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1291 2007-08-10 (Fri) 地震波伝播経路の矛盾 それでは、地震波はマントル内部を通過せずに、どこを通って、地球の裏近くまで届くのかということが問題になります。 もちろんP波(粗密波)は液体中でも伝播しますので、地球中心に向かって伝播し、震源の裏側に直接到達する波がたしかに存在します。このP波は固体(地殻)から液体(マントル)へ抜ける屈折のために、図のように収束されて、中心角が180度から142度の間にしか届きません。 しかし、それ以外の波はP波もS波も、二層構造(大陸部では最上部にある花崗岩層も含んで三層構造ですが)の固いカンラン岩部分を通って中心角103度付近まで伝播します。 この構造は光ファイバーで通信するのに似ています。コアを通る光が減衰しないで遠方に伝わるのと同じように、カンラン岩を通る地震波は減衰せずに遠くまで伝わるのです。 103度を超えると地球表面上で面的に広がっていますので、かなり減衰が激しくなります。103度から142度の間を地震波が届かない「影の領域」と言われていたことがありますが、現在ではかすかな波が届いていることが判明しているようです。 現在の地震学では、地球内部に内核、外核というものが存在し、そこで複雑な反射屈折をいていると解釈されています。しかし、少なくとも、S波はマントル部分を通過できないはずですから、地震波を使った地球内部の調査、つまり地球トモグラフィーには、基本的に誤謬があると思っています。 地震波の走時表(どこを通り、どれだけの時間で到達したかという図表のこと)に関しても、同じような恣意的認定が行われているような気がしてなりません。 注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
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1292 2007-08-16 (Thu) 地震学と中越地震、医学と水俣病 [1240] 勇気付けられる意見で紹介した会員の方から、高額(5万円)の寄付をいただきましたので、以下のような謝辞とともに、「医学の世界で起こった水俣病などの公害」を地震学が引き起こすことが無いことを祈ってコメントを差し上げました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ○○様 寄付金振込み誠にありがとうございます。 以前に in vitro と in vivo のお話をいただきましたが、 多くの悲劇を繰り返さないと、地震学が変更されないのかと思うと悲しいですが、微力ながら「地震爆発論」を言い続けるしかないと思っています。 |
1293 2007-08-17 (Fri) 地震予知研究の問題点 ある方から、学士会会報に載った上田誠也先生の講演録の情報をいただきました。 抜粋して要点のみを紹介しますが、日本では地震現象を解明しようという研究はなされてこなかったし、現状ではこれからも行われないであろうことがよくわかります。 このセミナーで繰り返し批判してきたことですが、「測地学的な観測事業」のみが莫大な税金を投じて実施されているのです。 ----------------------------------------------------- 地震予知研究の歴史と現状 上田 誠也 ■私は「地震予知」はほとんど無理だろうから、それに無駄なお金を使うのはバカげているなどと思いながら、東京大学の地震研究所に30年ほど勤めておりました。もっぱら別な研究をしていたのです。 ■地震はなぜ起こるのでしょうか。それは断層が急激に動くことによってです。それによって、振動が起こり、大地が揺れるのです。 ■なぜプレートが動くのでしょうか。簡単にいうと、プレート運動はマントル対流のあらわれです。マントルは固体ですが、ゆっくりゆっくりと流動しているのです。ではいったいなぜマントル対流が起こるのか。それは火の玉だった原始地球が今なお冷えつつあるからです。お味噌汁が冷えるときにお椀のなかに見える対流と同じようなことです。 ■我が国の地震予知計画は、地震観測網を充実しなければいけないということから始まりましたが、それを熱心に行っているうちにそれが主な仕事になってしまい、予知という本来の目的を見失ってきた。(略)地震観測だけがとどまるところがない大事業になってしまいました。 ■そのうちに阪神大震災が起こりました。もちろん予知はされませんでした。その効果≠ニいっていいかどうかわかりませんが、地震予知、特に「短期予知は当面不可能」ということになり、その研究すら放棄することになってしまったのです。国民の安心・安全に関わるお国の方針にこの重大な変化があったことを国民の皆さんはほとんど知らない。(略)国民の皆さんは「いまでも日本では地震短期・直前予知の研究を一生懸命やっている」と思っておいででしょうが、実はやっていないのです。憂慮すべき事態です。 ■それまでの予知計画では、実際には前述のように地震観測ばかりで、(略)そういう「地震予知計画」を何十年続けてきたものですから、いまさらしてなかったとはいえず、「ついに前兆検知には成功しなかった。それは極めて困難であり、誰にもできないだろうから、当分はあきらめよう」という結論が出たのです。若い方々は前兆検知努力もろくに行われていなかったという現実をあまり認識されておらず、長年の虚報? を額面どおり受け取ったのかも知れません。 ■しかしこれでは、地震予知計画はみなふっ飛んでしまいます。それでは困るので、「今後の地震予知研究では、従来の前兆探し的短期予知はあきらめて、基礎研究にもっと力を注ぐべきだ」という結論が出ました。これも良心的かつ反論しがたい結論に見えるし、当事者たちも正直そう思ったのでしょう。しかし、これは結果として、やってもこなかった架空の「従来の前兆探し的短期予知」に罪を押し付けて、短期予知研究をすべてやめてしまえという驚くべき風潮を正当化することになってしまったのです。そして実質的には基盤観測の名の下に、地震・地殻変動観測網整備・拡充のみをもっとやろうということになってしまった。かくて「短期予知は当分しなくてよいが、もっと予算がとれる」体制が確立しました。 ■一時楽観論が盛んだったアメリカでは、このような失敗経験から、現在は悲観論に支配されています。中でも極端なロバート・ゲラー東京大学地震学教授は、「予知研究などやめてしまえ」と論陣を張っています。予知研究体制批判では私も彼の意見に理がなしとはしませんが、彼の地震予知不可能論は、いまではアメリカですら、ほとんど誰も相手にしなくなっています。それとは対照的に日本よりアメリカの影響の少ないロシアなど旧ソ連諸国、中国、ギリシャ、イタリア、フランス、メキシコ、トルコ、インドネシアなどでは悲観論はあっても、それに抗して活発かつまともな研究が進められています。悲観論が世界の大勢だというのは当たっていません。むしろ、アメリカが孤立しているのです。 ■以上のように研究は進んでいますが、「短期予知」研究は全く入っていないのです。人員、経費ともに全体計画の1%も満たないまでも重大な成果が期待できるのに、それはなぜでしょう? それは先ほどからのお国の方針に沿ってか、膨大な経費を運用する一種の産官学共同体ができて、純粋に科学の論理だけでは話が進まなくなってきたことではないかと思われます。必要に応じて深さ2000メートル以上の深い孔まで掘って高感度の地震計を1000個も設置するにも、巨船をつくるにも多額のお金が動くし、しかもその予算措置は官ですから、大きな産官学共同体の作業です。そこでは科学以外の論理も重要になるでしょう。それはそれで社会の発展過程の一つなのでしょうから全面否定はいたしませんが、地球科学の最後のフロンティアとも言うべき地震予知研究が、科学の論理主導では動きにくい体制になってしまったとした問題ではないでしょうか。反省すべきは研究体制なのです。 ■信じられないことですが、フランスが「DEMETER」衛星を打ち上げる前に、日本の上を通るときにデータを地上に吐き出すから受信してくれないか打診してきましたが、我が宇宙開発事業団は「オールジャパンとしては足並みが揃ってないから」との理由から断わったのだそうです。フランスは自国にはほとんど地震もないのに衛星を上げ、地震国日本はそれに協力もしない。これは一体どうしたことなのでしょう? ■ラストメッセージ |
1294 2007-08-19 (Sun) 地震対策のトップランナー 静岡県? 静岡県は地震対策のトップランナーなんだそうです。 これまでに投資した金額は、累積で約1兆4千億円余、平均すると毎年度約500億円をかけてきたそうです。資料は平成12年度となっていますから、現在ではいくらになっているのでしょうか、そしてどれだけの成果が上がっているのでしょうか。 ○世界一の地震予知観測体制 昭和53年に施行された「大規模地震対策特別措置法」により、静岡県全域は「地震防災対策強化地域」に指定されました。これを受けて昭和55年には「地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(地震財特法)が制定され、昭和55年度以降、これに基づいて各種の事業を実施しています。 「新地震学で解明する時期なのではないでしょうか? という言葉がありました。 旧地震学から脱皮しないと、「地震観測事業」だけが延々と続き、地震現象の解明や地震の予知などは本当に「夢の夢」で終わるでしょう。 津波注意報で藤沢市 藤沢市によると、17日午前1時10分ごろ、「気象庁が観測した地殻変動などの現象から、東海地方を震源とする大きな地震の発生の可能性が高まった」などと東海地震の発生を伝える誤報が、市内全域の247カ所に設置されたスピーカーから流れた。 |
1295 2007-08-21 (Tue) ペルー地震での発光現象 ペルーの地震ではリマの全域で発光現象が見られたようです。当時は雷光も、発電所の爆発も無く、光はリマ市西方の海上から発したそうです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー Earthquake in Peru : At 0:39, you can see a bright blue light iluminating the sky. These lights were seen all over lima and other colors seen were orange, yellow, grey, blue and green. We have to keep in mind that in Lima there have never been any thunderlights and no explosions from electrical power supplies were reported in fact the light originated from the west of Lima, the sea. ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 地震爆発説では震源付近でプラズマ状態の解離ガス(水素と酸素の混合ガス)が高速度で地殻内部を移動するために生じるMHD発電のために発するのではないかと考えています。 なお、ペルーの地震は8月15日午後6時41分ごろ(日本時間16日午前8時41分ごろ)、と報道されていますから、ビデオの解説文に、16日0:39とあることから考えると、余震に伴う発光現象なのかもしれません。 |
1296 2007-08-22 (Wed) ペルー地震での発光現象(2) ペルーの地震で見られた発光現象を撮ったビデオがもう一つありました。 この映像を見ると、かなり頻繁に発光現象があります。 竜宮の使いという魚は普段は深海に住む魚ですが、大地震の前には昔から浮上してくることが知られています。原因は海底地下でMHD発電が起こって、電流や電磁波が発生すること、あるいは熱水が噴出したりして、海底の環境が変化するからではないかと思います。 難しい話になってすみませんが、マスコミ報道、地震学者の解説には一定の疑いを持って聞いてくださいね・・・。 |
1297 2007-08-23 (Thu) 神戸地震での発光現象体験談 これほど明瞭な発光現象をビデオで見せられても、まだ「電線のショートだとか、電球が割れて発光する。」ということで地震現象とは関係なしと考える方が居られるということは大変に驚きます。 ニューオフィス54にある国会の議論でも、「原因のわからない現象を扱うのは非科学的だからやれない。」という地震学者の態度を政府委員が「学者の皆さんのやっていらっしゃることは、これはおかしい、」・・・と叱責していますが、一筋に研究してこられたであろう研究者の頑迷さを感じます。 なぜ発光するのかを探求するのが科学のはずですが、発光する理由がわからない、理由のわからない現象を研究するとは非科学的な似非科学であるというような議論を平気でする人が世の中には居られるようです。 しかし一部の地震学者の中には、「現在の地震学は、地震波や地殻変動などを通して、力学現象としての地震像の理解に努めてきたが、それ以外の側面に対して目を向けない、偏った取り組み方をしてきた。」・・・という反省(名大地震火山・防災研究所 安藤雅孝センター長のあいさつ文より)の上に立って発光現象を科学的に解明しようという動きもあるようです。 私は出席しませんでしたが、以下に地震発光現象ワークショップ(名大地震火山・防災研究センター2007年3月)で発表された研究者(地震が専門ではないが、神戸の地震を体験された方)の体験談を抜粋して紹介します。 阪田氏が体験された発光現象は、地震の前からかなり長い間にわたって白っぽい光が現れ、赤い光に変わり、やがて真っ暗闇になったそうです。科学者が体験された現象ですから、錯覚であるとか、電球が割れたとか、電線のショートとかではないことは明らかで、内容は信憑性のあるものだと思います。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー どうして光るのか? 地震にともなう発光現象 阪口秀さん(海洋研究開発機構) 発光現象が、地震の前(プレサイスミック)にも、最中(コサイスミック)にも、地震の後(アフターサイスミック)からでも見られるのは、そうしたMHD発電が起こっているからだとすれば説明が可能であると思います。 追伸:以下に一部分ですがpdf表示がありました。 http://www.seis.nagoya-u.ac.jp/INFO/kikaku/20070126/200702hakko.pdf#search='地震%20発光現象' |
1298 2007-08-23 (Thu) 平成13年静岡中部地震での発光現象 平成13年に起こった静岡県中部地震でも発光現象が見られたことが静岡新聞に報道されていました。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 4月3日の県中部地震 東海大の研究グループ、静岡で調査 四月三日(2001)に県中部で起こったマグニチュード(M)5・1の地震の揺れの最中、NHK静岡放送局のカメラが静岡市内でとらえた「青白いせん光」のなぞが深まっている。東海大学地震予知研究センター(清水市)の長尾年恭教授(45)=センター長=らの調査で、発生場所は静鉄電車春日町駅付近に特定できたが、地震の宏観現象として知られる「発光現象」とも異なる部分があり、さらに分析が必要のようだ。 テレビの映像から方向を定め、予知研究センターの岩崎弘研究員(24)らが市内の春日、曲金方面を聞き取り調査したところ、周辺住民からかなり具体的な目撃情報が集まった。そのうち屋外にいて、直接光を見た人は現時点で一人。「空の低いところが全体的に光った」「音のない雷のようだった」「避雷針が光ったようには感じなかった」と証言している。光は強烈で、多くの人が閉めた窓からガラス越しに「強い光が差し込んだ」と語っている。 光った方向の証言を総合すると、発光源は放送局から直線で東二キロ、静鉄春日町駅付近の線路北側半径約百メートル以内に絞り込めた。場所の特定は発光現象ではまれ。ただ、現地踏査では、何かがスパークしたような形跡もなく「あれだけ強烈な光がどのように出たのか非常に不思議だ」(長尾教授)。架線のショートなども疑ったが、光り方が極端に強く、音を伴わない点などから可能性は低い。 となると、地震宏観現象の発光現象の可能性が高くなる。だが、過去に報告されている発光現象は地震前か同時がほとんどなのに、今回の光は地震の揺れが始まって約十秒後に発生しているため「もっと違った意味合いの発光かもしれない」と長尾教授は頭をひねる。 今回の地震では震源地が川根だったのに、最も強い震度5強を記録したのは静岡市曲金の気象台だったのも気になる点。一九三五年の静岡地震(M6・4)でも同じように曲金周辺が最も激しく揺れていることから、地下の構造に不連続な部分があるとも考えられ、長尾教授は光と関係があるのか解析を進めたいとしている。 以上のように地震に伴って発光現象があることは多くの事実が観測されていますので、いつまでも、「素人の錯覚」「地震学を学んでからものを言え」式の傲慢な態度は科学的ではありません。「原因がわからない現象の原理を探るのが科学である」はずであります。電球が割れたのを錯覚したとか、電線が揺れて接触し、ショートしたのを見間違えたのだ、というような発言は止めにしてもらいたいと思います。 |
1299 2007-08-24 (Fri) 屈折で月が大きく見える理由 2CHを見ていましたら、いつまでも、ANSサイトに失礼な攻撃をする人が居るようですが、その中(『地震雲』ってなんですか?)で、「屈折によってなぜ月が大きく見えるのか判らない、そんなことはない」という意見が見られました。海底を岸壁から見ると、浮き上がって見え、魚や岩が実際より大きく見えるのですが、その理由がライブラリー14の絵(サムネール版)では理解できないのでしょうか。やり取りの一部を紹介します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 98 04/11/09 23:07:52 >>97 だから、屈折でどうして大きくなるの? いわゆる浮き上がりや、揺らぎならば分かるんだけど。 「大きくなる」には、レンズ効果が必要でしょ? >>月が大きく見えるのは、決して目の錯覚ではありません。地表面に暖かく湿った空気が漂うときに起きる光の屈折現象として説明ができるのです。 99 04/11/09 23:17:03 >>88の文章って、もっともらしく書いているけれど、本当は「電波」なんじゃないの? (注:解説3 月が赤いのは予兆かのこと) http://www.ailab7.com/ians/ianstuki.html 屈折では大きくならんだろう。 重力レンズじゃないんだから。 >>98にも書いたけれど、揺らぎやつぶれたり(四角い太陽)、色が変わったり(グリーンフラッシュ)ならば分かるんだけどさ。 どうして、屈折で大きくなるのよ? 100 04/11/09 23:18:40 つーことで、「月が大きく見えるのは、地表面に暖かく湿った空気が漂うときに起きる光の屈折現象として説明ができるのです。」 できません。 10104/11/09 23:41:00 >>100 月が大きく見える本当の原理を教えてくれ。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 屈折関係図を見ても理解できないというのは困りものですが、もっと判りやすくするために、以下のように作り直しておきました。 屈折によって低く見えるのはニューオフィス31の解説図の方が分かり易いと思いますが、(同じことなのですが)大きく見える理由は上の図の方が分かりやすいと思います。 月から出た光線は屈折関係により、入射角より屈折角の方が大きくなりますから、図のように曲がりますが、地上の人間の目には直進してきたように見えますから、実際よりも大きく見えるようになります。 月が地平線上にある「月の出」、「月の入り」には空気の二層構造が明確でなくても、空気層を通過する進行距離が長くなりますから、屈折が起こりやすくなります。これが地平線近くにある月が大きく見えることがある原因です。 月が高く上がっても、大きく見えるようならば、空気の二層構造がかなり明瞭に出来ている証拠ですから、蒸し暑い空気が地中から噴出して居る可能性があり、地下で解離層が乱れ、水素ガスが発生して地震が起きる惧れが強いと判断されるわけです。 追加図 |
1300 2007-08-26 (Sun) 人間が原因の地震200回以上 コロンビア大学の研究者が人為的に起こしてしまった地震が、これまでに200回以上あったと報告しています。WIREDNEWSから抜粋して紹介します。 ---------------------------------------------------------------------------- 「人間が原因の地震、これまでに200回以上」研究結果 コロンビア大学の研究者は、1989年にオーストラリアで起きたマグニチュード5.6の地震は、過剰な石炭採掘が原因だったとしている。ガス採掘や貯蔵所の建設など、人間が原因で起きた地震はこれまでに世界で200件以上ある、と同研究者は述べている。 Adam Rogers 2007年08月23日 オーストラリア史上最大の地震 石炭を採掘しすぎたために、この地域の断層線を刺激してしまったらしい。『National Geographic Online』にRichard A. Lovett氏が書いた興味深い記事から、要点をいくつか引用しよう。 ニューヨーク州パリセーズにあるコロンビア大学『Lamont-Doherty地球科学研究所』のChristian D. Klose氏が実施した調査によると、この地震は200年に及ぶ地下の石炭採掘によって地殻応力が変化したことが引き金になったという。 [日本語版編集部:日本では新潟県長岡市で実証実験が行なわれていた。] @:『石炭を採掘しすぎたために、この地域の断層線を刺激してしまった』 とありますが、断層は地震の結果として現れる傷痕ですから、刺激しても「地震が起こる」ことがない限り、再び「ずれる」ことはありません。 長岡市深沢での液化炭酸ガス注入が危険であると指摘しているのも、注入物と地下水を「置換」することなく圧入しているために、キャップロックの下部で水を押し出してしまうからです。押し出されて、解離層付近にまで移動することが解離度に影響を与え、水素ガスの発生する危険性があるからです。 追加コメント 少しコメントを追加しておきます。ニュースの訳文で、 (略)この地震は200年に及ぶ地下の石炭採掘によって地殻応力が変化したことが引き金になったという。 とありますが、この部分は原文では以下の様になっています。 That quake was triggered by changes in tectonic forces caused by 200 years of underground coal mining,(略) つまり、Klose氏の主張は もっと言えば、 |
1301 2007-08-26 (Sun) 水の解離現象 水が熱によって酸素と水素に解離するという現象を疑問視する方が多いようですが、熱による解離(分離)だけでなく、ある種の磁力の下では簡単に解離し、その解離ガスを燃焼させて石油に代わるエネルギー源とすることが可能であるという夢のような実験が奇しくも今年5月に日米で報道されました。(間違えました。日本の報道は2005年7月でした。) 実は地震爆発説を思い付くきっかけになったのは19年前(1988年秋)に大学の先輩(当時83歳)から「水は熱と磁力をかけると解離しやすくなる。やがて自動車はガソリンじゃなくて水を積んで走るようになる。という話を聞いたことからでした。熱によって解離するのなら、地下水は深部で解離しているだろう、それが水に戻る時の爆発が地震ではないのかというのが、発想の原点でした。 そこで、水が解離するという現実を知っていただくためにも、今年5月に(日本のものは2005年7月)報道された「水を燃料として燃やす」という日米の実験を紹介します。 報道を抜粋して紹介します。 「水が燃える?!」 常識では考えられないことが現実になっています。 倉田 そうです。あの頃は水を燃やす上で色んな準備して、プロセスにおいても極めて複雑でしたが、最近は単純だが大きな効果が出ています。具体的にいえば、水素と酸素にはそれぞれ原子波動があって、幾つかの分子が集まると共鳴して物性波を出すから、それで水の振動数を確定するのです。振動数というか共鳴数を見つけた上で、ある種のイオン係数を充てて共鳴させ、シンフォニーを生むような形に工夫したら、簡単に水が水素と酸素に分離するのです。 藤原 普通の水は0℃で潜熱を出して氷から水になるし、100℃になると水から水蒸気になって相移転をするが、磁気共鳴を使って水を水素と酸素に分けて、低温で単純な相移転を実現したわけですね。 倉田 簡単に言えばそういうことです。水は普通に熱すると4300℃で熱解離して水素と酸素に分かれると知られています。現在の段階でわれわれがたどり着いたレベルでは、380℃で水素と酸素の熱解離を実現し、水を燃やすという夢を実現している次第です。 藤原 われわれの世代が持つフレームの問題だが、私が学校で学んだ物理や化学の教科書によると、水は水素と酸素が燃えて出来た化合物で、水素と酸素の分離は2000℃に熱した時でも、せいぜい2%程度だと書いてあった。 しかも、われわれが学んだ熱力学の法則だと、水は酸化という化学反応の最終生成物だから、水を燃やすのはエネルギー的に不可能だが、倉田さんのシステムでは380℃という低温で、水素と酸素が100%熱解離するのですね。 倉田 そうです。これまでの熱力学は水は燃えないと教えたので、私は水を燃やす前段階として炭化水素を使って、炭化水素から炭素を外して水素を分離し、それを燃料源にすることから手をつけました。最初の段階でとりあえず成功した方法は、4000℃で水素と酸素に分解するイオン化だったが、油のフレームが1500℃の時に水を触媒に通したら、この温度で水素を分離することが実現しました。 ベンゼン環は1300℃の高熱がないと壊れないが、生体内では体温で分解された酸化が進むのでして、これは酸素か触媒として機能しているお陰だから、酸素に相当する触媒を作ろうと考えた。 でも、炭化水素から水素を分離しても炭素が残ってしまい、炭酸ガスが出る問題は解決しないから、これは単なるステップだと気づきました。そこで、水は水素と酸素から出来ているから、原点に立ち戻り小さなエネルギーを使って、水を低温で熱解離させることに挑戦しました。そして、量子力学の非線形電磁気学と触媒を組み合わせたら、380℃で水を燃やすことが出来たのです。 次にアメリカでの報道ですが、燃焼実験の様子が次のようなビデオで紹介されています。 初報は以下のアメリカのWPBF TV25の報道です。 http://www.wpbf.com/slideshow/news/13384010/detail.html(静止画) 報道では と簡単な説明しかなされていませんので、「磁力による水の解離現象を利用して水素を燃やしている。」という理屈が伝わりません。したがって読者の反応も「ばかばかしい」「水が燃えるわけがないでしょう」と言った冷ややかなものが多いのは当然だと思います。 私も、19年前の先輩の話がなければ同じ様な反応で終わっていたのかもしれません。 |
1302 2007-08-29 (Wed) 屈折で月が大きく見える理由(実験) 2chの自然災害版を覗いていたら面白い議論がありました。 月が昇るときや、太陽が沈む時になぜ大きく見えるのか、屈折現象で大きく見えるというのは何故か、よく分からないという疑問に、実験を提案している方がありました。少し、やり取りを紹介します。 「大気による光の屈折で月が大きく見える」などということが、未だかつて現実に起こったことがないでしょ。 324:2007/08/28(火) 08:09:44 その絵はうそだよ。富山の蜃気楼を思い浮かべて欲しい。 327:2007/08/28(火) 18:14:56 330 :2007/08/28(火) 20:49:03 336 :2007/08/28(火) 23:31:40 340 :2007/08/29(水) 00:42:04 342 :2007/08/29(水) 08:00:27 そこで340の方の提案に沿って私も実験してみました。24センチの深さのバケツの底にCDをテープで固定し、水深を5cm刻みで増やしてカメラで撮影しました。カメラはCDから約90cmの真上の位置に三脚で固定しました。CDにカメラが写っているのが見えます。 結果は写真のようになりました。CDを月と思って眺めてみてください。 月や太陽が地平線近くにあるときは、上下二層の空気層がどちらも厚い状態ですから写真の水深24cmのような状況になるわけです。上空に上がった時には水深が5cmと云うような状況になるわけで、月は大きくは見えなくなります。月が上空に昇っても、大きく見えるというときは、二層の屈折率の違いが相当に大きい場合、つまり地下から蒸し暑い蒸気が大量に噴出している場合が考えられるので、 「地震の前に月や星が何時もより大きくキラキラ輝いて見えた。天が落ちてくるように迫って見えた。」 という言い伝えにあるように、大地震の前兆である可能性が高くなります。 この実験から、314、327、330、336などで主張されている内容が正しくないということが言えると思います。 つまり屈折現象によって、物体が大きく見えるという現象は存在しますし、鉛直方向だけに屈折率が変化している場合でも、水平方向にも大きさが変わります(CDは円形のまま拡大されていますから)。 |
1303 2007-08-30 (Thu) 屈折率変化が縦でも横方向に拡大する理由 [1302]で紹介した 327:2007/08/28(火) 18:14:56 という誤解は屈折現象を教科書的に理解していることからくる錯誤だと思われます。 図に示す海中の物体ACは、船上の人間の目には、浮き上がってA’C’のように見えます。 釣り逃がした魚は大抵「残念!今のは大きかった」と思うのですが、水中の姿しか見てないから、大きかったと錯覚するのでしょう。 |
1304 2007-09-01 (Sat) 「Moon Illusion」の謎 2chで屈折実験を提案された方が、地平線の近くにある月や太陽が大きく見える理由を、[1299]にある追加解説図を使って、当セミナーの解説どうりに計算をされていました。しかし、それでも、月が大きく見えるのは錯覚である、計算は間違っているという主張をされる方が居られます。 なぜこのように屈折による月や太陽の拡大説を強く否定されるのか不思議ですが、サイト検索で調べてみると国立天文台サイトを始め、ほとんどのサイトで、錯覚論を取り上げていましすので、相当根強く信奉されていることが分かります。また、この問題は「Moon Illusion」 「天体錯視」と言われてアリストテレス(前384〜前322)やプトレマイオス以来解けない難問なのだそうです。 近いうちに300mmの望遠レンズを持っている友人に写真撮影をお願いしようと思っていますが、まずはいくつかのサイトをながめてみましょう。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 月の話 より抜粋 2.地平線近くの月はどうしてあんなに大きく見えるのか 英語では 「Moon Illusion」 と呼ばれ、古くから知られている錯覚です。古代中国や古代エジプト時代にも、すでにこの現象についての記録があります。 Moon FAQより抜粋 地平の月が大きく見える 昇り来る月を見つけて、その大きさに驚くことがあります。 1 の「月の大きさの違いについて」で触れたように、日々月と地球の距離は変わっていますので、大きさを比較する場合には同じ日に地平線近くの時と天頂付近の時とで比べる必要があります。 天体を見る場合は地平線上に見える太陽や月と、天頂近くに見えるそれらの大きさが変わらないと判っているので錯視になる訳です。 国立天文台サイト 「質問2-2) 月や太陽が大きく見えるのはなぜ?」という問いには、 毎日新聞サイト なぞなぞ科学より抜粋 沈みゆく太陽はでっかい。月も地平線近くでは大きく見える。空高い位置にある時と違って見えるのはなぜだろう。 またグリーンフラッシュ現象を持ち出したかたがありますが |
1305 2007-09-03 (Mon) 地平線近くにある月の見え方 月や太陽が地平線近くで大きく見える様子を計算してみました。 屈折率は[1304]の計算と同じく、冷たい空気側を1.00028とし、蒸し暑い空気側を1.00025(相対屈折率0.99997)としています。 友人が次の満月に写真を撮ってくれるそうで、楽しみにしています。温度差のある層が上空に出来なければダメですが、層が発生していれば64%も変化する可能性があるのですから、きっと写真でも拡大現象が認定できると思います。 まったく、同じ大きさでしたら・・・依然として「Moon Illusion」の謎として残されるのでしょう。読者の皆様にも、地平線に半分頭を出した月を撮影していただきたいと思います。 |
1306 2007-09-04 (Tue) 地平線近くにある月の拡大率と相対屈折率 2chの議論者が突然撤退されたようですが、計算はどうでも良いと言う議論は乱暴だと思います。計算された討議者に失礼です。 月が昇る時、太陽が沈む時、驚くほど大きく見えますが、では最大でどれほどになるのかを検討してみます。 [1304][1305]とも相対屈折率を0.99997としていますが、これを変化させて計算しますと、図のグラフのようになります。 これは蒸し暑い空気層の厚さをゼロにする極限(入射角90度)の場合で、拡大率の最大を計算したものです。月が半分海面に姿を見せた時と思えば良いと思います。完全に姿を見せたときには、計算では拡大率が大きく減少します。 高知湾が陥没したという白鳳地震(セミナー[1083])でもそうですが、大地震の前は蒸し暑いものです。神戸の地震(1月17日)では 「今年になってから1月8日、9日、10日と、冬にしては珍しいほどむしっとした暑い日が続いたように思います。とくに9日の日は汗が出るほどでした。」(加古川市 主婦) と言う証言があります。上空に寒気団があったかどうかは知りませんが、 「1月16日17時20分ころ、診療所より帰宅時、東方の生駒山頂の少し上に満月が異常に大きく輝き、黄金色をして、太陽のようであった(東大阪市 医師) 追加図面: 蒸し暑い空気層の厚さが薄いほど、月の最下端から出る光の屈折角([1299]追加図面のθrのこと)が小さくなるので、拡大率は大きくなります。 |
1307 2007-09-05 (Wed) 地平線近くにある月の拡大率と相対屈折率(2) [1306]で計算した、屈折角90度の場合の拡大率というのは、どのような状況のことなのか、曖昧で私にもはっきり分かりません。水面上に半分姿を現した状態ではないかと書きましたが、半分だけ姿を現した状況ならば月の中心点が水平線上に見えるという設定でも、計算ができます。 そう考えて計算すると、月が半分だけ姿を見せた状態は完全に姿を表わした場合の45%程度大きな拡大率になることが分かります。 月や太陽の上端部数パーセントが見えている時の拡大率はもっと大きくなって居るのでしょうが、写真撮影しても何パーセント現れているのかを確認するのは困難だと思います。従って、屈折率90度で計算したグラフはあまり使い道がないかもしれません。 [1306]で述べた「上空に真冬のマイナス40度の寒気団があり、地上は40度、湿度100%という真夏の猛暑状態」が実際に起こっても、月の上端付近の一部が2倍近い拡大率と言うだけではホントなのかどうかわかりません。少なくとも半分は見えて、写真上で直径が計測できないと、確認は出来ません。確認できるとすれば下図に朱色で示す示すように80%弱(1.8倍)くらいの大きな姿ということになります。 上に述べた解釈で月や太陽が半分だけ姿を見せた時の拡大率(蒸し暑い空気層厚100mの場合)を朱色で示しておきます。
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1308 2007-09-06 (Thu) アリストテレスの直感を葬った現代の知 定量的な計算をこれだけ見せられたのに、高等教育の中でも「目の錯覚」という洗脳を受けてきた人たちは洗脳から抜けることが出来ないようです。依然としてトンデモサイト呼ばわりを止めようとはしていません。彼らのこだわりは宇宙空間から大気圏に入る時の屈折が考慮されていない、気圧の変化が考慮されていない・・・というものであります。 これは定量的計算をするまでもなく、[1307]の計算結果を見れば明白に推量されることであります。 つまり拡大が起こっているのは蒸し暑い空気層が薄い場合であり、500kmも上空にある宇宙空間との境界での屈折で有意な拡大を示すことはない、ということは容易に推定が出来ます。 疑問があれば、計算してみれば分かります。拡大が起こるのは入射角も屈折角も限りなく90度に近い場合であります。500km上空で屈折する場合の入射・屈折は水平線上で生じていても、実は68度近辺の浅い入射角度となることは、つぎの屈折説明図を参考にして地球内部角度λを計算すれば直ぐに分かります。 このように大気圏に入射するときには浅い入射角度となるために、相対屈折率が大きいとしても有意な変化(コース変更・拡大効果など)が起きることはありません。月の光はほとんど角度も変えず、大きさも変えず直進して境界を通過するので、屈折の影響を考える必要はないということを意味しています。 「大気による光の屈折で月が大きく見える」などということが、未だかつて現実に起こったことがない・・・という高等教育修習者たちの意見が「月が大きく見えるのは大気の屈折による」と考えたアリストテレスの直感を否定してしまったのでしょう。 ここ100年近くの高等教育修習者たちが構築してきた現代地震学でありますが、そこには根本的な誤謬が存在していると私は考えています。土台が違うわけですから、「知的生産に対する敬意を持ち合わせていない」と批判されても困るわけです。計算手法を作ってくれたスネルには感謝しますし、科学の基礎を作ってくれた先人たちには大いに敬意を表明するものであります。 |
1309 2007-09-06 (Thu) 名著「科学を志す人々へ」より 地震はマグマの貫入することが原因で起こる、と言う「マグマ貫入理論」を説かれた第二代東京大学地震研究所長の石本巳四雄博士は「科学を志す人々へ」と言う名著の中で、先入観を持つことの弊害を述べておられます。科学が進歩するためには常に先入観にこだわらず、自分の目と頭で納得できるまで考察する態度が大切であると私も思います。 尊敬する石本博士の主張を「講談社学術文庫」から抜粋して紹介します。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 科学者と先入主 科学者というものは偏らずして平静な心の持主であろうと想像するが、実は決してさようでなく、先入主の凝り固りとしか見えぬ人にも接することがある。しかし、この人達は決して大なる科学者とは思えないのである。 学者に成る資格の中には、先人が自然現象の中から苦心して取り上げた事実を記憶していなくてはならない。またそれらの事実を根底として組み立てられた系統−−−即ち法則とか定理とかと呼ばれるもの−−−を知っていなくてはならない。 (しかし、)即ち事実と系統とが教えられてしまうと、今度新しい事実が出て来ても両立しない場合に於ては新事実の出現を知らぬことにするか、認めない態度に出る学者がいる。これは全く先入主が心の中にあまり幅をきかしておる結果にほかならない。 学校に在学中は極めて記憶力のよい善良な秀才であっても、いざ学校を出て自然研究に携ると全く物事の受入れ方の悪い人があるが、これらはあまりに忠実に勉学した結果とでもいえよう。頭の中に先入主が横行して、もはや新しき事実が入り込む余地がないのである。この意味では、いわゆる秀才が研究に携ると得て失敗を招いて退場するのである。この点から見ると、学校での教育というものはだいたいの外郭を教えて、新事実を見つけだすことおよび受け入れる余地を有して置きたいものである。教わる方も、教室で覚える定理、原理も真理と考えないで、何時でも変更され、また発展されるものと観て、剛直な態度を持ち続けないことである。筆者はかつて、 先入主ほど人の心を偏執たらしむるものはない。恐ろしさを心に抱いてこそ、尾花も幽霊として現われる。したがって自然研究者はいたずらに多読して心の主裁者を造るより、平静にして捉われざる心境を養い、自然に直面する心掛を常に持たねばならぬ。 といったことがあるが、筆者も常に注意していわゆる偏見に陥らざるよう注意をしているのである。しかし、この点は至って難しい。(略) 元来科学書というものは、すべて正しいことが書いてあると思うと大間違いである。たいがいの本は早ければ十年、遅くとも二十年を経れば、その大半の頁は書き直さなければならぬ運命に逢着する。研究は日進月歩の勢いで進展しつつあるのである。この場合、先入主があっては十年もすれば劣敗者となるばかりである。なお注意すべきことは未だ充分検討の足りない学問に於てはとくに然りであって、大学で習ったことを後生大事に覚えている者の方が後れ、全部忘れてしまったものの方がかえって成功をするのである。これは要するに先入主の齎す悪い影響である。 寺田(寅彦)博士はかつて筆者に「最近のつまらぬ論文は読まぬ方が宜敷い。それよりもアリストテレスの書いたものでも読む方が為めになる」といわれたが、これは至言である。確かに、これは先入主悪癖に染むなということに解し得ると思う。 一体科学というものは、現象のすべて自然に備っているものを、各時代ある限定された知識を以て説明せんとするものであるから、その時代に於いてある現象が説明し得たと思っても、新事実が出れば破壊されてしまうのである。即ち、今日の自然現象は今日の知識を以て説明されるものであって、明日は当然明日の知識を以て、再び説明さるべきものである。この結果として学説の生るべきは当然ながら、これを固守すれば飛んでもないことに陥ってしまうのである今日の学説は明日の学説ならざるものが多いのである。それは知識が増加する結果にほかならないからである。 ・ 新しい事実が出て来ても両立しない場合に於ては新事実の出現を知らぬことにするか、認めない態度に出る学者がいる。 ・ 先入主があっては十年もすれば劣敗者となるばかりである・・・未だ充分検討の足りない学問に於てはとくに然りであって、大学で習ったことを後生大事に覚えている者の方が後れ、全部忘れてしまったものの方がかえって成功をするのである。 ・ 「最近のつまらぬ論文は読まぬ方が宜敷い。それよりもアリストテレスの書いたものでも読む方が為めになる」といわれたが、 ・ 今日の学説は明日の学説ならざるものが多いのである。 |
1310 2007-09-07 (Fri) 水中のボールが歪んで見える理由 宇宙空間から大気圏に進入するときの屈折現象はほとんど起こらないから考慮する必要がないことは理解できると思います。では[1302]で行った水中のCDを見る実験では、CDが大きく見えたのはどうしてなのかと思う方もあるかもしれません。これは真空の宇宙空間と大気との間の屈折率の違いは200〜400ppmという小さな量ですが、空気と水との間では30万ppmという大きな差があり、このことが原因で大きく見えるわけです。 ところで、大きく見えるはずの水中の物体も斜めから眺めると横方向には大きく見えるものの、縦方向には浮き上がるとともに寸詰まりになって歪んで見えてしまいます。 写真は月に見立てた二つのボールを空中と水中に設置して撮影したものです。 このことと、地平線上の月が大きく見えるという理屈が結びつかなくて、本当に大きく見える理由が屈折なのだろうかと疑問に思う方もあると思います。屈折が起こっているのなら、月も縦方向に縮小して歪むのではないのかという疑問が生じるわけです。 これは地球が球体であることと、月までの距離が長く、屈折点からの距離がほぼ同じになることから説明することができます。 水中のボールを見るときには屈折点からボールまでの距離が大きく違うためにボールは楕円形に歪んでしまいます。理解し難いかと思いますので、図を使って解説をしておきます。 屈折点B、Dからの距離が月を見る場合と、水中のボールを見る場合とでは、明らかに違います。どちらも、屈折による角度の変化Δθ(θr−θi)(θr:屈折角、θi:入射角)はB点の方がD点よりも大きくなります。しかし、移動量はTanΔθに距離を掛けた値ですので、水中のボールの場合はCD>ABですからC点のほうがA点より多く移動します。したがって横方向に平たく歪んでしまいます。 月の場合はCD垂`Bですから、角度差(Δθ)が大きくなる分だけA点のほうがC点よりも移動が大きくなりなります。したがって拡大して見えるわけです。 月が屈折によって大きく見えるということが、なかなか信じられない原因は、お風呂などでも身近に観察できる横方向に歪む現象を見ているから、ということもあるのではないでしょうか。 2chの議論でも、月の形状を気にする方があります。縦と横の倍率が違うはずだから、月がどのように見えるか計算してみろ、と言う意見のようです。これは水中のボールが歪む現象に気をとられておられるのでしょう。月の場合はCD垂`Bですから、月の形状が歪むことはありません。拡大率はΔθの値だけで決まってきます。 |
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