密接な関係にある大陸移動という考え方も、解説してきましたように、岩石に記録されている残留地磁気データの扱いに問題があります。アフリカと南米大陸の関係、紅海の両岸などのように大陸が分裂し移動したケースは地球上の何箇所かで見られますが、激変的な現象として分裂・移動したことはあっても、「斉一的」に移動しているわけではありません。

以上簡単にまとめておきましたが、詳細は時間をかけて過去ログを読んでいただければありがたいです。

1323
2007-09-27 (Thu)
「財界にいがた」を読んで
本日「財界にいがた」10月号を入手しました。一読して祝二郎氏のブログにありますように、目新しさを感じさせるものは何もありませんでした。残念だったのは、山本氏とは幾度も情報の交換をしておりますので、書籍出版前から出版の紹介などもさせていただいてきましたが、熱解離によって発生する解離ガスが爆鳴気として爆発(爆縮)するという石田仮説について何も言及されていないことでした。
石田仮説への言及がないことに関しては、以前から押し引き分布等の地震現象に関して意見交換をしておりましたので4月の書籍出版の段階でも奇異に感じておりました。

また、プロジェクト担当者への一問一答についても、2005年3月時点での小生のプロジェクト担当者とのやり取りが情報として伝えられていたら、このような内容の無い質問がなされることは無かったのではないかと残念に思いました。
裁判が起これば、地震学者が無関係という鑑定結果を出してくれるでしょうから、核心は小生が最後にメールした以下の点にあるはずです

「未知科学に関しては全員素人ですから、「その時点では学者にも分らなかった」 となるでしょう、しかし学者の審議によって法的責任は免れたとしても、道義的責任が残る可能性はある。」

という点の確認です。したがって、「CO2が漏れ出すことはないのか」とか「選定地のミスではないのか」といったあまり意味の無い質問ばかりが発せられたのは残念に思います。
記事の中では、「地震爆発説」は山本仮説しかないような書き方になっております。

「山本寛氏は小誌の取材に対して以下のように語っている。・・今回の中越沖地震の発生により、図らずも仮説の説得力が増した印象です。」 「山本氏の仮説はもはや、誰も無視できない情勢になった。」

という文章がありますが、山本仮説は地震学者から多分以下のような点で反撃を受けると予想されます。「財界にいがた」の読者が其の反撃を聞いて「地震爆発説」から離れてしまわれることが心配ですので、コメントを書いておきます。

山本仮説ではプレートの潜り込み時に水が連行されること、或いはCO2圧入時に水が追いやられて、金属に触れ、原子状の水素ガスが発生し、これが爆発すると考えておられます。
しかし単純に水素の爆発(Explosion)では震源で引き領域が発生することが説明できません。
水素と酸素の混合ガスだから爆発しても体積が減少し、押し領域と引き領域が発生するというのが石田仮説です。山本氏の書籍にある6章の図8(下に示す左図)では石本先生の押し円錐理論の図が描かれて、「垂直方向の爆発力が円錐状に伝達され、その反作用でまわりが引き込まれる。」と解説されています。


しかし、反作用として爆発力に匹敵するような収縮力が発生するとは思えません。
つまり、地震学で確認されているダブルカップリングという震源における力学現象から言っても、単純な水素ガスの爆発現象というのでは、地震学者から反撃を受けると思うわけです。
右図は石田仮説における直下型地震の模式図であります。図中に示した化学反応式にしたがって、爆縮が生じているのではないかという仮説です。
何らかの収縮原因がなければダブルカップリングという二つの偶力関係は生まれないと思います。石田仮説ではそれが図中にも示してあるような次の化学反応式であろうとしております。

この点に関しては何度も意見交換しておりますので、掌握されておられるとは思いますが、書籍中にも、取材の中にも言及がありませんでしたので、コメントしておきます。

今回の記事で一番重要な点は山本氏が取材に答えておられるように、
「C02地中貯留と2004年中越地震、2007年中越沖地震の因果関係の研究は、地震のメカニズム解明に大きな寄与をもたらすものと期待されるので、より多くの地震研究者がこの課題に取り組むことを期待しています。」
という点であることは確かですので、今後地震学が方向転換する機会になって欲しいと願っております。

1324
2007-09-29 (Sat)
「山本仮説」の検討
「財界にいがた」の記事を読まれた読者は「地震爆発説」は山本仮説しか存在しないという誤解を持たれるおそれがあります。山本仮説が論破された時に「地震爆発説」が消えて、「定説地震学」が生き延びるのは困りますので、山本氏の主張をもう少し公平に見ておきたいと思います。ただし核融合に関する知識は持ち合わせておりませんので、それ以外の地震学関連の話題についてだけであります。

山本氏が先日(9月15日)ある集会で講演されたレジュメがあります。
http://dokuritsutou.heteml.jp/newversion2/image2/koenkai/junsui_subaku.pdf

この中で興味深いのは、断層が地震の後からゆっくりと出来たという証拠写真です。

地震直後には2インチしかなかった断層のズレが次第に大きくなって12日後に5インチになったという証拠写真が紹介されています。
これは明らかに断層地震説を否定するものです。日本でもライブラリー6に紹介したように、濃尾地震の断層が地震の後からゆっくりと形成されたという農夫の証言があります。
また、ニューオフィス27にありますように関東大地震の時には三浦半島の三崎で地震と同時に7.5mも隆起し、その状況が三日程続いてから、逆に沈降を始め、一日にニ尺づつ沈下して、地震が発生してから20日後には1.4mになったという記録があります。断層が動くことが地震ならば、このようなことは起こらないはずであります。

次に、山本仮説ではプレートが潜り込む時に水が連行され、この水とプレート内の鉄やアルミなどの金属が反応して原子水素が発生することになっています。そうだとすればプレートが潜り込んでいない内陸部での地震発生を説明することが出来ませんし、繰り返し起こる余震の説明も出来ないと思います。金属がそのように豊富に存在するとは思えないからです。

余震が起きるのは解離した酸素と水素の混合ガス(「石田仮説」では解離水と命名しています)が地震という爆発によって再び水(同じく結合水と命名しています)に戻ること、したがって解離のバランスが安定するまでは余震が止まることがないとする「石田仮説」の方に説得力があるのではないでしょうか。

レジュメにある最後の図面の中で、次の地震は長岡市北部であると明記されていますが、その根拠がどこにあるのか、よくわかりません。少なくとも、「石田仮説」からは引き出せません。

以上、「山本仮説」が地震学者から否定された時に、全ての「地震爆発論」までは否定されることの無いようにコメントをしておきました。

1325-1
2007-10-06 (Sat)

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

1325
2007-10-06 (Sat)
定説地震学の大きな間違い・誤認
ANSビデオ10に「地震学の基礎にある大きな間違い」を追加しました。

浅発地震と深発地震の地震波の記録が大きく異なる原因に関しては2chで論陣を張る定説地震学信奉者にも説明がつかないようですが、これはマントルが固体であると仮定している定説地震学の大きな間違い・誤認であると思います。地震波の全エネルギーがグーテンベルグの仮定したような伝播経路を伝播するのではないということを示す明らかな証拠であると思います。これは地震学の根底を揺るがす大変に重要な問題ですので、あえてもう一度最新のデータを基にして説明をいたします。

下図に示す左側のものは先日(2007/10/5)起きたフィジー諸島南の海域で起きた深発地震(深度507km)を震央距離の順に並べた地震波の統合記録です。下は距離89.8度に当たるワシントン州での一記録です。
直達するP波とS波は明瞭に記録されていて、後続する波動のない全体的に一定振幅のシンプルな波形であります。
これは深発地震が溶融マントルの内部で起きる地震であって、震源ではP波しか発生しないこと、記録中に見えるS波というのはP波が固体である地殻に衝突するためにP波の衝撃から誕生するものであるということを表わしているように思います。

そうではなくて、P波もS波も粘弾性体であるマントル中を伝播していると認めても、地震波のエネルギー(振幅)としては数パーセントが伝播しているのだろうと推定されます。また、震源でS波が発生しないことが、地殻内の地震のように大きな震動が継続しない理由だと思います。それが原因で深発地震は被害が出ないのであろうと推定できます。

一方右側の図はその5日前(2007/9/30)にマリアナ諸島の南海域で起こった浅発地震(深度10km)の統合記録とテキサス州で記録した地震波形であります。
先ず第一に、深発地震に比較すると大変複雑な波形が後続していることが分かりますが、定説が正しいとすればこのような現象は起こらないはずであります。直達するP波とS波は深発地震とよく似ています。粘弾性体であるマントル内部を伝播しているとしても、数パーセントのエネルギーであって、残る90%以上のエネルギーが地殻内部を伝播しているから、震動が長時間継続するのではないでしょうか。浅発地震という地殻内部での爆発現象では爆発と同時にP波もS波も誕生するために、エネルギーの一部をマントル内へ放出しますが、ほとんどのエネルギーは地殻内部で反射と屈折を複雑に繰り返して、長時間にわたって震動するのではないかと思われます。


http://earthquake.usgs.gov/eqcenter/recenteqsww/Quakes/quakes_all.phphttp://psn.quake.net/cgi-dos/event.exeより)


マントルが2900kmまで固体であるとすれば、浅い地震と、深い地震とでこのような明白な波形の相違は表れないはずです。溶融しているからこそ、地殻内部の爆発(浅発地震)と溶融マントル内部の爆発(深発地震)とで、波形の違いが見られるのだと思います。
マントルは溶融していると考えて立論しなければいけないと思います。また、「断層」が動くことが地震であるとする「地震断層説」を捨て、「地震爆発説」に沿って新しい展開をスタートさせなければいけないと思っております。

2007年10月31日 参議院・災害対策特別委員会で民主党風間直樹議員が中越連続地震について山本説を用いて質問
1326
2007-11-14 (Wed)
「かぐや」から見た「地球の出」
人間が月面上に立つことができても、月の地平線から地球が昇ったり、沈んだりする姿を見ることは出来ません。しかし、月を周回する軌道上にある衛星「かぐや」からは、興味深い光景が見えるようで、次のようなニュースがありました。

「宇宙航空研究開発機構(JAXA)および日本放送協会(NHK)は、平成19年10月18日(日本時間、以下同様)に高度約100kmの月周回観測軌道に投入した月周回衛星「かぐや(SELENE)」からハイビジョンカメラ(HDTV)による「地球の出」(注)の動画撮影に世界で初めて成功しました。」

(注):「地球の出」という表現を使っていますが、これは月周回衛星「かぐや(SELENE)」やアポロ有人宇宙船のように月のまわりを回る衛星で見られる現象です。月面上に立つ人間からは地球は絶えずほぼ同じ位置に見え、地球が地平線から昇ってくるような「地球の出」を見ることはできません。


(これは「地球の出」ではなく、「地球の入り」の写真です。)http://www.jaxa.jp/press/2007/11/20071113_kaguya_j.htmlより

http://space.jaxa.jp/movie/20071113_kaguya_movie02_j.html(動画版)

ところで、月が地平線付近にあるときに、異常に大きく見える現象をセミナー[1307][1308]などで光の屈折現象として説明しましたが、定説ではこの現象は目の錯覚ということになっております。
月や太陽が地平線上にあるときには比較する物体が目に入るために「錯覚」を起こして大きく見えるのである、ということになっています([1304]参照)。
それが本当ならば、「かぐや」から見る地球も月の地平線付近では大きく見えることになります。カメラでは錯覚が起こりえないから、発表された写真のように地球の大きさに変化が無いという解釈なのでしょうか。そして、カメラでなくて人間が衛星に乗っていれば、錯覚を起こすのでしょうか・・・。

しかし、地球上でも、地平線上の月が常に大きく見えるわけではなく、大地震の前など、特殊な条件(地表付近に蒸し暑い空気が漂って、二層構造になっている時)の下でのみ、大きく見えることから判断して、定説である「錯覚」説には矛盾があると思います。

なお、月には大気がほとんど存在しませんから、地球の姿が屈折によって大きく見えるというような現象は当然ですが、ありえない話です。

「地球の出」の話題から、月が大きく見える原因説が思い出されましたが、[1305]で紹介した友人からの反応が未だ無くて、証拠となるような写真の撮影に成功したという話が届きません。

「月や星或いは夕陽が異常に大きく見える時」・・・その全てが大地震の前兆というわけではありませんが、場合によっては大地震の前兆である可能性もありますので、写真撮影の成功を複雑な気持ちで待っております。

1327
2007-11-18 (Sun)
液状化現象の再現実験
人工地震を起こして液状化現象を再現したというニュースがありましたので紹介します。
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人工地震起こし液状化再現 空港耐震対策で実験


人工地震を起こし、再現された液状化=27日午前、北海道小樽市(西日本新聞より)

 実験用の滑走路で人工的な地震を起こし、耐震性や地震による液状化の影響を調べる実験を、国土交通省と独立行政法人港湾空港技術研究所(神奈川県横須賀市)が27日、北海道小樽市の石狩湾新港で実施した。

 大地震の際に空港が物資搬入の重要な拠点となるため、耐震対策として役立てる。石狩湾新港は埋め立て地で、液状化現象を再現しやすいため実験場所として選ばれた。

埋め立て地の約1・65ヘクタールの敷地に、コンクリート舗装した滑走路や飛行機の着陸を誘導する高さ16メートルの鉄塔などを建設。計約1・8トンの爆薬を、地中の約580カ所に碁盤の目のように埋め込んだ。

 午前11時に点火すると、約2分間続けざまに爆発。地響きが起き、所々で土煙が上がった。液状化対策として、水を固める薬剤を地中に注入。薬剤を入れなかった滑走路はわずかに沈下して水浸しとなったが、薬剤を注入した部分に目立つ変化はなかった。
2007年10月31日17時48分
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以上がその記事です。
これは「地震爆発説」の証明実験のようなものだと思うのですが、10月27日の祝二郎氏のブログにも次のような(笑)を付けて紹介してありました。
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地震爆発説みたいな実験(笑)
2tも爆薬使い実験。。。
オラオラ〜〜断層ずらせてみぃ〜(笑)
―――――――――――

確かに、当地震研究所に潤沢な研究費があれば、地震の原因は爆発であるという爆発説を証明するものとして、実施したいような実験であります。
仮想記事は以下のようになるでしょう・・・。

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仮想記事
地震爆発説を提起している石田地震科学研究所では地震の発生理由は活断層が動くことが原因ではなく、地下において何らかの爆発が起こっていると説明している。その確証を得るための実験として○○において総計2トンの爆薬を約2分間続けざまに爆発させる実験を試みた。
その結果確かに地震計には通常の地震波と類似した記録が描かれ、液状化現象の発生も見られた。石田所長は「これで、地震の原因は爆発であることが証明された、現に断層はどこにも現れていないのだから・・・・」と述べた。
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ところで、地震学者は地震爆発説を一顧だにすることなく否定しています。
その理由はセミナー[1201]にありますように、地震が爆発現象であるならば、地震によって地盤が最初に動く向き、いわゆる「初動」というものが、全て震源から離れるような「押し」になるはずで、押し引き分布という地震に特有の現象が発生するはずがない、ということだろうと思います。
また、震源においてダブルカップルといわれる二つの偶力が作用するような力学的構成になるはずが無い(爆発現象ならば)ということでしょう。
この点に関しては[1201]にQ4として解説してありますが、もう一度以下に掲示しておきます。

Q4 そして地震の原因が「地下の爆発」であるならば、ダブルカップルにはならずに、地表面で観測される地震動は 全て「押し」になると思うのですが。

 これに関してはこれまでにも随分と多くの方が疑問を寄せられました。爆発ならば押し引き分布は生じないはずで、押し領域のみになるはずであると・・・・
セミナー[327][641][798][814][815][1019][1115][1187]などをお読みいただければ、回答が書いてありますが、上述した内容でお分かりいただけるように、地震現象は爆発(Explosion)だけではなく、爆縮(Implosion)がほぼ同時に起こっているから、押し領域(Explosion)と引き領域(Implosion)の両方が現れるわけです。これが震源でダブルカップルになっている理由であり、核爆発の場合などとは異なる理由です。
1328
2007-11-21 (Wed)
岩脈の現地観察と貫入の原因考察
愛知県設楽町(大名倉)の採石場で比較的大きな岩脈(貫入岩)が見られましたので、撮影しました。


写真の白い部分ですが、掘削用の重機と比較すると岩脈がかなり厚いものであることが分かると思います。薄い部分もありますし、少しはなれたところでは違った色の岩脈もありました。
色が違うということから判断して、この辺りの岩脈は何回かにわたって貫入が起こったものと推定できます。右の写真は白い岩脈の部分とその左右の黒い部分の母岩の破片です。砕石業者は白い部分は固いけれども、雲母のように剥がれてしまうので、建設用骨材には適しないと話していました。

岩脈に関しては既に、ニューオフィス49「マグマ貫入理論から学ぶ」でも地震の発生原因説を裏付ける貴重な知見として石本博士のマグマ貫入理論を次のように解説しました。

「マグマを貫入させるエネルギーが何であるのかが分からなかっただけで、それを爆発という化学エネルギーと考えれば、地層を横断して別の岩石が貫入している岩脈という地質学的知見をも説明できる立派な内容を石本理論は持っております。」

また、平凡社の百科辞典によると岩脈はその貫入状態によって

(1) 複合岩脈:一つの岩脈が2種類以上の2種類以上の岩石からできているが、それぞれの岩石は前のものが冷却してしまわないうちに相次いで貫入したもの。
(2) 重複岩脈:複合岩脈と同じような型をしているが、それぞれの岩石は、前にものが冷却固化したあとで他の岩石が同じところに貫入してできたもの。複合岩脈では、まわりの母岩と接したところだけが急冷されて、細粒のいわゆる急冷周縁相をつくるが、重複岩脈では、互いに接しているところにも急冷周縁相ができるのでよく区別することができる。
(3) 環状岩脈と円錐形岩脈:(省略)
(4) 平行岩脈群と放射状岩脈群:(省略)
などに分類されると解説してありますが、なぜ岩脈ができるのか、貫入現象がどのようなメカニズムで起きるのかなど、その原因に関しては説明がありません。

「マグマ貫入理論から学ぶ」でも解説したように、私は地震の原因である「水素と酸素の混合ガスの爆発現象」によって、破壊された母岩の空隙にマグマが貫入したことが真相だと考えています。

地震の原因をプレートの跳ね上げ現象であるとか、活断層の滑りといった物理的な現象に帰して考えている限り、地震現象の真相追求は不可能であると思いますし、地震の予知などは出来ないでしょう。
1329
2007-11-27 (Tue)
インドネシアの地震に思う
この一週間にインドネシアで
大きな地震が頻発
しています。

(USGSデータを基に加工させていただきました。)
ニューギニアでも20と22日に起きていますし、本日(27日)はフィリピンでも起きました。
このように大きな地震が頻発する原因はプレートの潜り込みによる「ひずみの蓄積説」では到底説明できないと思われますが・・。
巨大津波を伴った2004年のスマトラ沖地震以来、この地域では毎年のように被害が出るような大きな地震が起きています。定説論者は地震の原因としてプレートの活動に拘っているようで、ウィキペディアにも次のような説明がありました。
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2004年12月26日の地震では、スマトラ島北西沖からアンダマン・ニコバル諸島にかけてのプレートの境界(ジャワ海溝)が1000km超にもわたる巨大な範囲でずれ、一気にマグニチュード9を超えるエネルギーが解放された。これにより周辺のユーラシアプレートにかかる力が大きく変わり、2005年3月28日の地震などを誘発していると考えられている(参照)。インドネシアで2004年以降地震が急増しているのは、このためではないかと見られている。
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ウィキペディアの執筆者は定説に従って書いています。定説では大地震の原因となる歪が蓄積されるのは年間数センチというプレート移動によるもので、したがって地震の周期が100〜200年ということですから、このように頻繁に起こるためにはプレートの移動が100倍以上のスピードになってしまうはずで、矛盾をきたしてしまいます。

この一帯で地震が多発しているのは以下のインドネシア通信にあるメラピ(ムラピ)火山の活発化に代表されるように、地下のマグマの活動が活発化していることが原因だと思います。
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2007年11月20日〜21日早朝、ムラピ山が久しぶりに熱雲と溶岩を放出。地 震回数も増加しているが、警戒ステータスは引き上げられていない。一方クルッ (Kelud)山では火口湖の9割が溶岩ドームに覆われ、あと少しで火口湖が消滅する。
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つまり、地震が起きる本当の理由はマグマの熱と地下圧力の変化によって発生する「水の解離現象」に起因するのであり、岩盤のひずみが蓄積・開放されて起きるのではありません。
早く「地震爆発説」を採用して研究を開始しないと、日本で大きな地震起こっても、予知に成功しないことは目に見えています。

水素濃度計の全国設置網を展開して、速く有効な地震予知体制を築いて欲しいと思います。
石田地震科学研究所としても、早く一台でいいから移動可能な水素検地器を所有して観測したいのですが、まだ実現していません。ご協力をいただければありがたく思います。
1330
2007-11-28 (Wed)
中越地震の原因に関する国会審議
参議院の災害特別委員会で新潟選出の民主党風間直樹議員が長岡でのCO2地下圧入と中越地震の因果関係に関して質問されました。
関連部分の議事録をニューオフィス60に掲載しておきましたが、このセミナーでもその抜粋を紹介して風間議員が拠り所としている山本仮説(水素の核融合説)の弱点を述べておきたいと思います。

なぜなら、やがて参考人として山本氏が国会で証言されることになるのかもしれませんが、氏の理論では、大臣政務官が
「ノルウェーだとかカナダとか、そういった国々ではもう既にやられておりまして、地震を誘発しているという情報は今のところないわけなんです。」
と回答している地下圧入の安全認識を覆すことが出来ないからです。そして、地下圧入プロジェクトが何の変更も無く継続されてしまう恐れもあるからです。地震爆発説には、山本仮説とは違う仮説があることを知っていただき、検討をお願いしたいからです。
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第168回国会 災害対策特別委員会 平成十九年十月三十一日(水曜日)
○風間直樹君
・当時(中越地震を)被災された多くの方が異口同音におっしゃいますが、普通の地震とはちょっと違う。といいますのは、地下から突き上げられるような強い衝動、これが中越地震で起きた、我々が感じた揺れでございまして、一般に地震といいますと横揺れをイメージするわけでございますが、正に震源地では地下からの強い突き上げを経験したわけでございます。
・今日、私がこの委員会で指摘をし質疑をさせていただきたいポイントは、実は私どもこれまで地震の原因というのは、いわゆるプレートが移動することによってもたらされる、そこから起きる、これが地震だというイメージを持っているんですが、どうもそれ以外にも地震の原因になる力学があるんではないかと。特に、実は新潟県内でここ数年間、経産省が補助金を出している財団法人が、CO2、二酸化炭素の地下への貯留実験というものを行っております。同時に、新潟県内に幅広く展開をしている帝国石油、この会社が地中への水の注入を二〇〇〇年ごろから行っております。この二つの行為が、もしかしたら中越地震あるいは中越沖地震を招いた原因になっている可能性があるのではないかという、このことについて今日は質疑をさせていただきたいと、このように思います。(略)
・ これはどういうことかといいますと、地中に水を注入し、そこで地中にあった鉄ないし鉱分と水が接触した結果、水素が発生すると。これは化学的な原理として当然なわけでありますが、この発生した水素が地中深くで滞留をすることによって水素原子が自身で核融合を起こして、それが地下爆発につながっているのではないかという、これが最近唱えられている新たな地震の理論(山本仮説)でございます。(略)
○政府参考人(伊藤元君)
・我が国及び世界が直面をしている喫緊の課題でございます地球温暖化対策という中で、CO2の排出量を削減するというのが当然第一の対応でございますが、それでは処理をできないCO2というものを安全に地中に隔離することによってこの地球温暖化問題に対応しようというものでございます。これにつきましては、いわゆるIPCCという世界の科学者が集結した会合があるわけでございますが、この場でも大変有望な地球温暖化対策ということで位置付けられておりまして、実施及び先行的な研究が欧米を始め各国で精力的に進められているというものでございます。
 今申しました二酸化炭素回収・貯留の二〇一五年ごろの本格適用を目指しまして、財団法人地球環境産業技術研究機構、RITE等を通じて二酸化炭素地中貯留技術研究開発事業を実施しております。その一環といたしまして、新潟県長岡市深沢町にあります南長岡ガス田岩野原基地におきまして、二酸化炭素を実際に地下約一千メートルの帯水層に注入する実証実験を行いました。
・先ほど先生から御指摘ございましたとおり、多くの地質学者は地震の原因というものがもっとはるかに深い地下で起こっておりますプレートの作用によって行われるというふうに認識されていると承知しております。
○国務大臣(泉信也君)
・先生の大変学問的な説を初めて実は伺った次第でございまして、お話を承る中で、因果関係がこういう現象面を通して必ずしも否定できないのかなと、そう率直に思いました。
 ただし、今これで、先生御自身も思っておられると思います、決め付けることはできない。こうした事態が二十キロ以内で発生をしておる、しかも注入時期と相関をしておると、こんな分析結果が国内そしてアメリカでもなされておるという事態は、これから注意深く見守って更に検討をする、研究をする必要があると、大変貴重な御指摘をいただいたと受け止めさせていただきました。
○大臣政務官(山本香苗君) 
・先ほど事務方の方からも御説明をさせていただきましたけれども、この地震発生のメカニズム等、いわゆる二酸化炭素の地中貯留との因果関係、今大臣からもお話ありましたけれども、直ちに確認するという手段はありませんけれど、海外におけるいわゆる年間百万トンベースで二酸化炭素の地中貯留事業が実施されているということも御存じであると思います。ノルウェーだとかカナダとか、そういった国々ではもう既にやられておりまして、地震を誘発しているという情報は今のところないわけなんです。
 いずれにせよ、今、この二酸化炭素回収・貯留技術というものは、先ほどの地球温暖化対策を推進するために欠くことができない技術であると思いますが、その実用化に向けましては、今御指摘をいただきました点も含めまして、いわゆる技術安全性をしっかり確保しなくちゃいけないと。
○風間直樹君 
今、泉大臣と山本政務官から御答弁いただいたとおり、まだこれは科学的に確認された説ではございません、仮説でございます。
 さらに、世界じゅうでこうした実験が行われているわけでありますが、すべての実験場所で地震が起きたということが報告されているわけではございませんでして
・そこで、経産省には、この財団法人が行っております実験の、まず実験について地震との因果関係の調査をしていただきたい、このことを要請いたします。そしてもう一つ、この因果関係の究明までの間、現在行われている、あるいはこれからまた再開されようとしている実験はいったん中止をしていただきたい、このことを要請したいと思いますが、お考えを伺います。
○政府参考人(伊藤元君)
・ それから、今の御質問の件につきましては、先ほども先生御指摘のとおり、地震の因果関係という点については、現在の地質学の大勢の議論としては、その因果関係ということについては十分な論拠がないというのが一つの大きな通説ではないかというふうに認識しておりますけれども、そうした全体的な地質学の動向等も踏まえながら、今後のその実証実験の進め方については検討をしていきたいというふうに考えております。
○風間直樹君 最後に委員長にお願い申し上げます。
 今日申し上げましたこの実験と因果関係の究明のために、参考人招致を要請いたします。
 地球環境産業技術研究機構の常勤理事、帝国石油のこの問題の担当副社長、そして静岡理工科大学非常勤講師の山本寛氏の参考人招致を求めます。
○委員長(一川保夫君) 後刻理事会で協議いたします。
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以上が議事録の抜粋です。
山本理論に関しては既に[1321]〜[1324]で紹介しましたが、地震の発生原因を説明する仮説としては次のような弱点があります。

@:水素ガスの核融合反応では、震源における押し引き分布・ダブルカップリングの説明が出来ない。
A:「プレートが潜り込むことによって運搬される水が金属と反応して原子水素を発生させる」という仮説では、プレートの潜り込みが無い内陸部分で「原子水素が発生する」というメカニズムが説明できない。

さらに言えば、国会の審議で大臣政務官が回答しておられる安全認識を打破することができません。

B:「ノルウェーやカナダなどで既に実用化されていて、地震など起こっていない。」のに、何故日本でだけ問題にするのか、という議論に論駁できない。

という弱点があります。
既に実用化されているノルウェー、カナダ、アルジェリアなどと日本では、日本が火山地帯にあるということが決定的に違います。
つまり水を熱解離させて水素と酸素の混合ガスを発生させる不安定な層が日本では浅い場所にあるのです。このことが危険を生むのであって、液化ガスの地下圧入は大変危険であるという認識を持つことが重要なことであるのです。
山本仮説では地下のマグマの存在位置が浅くても、深くても、危険度は同じということになってしまいます。それゆえに、たとえ世界で実用化されていても火山地帯にある日本ではこうしたプロジェクトは危険であるという認識が生まれません。
この辺の事情はANSビデオ4後編に述べておりますので、ご理解をお願いしたいと思います。

日本は火山帯に位置していて地殻が薄く、地震を発生させる解離層が浅い場所にある。

地殻とは液体マントルの上部にある固体部分を指し、定説とは定義が違う。マントルが固体であるという固定観念が間違っている。


CO2の地中圧入が実用化または計画されている場所は火山地帯ではない。

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