新・地震学セミナーからの学び | ||||||||||||||||||||
17 沈み込みとは流体力学の概念である | ||||||||||||||||||||
思い込みというのは信仰のようなものでそれを改宗するのは大変なことのようです。昔T教会に自主拉致(?)された学生を説得しようとしたことがありますが、無理でした。「プレート教」の沈み込み信念も相当に強固なもので、今では小学生時代から教科書で叩き込まれております。何とか社会全体を改宗させたいのですが、この十数年徒労に終わっております。 | ||||||||||||||||||||
公理のごとく信じられている海洋プレートの潜り込みの図 | ||||||||||||||||||||
冗談はこれくらいにしますが、まず公営放送局NHKの「地球大紀行」別巻[1]「地球を旅する」からの記事を紹介します。 プレートの沈み込みというのは、冷えて重くなった古い海洋プレートが自重でマントルの中に沈んでゆくことだから・・・・という文章の後にあるものです。 | ||||||||||||||||||||
プレートの誕生と死 プレートは冷たくて重いので沈むと書いたが、いったいプレートとは何なのか? 以上ですが、これが、海洋の寿命2億年説を生み出す基本教義です。沈むと言う言葉が頻繁に使用されていますが、自重で沈むという概念は、流体力学用語です。なぜ深さ2900kmまで固体であるというマントルの挙動に流体力学の概念が適用できるのでしょうか。たとえ極端に粘性の高い膠のようなもので、ゆっくりと沈む現象であっても、「その物体が排除した容積と同じ膠の重量(これが浮力となる)より重いものは、沈む」というのが原理です。軽ければ浮かぶのです。発泡スチロールの上にそれより重い石を置いても沈みません。浮力は作用していませんので浮いているとも言いません。また、固体であるプレートが固体であるマントルに沈み込んでマントル物質と同化するとはどういうことでしょうか。いったん溶解して同化し、再び固体に戻るということでしょうか、それでは矛盾しています。しかし、こういう議論をするとたいてい出てくるのが、レオロジーという言葉です。レオロジ−(粘弾性)とか、アセノスフェア(岩流圏)、あるいはリソスフェア(岩石圏)という新しい言葉を定義して分かったようなつもりになっていてはいけません。 |
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分かったような振りをしている記事を紹介します。今度はニュートン誌1991Vol.11No.1から「地球の内部はゆで卵のような3層の成層構造をしている」という記事からの抜粋です。 | ||||||||||||||||||||
地球の内部はやわらかいのか、かたいのか? 物質の変形は変形をおこす時間の長さによってようすがかわる。地球は、地震などの短い時間スケールの現象に対しては、ゴムまりのような弾性体としてふるまう。また一見したところかたい氷のようでも、氷河のように長い間にゆっくり流れるような現象も地球内部ではおこるらしい。このように時間スケールによって、物質のゴムまりのような変形と、氷河のような流動がいっしょにみられる姿を「レオロジー(粘弾性)」という。 |
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今の地震学ではモホロビッチ不連続面(モホ面)以下をマントルと呼び、固体であるとしています。マントルの上部をリソスフェア(地震伝播速度が速く、密度も高い)その下をアセノスフェア(伝播速度は遅い)と呼んで、ここは高温で、粘性が低いとしています。しかし粘性というのは流体力学用語であり、流体は地震波を伝えることはできません。 | ||||||||||||||||||||
これはニューオフィスOにも述べたように、プレート信仰から生まれる妖怪です。氷河が流れるのは、氷には圧力が加わると溶けると言う性質があって、岩盤との間に水が出来て潤滑油の働きをするからです。氷上スケートが楽しめるのもこの理由です。しかし岩石から構成される地殻にはそんな性質はありません。あるときは鋼のような弾性体、あるときは流動変形も辞さないがしかも剛性を保っている、そしてまた所々は溶解しているが全体としては地震波を十分に伝播する性質を持っている、というのでは本当に妖怪です。地震波(S波)を伝える条件である剛性は固体力学、粘性は流体力学の用語です。固体の挙動に「自重で沈む」という流体力学概念を持ち込むことは間違っています。動いているように見えるのは、繰り返しますが地殻の表皮の部分です。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ・マントル(二層構造の地殻の下部)が融していることについては「マントル熔融論の証明」(2009,10,09)を参照してください。 |
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