新・地震学セミナーからの学び
20 大陸はマントルの上に浮いているのではない
ニューオフィスOでも述べたように、大陸は熱が奪われやすく、冷却が早くて、地殻が厚くなっているのですが、定説はそのようになっていません。別冊日経サイエンス「地球のダイナミックス」の中にある記事から、その一節を紹介します。

山はなぜ高くそびえていられるか

山が高くそびえるためには、その基盤がしっかりしている必要がある。事実、ヒマラヤ山脈がのっかっているリソスフェア(地殼とマントル最上部)は、特に厚く丈夫なものである。丈夫だとはいっても、リソスフェアには弾性があるので、山脈の重量によって下に押し曲げられる。このことは、山脈の重量を広い範囲に分散させる役に立っている。アルプス、ヒマラヤ、ロッキーなどの山脈や、ハワイ諸島は、このようなメカニズムによって支えられている。

大陸の上は、激しい空気の対流で熱が大量に奪われるはずです。それだから、大陸の地殻は厚くなっているのだと思います。しかも高い山があるほど、冷却効果がよく効いて、地殻は厚くなるのです。

しかし、丈夫な基盤上でなければ高い山は存在できないというわけではない。海に浮かぶ氷山のように、厚い地殻がより重いマントルの中に深く根をおろしていれば、高山はその根の浮力で浮かんでいられる。チベット高原やアンデス山脈は、そのようなメカニズムによってそびえている。

それでは、山はそもそもどのようにして高くなったのだろうか。

大陸の上にある高山の下ほど、地殻が厚くなっているので、マントルという海に大陸が浮いていると考えると、わかり易いということで、アイソスタシーという用語を用いたのでしょうが、マントルが固体では、矛盾してしまいます。何よりも浮いているような大地ならば、起潮力によって、動いてしまうはずです。

火山を別にすれば、山は両側から押されて高くなったのである。したがって、横から押す力がなくなれば、山は崩れさってしまう可能性がある。丈夫な基盤の上にのっているヒマラヤ山脈、アルプス山脈、ロッキー山脈には崩壊の徴候はないが、深い根によって支えられているアンデス山脈やチベット高原は、崩れ始めているようである。深い根は高温のため力学的に弱くなっており、流動して上部構造の崩壊をたすけるものと思われる。

以上がその一部ですが、マントルは岩石であると言っているのに、浮力によって浮いているとか、流動するとか、流体の概念を使って説明するのはおかしな話です。ヒマラヤとか、アンデスのような8千メートル級の山岳地帯の下ほどモホ面が深くにあるのですが、浮いているのではなく、そこまで深く冷却されているということです。クーラーが早く大量に放熱するために、表面積を大きくする工夫をしているのと同じことで、高い山ほど放熱面積が増加して冷却が進行しているのです。何度も述べますが、マントルは、定説では固体の岩石ですが、新説の新地震理論では熔融マグマであるとしています。ただし、新説ではモホ面の下に、地震波を高速度で伝える地殻の第二層があって、その下をマントルとしています。地殻第二層は橄欖岩でできており、卵の殻のように薄いのですが、固くて剛性にとみ、地震波を遠くまで伝えます。マントルをしっかりと包んでいるものであり、マントルの上に浮いているような存在ではありません。

定説のこの考え方はアイソスタシーというものですが、流体力学の中の静水力学の概念を、固体力学に適用するという矛盾を犯しています。

セミナー 121 225 参照

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・マントル(二層構造の地殻の下部)が熔融していることについては「マントル熔融論の証明」(2009,10,09)を参照してください。

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