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2002/09/17(Tue) 20:45
ノリマン
プレート説は仮説の段階を脱却した? 
あるサイトに先生のHPを紹介しましたら、次のような厳しいコメントがありました。プレート説はVLBI技術によって、もはや仮説の段階から脱却したということです。

現象論としてのプレートテクトニクスは、理論で予め予測されていたプレートの相対運動がVLBIによる大陸間測地によって実証された事で、「仮説」から脱却しています。プレートテクトニクスはウソだと主張するならVLBIによる測地結果について別の解釈を示さなければなりませんが、その事には一言も振触れられていませんね。

というものです。先生はどのように解釈されますか。

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2002/09/17(Tue) 21:36
石田 昭
「プレート説の矛盾」
ノリマン様  確かに、人工衛星で計測すると、ハワイが年間数センチ日本に近づいているということで、それがプレートテクトニクス理論の重要な論拠になっているようですね。VLBIとはVery Long Baseline Interferometerの略ですが、その精度を疑っているわけではありません。解釈を問題にしているのです。

ライブラリーの28で星野先生が教えてくださった内容を、見て見ます。

中央海底山脈で湧き上がったプレートは、そこで特有の地磁気の性質を与えられ、この性質は、移動するプレートに伴って海底を動いていく、といわれていた。これはブレート説を支える重要な柱である。ところが、海底の岩盤を掘って調べてみると、上層の試料と下層の試料で、地磁気の性質がちがっている例が知られた。このことは、海底の岩石層は、一枚のプレートとして湧き出したものでないことを示している。

とあります。太平洋中央海嶺と日本の間に存在するハワイ諸島のような島嶼は、陸上部と地殻本体の部分とで、動きが違っている可能性があります。中央海嶺から吹き出した熔融マグマが、海底地殻の上を滑っているという見方ができるのです。島嶼はその滑っている部分に乗っている可能性があるのです。

その他にもプレートテクトニクス理論に疑問符がつくのが、海洋底に存在する物質に関するものです。これについても星野先生の文章から、抜粋します「プレート説の矛盾」と題する節です。「日経サイエンス」十ニ月号(一九九三)に、米国の科学普及雑誌の論文の翻訳がのっている。ブレート説王国の米国の普及雑誌にも、このような論文がのるようになったか、といささか感無量である。その内容は、世界のいたるところの海底に、インドのデカン高原のような玄武岩台地があるという。そして、ニューギニアの北東のオントンジャワ海台の広さは、オーストラリア大陸の三分の二に達する、と。プレート説によると、海洋底を構成する岩石はすべて、中央海底山脈で湧き上がり、横に移動しながら重くなり、海溝のところで地球内部に沈んでいく、とされている。したがつて、大洋底を貫いて、大量の異質の岩石が、海底に噴出することは、プレート説にもとることである。

というものです。プレート説を仮説から脱却したというのは、一部の信仰者のもので、信じていない研究者はライブラリーに紹介したように、たくさんあることも知っておいてください。その他にも疑問視される専門的知見はありますが、ここではこの程度にします。

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2002/09/19(Thu) 15:31
ノリマン
辻ツマの合わない世界 
あるサイトにて厳しいコメントを下さった方の姿勢に、石田先生が言われる「本当に分かるまでは、分かったと言わない姿勢」が薄いように感じましたので、お話を遠慮して、引き上げて来ました。また石田先生、星野先生にこれ以上の迷惑をお掛けしてはいけないとの判断もありました。すみませんでした。

その間に感じたことは、自分の頭で考えて、納得するという癖をもたないと、星野先生の言われるようなことになるだろうということです。つまり「 多分、これからはもっと沢山、プレート説では説明出来ないことが指摘されることであろう。そして、プレート論者は、それは、これこれこういうことである、というにちがいない。しかしその絵は、しだいに辻つまの合わないものになるであろう、と私は思っている。」ということです。そんな風に、科学の世界がなっていくのではないでしょうか。報告です。

 

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2002/09/19(Thu) 18:22
石田 昭
辻ツマの合わない世界・実例
ノリマン様 本当に分かろうとすると、辻ツマが合わないことはたくさん出てきます。「地震:地震学者と地質学者との対話」という書籍の中にあるのですが、対話セミナーの中で地質学者の井尻先生が、次のようにユーモアを交えて発言されています。少し長いですが、紹介します。

井尻 あまり幼稚な質間なので恥かしいのですが、三球・照代さんという人の漫才に、「地下鉄の電車はどこから入れたか」というのがありますが、そのクラスの質間です。

NHKは台風と地震が非常に好きなんですね一そこで、地震がおきてしばらくたちますと、放送の途中で「震源地はどこどこ」と放送します。「震源は仙台沖」というようなことで、×印をした地図がでます。いつも×印の「点」ででてくるんですね。僕はそれがわからないのです。ちょうど地下鉄の電車はどこから入れたかということと同じぐらいに・・。

すこしつけ加えますと、プレートが沈みこんだのなら、震源は恐らく「線か面」で書いてもらわないと具合が悪いのじゃないかと思うのです。それが必ず×印の「点」で出てくるのは、三球・照代さんに聞けばわかるのかも知れないけれども、どうもわからない、という幼稚な質間なのです。

今まで数人の地震の方に説明を聞いてみましたげれども、どうも納得がいかないので、この機会に教えていただきたいのです。

最近は、円の中にいくつか余震をプロットされて、これを震源域と言うのですが、そういうことはやはり間題があると思います。震源域と言った場合、プレートで説明しても同じ質問が繰り返されますが、断層で説明をされるなら、相当な数の断層を引かないとおさまりがつかなくなると思います。私たちが断層というと、かなりの距離を考えるのですが、そうでもない短い断層を、円の中で断層として説明することは、地上で断層を追跡した経験のある人だったら、まず不可能ではないかと思うのです。

これも教えていただいたのですが、古くは坪井先生かなんかが地震の歪みの起こる所は、マグニチュード8ぐらいで、直径が40Kmぐらいの球のようなものだ、というようなこともいっておられました。それから、最近去年(1978)の9月号の「科学」にどなたかがプレートの幅が50Kmで、長さが100Kmで、厚さが数Kmの板が動くのだ、これでもうほとんど説明がついた、地震の原因がわかった、というようなことを書いておられました。そうすると、プレートというのは、上から見て短冊か豆腐を並べたようなものにならないとプレートではなくなります。はたしてプレートというのはそういうものかどうかですね。

煎じつめると、私がNHKのテレビを見て、漫才のことを思い出すぐらい幼稚なのですが、なぜ震源というものが「点」で出て来るのか、それがわからないのです。プレートだったら特に「面か線」で出て来なくてはならない、と思うのですが。

「地震」 東海大学出版会 より

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2002/09/19(Thu) 23:25
ノリマン
「実用的地震予知法」の確立を 
井尻先生のお話は幼稚な質問どころか、本当に納得するまで分かったと言わない立派な姿勢ですよね。あるサイトで厳しいコメントを下さった方は、石田研究所のHPを紹介しても、「そこに書かれている事を一通り読んでみて、史実以外の解釈の部分は,ほぼ100%誤りだと断言できます。」と述べています。そのような定説擁護論者の方々には説明するよりも、「実用的地震予知法」を確立して、地震予知を成功させるしかないと思います。「大地震から身を護る法」に従って、予知を成功させては如何でしょうか、そのような計画はないのでしょうか。
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2002/09/20(Fri) 08:09
石田 昭
Re: 「実用的地震予知法」
ノリマン様 私は、一人一人がマヤの酋長のような存在になって、家族を、友人を護っていくのを理想にしています。よって石田研究所で地震予知を実施して警報を出そうとは、少なくとも今は考えていません。今は予知に必要な知識を提供しようとしているのです。

ただ、石田理論に興味を持つ人が増え、その方々の観測協力が得られれば、個人が予知・判断を行うために必要な「異常電磁波発生状況」をネット上で見ることが出来る「全国観測網」を構築したいとは思っています。

それを通して地震予知技術が確立すれば、現在の天気予報のようなものに発展するかもしれません。でも、そうなっても、天気予報よりも、ベテランの漁師、農夫のほうが正確であったりするように、経験知に優れた予知士が生まれるでしょう。

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2002/09/21(Sat) 07:17
ノリマン
自己矛盾を引き起こしているプレートテクトニクス 
T氏が私のところに「ほころび始めたプレートテクトニクス」という論文をメール送付してくれました。学研ムック  最新科学論シリーズの「科学理論はこうして崩壊する 科学の危機 1995 」というものです。新潟大学の卯田先生の論文です。

 そのなかに、「自己矛盾を引き起こしているプレートテクトニクス」という一節がありました。プレートは剛体のはずなのに、変形する、変形するけど、剛体である、という辻ツマが合わないという話です。定説擁護論者に言えば、それはこういう解釈であるという返答が来ることでしょう。

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2002/09/21(Sat) 17:09
石田 昭
科学にもマインドコントロールが 
T氏から新潟大学卯田先生の「ほころび始めてプレートテクトニクス」が私のところにも送られてきました。こんなにもほころびがあることが分かっているのか、とびっくりしました。ほんの一例を紹介します。

日本列島周辺をプレートテクトニクスの立場から見ると、太平洋プレートがフィリピン海プレートの下に沈み込み、フィリピン海プレートがアジアプレートに沈み込むという一種の三角関係にある。このうちフィリピン海プレートは、他の2つのプレートに比べて小さく、どこにも発散境界がない。すなわちプレートを生産する場所がなく、のみ込まれる一方だというのに存在するという奇妙なプレートである。

このことについて満足のいく説明はいまだにないにもかかわらず、フィリピン海プレートはさまざまな役割を負わされている。カリブプレートも、このフィリピン海プレートと同じような地位にある。<br> 逆に、南極プレートは周辺を発散境界のみで囲まれている。四方八方から生産されたプレートが押し寄せてくるというのに、なぜ余剰のプレートができないのだろうか。

どうでしょうか、それでも、プレートテクトニクスを信じられるでしょうか。信じているというのは、マインドコントロールなのではないか、卯田先生はリソスフェアという概念について次のように述べています。

前述したように、リソスフェアは上部マントル低速度層よりも上の部分とされている。ところが、低遠度層は地球上のすべての場所で観測されるわけではない。とくに「クラトン」と呼ばれる古い地殼の下では、その存在がほとんど認められない。(しかし)プレートについて解説した図には必ずプレートの下限が示されているが、これはあくまでも1つのモデル、つまり実際の状態を「想像して」考え出した模型であって「観測事実」ではない。しかし一般の読者は、研究者がこのように説明すると一種のマインド・コントロールを受け、実際にプレートの、下限が見分けられるかのように思ってしまう。

卯田先生は一般読者はといっていますが、研究者でも、偉い人の言うことにマインドコントロールされる人はいっぱいいるようです。想像はいいのですが、合理的な解釈ができるかどうか、本当に納得できるのか、と吟味するということが大切だと思うのです。

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2002/09/21(Sat) 18:14
石田 昭
トモグラフィーのほころび
卯田先生はマントルトモグラフィーについて次のように解説されています。

地球科学者なら誰でも地球深部をのぞいてみたいと思う。そうした希望を、最近開発された「マントル・トモグラフィー」と呼ばれる方法がかなえてくれるかもしれない。トモグラフィーとは、立体をいくつかの断面に切り分けて内部を視覚化する方法をいい、最近になって大容量の高遠コンピューターが開発されたことにより、はじめて実現された。医療の分野で活躍しているX線CTは、そのもっとも身近な応用技術である。(中略)

地球深部の情報をもたらすものは地震波しかない。地震波には実体波(P波とS波)と表面波があり、これらの波は地球内部を伝播中に組成が不均質な構造にぶつかると、反射や屈折、回折、散乱を起こす。マントル・トモグラフィーは、このような地震波の性質を利用して、地球の内部構造や物理的な性質を明らかにしようとする技術である。具体的には、地球内部のモデルから求められた地震波の速度と実際の観測結果を比較し、その違いを異常値として画像化する。観測された地震波群の解釈はかなり難しいが、そのかわり多くの情報を得ることができる。

というものです。分かり易い解説です。しかし地球内部のモデルが間違っていれば計算結果はまったく意味が無いものになります。ここのセミナー26「コンピューター全能という信仰」でも述べましたが、モデルはマントルが固体だとしているのです。マントルが熔融しているとすれば、トモグラフィーは成り立たないのです。医療関係のトモグラフィーは違いますが、マントルトモグラフィーはほころびがある、というのが石田理論からの帰結です。

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