前日に戻る
791
2004/08/14(Sat) 11:45
久米英恵.
Re:[717] マントル固体論をガードする扉
[717]をコピー・ペーストしただけの投稿ですので、管理者が削除しました。
792
2004/08/16(Mon) 11:24
パトロス
高熱下のキャビテーション考(3)
16日の毎日新聞に「<美浜原発事故>破損配管で過去2回の海水流入トラブル」という記事があります。
関電によると、美浜原発では93年8月と98年10月の二回にわたり、蒸気を冷やして水に戻す「復水器」の細管に穴が開き、海水が2次冷却水に流入するという事故があったということです。流入量は不明のようですが、脱塩装置の設置により塩分などの不純物を取り除き、いずれも大事に至らなかったという説明をしています。
また、今回破損した水量測定装置「オリフィス」の下流部で激しい減肉現象がおこっていたわけですが、腐食があると当然削られるスピードも速まるので、不純物や酸素を混入させずに水質管理することが腐食防止に必要で、運転開始から3年後の79年に脱塩装置が設置されたようです。それでもなお、破損部周辺は腐食が広範囲で確認されており、関電は復水器の細管をさびにくいチタン製に交換するということです。
記事によれば、

「関電は「海水が混入したが、水質の基準は保っていた」と説明。非営利組織(NPO)の調査研究機関「原子力資料情報室」の勝田忠広さんは「海水漏れが減肉を進める要因となった可能性は否定できず、水質管理がきちんとされていたかを調べる必要がある」と話している。」【根本毅】(毎日新聞)

とありますが、材質をチタンに変えても、また水質の厳密な管理を行ったとしても、熱水中のキャビテーションを研究しないと根本的解決にはならないように思います。少なくとも「原発は安全である」という信頼感、安心感は生まれないと思います。熱水中では解離現象による酸素と水素の混合ガスがキャビティーを形成している可能性があるからです。

793
2004/08/19(Thu) 10:35
パトロス
連続する謎の爆発事件
会員専用掲示板において交わされている「謎の爆発」事件の内容を紹介しておきます。
宮城県白石市斎川の水田であぜに大きな穴が空き、U字溝が10メートルにわたって変形しているのが見つかった。付近では13日夕、爆発するような音が確認され、「いん石が落ちたのか」と騒ぎになっていた、・・・とあります。

 先日の千葉での爆発事故に引き続き、宮城県で爆発事故が発生しています。千葉のものは天然ガスが原因と特定しましたが、水素ガス濃度は測定されたのでしょうか、メタンと共に解離した水素ガスの可能性も高いものと思われます。

 この宮城県のケースも大変気に成ります。隕石でも落雷でも無くこれだけの破壊をする物が有るのでしょうか。水素ガスは無味無臭で噴出している事を前提に測定しませんと存在の確認は不可能だと思います。解離水ガスが上昇して来ているのだとすれば穏やかではありません。

A:報道では、「土の表面に溶けたような跡があり、穴から数メートル離れた地点まで土の塊が飛び散っていた。周辺の雑草には焼けた跡があった。穴を掘って調べたところ、深さ約35センチのところでU字溝の鉄筋が溶け、コンクリートの一部がガラス化した状態で見つかった。」

とあります。鉄筋が溶けたりコンクリートがガラス化すると云うことは相当の高熱が一定時間持続していたということだと思います。

記事には「現地調査した仙台市天文台の小石川正弘主査、星の村天文台(福島県滝根町)の大野裕明台長らによると、何らかの放電現象が起きたらしい。」とありますが、私は放電現象による爆発というよりも地下から噴出してきた解離ガスの爆発と考えるほうが説得力があるように思います。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040817-00000007-khk-toh
今回の報道ではスズメ除けテープによる50万ボルトの放電との事です。金属など伝導体であれば熔けもしますが、電気を通さないコンクリートがガラス化するまで一瞬の電気放電で高温に成ったりするものでしょうか。
A:そうですよねぇ、記事には
「同社(東北電力)はテープの一端が何らかの理由で外れて風などで上空に舞い上がり、送電線に触れたとみている。「50万ボルトが接触放電すると落雷のような爆発音が出る」という。」<br>とありますが、高圧電線との接触放電で地中35センチの鉄筋が溶ける(「穴を掘って調べたところ、深さ約35センチのところでU字溝の鉄筋が溶け、コンクリートの一部がガラス化した状態で見つかった。」)というのは解せない話です。

人間は、既成の知識で問題を解決し、納得しようとしますので、これまでにも熱海沖の海底ケーブル事故や、千葉県北東部や茨城県南部で昨年6月にあった謎の爆発音なども全てうやむやのうちに忘れられていきます。せっかくの未知現象を解明するきっかけを失っているように感じます。

794
2004/08/20(Fri) 12:31
パトロス
水素濃度計による地震予知
今年6月に測地学審議会から「地震予知計画の実施状況等のレビュー」
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/predict/
という報告書がだされたそうです。「これまでの地震予知計画の成果」などが報告されているのですが、その報告書の「別紙B 第4次〜第6次計画の進展と成果」の中に

「M6.8の長野県西部地震は第5次計画中に発生した最大のイベントであった。この地震の前兆的現象として,約1ヵ月前からの水素放出量の急増(中略)が検出された。
という記事があります。すでにセミナー[416]http://www.ailab7.com/log/eqlog411-420.html

に紹介した岐阜県吉城高校の研究でも、「群発地震の約1週間前にH2濃度の最高値を記録していることが判明した。」
と報告されています。またセミナー[246][248]http://www.ailab7.com/log/eqlog241-250.html
では、山崎断層でも水素ガスが残留している事を紹介してあります。

このように、地震の前兆現象として、水素ガスが噴出する事は観測事実であるのですが、その原因が水の解離現象であることが認識されていないために、議論が錯綜しているようです。

資金さえあれば水素濃度計を全国に配置して、大地震を事前に予知する事は可能であると思います。地震計を配置するよりは遥かに安価なプロジェクトとなるはずです。

795
2004/08/20(Fri) 13:59
パトロス
坂柳教授の鋭い指摘
文部科学省の科学技術・学術審議会測地学分科会地震部会というところから2002/04/02 に出された
「地震予知のための新たな観測研究計画の実施状況等のレビューについて(報告)」
という報告書があります。その中の
(2)特定地域活動モニタリングシステム
(2.2)実施状況
(ア)東海及びその周辺地域
という項目に次のような記述がありました。


・ 東京大学理学部が開発した地下水溶存ガス連続測定装置(最短数秒単位のサンプリング間隔で12のガス成分を同時に観測可能な装置)を、名古屋大学理学部と協力して(想定東海地震震源域西部にある)愛知県豊橋観測点に設置し、その安定性をチェックすると同時に、地下水位変化や(ボアホール型歪計や伸縮計、GPSによって計測される)地殻変動と比較・研究している。また、水が出入りするストレーナ付近で直接ラドンを測定するために、水没型ラドン計を岐阜大学教育学部と協力して開発し、幾つかの観測点に設置して上記同様、水位や湧水量、地殻変動との比較研究を行っている。(産総研)

・ 標記観測装置は、2年程度は安定してデータを取得できることが判明した。豊橋近傍では1999年にM5弱の地震が2度発生したが、その前に水素/アルゴン比が変化した。一方、その変化した時期にボアホール型歪計や伸縮計等に特に顕著な変化は認められなかった。(産総研)

という記述です。地震の前に水素/アルゴン比が変化したそうですが、ひずみ計や伸縮計には顕著な変化がなかったということです。つまり地殻変動は地震(爆発)の結果として地表に現れる地殻の傷であって、地震の前に現れる事はないということを示していると思います。30年も継続して壮大なる税金の無駄遣いをしてきた原因は測地学的な観点から地震予知を追及してきたからである、というのが坂柳教授の鋭い指摘(セミナー[669] http://www.ailab7.com/log/eqlog661-670.html
 ニューオフィス10
http://www.ailab7.com/sakayanagi.html
 など参照)
であります。
GPS観測や、ひずみ計などによって地震予知を成功させようとする事は不可能であることを早く認識して欲しいと思います。分かっていても直せないのが利権構造なのかもしれませんが、いつまでも続けられるものではないと思います。早く坂柳先生の忠告を聞いていただきたいと思います。

796
2004/08/27(Fri) 10:27
パトロス
解離水爆発説に正当な評価を
あるサイト(阿修羅)に地震の発生原因として定説とならんで、マグマ貫入説とANSの解離水爆発説が説明してありました。[活断層が動いて地震が起きる。]VS[活断層が動いて地震が起きるのではない。]という対比で解説してありますが、少しづつ解離水爆発説が知れ渡っていくようでうれしいことです。(4)と(5)もありましたが、割愛して(1)〜(3)を一部訂正して紹介しておきます。

http://www.asyura2.com/0403/dispute17/msg/192.html
 (1) 地殻応力によるせん断破壊説[プレート・テクトニクス理論&流体力学依拠説]:
   プレートの沈み込み境界で地震が起こる場合、沈み行く海洋プレートにくっついていて(引きずられて)一緒に沈んだ大陸プレートが、くっついた部分の強度の限界を迎えた時点で「反発」し、元に戻ろうとする。
   この元に戻ろうと「反発」する動きが地震である。[活断層が動いて地震が起きる。]
  また、地震発生直前には発光現象や地電流の異常等が認められる場合がある。
   これは、岩盤を構成する石英等の結晶が圧迫された時、ピエゾ効果によって光や電気が生じるのではないかという。
 (2) マグマ貫入説[水の影響を重視する説1]:
  石本巳四雄博士は昭和初期に、「地震の原因はマグマが地殻内のクラックに激しく貫入すること」という理論を打ち出したが、当時は貫入の原因とそのエネルギーが不明だった。
 (3)の解離水爆発説は、この石本博士の理論から多くの示唆を得て構築された。
 (3) 解離水(爆鳴気)爆発説[水の影響を重視する説2]:
  @ 解離反応:2H2O+熱 → 2H2+O2
    地下内部の水は、マグマに触れて熱水状態を過ぎると超臨界状態となり、それを超えると、酸素と水素に熱解離する。
    この限界の層を解離層と呼び、温度と圧力の変化に応じて、地下内部で上下する。解離層内部では温度や触媒物質の存在と共に解離度が高くなる。

  A 圧力の低下ないし周辺温度の上昇によって、解離層の位置が上がり、解離層が急激な上がり方をすると、マグマ溜りの内部に解離水(爆鳴気)が蓄積され、圧力が増大する。
    これが岩盤にマイクロクラックを発生させ、地震の前兆現象を起こす。
  B 解離が終了すると、今度は周囲からの熱が移動して来るので、周辺温度は元の温度に戻る。
    爆鳴気の爆発条件に達した時、着火して爆発する。[地震の第一段階]

  C 爆鳴気爆発:2H2O+熱 ← 2H2+O2
     爆発後は、混合気体が超臨界状態の結合水に戻るので、圧力が降下して、マグマ溜りは潰れる。[地震の第二段階]

    爆発によって熱が放出され、解離層は地震前の位置まで下がる。
     地震には「押し引き現象」という特有の現象があり、第一段階の爆発で「押し領域」ができ、第二段階で「引き領域」ができる。
    その境界に、大地震になると活断層という地震の傷跡が現れる。[活断層が動いて地震が起きるのではない。]

以上ですが、解説文には
「参考までに、下線以下に、地震発生メカニズムの有力仮説を紹介します。
 ポイント:[活断層が動いて地震が起きる。] vs [活断層は過去の地震の傷跡であり、活断層が動いて地震が起きるのではない。] 
最近では、プレート・テクトニクス理論そのものが、仮説として疑問視されています。」
という文章もあり、石田理論を頭から否定する地震学の関係者が多い中で、投稿者はまじめに取りあげて下さっているようでありがたいことです。いつの日にか陽の目を見る事を期待しております。

797
2004/08/27(Fri) 14:00
パトロス
東海地震が切迫している兆候はない
セミナー[734]
http://www.ailab7.com/log/eqlog731-740.html
に紹介した「明日起きてもおかしくない東海地震」の根拠とは、「安政地震から現在まで約百五十年間のひずみがたまっている。」というものでしたが、あるサイト(阿修羅)を見ていましたら、東海地震はカウントダウンに入っている、という次のような松村室長の記事が2月にあったそうです。
「国の諮問機関・防災科学技術研究所の松村室長は、雑誌『フライデー』(2月20日号)のインタビューで、「東海地震はいつ起きてもおかしくないと言われてきましたが、今はもう臨界状態。最後の局面になっています」「静穏化が見られたハワイのカオイキ地震やカリフォルニアのランダス地震などの分析結果と照らし合わせると、地震がおこるのは04〜06年」と警告した。 「静穏化」というのは、次のような現象をいう。通常、将来巨大地震が発生する可能性のある震源域では、人間が体感できないほどの微小地震が繰り返し発生している。ところが大地震の直前になると、この微小地震が激減する。こうした「静穏化」現象は、阪神大震災でも発生の数年前から確認されていた。松村室長によれば、97年以降、静岡県周辺でこの微小地震が急激に減っている。東海地震は文字通りのカウントダウンに入った。」

というのがその記事です。セミナー[510]
http://www.ailab7.com/log/eqlog501-510.html
でも、山岡説、松村説、五十嵐説というのを紹介しましたが、こうした説はいずれも、定説地震学を基にした測地学的な見地から東海地震は切迫していると警告しているのであって、定説が間違っているとしたら何の根拠もない警告となってしまいます。
地震は地下で発生する解離ガス(爆鳴気)の爆発現象(正確には爆縮現象)であるというのが、石田理論ですが、それによれば東海地震が切迫しているという兆候は現在のところ何も存在していないということになります。

798
2004/09/01(Wed) 13:11
パトロス
ゴールド理論はトンデモ学説ではない
このセミナーに多くの情報を送ってくださっているT氏ことルフラン氏があるサイト(阿修羅)で「 余談ですが、トーマス・ゴールドは地震の原因を爆発だと捉えています。」と紹介したら、「さつき」という方から次のような紋切り型定説擁護論が帰ってきたという報告をいただきました。
http://www.asyura2.com/0406/dispute19/msg/260.html
「ゴールドは、他分野に渡る先見的な予言を多数していますが、「トンデモ学説」も多かったのです。岩盤中での爆発は、地震波のP波初動が全ての観測点で「押し」になるという特徴があります。この現象は、地震観測網のデータから採石場の発破によるノイズを識別するのに利用されています。自然に生起するほとんど全ての地震波は断層運動によると仮定した時に期待される「押し」「引き」分布を示し、これによって、地殻の運動がシミュレーションされています。」
この内容はかつて、セミナー[641]
http://www.ailab7.com/log/eqlog641-650.html
で紹介した「とり氏」の発言にそっくりですが、地震学を学んだことのある方は皆さん、地震爆発説を否定する根拠として爆発現象では「地震時に見られる押し引き分布が現れる事はない」という見解を持ってしまわれるようです。採石場のダイナマイトによる爆破はexplosionというもので確かに、押し領域しか出来ませんが、水素と酸素の混合ガスの場合にはimplosionという現象(日本語では爆縮)になるのであって、これが地盤の初動が「押し」だけでなく「引き」も現れる原因です。ゴールド博士のようなすばらしい研究者を「トンデモ」呼ばわりする風潮は感心できません。
799
2004/09/03(Fri) 12:04
パトロス
浅間山の噴火で測地的前兆なし
浅間山噴火を伝える中日新聞(9・2朝刊)から抜粋して紹介します。
浅間山頂から北西約九キロの群馬県嬬恋村に住む主婦吉田紀子さんは「ドカーンとジェット機の爆音を大きくしたような音と地響きがした」と話した。(中略)
長野県軽井沢町の浅間山山ろくでペンションを営む男性も「山頂まで三十キロぐらいの場所だが、大砲を打ち上げたようなものすごい音がした。乾いた音だった。二十五年間ペンションをやっているが、こんな大きな音は聞いたことがない」と驚いた様子で話した。客の男性によると「倒れてしまいそうなぐらい強い音だった」という。
同町在住の男性は「そう言えば二、三日前から火山性地震が増えていた」と振り返った。
浅間山から五キロほど離れた同町内の観光ホテルの従業員男性は「噴火当時、地震とは違う「ゴゴゴゴ・・・」という地面がうなるような音と衝撃を体で感じた」。
以上が紹介記事ですが、これほど激しい爆発現象(パトロス注:爆鳴気とも呼ばれる解離ガスの爆発現象ではないかと思われますが・・・)があったわけですが、爆発および地震の前兆を気象庁はキャッチ出来なかったようで、「ショックだ」という見出しで次のような記事がありました。
気象庁「ショックだ」
浅間山の過去の噴火は、山腹では起きず山頂付近に限られている。このため気象庁では、山頂を取り囲むように六カ所に地震計を設置、噴火につながる兆候をとらえようとしていたが、前兆はキャッチできなかった。
このほか、山頂の北北東約三キロに傾斜計を一カ所、山頂を囲む形で衛星利用測位システム(GPS)を鬼押出し、追分、高峰高原の計三カ所に設置し、火山活動に伴う地殻変動を観測。空振計も軽井沢測候所を含め三カ所に設置していた。
地震発生回数は八月三十一日午後三時ごろから増加し始めたため、気象庁は火山観測情報を出していたが、地殻変動には顕著な変化が見られなかった。

気象庁火山課の山里平火山対策官は「(一日昼に注意喚起の火山観測情報は出したが) 地震活動をみて火山活動レベルを2から3に上げるまでには至らなかった。爆発するまでにはもっと前兆が観測できると思っていたので、個人的にはショックだ」と話している。
以上がその記事ですが、爆発の前に前兆がキャッチ出来なかったというのは地殻変動としての前兆がキャッチできなかったということであって、ここでも測地学的前兆検知は可能性が薄い事を証明してしまいました。「前兆が観測できると思っていた」といわれる担当者が水素ガス検知とか、地電流検知とかに関心があって、浅間山周辺で観測されていたならば前兆を検知出来たのではないでしょうか。

800
2004/09/03(Fri) 16:43
パトロス
フランスの電磁場観測衛星
T氏情報の中に「フランスが電磁場観測衛星を打上げ」というニュースがありました。日本の地震関係者も成功の可能性が薄い測地学的地震予知にしがみついていないで、新しい分野へ目を向けて欲しいものだと思います。
 フランス国立宇宙研究センター(CNES)は6月29日、バイコヌール宇宙センターからISCコスモトラス社(1)のドニエプル1ロケットにより電磁場観測衛星DEMETER(デメテール)の打上げに成功した。DEMETERは重量130kgの小型衛星で、磁場三成分、電場二成分、プラズマ・粒子観測装置を搭載し、地震や火山噴火などの自然現象及び人間活動が電離層に与える影響調査を目的に観測を行う衛星である。フランスは国土の中央部がイタリア・ギリシャ・トルコに連なる大地震多発地帯にあり、レユニオンやニューカレドニアなどの海外県・海外領土には火山が多数ある。

(1)ISCコスモトラス社
 ロシアとウクライナの20企業からなる商業打上げ会社
 地震の前兆現象に関する研究の中で、ギリシャが電磁現象に着目して地震予知に成功した例はよく知られている。また中国でも動物の活動や井戸の異常などから大地震を予知し、早期避難で被災規模を小さくすることに成功した例がある。我が国では、1995年の兵庫県南部地震が発生する数時間前に、上空の電離層に異常が起きていた可能性が高いという研究報告もある。しかし、そのメカニズムはまだ解明されておらず、また雷や人工的な電磁波の影響もあり、仮に変化が検出できてもそれが直ちに地震発生の前兆とは判断できないという意見もある。

 マグニチュード7以上の大地震は、世界では年間10〜20回発生しており、衛星を利用すれば比較的短期間に定量的評価が可能である。これまで、DEMETERと同種の衛星は旧ソ連、米国でも打ち上げられている。特に旧ソ連は多数の科学衛星による観測で地震発生と電磁場変化の関係を研究してきた。
 我が国の地震電磁気研究は、平成7年より旧科学技術庁の主導で、理化学研究所の「地震国際フロンティア研究」と旧宇宙開発事業団の「地震リモートセンシングフロンティア研究」が行われた。前者は2001年度で終了し、観測点等が各地の大学に引き継がれた。後者は2000年度で終了し、研究は中止となった。1999年の第2回日仏宇宙協力シンポジウムではフランスからDEMETER受信の協力要請があったが、予算上の問題で協力実現には至らなかった。

 地震と電磁場変化の関係を研究する上でデータ取得の機会が増大することは有意義であり、今回の打上げ成功をきっかけにして、地球観測衛星を利用した災害の予知・予測について再検討を行うことが望まれる。

以上がその情報です。「仮に変化が検出できてもそれが直ちに地震発生の前兆とは判断できないという意見もある。」とありますが、測地的地震予知法では坂柳先生のご指摘を待つまでもなく、30年研究して一度も予知に成功していないのですから、成功しない原因を反省して新しい分野に挑戦すべきだと思います。「フランスからDEMETER受信の協力要請があったが、予算上の問題で協力実現には至らなかった。」というのも、予算の配分に問題が在るように思います。

前ページへ戻る  次へ進む
索引へ戻る