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961
2005/01/29(Sat) 13:57
パトロス
プレート論の混乱
[959]で遠州さんが述べておられたNHK番組の概要が次のページにあることを会員掲示板で教えていただきました。
http://www.nhk.or.jp/daisuki/galileo/onair20050122.html
実験によって説明する、と言われるとプレート論が如何にも証明された真実であるかのごとく受け取られてしまいそうですが、前提が間違っておればいくら実験であっても意味のないものになってしまいます。
記事にはいくつかの間違いがありますので、気が付いたことをコメントしておきたいと思います。
@ 濃尾地震というとても大きな地震が起きました。
この地震では地面がいっしゅんにして6mも上がったところがあります。
一瞬にして6mというのは間違いですね、地震の後からズルズルと動いてあのようになったことを農夫が目撃していたと石本博士が伝えています。ライブラリー6 http://www.ailab7.com/lib_006.html#lcn006
を参照してください。
A 地震が起きたばしょには必ず断層があります。・・・地震のもとをたどっていくと必ず断層があります。地震の源は断層なのです。
これも違いますね。「地震のもとをたどっていくと必ず断層があります。」とはどうやって確認したのでしょうか、小さな地震では断層などできないと思います。少なくとも地表には現れません。
B 両側からおして地層に力をくわえると、地表の一部が盛り上がり、さらにおすと断層ができました。
この実験では逆断層はできても正断層はできません。
正断層(上盤が沈降し、下盤が隆起するくい違い)は両側から引っ張らないとできないからです。そのような引っ張り力はプレートの動きからは生まれません。断層がプレートの押し合う力によってできるのならば、逆断層しか出来ませんが、現実には正断層も出現するのです。
C みそしるの入ったなべを温めると、温まった部分のみそが下からわき上がってきます。
これは液体だからそうなるのであって、固体のマントルを味噌汁に置き換えることは出来ません。確かに熔融マントルはこのような原理で対流していると思います。むしろこの実験はマントルが熔融していることを認めているようなものです。
D 水あめを温めると対流をおこし、スチロールの板がゆっくり動いて近づき、やがて板はぶつかりました。
固体であるというマントルを液体である水あめで置き換えて実験してもプレート移動の説明にはなりません。
それよりも、水あめの対流に乗ってスチロールが移動するという解釈は通説論としても古いものです。
現在ではマントルが対流することよってプレートを移動させるだけの力は発生しないという認識になっています。それに代わって、プレート(スチロール)自体が冷却されて重くなり、自重によってマントル内部に沈んでいく・・・つまり、テーブルクロスがテーブルから床に滑り落ちるように、プレートが地球内部に沈んでいくのだと解釈されています。(・・・私にはとて信じられない事ではありますが・・・。)
プレート論の解釈自体が変化していますので、先般の質問のように「石田理論は通説の解釈がおかしい」というような混乱が起こってしまいます。この実験はプレート移動の解釈としても古い解釈です。新しいのも古いのもどちらも間違っていますが・・・。
E 波は浅くなるほど速度がおそくなりますが、後ろから速い波がどんどん来て重なるので大きくなります。こうして海岸にとう達するころにはきょ大な波になるのです。これが津波(つなみ)です。
これはムチャクチャな解説です。後ろから速い波がどんどん来て重なる・・なんてことはありません。専門的になるので述べませんが、津波が浅海域で大きくなるのはまったく別の理由です。
F 地震(じしん)を起こす大元の力はマントル対流です。マントル対流がプレートを動かし、プレート同士がぶつかったところでおし合って断層(だんそう)ができ、その力によって地震(じしん)が発生します。
前述のDで解説したように、現在のプレート論解釈ではマントル対流からプレートを動かすほどの力は生まれないということになっているので、この解説と結論はプレート論の立場からもおかしいと思います。プレートが移動するのはプレート自身の重みによって地球内部に沈んでゆくこと、テーブルクロスが床に落下するように・・・ということですから、解説者は最近のプレート論にも精通しておられないのではないでしょうか。プレート論者にもこのような混乱があるのです。「ガリレオに質問を送る」というボタンがありますから、誰か質問を送って見てください。
962
2005/01/29(Sat) 20:41
銀次狼
地球深部探査船「ちきゅう」
 お久しぶりです。
 今日のNHKの「サイエンスZERO」と言う番組で地球深部探査船「ちきゅう」が今年の4月から就航することを知りました。この船は海上から地球深部へ向けて穴を掘り、そのコアを取り出すことが出来るそうです。海底では、マントル層まで浅いので、約7000メートル掘り進める予定で、これによって、マントル層まで達して、マントル層の一部を採取し研究するのを目的としているようです。
 この地球深部探査船によって、マントルが熔融しているかどうかが分かるのではないかと興味深深です。ただ、マントル層まで小さな穴でも空けると解離性爆発を誘発する可能性があるのではないかと多少心配ではあります。
963
2005/01/31(Mon) 02:11
佐伯
リスト
リストはなにも分かっていない事を全て過不足無くリストアップすべきだと言っているわけじゃなくて、さしあたって何について議論するかの指針になればいいかなと思ったのですが。
どうせ議論するなら分かっていない事、特に「分かっていない重要な事」だと、私は思うので。
とりあえず分かっている事も含めて挙げると
・どのようにして解離ガスが発生するのか
・どのようにして「爆発の方向」が生じるのか
・何故「爆発の方向」以外の方向には引く力が生じるのか
・どのようにしてS波が生じるのか
・何故押す力と引く力が等しいのか
それで、私が石田理論から読み取れた答えは、

・どのようにして解離ガスが発生するのか。おそらく熱解離だと思われる。
・どのようにして「爆発の方向」が生じるのか。不明。
・何故「爆発の方向」以外の方向には引く力が生じるのか。発生する熱の影響を無視すれば2(H2)+O2→2(H2O)の反応で分子数すなわち体積が2/3になるから。さらにH2Oが液化すればもっと体積が減るから。
・どのようにしてS波が生じるのか。不明。
・何故押す力と引く力が等しいのか。不明。

964
2005/01/31(Mon) 02:14
佐伯
無題
昨日も963とほぼ同じ書き込みをしたのですが、削除されてしまいました。
原因は「問題点を挙げるだけで自分の考えを示さなかったから」だと思うので、自分なりに考えてみました。
「どのようにして爆鳴気が発生するのか」を軸にモデルを組み立ててみます。
いろいろ考えてみたのですが、地中に液体の水の層と高温の壁が存在し、解離自体は水の層内、高温の壁に接する部分で起きて、発生したガスが水の層のさらに上に溜まってガス溜まりを作るという結論になりました。
爆発が起きる直前の段階まではガス層はそれなりの低温に保たれているはずです。
熱で水が分解されるような温度では水が合成される反応も起こるはずあり、水蒸気⇔水素+酸素が安定して交換されるような状態(平衡状態)になってしまって爆発は起きません。
また水蒸気→水素+酸素は体積が増える反応なので、超高圧の地底では爆鳴気ガスの濃度はさほど高くならないと思われます。(本当のところはどうか知りません。誰か計算してください。)
つまり、爆発が起きるためには発生した水素と酸素を解離が起きる高温の領域から離して、水素+酸素→水蒸気の反応が起きない低温の領域に溜める必要があるという事です。
気体には交じり合う性質がありますから、分離するためには気体を一方向にのみ通過させる事のできる物質、つまり液体が必要になります。(ちなみに電気で分解されるとしても、やはり液体の水は必要です。)
ガス層の温度についてもう少し詳しく考えてみると、水素の着火温度は常圧で500℃ですから、それよりは高いとは考えられません。(実際には気体の密度が上がると分子同士の衝突頻度が増えるので、着火温度はこれより低くなるような気がします。が本当にそうなるかはわかりません。物理に強い人教えてください。)
また液体の水が存在できる温度の上限は374℃ですから、それより低いと思われます。(液体無しで解離ガスを高温領域から隔離できる仕組みがあれば話は違ってきますが。)
そして水がすっかり無くなってしまうとガス溜まりの温度が上がり始め、着火温度を超えて爆発に至ります。
別の方向から見ると、爆縮による内向きの圧力が爆発による外向きの圧力と同じ大きさなわけですから、すなわち、ガス溜まりの圧力はきわめて大きいはずです。

何故なら、爆縮による内向きの圧力は本当は存在しないからです。(一部の人が「真空が真空パックを内から引っ張る力」だと考えているものは、「真空パックにかかる大気圧」です。外からの圧力に対抗する力が無くなった事が、あたかも内向きの力が発生したように見えるだけです。)
まあ、他の要素を考えてみてもガス溜まりは(周囲の岩盤の強度によって支えられているいるわけではなく)ガスの圧力によって崩壊を防いでいると見て間違いないでしょう。
で、残る4つの問題ですが、
「何故押す力と引く力が等しいのか」は「何故「爆発の方向」以外の方向には引く力が生じるのか」と切り離して考える事は不可能ですし、「何故「爆発の方向」以外の方向には引く力が生じるのか」を「どのようにして「爆発の方向」が生じるのか」と切り離して考えるのも不可能です。
また、「どのようにしてS波が生じるのか」ですが、これは押し引き分布が発生すれば押しと引きの境界部はねじれるより他ないと思うので、これも「どのようにして「爆発の方向」が生じるのか」に放り込めます。
つまり、「どのようにして「爆発の方向」が生じるのか」という問題ただ一つを考えればいいわけです。
で、その問題の答えですが、正直なところ私には見当もつきません。
地上で(いや、地上に限らず)そのような現象が起きた例を私は知りませんし、一応仕組みも考えてみたのですが、解決される問題の数より多い、しかも困難な問題を新たに生み出すような仕組みしか思いつきません。

965
2005/01/31(Mon) 03:22
佐伯
無題
ちなみにその仕組みというのは、例えば、ガス溜まりが途方もない強度の巨大な筒に包まれていて、穴の開いた方向にしか爆発の圧力が伝わらないというものです。
地上に存在する指向性のある爆発というものの一部はこの「強度でもって外向きの圧力に耐える」ですが、内向きの圧力が発生するわけではありませんし、仮に発生しても筒に遮られてしまって外に伝わりません。(落し蓋を逆さにしたような構造なら内向きの圧力だけを外に伝える事も一応、可能ではありますが…。)
また、ある領域(A)のガスの反応によって発生した熱が、別の領域(B)に属するガスの方に流れ込めば、A領域は分子数の減少の影響だけを受けて収縮して内向きの圧力を生じ、逆にB領域は熱の影響が分子数の減少の影響を上回って膨張して外向きの圧力を生じるというのも考えました。
言うまでもなく熱力学第二法則に反します。A領域からB領域に熱が流れ込むのではなく、A領域の熱は(圧力を増大させる前にすばやく)発散してB領域の熱は発散しないというのも考えられますが、同じ反応のはずなのになんでそんな差が出るのかという疑問が残ります。
あるいはA領域では水素+酸素が熱を発生することなく水に変わる特殊な反応が起きているというのも考えられますが、ヘスの法則に矛盾するような気がします。
966
2005/02/10(Thu) 21:41
銀次狼
Re:[962] 地球深部探査船「ちきゅう」
上毛新聞に載っていました。探査船「ちきゅう」公開
「ちきゅうは、科学研究目的の深海探査船では初めて海底油田の掘削技術を導入し、海底下7000メートルまでの掘削が可能。海洋の地殻は厚さ約6000メートルのため、同船ならマントルにも到達できる。」

地殻に穴を開けてマントルに到達しても大丈夫でしょうか?

967
2005/02/10(Thu) 23:29
パトロス
Re:[966]地球深部探査船「ちきゅう」
銀次狼様
地震は解離ガスの爆発現象であるとすれば、これは大変危険なことだと私は思います。小規模なボーリングであるから解離ガスの発生は少ないのだとしても、小規模な爆発が起こって7000メートルまでの掘削は失敗するのではないかと思っています。
968
2005/02/11(Fri) 11:00
パトロス
NHK「大津波に備える」を見て
昨夜はNHKテレビで難問解決!ご近所の底力「大津波に備える」を放映していました。
その中の解説でも、新聞報道と同じように津波発生の仕組みはプレートの跳ね上げにより、隆起した部分(西側)と沈降した部分(東側)ができるからであるとしていました。もしこれが本当だとすれば、同じプレート境界型地震(私はこれを疑問に思っていますが)と言われる東海地震や東南海地震で発生する津波は陸域には引き波が押し寄せる筈です。したがって波が引いたら逃げ出せばいいわけですから、人的被害を大幅に軽減できます。
しかし、実際には日本沿岸を襲った津波には最初に押し波がやってきたので、逃げ切れずに波にのまれたケースも多いわけです。津波発生の理屈はhttp://www.ailab7.com/sumatra3.jpg
にあるように、解離ガスの爆発の方向によって決まるのであって、必ずしも陸側に引き波が襲来するわけではないことを知っておかなければなりません。
969
2005/02/24(Thu) 14:17
パトロス
プーケット島32センチ移動
スマトラ沖地震でバンコクが9センチ、プーケット島は32センチ移動したと時事通信が伝えている。

【バンコク23日】タイの名門チュラロンコン大学の研究者は23日、12月26日のスマトラ島沖のマグニチュード(M)9の巨大地震でバンコクが南西方向に水平に約9センチ移動したとの観測結果を発表した。同大学のイッティ・トリシリサッタヤウォン氏が同日付のバンコク・ポスト紙で語ったところによれば、GPS(全地球測位システム)衛星を使って1月20-24日に測定した結果、観光地プーケット島も南西方向に水平に約32センチ動いた。

以上がその報道ですが、バンコクやプーケット島が引き領域に入っているために、震源に向けて移動したものと思われます。上下の動きに関する報道はありませんが、沈降しているのではないかと思われます。

970
2005/02/24(Thu) 20:08
パトロス
沖合いの島が20メートル移動
そう言えばスマトラ島沖地震で20メートルも移動したというニュースがNIKKEI NETにありました。

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(12/29)岩板、20メートル水平移動も・スマトラ島沖地震で専門家
 米国地質調査所(USGS)の専門家は28日、スマトラ島沖地震によってインド洋の底にある巨大なプレート(岩板)が20メートル程度水平に移動した可能性があるとの見解を示した。巨大地震のエネルギーのすさまじさを示すもので、同地域の地図の修正が迫られることになりそうだ。
 USGSパサデナ事務所の地球物理学者ケネス・ハドナット博士によれば、スマトラ島の西沖合にある小さな島々が今回のマグニチュード9.0の大地震で元の位置より南西方向へ「20メートル程度ずれたとみられる」という。
 大地震の引き金となった断層の影響で、島々の下にあるプレートが移動したためだ。正確な移動距離や方向を知るには今後、全地球測位システム(GPS)などを利用した精密な測定が必要になる。
 また大地震の巨大なエネルギーで、地球の地軸もわずかながら揺れた可能性が高いという。(ワシントン=吉田透)
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以上がそのニュースです。「スマトラ島の西沖合にある小さな島々」と言うのは震源地に近いということですから、震央での海底変動は相当大きなものであったように思います。

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