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541
2003/07/18(Fri) 20:47
パトロス
ANSの観測法が有効である理由
そうですね、これまでにセミナーの各所で取り上げてありますが、一覧にしたものはありません。試しに作ってみました。
@リスボン大地震では、ドイツのアウグスブルグで、教会のコンパスが狂ったことをカントが報告しています。ボイルの法則で有名なボイルも同じ現象を報告しているそうです。

「地震の報告」より
「私は、あの恐ろしい日、万聖節、アウグスブルクにあった磁石がその役目を放り出し、そして磁石の針が混乱におとしいれられたのを、黙って見すごすことはできない。ボイルは、すでにナポリの地震の後、突然これと全く同じことが起こったのを報告していた。われわれは、この現象について根拠を示してくれる磁石の隠れた性質は僅かしか分かっていないのを承知している。」

Aカントの「続・地震の報告」には、スイスからの報告として次の文章があります。
「スイスから報道された大層不思議な観察は地震に磁気の物質の協力があることを保証しているようにみえる。そこでは磁石が地震の間、糸でつるされていた垂直の方向から数度それていたのである。」

    以上はカント「地震原因」他五編 内田老鶴圃より
B唐山大地震での電磁波異常はライブラリー2
http://www.ailab7.com/lib_002.html#lcn002
に紹介してあります。
C安政の大地震で江戸浅草の眼鏡屋さんの店先にあった磁石が無効になった話は、
http://www.ailab7.com/page02.html#lcn002
に紹介しました。
D有名なギリシャのVAN法というのは、地震前の異常な地電流を観測しようとするものです。ギリシャでは地震予知に成功していますが、日本では雑音が多いから、使えないということになっています。それでも研究しようとすると、何故見切りを付けないのか、と糾弾されるような雰囲気があるようです。

E発光現象というのは、ガスが燃焼する場合もありますが、それ以外は強力な電磁波が発生している証拠であると考えられます。
とりあえず、このくらいにしておきます。気がついたら補足していきます。
コンパスで観測する理由は、地電流の周囲に発生する局所的磁場がコンパスに影響を与えるからです。磁石の落下を観測するのは、地電流の周囲に発生する磁場が、水平方向の磁力を相殺する可能性があって、磁石の効力が短期的に失われることが期待されるからです。

ANSが採用している観測法の妥当性を納得していただけたでしょうか。

542
2003/07/19(Sat) 15:51
パトロス
大地震の予報発表の難しさ
”くるぞーくん”の地震予兆電磁波ノイズ情報
          提供: 新産業ディベロパーズ
          地震予知プロジェクトチーム

と言う組織があって、そこのHPの掲示板
http://8114.teacup.com/matsunaga/bbs
に次のような「仙台M8クラスの地震発生を想定する」という事務局担当者の書き込みがあります。
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仙台観測点データ収束 投稿者:事務局 松永  投稿日: 7月19日(土)09時30分38秒
事務局松永です。
15日に書き込んだ後、再度データは増加に転じたことは、
ホームページにも掲載したとおりです。
しかし、17日夕方からの傾向は、確実に収束と見えます。
M8クラスの地震発生については、観測を開始してから、
まだ未経験ですから、収束してから発生までの期間が
読めません。
半日か、一週間か、一ヶ月か。

従来、3〜5日でしたので、とりあえず3日=7月20日を想定発生日としました。
--------------------------------------------------
とりあえず7月20日が地震発生想定日ということですが、私には納得できないものがあります。
少なくともANS観測網では震災被害が懸念されるM8クラスの浅発地震というような大地震の発生する兆候は何もでておりません。本当にそのような浅発大地震が発生するのなら、退避行動を呼びかけねばなりませんが、この組織の会員ではありませんので、「各観測点のデータグラフ、見解は、会員ページをご覧ください。」と掲示があっても、見解は読めません。しかし、M8クラスの大地震が発生すると言うアナウンスだけは非会員にも見えてしまいます。
掲示板の説明で、「但し、書く方、読む方ともに自己責任でお願いします。」とありますが、データグラフも見解も読めないのに、自己責任で判断せよ、というのは納得し難い思いがいたします。

想定が外れた時の責任は取れるのかと思うと、将来ANS観測網に広域異常が出現したときのアナウンスのしかたも難しいなあと考えさせられております。

543
2003/07/19(Sat) 19:14
パトロス
宮城県沖M7.0地震の余震が続く理由
5月26日に発生した宮城県沖M7.0地震の余震は7月になっても、頻繁に続いています。気象庁のデータ、
http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/2003_05_26_miyagi/030526miyagi_count.pdf

を見ると、6月終わりまでに発生した有感地震は216回で、無感地震は507回だそうです。
このように頻繁に同じ場所で起こる地震のメカニズムは、弾性反発説(断層地震説)では到底説明ができないと思います。歪エネルギーが解放されて地震になるという解釈だと、本震で全ての歪が解放されると考えるのが、妥当だと思うからです。そして何百回も断層が動くとは思えないからです。

石田研究所の発震理論では、
http://www.ailab7.com/DVyosin2.html
に解説してありますように、解離水と結合水の間の可逆反応がその場の解離度に見合った状態で安定するまで、繰り返し生じているからであるとしています。
大きな地震であるほど、解離層の安定に時間が掛かり、余震も長く続くというのは合理的な説明ではないかと思います。
地震学者に聞いたことはありませんが、定説地震学ではどのような解釈をされているのか教えて欲しいものだと思います。

544
2003/07/20(Sun) 19:17
パトロス
ANSの観測法が有効である理由(2)
F中国宏観前兆現象研究家である戴峰氏の著作「大地震は予知できる」(グリーンアロー出版社)の中の「電磁波異常が引き起こすいたずら」の中に、中国軍用機のコンパス異常の話が出てきます。航空機事故の原因が地震時の異常電磁波による可能性を示唆する内容です。

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1976年8月23日、中国四川省で松藩地震が起きたが、これはそのほんの少し前のエピソード。このとき1機の中国軍用機が、ちょうど震源地の上空3000メート地点に差しかかっていた。機体はそれまでは何の異常もなく飛行をつづけていたが、突然非常事態が生じた。機体のコンパスが突然狂ったように振れたのである。

しかし、パイロットは少しもあわてなかった。「地震が発生するに違いない」と直感し、電磁気の異常などが機体に悪影響をおよぼすのを避けるため、速度をあげてその地点から離れたのである。

第一章の発光現象の項では、とっさの判断で列車を停めて地震の被害を回避した運転手の例を紹介したが、中国では国の防衛を担っている軍人にも広く地震の前兆現象知識が普及しているのだ。

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原典が何かは記載がありませんが、もし本当のことならば、民間航空機のパイロットも常識にしておかなければなりません。神戸の地震では、カーナビシステムが狂い、北を指すべき矢印が反転したと言う話が弘原海教授著「前兆証言1519 」に報告されています。また証言の確認ができませんが、東京でもコンパスが狂っていたと言う話が2chに載っていました。([444] 神戸の地震を東京で検知)

545
2003/07/21(Mon) 00:29
Tetujinn
地震の現象
地震は爆発では説明が付かない。
爆発と言えば地下の核実験が該当するが、爆発は力の伝達スピードが早すぎて、衝撃波に変わる。
つまり、土に力が伝わらず、震度6や7の揺れを起こすことが出来ないのだ。
例えば、隕石の落下も衝撃波で、せいぜい震度3程度だ!
では、震度7を造る力は通常の力学的な力なのです。
この力を作り出すのは、火山灰が触媒になるからです。
つまり、火山灰は水蒸気爆発を起こさせない性質を持っているのです。
現象として、マグマの熱源が地下水と反応して水蒸気となり、蒸気圧で大地を持ち上げ、押し広げるのです。
私は、試験管で実験してますから、絶対に間違い有りません。
実験の方法を書き記します。
1、試験管に火山灰を半分以上入れます
2、さらに冷たい水を入れます
3、試験管の底をアルコールランプで熱を加えます
結果
シラスの中央に空洞が発生し、水位が上昇します。
さらに、シラスの上に砂・小石等を置きシラスそうに上部に圧力をかけると、空洞のバランスが取れなくなり、振動を起こし、何度も繰り返します。
あくまで、地震は、スピードの遅い力学的な力でないと、大地が波を打たないのです。これは、水も同じです。
私の実験レポートが読みたければ、メールを下されば添付メールで送ります。読んで下さい。
http://chance.gaiax.com/home/tetujinn/main
546
2003/07/21(Mon) 01:06
パトロス
非プレート論者はどこへ?
少し古い本ですが、1975年発行の「地震・予知と防災」(朝日新聞社編)という本にプレートテクトニクス理論に真っ向から反対する地質学者の話が載っています。
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さきごろ発刊された『日本の地震』(築地書館)は、地質学者による地震学の本である。そして、著者の鈴木尉元(やすもと)・地質調査所主任研究官は、世界の主流を占めるプレートテクトニクスに真っ向から反論する少数派である。プレートテクトニクスについてはすでに詳しく説明したが、この理論では、地震の根源は横からの力にある。これに対して、鈴木氏らの上下運動説は根本的に違う。

日本列島はいくつかの大ブロックにわかれ、そのなかでまた無数の小ブロックに区別される。そして、それぞれが独立して隆起、沈降する。ギシッと隣同士がすれ合えば、それが地震、という主張だ。水平に対する上下。人数からいっても、面白味からみても、上下説は分が悪い。しかし、鈴木氏は意気高い。「水平のカでは造山帯を説明できない。二つの理論の、どちらが地震に有効か、予知で勝負を決めよう」

地質学者は元来、学説の対立から憎しみ合うことで定評があった。鈴木氏はこの常識を破って、著書には反対派、つまり水平派(プレートテクトニクス派)の参考文献や人名索引をずらっと並べた。これも、地質学者が変わってきたことを示す一例といえるだろう。

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以上が紹介ですが、「鈴木氏らの上下運動説」というのは、ライブラリー29,30
http://www.ailab7.com/lib_029.html#lcn029
http://www.ailab7.com/lib_030.html#lcn030
に紹介したロシアのベロウソフ教授らの学説です。鈴木氏以外にも、地質学者にはプレートテクトニクス理論に反対していた方がおられたはずで、ライブラリー28,31
http://www.ailab7.com/lib_028.html#lcn028
http://www.ailab7.com/lib_031.html#lcn031
にも紹介してあります。またセミナー[114]
http://www.ailab7.com/log/eqlog111-120.html
に紹介した、「地震:地震学者と地質学者との対話」というシンポジュームでも、地質学者は地震学者にプレート説、断層地震説を懐疑的な目で質問をされていたはずです。
今では地質学者も、プレート説に改宗してしまったのでしょうか、非プレート説を唱える方の声が(星野先生を除いて)浅学の私の耳には聞こえてきません。
地震は爆発現象であるという石田理論では、鈴木氏たちのブロックテクトニクス理論を支持するわけではありませんが、プレートテクトニクスを否定するという立場では同じ立場です。

547
2003/07/21(Mon) 01:38
パトロス
Re:[545] 地震の現象
> 爆発と言えば地下の核実験が該当するが、爆発は力の伝達スピードが早すぎて、衝撃波に変わる。
ライブラリー33
http://www.ailab7.com/lib_033.html#lcn033
にありますように、核実験による地震波は、自然現象の地震波形よりもシンプルな波形(押し現象だけで、引き現象がないから)になりますが、概略同じような波形で地震計によって検知できます。地震の研究に使用されている人工地震とはダイナマイトの発破によって行われています。よって、「地震は爆発では説明が付かない」という御説には、首をかしげざるを得ないのですが・・・。

いずれにしましても、地球の内部は誰にも直接には見えないのですから、地震現象を合理的に説明できる説を見つけ出す努力が必要だと思います。その意味で、プレート説だけでなく、色んな説があっていいと思うのですが、現状ではプレート説一色になっているのが、地震学の進歩を遅らせていると思います。

御説では火山灰が存在しない地域での地震発生が説明できないように思うのですが・・・。いかがでしょうか。

548
2003/07/21(Mon) 22:30
パトロス
ANS観測網はきっと大地震を検知する
[546]で紹介した、1975年発行の「地震・予知と防災」(朝日新聞社編)という本に、大分地震(1975,4,21)における発光現象の話が載っています。
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最も新しいところでは、一九七五年四月の大分地震(二十一日午前二時三十五分発生)の際に発光現象が現れている。
東大地震研究所の村井勇教授は、地震のあと四月二十七日から八日間、大分県下の震源付近で活断層の分布調査などをおこなったが、そのとき、多くの住民からこの話を聞いた。

たとえば、九重町の九州横断道路そばのドライブイン経営者夫婦と数人の従業員は、下から突き上げる激しい揺れにたたき起こされたとき、窓が真っ赤に染まっているのを見た。本震の前の小さな前震がドーンという大きな地鳴りをともなったので、てっきり「爆弾を仕掛けられた」と、経営者は考えたそうだ。被害の大きかった湯布院町花合野では、出張のために深夜、戸外に出た会社員が、震源域の上空がパァッと明るく変わったのを見た。「なにかあるな、と首をひねったとたんに地震が来た」

さらに、夜遅くまでシイタケの乾燥作業をしていた同町倉本の栽培農家では、戸がガタガタと小きざみに揺れるのと同時に、外の空が明るくなったのに気づいている。
こうしたことがあって、三十分後に本震の大揺れが襲っているので、「本震の少なくとも三十分前から発光現象が続いていたのは確かだ」と村井教授はいい、「短い調査期間だつたが、目撃した人が四、五組もあったほか、別の目撃者から話を聞いたという人がたくさんいたので、発光現象のあったことは間違いない。とくに、本震の三十分も前に現れたのは興味深い」と注目している。

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村井教授は「本震の少なくとも三十分前から発光現象が続いていたのは確かだ」と述べています。発光現象が起きるほどの時には電磁波メーターがきっと検知すると思います。コンパスはもっと早い段階から反応するはずですので、ANS観測網はきっと大地震を検知できると考えております。

因みに高圧電線の下では、手に持った蛍光管が発光することが知られていますが、今までに高圧線の下で計測した結果は、どこでもたいてい0.6mGという値を示しました。

549
2003/07/22(Tue) 16:37
パトロス
28年前の朝日新聞社会部の見識
28年前に書かれた「地震/予知と防災」(朝日新聞社編)にある記事ですが、中国の地震予知成功から、日本の地震学者は何も学んで来なかったようです。記事の内容はそっくり現状の地震関係者への苦情になりそうなものです。抜粋して紹介します。

-----------------------------------------------------
自然現象や動物の状態が、地震の前に異常に変化する例は、わが国でも無数に語り伝えられている。専門家たちが「非科学的だ」と退けてきたそうした伝承に、中国ははじめて組織的な学問の光をあてた。だから、中国の予知成功をうさんくさ気に見る目が、まだ日本にはある。

だが、果たしてそれでいいのだろうか。
・・・・・・

感度鈍い学者たち
「中国の学者を招いて、京浜地区を診断してもらえ」。予知成功のニュースを聞いて、地元の代議士がこう叫んだという。予知の方法をそのまま日本に生かせるのではないかという一般の期待は高まっているが、しかし、専門家の反応は冷たい。

たとえば、気象庁の**地震課長。「地質構造が単純な中国の地震は、いわば乳がんなんだ。とても、わかりやすい。日本のように地震がめったやたらに起こると、どれが前震で、どれが余震なのか、区別さえむずかしい。こちらは、肺がん、肝臓がん。診断は容易でない。」

地震予知連絡会の**会長(東大名誉教授)ですら、こういう。

「短期、長期の両予報に成功したのはお見事。だが、日本の場合、地質構造が複雑な上@乱開発で地表面をいじり回している。A海底を震源とする地震が多い、などから、残念ながら前兆をつかみにくい」

・・・・・・
「地殻変動にせよ、微小地震にせよ、中国で予知に利用したことは、日本でも一応、試みている。新しいことはなにもない」と見向きもしない専門家も、なかにはいる。

学者が、自分の分野では参考になりそうもないと判断して、反応が鈍くなるのはわからないことではない。だが、そういう学者たちは本当に中国の予知方式を調べつくしたのだろうか。それもせず、頭から参考になるまいと決め込んでしまうのは、予知のための新しい知識や発想を拒否することにならないか------こういう声もある。

 こと中国の地震予知に関しては、ごく一部の地震学者の間に早く中国の学者と接したいという熱意が見られはするものの、全般的にいって専門家の立ち上がりは遅い。それに比べて、実際に見聞してきた人たちのほうが、はるかに積極的である。

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以上です。さすがに朝日新聞の社会部編集陣は偉いものだ、という気もしますが、それならば、今も同じ論陣を張ってもよさそうなのに、社会情勢が変わると、ころっと変わるようです。科学的真理の探求という面とは違う要素で論説もなされるのでしょう。

550
2003/07/22(Tue) 18:39
パトロス
プレート論の破綻か?
日本の背骨とも言うべき三本のアルプスが沈降していると言う話が
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20030722-00000037-kyodo-soci
に載っていました。
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日本アルプス、謎の沈降 国土地理院観測で判明

 日本アルプスのほぼ全域が、年間最大5ミリのペースで沈降していることが、国土地理院の衛星利用測位システム(GPS)観測で22日までに分かった。

 一帯は地殻変動で東西から押されているため、本来なら徐々に盛り上がるはず。沈降は、数年だけの短期的な現象なのか、地殻活動が変化を起こしているのか−。謎の沈降に、研究者も首をひねっている。

 地理院は、全国約1200カ所に配備したGPS観測網で地殻変動を観測している。村上亮総括研究官らは、1996年から6年間のデータを使い、列島各地の高さの変化を調べた。

 その結果、長野、新潟、富山、岐阜、山梨、静岡県にまたがる北、中央、南アルプスの一帯が徐々に沈んでいることが、初めて判明した。沈降は、最大で年間約5ミリだった。(共同通信)

[7月22日8時23分更新]
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「一帯は地殻変動で東西から押されているため、本来なら徐々に盛り上がるはず。」なのに、沈降しているのだそうです。現在の地球科学の世界では、水平移動派(mobilist)が優勢のようですが、垂直昇降派(fixist)が息を吹き返しそうなデータなのではないでしょうか。両者が対立していた時代の話が、

http://www005.upp.so-net.ne.jp/fung/miscellany/education.html
に載っていました。
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戦後日本のアカデミズム地質学
 科学パラダイムをめぐっても厳しい対立があった。前者は機械論メタパラダイム,後者は有機体論メタパラダイムの陣営に属していた。とくに岩石学への熱力学導入をめぐって激しい論争が行われた。一方は実験岩石学や同位体年代学の成果を大いに取り入れ,自然を解釈しようとした。他方はこれを物理化学主義として排斥し,地質学は歴史科学であって地質学独自の法則性があると主張した。

 プレートテクトニクスをめぐる論争にも引き継がれた。前者は水平移動派(mobilist)に,後者は垂直昇降派(fixist)に属した。60年代初頭大洋底拡大説が出たとき,中央海嶺で広がり続ければ地球は膨張するしかないと批判された。このとき島弧である日本から本質的な貢献が行われた。(中略) それらの成果も踏まえて沈み込み帯の概念が提出され,60年代末にプレートテクトニクスが誕生した。一方後者の陣営は,ソ連のベロウソフが提唱したブロックテクトニクス説を奉じて陥没説を唱え,グリーンタフ造山を論じた。(中略)ベロウソフがロシア卓状地のような安定陸塊での経験を普遍化しようとしたと同様,特殊な時期の特殊な地域での現象を造山運動一般に外挿したことに問題があったと言えよう。

 このように華々しく論戦が展開されたが,畢竟,実社会から遊離した象牙の塔の中での空中戦であった。
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今は空中戦もなく、ひたすら迷路の中をさ迷っているのではないでしょうか。

因みに石田理論は水平移動派(mobilist)にも、垂直昇降派(fixist)にも加勢いたしません。どちらかと言えば垂直昇降派に近いかもしれませんが、昇降の原動力は水の熱力学的化学反応にある、とするものです。

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