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2007-08-10 (Fri)
地震波伝播経路の矛盾
それでは、地震波はマントル内部を通過せずに、どこを通って、地球の裏近くまで届くのかということが問題になります。
もちろんP波(粗密波)は液体中でも伝播しますので、地球中心に向かって伝播し、震源の裏側に直接到達する波がたしかに存在します。このP波は固体(地殻)から液体(マントル)へ抜ける屈折のために、図のように収束されて、中心角が180度から142度の間にしか届きません。
しかし、それ以外の波はP波もS波も、二層構造(大陸部では最上部にある花崗岩層も含んで三層構造ですが)の固いカンラン岩部分を通って中心角103度付近まで伝播します。
この構造は光ファイバーで通信するのに似ています。コアを通る光が減衰しないで遠方に伝わるのと同じように、カンラン岩を通る地震波は減衰せずに遠くまで伝わるのです。
103度を超えると地球表面上で面的に広がっていますので、かなり減衰が激しくなります。103度から142度の間を地震波が届かない「影の領域」と言われていたことがありますが、現在ではかすかな波が届いていることが判明しているようです。

現在の地震学では、地球内部に内核、外核というものが存在し、そこで複雑な反射屈折をいていると解釈されています。しかし、少なくとも、S波はマントル部分を通過できないはずですから、地震波を使った地球内部の調査、つまり地球トモグラフィーには、基本的に誤謬があると思っています。
これに関しても、地震波が地球内部を通過することは、理論と観測値が(ほぼ完全に)一致することから証明済みのことであるという反論があることでしょう。
しかし、地球内部で反射屈折を繰り返してきた波をどのように判定して実測値であると認定しているのか・・・その手法の妥当性に大きな疑問を抱いております。
理論の助けを借りないと読み取れないような、複雑な波形の中から実測データであると認定するのはおかしいと思います。マントル固体説も、地震波が地球内部を伝播するというのも、また地震波速度が深さだけの関数であるというのも、すべて仮定であります。いくつかの仮定の上に成立する理論の筈ですが、その理論の助けを借りないと、読み取りが出来ないようなものを、実測値であるというのでは、理論が実測値によって証明されたとは言えません。
たとえば[1288]で紹介した震源の深さが、最初17kmと発表し、計算し直したら10kmだったというのも、走時表が正しいのなら、こんなに大きな違いは出ないはずです。ほぼ完全とも見える理論と実測の一致(ニューオフィス53の図ー2と図ー3)はあまりにも「合い過ぎ」ていて、かえってデータを恣意的に選択した可能性を疑わせてしまうのではないでしょうか。
地球科学では、いくつかのケースでこうした怪しげな証明作業が行われています。大陸移動が岩石の残留磁気から証明されたと言う話にも、実は納得しがたいデータの恣意的選択という問題が隠れています。

地震波の走時表(どこを通り、どれだけの時間で到達したかという図表のこと)に関しても、同じような恣意的認定が行われているような気がしてなりません。

注:地震波の伝播経路に関しては[1464]の「仮説修正」をご覧ください。
注釈:2008・7月[1464]にて、マントルは熔融しているが、衝撃的震動のS波なら伝播させる、と若干の修正をしています。

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2007-08-16 (Thu)
地震学と中越地震、医学と水俣病
[1240] 勇気付けられる意見で紹介した会員の方から、高額(5万円)の寄付をいただきましたので、以下のような謝辞とともに、「医学の世界で起こった水俣病などの公害」を地震学が引き起こすことが無いことを祈ってコメントを差し上げました。
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○○様
寄付金振込み誠にありがとうございます。

以前に in vitro と in vivo のお話をいただきましたが、
「岩石が高熱下でも固体として存在することは実験的に証明された事実である。」
と信じられているために、地球内部(2900kmまで)は固体であるという前提の上に現代地震学が成り立っています。
しかし、研究が進展して水が存在するだけで、岩石は簡単に熔融する・・・という事実が判明しても、マントル固体論を捨てる気配はありません。
マントルは固体ではなく、熔融していることを認めれば、定説の地震学は土台から崩壊しますが、定説を捨てることがないままに、CO2の地中封入というような愚挙が行われています。とくに火山帯に位置する日本では危険な行為となります。
プロジェクトが進行すれば、日本各地で封入が実施され、各地で悲劇が続出します。これは、医学の世界でも、水俣病などの公害が起こったのと類似しています。当時は判らなかった・・・・として謝罪が繰り返されるような気がします。

多くの悲劇を繰り返さないと、地震学が変更されないのかと思うと悲しいですが、微力ながら「地震爆発論」を言い続けるしかないと思っています。

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2007-08-17 (Fri)
地震予知研究の問題点
ある方から、学士会会報に載った上田誠也先生の講演録の情報をいただきました。
抜粋して要点のみを紹介しますが、日本では地震現象を解明しようという研究はなされてこなかったし、現状ではこれからも行われないであろうことがよくわかります。
このセミナーで繰り返し批判してきたことですが、「測地学的な観測事業」のみが莫大な税金を投じて実施されているのです。
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地震予知研究の歴史と現状
上田 誠也

■私は「地震予知」はほとんど無理だろうから、それに無駄なお金を使うのはバカげているなどと思いながら、東京大学の地震研究所に30年ほど勤めておりました。もっぱら別な研究をしていたのです。

■地震はなぜ起こるのでしょうか。それは断層が急激に動くことによってです。それによって、振動が起こり、大地が揺れるのです。

■なぜプレートが動くのでしょうか。簡単にいうと、プレート運動はマントル対流のあらわれです。マントルは固体ですが、ゆっくりゆっくりと流動しているのです。ではいったいなぜマントル対流が起こるのか。それは火の玉だった原始地球が今なお冷えつつあるからです。お味噌汁が冷えるときにお椀のなかに見える対流と同じようなことです。

■我が国の地震予知計画は、地震観測網を充実しなければいけないということから始まりましたが、それを熱心に行っているうちにそれが主な仕事になってしまい、予知という本来の目的を見失ってきた。(略)地震観測だけがとどまるところがない大事業になってしまいました。

■そのうちに阪神大震災が起こりました。もちろん予知はされませんでした。その効果≠ニいっていいかどうかわかりませんが、地震予知、特に「短期予知は当面不可能」ということになり、その研究すら放棄することになってしまったのです。国民の安心・安全に関わるお国の方針にこの重大な変化があったことを国民の皆さんはほとんど知らない。(略)国民の皆さんは「いまでも日本では地震短期・直前予知の研究を一生懸命やっている」と思っておいででしょうが、実はやっていないのです。憂慮すべき事態です。

■それまでの予知計画では、実際には前述のように地震観測ばかりで、(略)そういう「地震予知計画」を何十年続けてきたものですから、いまさらしてなかったとはいえず、「ついに前兆検知には成功しなかった。それは極めて困難であり、誰にもできないだろうから、当分はあきらめよう」という結論が出たのです。若い方々は前兆検知努力もろくに行われていなかったという現実をあまり認識されておらず、長年の虚報? を額面どおり受け取ったのかも知れません。

■しかしこれでは、地震予知計画はみなふっ飛んでしまいます。それでは困るので、「今後の地震予知研究では、従来の前兆探し的短期予知はあきらめて、基礎研究にもっと力を注ぐべきだ」という結論が出ました。これも良心的かつ反論しがたい結論に見えるし、当事者たちも正直そう思ったのでしょう。しかし、これは結果として、やってもこなかった架空の「従来の前兆探し的短期予知」に罪を押し付けて、短期予知研究をすべてやめてしまえという驚くべき風潮を正当化することになってしまったのです。そして実質的には基盤観測の名の下に、地震・地殻変動観測網整備・拡充のみをもっとやろうということになってしまった。かくて「短期予知は当分しなくてよいが、もっと予算がとれる」体制が確立しました。

■一時楽観論が盛んだったアメリカでは、このような失敗経験から、現在は悲観論に支配されています。中でも極端なロバート・ゲラー東京大学地震学教授は、「予知研究などやめてしまえ」と論陣を張っています。予知研究体制批判では私も彼の意見に理がなしとはしませんが、彼の地震予知不可能論は、いまではアメリカですら、ほとんど誰も相手にしなくなっています。それとは対照的に日本よりアメリカの影響の少ないロシアなど旧ソ連諸国、中国、ギリシャ、イタリア、フランス、メキシコ、トルコ、インドネシアなどでは悲観論はあっても、それに抗して活発かつまともな研究が進められています。悲観論が世界の大勢だというのは当たっていません。むしろ、アメリカが孤立しているのです。

■以上のように研究は進んでいますが、「短期予知」研究は全く入っていないのです。人員、経費ともに全体計画の1%も満たないまでも重大な成果が期待できるのに、それはなぜでしょう? それは先ほどからのお国の方針に沿ってか、膨大な経費を運用する一種の産官学共同体ができて、純粋に科学の論理だけでは話が進まなくなってきたことではないかと思われます。必要に応じて深さ2000メートル以上の深い孔まで掘って高感度の地震計を1000個も設置するにも、巨船をつくるにも多額のお金が動くし、しかもその予算措置は官ですから、大きな産官学共同体の作業です。そこでは科学以外の論理も重要になるでしょう。それはそれで社会の発展過程の一つなのでしょうから全面否定はいたしませんが、地球科学の最後のフロンティアとも言うべき地震予知研究が、科学の論理主導では動きにくい体制になってしまったとした問題ではないでしょうか。反省すべきは研究体制なのです。

■信じられないことですが、フランスが「DEMETER」衛星を打ち上げる前に、日本の上を通るときにデータを地上に吐き出すから受信してくれないか打診してきましたが、我が宇宙開発事業団は「オールジャパンとしては足並みが揃ってないから」との理由から断わったのだそうです。フランスは自国にはほとんど地震もないのに衛星を上げ、地震国日本はそれに協力もしない。これは一体どうしたことなのでしょう?

■ラストメッセージ
 「地震短期予知」は容易ではないが、不老不死の薬や永久機関をつくるのとは違い、普通の意味の科学的作業です。科学の正道を歩みさえすれば成功は射程内にあります。しかし、これには今の研究不在体制を変えるイノベーションが絶対必要です。さもなくば、それこそ当分は無理でしょう。私は地震観測をするなといっているのではありません。それも重要だが、人員と予算の1%でも「短期予知」に投じてはといっているのです。
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以上が要約です。
地震研究の第一人者でさえ、予知に興味を抱かれて地電流などの研究にタッチされたのは、研究生活の後半のことだったようです。
その先生が述べておられることですから、間違いの無いことですが、日本では地震に伴う前兆などの現象を忠実に観察しその原因を解明しようとする「科学的姿勢」というものが、地震学のベースになかったようです。それにもかかわらず、前兆を調べても検知は成功しなかったから・・・という理由で益々自分達のエゴ丸出しの「測地学的観測網」を推し進めているのは、もはや研究者というよりは事業者というべきかもしれません。
先生は反省すべきは研究体制であると述べておられますが、私は「地震学」そのものであると思っています。「断層が急激に動くこと」が地震であるという認識や「マントルは固体であるがゆっくりと動く」という認識或いは「プレートが潜り込んで、その反発で巨大地震が起きる」という「定説地震学」そのものが間違っていることに一番の原因があると思っています。
致命的な誤謬は「固体力学」の概念と「流体力学」の概念とが「定説」に都合のいいように勝手に解釈されていることです。「始めにプレートありき」・・・「プレート論は真理なり」というような「思い込み」が地球の真の姿を誤解させています。学校教育でも、教え込まれ「洗脳?」されていますから、脱出するのは並大抵のことではないのでしょうが・・・。
「地震現象」を真摯な姿勢で正確に把握し、「新しい地震学」を構築することが重要で、その前に研究体制だけを変更しても、成果は上がらないように思います。

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2007-08-19 (Sun)
地震対策のトップランナー 静岡県?
静岡県は地震対策のトップランナーなんだそうです。

これまでに投資した金額は、累積で約1兆4千億円余、平均すると毎年度約500億円をかけてきたそうです。資料は平成12年度となっていますから、現在ではいくらになっているのでしょうか、そしてどれだけの成果が上がっているのでしょうか。
上田先生の解説では短期予知の研究は最近ではやっていないそうですが、東海地震だけは別なんでしょうか。
いずれにしても、間違った地震観のもとに壮大な無駄遣いをしているように思います。
抜粋して紹介しますので、上田先生の解説とあわせて、このままでいいのかどうか、考えてみてください。
静岡県のページから入り、「ようこそ知事室へ」「談話室」と辿って、平成13年7月 安全 地震対策日本一! をクリックしてください。
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『 地震対策日本一! 』 〜地震対策のトップランナー 静岡県〜

世界一の地震予知観測体制
 静岡県には、高い精度の監視・観測施設が367箇所整備されており、そのうち89箇所の観測データはリアルタイムで気象庁に送信され、24時間体制で常に監視されています。
 この観測体制はまさに世界一で、これにより、国とともに、東海地震の予知に向けて全力で取り組んでいます。
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これまでの対策費は約1兆4千億円
 ・毎年度平均約500億円の投資額

 昭和53年に施行された「大規模地震対策特別措置法」により、静岡県全域は「地震防災対策強化地域」に指定されました。これを受けて昭和55年には「地震防災対策強化地域における地震対策緊急整備事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(地震財特法)が制定され、昭和55年度以降、これに基づいて各種の事業を実施しています。
 また、平成8年度からは、阪神・淡路大震災をきっかけに制定された「地震防災対策特別措置法」に基づく施設整備も行っています。
 これらの事業に県単独事業を合わせたこれまでの投資額は、累積で約1兆4千億円余。平均すると毎年度約500億円をかけて、事業を実施していることになります。
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先日、湘南地域に東海地震の誤報が流れた(「注」参照)という話が報道されていますが、東海地震を的確に予知してくれると考えている人はどれだけいるのでしょうか。あるサイトでは

「新地震学で解明する時期なのではないでしょうか?
もう旧地震学では地震予知など夢の夢。今回の中越地震で思い知らされました。」

という言葉がありました。

旧地震学から脱皮しないと、「地震観測事業」だけが延々と続き、地震現象の解明や地震の予知などは本当に「夢の夢」で終わるでしょう。
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(注)「東海地震」と誤放送

津波注意報で藤沢市
 神奈川県藤沢市は17日、南米ペルーで発生した大地震による津波注意報を防災行政無線で放送しようとした際、職員が機械の操作を誤り、あらかじめ録音されていた「東海地震注意情報」を放送するミスがあったと発表した。

 藤沢市によると、17日午前1時10分ごろ、「気象庁が観測した地殻変動などの現象から、東海地方を震源とする大きな地震の発生の可能性が高まった」などと東海地震の発生を伝える誤報が、市内全域の247カ所に設置されたスピーカーから流れた。
 藤沢市は約30分後に訂正放送を流したが、市や消防などには17日正午までに約500件の苦情が寄せられたという。
 藤沢市は「市民に不安を与えてしまい誠に申し訳ない」としている。

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2007-08-21 (Tue)
ペルー地震での発光現象
ペルーの地震ではリマの全域で発光現象が見られたようです。当時は雷光も、発電所の爆発も無く、光はリマ市西方の海上から発したそうです。
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Earthquake in Peru :
At 0:39, you can see a bright blue light iluminating the sky. These lights were seen all over lima and other colors seen were orange, yellow, grey, blue and green.
We have to keep in mind that in Lima there have never been any thunderlights and no explosions from electrical power supplies were reported in fact the light originated from the west of Lima, the sea.

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この発光現象は定説地震学では説明が付かないと思います。地震学者はどなたもコメンとを出せないのではないでしょうか。

地震爆発説では震源付近でプラズマ状態の解離ガス(水素と酸素の混合ガス)が高速度で地殻内部を移動するために生じるMHD発電のために発するのではないかと考えています。
ビデオでは2回の発光現象が認められますが、2回とも、発光直後に地震は発生していませんから、花崗岩が破壊(つまり地震の発生)する時に発生するものとは違うと思います。

なお、ペルーの地震は8月15日午後6時41分ごろ(日本時間16日午前8時41分ごろ)、と報道されていますから、ビデオの解説文に、16日0:39とあることから考えると、余震に伴う発光現象なのかもしれません。
松代群発地震では連夜のように夜空を照らす発光現象があったことは有名です。写真も撮られていますが、このようにビデオに撮られた発光現象は初めて見ました。
三河地震でも、何回も発光現象が見られたと「わすれじの記」(セミナー[726][730]など)にありますがこのような光であったのだと思います。

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2007-08-22 (Wed)
ペルー地震での発光現象(2)
ペルーの地震で見られた発光現象を撮ったビデオがもう一つありました。

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この映像を見ると、かなり頻繁に発光現象があります。
これは本震の後に起こったことのようですが、これまでの神戸や中越及び松代の地震体験者の話なども総合すると、地震に伴う発光現象は本震の前にも、本震の最中でも、このように本震後でも起こる現象のようです。
しかし、発光が見られても地震が起こらないときもあることを考えると、室内の実験で確認されるという花崗岩の破壊時に発生する発光現象とは違う現象のように思われます。
震源付近の解離層が不安定になっていて、解離した水素と酸素の混合ガスが高圧のプラズマ流体としてマグマの流れる管路内や破壊した岩盤の隙間を高速で移動することによって発電が起こっている(MHD発電)のではないかと思います。
これだけ明瞭な発光現象の証拠ビデオは多くの人に地震現象への関心を集めているようですが、地震学者からはそのような声を聞きません。定説の地震学を捨てることが出来ないからでしょうか・・・。
ある方から、竜宮の使いという深海魚が現れるのも、地震の影響でしょうかという質問を受けましたので、以下のようにお答えしておきました。
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地震時の発光現象は昔から知られている現象ですが、ビデオに収録されたのは初めてじゃないでしょうかね。
ただし、マスコミも地震学者も関心が無いようです。理由は現在の定説地震学ではなぜ発光するのか説明が付かないからです。地震学の間違いを認めなければいけないと思うのですが、いつまでたっても、役に立たない地震学にしがみついています。
新しい地震学「地震爆発説」(石田理論)では、MHD発電というメカニズムで地下に発電機構が瞬間的に出来る・・・ということで発光の原理が説明できます。

竜宮の使いという魚は普段は深海に住む魚ですが、大地震の前には昔から浮上してくることが知られています。原因は海底地下でMHD発電が起こって、電流や電磁波が発生すること、あるいは熱水が噴出したりして、海底の環境が変化するからではないかと思います。
プレートが跳ね上がるとか、断層がずれるというのが地震の原因ならば、地震が起こるまで深海に異常は発生しないはずですから、地震の前に深海魚が浮上することはないはずです。
ただし竜宮の使いが浮上すると必ず地震が起こるというわけでもないので、冷静な対応が必要ですけどね。

難しい話になってすみませんが、マスコミ報道、地震学者の解説には一定の疑いを持って聞いてくださいね・・・。

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2007-08-23 (Thu)
神戸地震での発光現象体験談
これほど明瞭な発光現象をビデオで見せられても、まだ「電線のショートだとか、電球が割れて発光する。」ということで地震現象とは関係なしと考える方が居られるということは大変に驚きます。
ニューオフィス54にある国会の議論でも、「原因のわからない現象を扱うのは非科学的だからやれない。」という地震学者の態度を政府委員が「学者の皆さんのやっていらっしゃることは、これはおかしい、」・・・と叱責していますが、一筋に研究してこられたであろう研究者の頑迷さを感じます。
なぜ発光するのかを探求するのが科学のはずですが、発光する理由がわからない、理由のわからない現象を研究するとは非科学的な似非科学であるというような議論を平気でする人が世の中には居られるようです。
しかし一部の地震学者の中には、「現在の地震学は、地震波や地殻変動などを通して、力学現象としての地震像の理解に努めてきたが、それ以外の側面に対して目を向けない、偏った取り組み方をしてきた。」・・・という反省(名大地震火山・防災研究所 安藤雅孝センター長のあいさつ文より)の上に立って発光現象を科学的に解明しようという動きもあるようです。
私は出席しませんでしたが、以下に地震発光現象ワークショップ(名大地震火山・防災研究センター2007年3月)で発表された研究者(地震が専門ではないが、神戸の地震を体験された方)の体験談を抜粋して紹介します。
阪田氏が体験された発光現象は、地震の前からかなり長い間にわたって白っぽい光が現れ、赤い光に変わり、やがて真っ暗闇になったそうです。科学者が体験された現象ですから、錯覚であるとか、電球が割れたとか、電線のショートとかではないことは明らかで、内容は信憑性のあるものだと思います。
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どうして光るのか? 地震にともなう発光現象 

阪口秀さん(海洋研究開発機構)
(前半略)
私はとりあえず5時 20 分に起きて、身仕度をして、顔も洗っていたので、はっきりそのときは起きていたのと、(略)意識は非常にはっきりしていました。 そのときは外は全く何も見えません。プラス、窓ガラスがすりガラスだったので余計見えないところに住んでいたわけです。 時計は見ていないので私はその時間はいえませんが、絶対真っ暗な時間のはずなのに、何か外が白んでいたのです。なんだろうと思って、非常に不思議な気がしたので、南側の寝室の窓を開けました。(略)そのあと、記憶に頼ると、外がどんどん白くなると同時に、薄紫で、ちらちらという感じがして、私のかすかな記憶では、遠くでからからというすごく乾いた音が、あまり大きな音ではありませんが、聞こえました。また暗くなったと思ったら、また明るくなってということがあって、その次はだんだん本当に外が白くなってきて、だんだん色が変わってきたのを覚えています。 少し赤みが出てきたときに、大太鼓を5〜6個同時にたたいているような、ごろごろという重低音が出てきて、窓から外を見ると、向こうから破壊の波が来るというか、とんでもないことが外で起こっているなという感じがしました。 その時点で自分の家も揺れ始めて、だんだん立っていられなくなり、さらに空は赤白くなってきたときに一緒に二人で外を見て、家内が「これは何だ」と私に問いただして、(略)揺れていますし、その揺れが尋常ではなかったので、それが地震だとはなかなか気がつかなくて、「何が起こるの、私たちはこれでどうなるの」という本当に危機的な気持ちが彼女には多分あったのだと思います。私の答えは「さっぱり分からん」と。これは本当に会話なのですよね。(略)その時点で大揺れが始まったときの空の色は、最初の薄紫、白からだんだん赤に変わって、こんな色に見えていたのです。そのあと、少し暗くなったら、もうあとはがたがた揺れて、窓もかってに閉まって、何もできない、全然立ってもいられない状態で、ことは終わって、また漆黒に包まれました。
(略)やはり真っ暗で何も見えなかったから、ガラスがあろうが何があろうが、そのあとまた走っていったわけです。その前にすべてのことが見えていて、終わってからまた暗くなったわけですから、地震が終わったのは6時前ですから、少しは薄明るくなったかと思いますが、まだ物は見えない時間帯だったと思います。雑ぱくな話ですが、私が発光現象に関して見たことは大体以上です。
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以上が阪口氏の体験談です。
なお、質疑応答のなかで、松代地震センターの石川氏が
「発光現象自体はあったのは事実ですが、地震との対応もあまりはっきりしていない。地下での水とか流体の非常に大きな現象があって、その一部としてたまたま地震がたくさん起こっていて、我々が感じているけれども、発光現象は地震と結びつける必要はなく、本来、地下水現象のほうに起因するのではないかと思っています。」
と発言されています。ペルー地震の発光現象を見ても、発光と地震とは直接の連動はありません。それは、岩石が破壊する時に発光するという池谷元伺先生などが実験されていた現象とは違うことを示唆しています。
石川氏が「地下での水とか流体の非常に大きな現象」と述べておられるのは、解離ガスがプラズマ流体として高速移動する現象と見れば説明が付くと思います。

発光現象が、地震の前(プレサイスミック)にも、最中(コサイスミック)にも、地震の後(アフターサイスミック)からでも見られるのは、そうしたMHD発電が起こっているからだとすれば説明が可能であると思います。
なおこのワークショップでは阪口氏の後に、中部大学の井筒 潤 氏が「地震発光現象とは何か」と題して、内外の発光現象を詳しく解説しておられます。大学の研究者がこれだけの情報を単なる「錯覚」としてではなく報告してくださるのですから、地震時の発光現象全てを非科学的な見間違いだと決め付けることは出来ないと思います。
pdf表示のサイトが開けなくて、図表などが見えないこと、それに集会の後半部分が収録されていないようで残念ですが、こうしたワークショップはぜひ継続していただきたいと思いました。

追伸:以下に一部分ですがpdf表示がありました。
http://www.seis.nagoya-u.ac.jp/INFO/kikaku/20070126/program_WS.pdf

http://www.seis.nagoya-u.ac.jp/INFO/kikaku/20070126/200702hakko.pdf#search='地震%20発光現象'

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2007-08-23 (Thu)
平成13年静岡中部地震での発光現象
平成13年に起こった静岡県中部地震でも発光現象が見られたことが静岡新聞に報道されていました。
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4月3日の県中部地震 東海大の研究グループ、静岡で調査

四月三日(2001)に県中部で起こったマグニチュード(M)5・1の地震の揺れの最中、NHK静岡放送局のカメラが静岡市内でとらえた「青白いせん光」のなぞが深まっている。東海大学地震予知研究センター(清水市)の長尾年恭教授(45)=センター長=らの調査で、発生場所は静鉄電車春日町駅付近に特定できたが、地震の宏観現象として知られる「発光現象」とも異なる部分があり、さらに分析が必要のようだ。

テレビの映像から方向を定め、予知研究センターの岩崎弘研究員(24)らが市内の春日、曲金方面を聞き取り調査したところ、周辺住民からかなり具体的な目撃情報が集まった。そのうち屋外にいて、直接光を見た人は現時点で一人。「空の低いところが全体的に光った」「音のない雷のようだった」「避雷針が光ったようには感じなかった」と証言している。光は強烈で、多くの人が閉めた窓からガラス越しに「強い光が差し込んだ」と語っている。

「音のない雷のような―」

光った方向の証言を総合すると、発光源は放送局から直線で東二キロ、静鉄春日町駅付近の線路北側半径約百メートル以内に絞り込めた。場所の特定は発光現象ではまれ。ただ、現地踏査では、何かがスパークしたような形跡もなく「あれだけ強烈な光がどのように出たのか非常に不思議だ」(長尾教授)。架線のショートなども疑ったが、光り方が極端に強く、音を伴わない点などから可能性は低い。

となると、地震宏観現象の発光現象の可能性が高くなる。だが、過去に報告されている発光現象は地震前か同時がほとんどなのに、今回の光は地震の揺れが始まって約十秒後に発生しているため「もっと違った意味合いの発光かもしれない」と長尾教授は頭をひねる。

今回の地震では震源地が川根だったのに、最も強い震度5強を記録したのは静岡市曲金の気象台だったのも気になる点。一九三五年の静岡地震(M6・4)でも同じように曲金周辺が最も激しく揺れていることから、地下の構造に不連続な部分があるとも考えられ、長尾教授は光と関係があるのか解析を進めたいとしている。
発光現象は、岩石に圧力がかかると電位差が生じて放電するためではないか、とする説が有力。前兆としてはM7級以上の地震前が多い。阪神・淡路大震災では、地震直前かほぼ同時に「青白い光」や「オレンジか赤い光」の目撃例が断層沿いにあり、注目された。
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以上が静岡新聞の報道です。地震の後に発光現象があったということを長尾教授は「もっと違った意味合いの発光かもしれない」と考えておられるようですが、MHD発電による電気的な現象であるとすれば、別に不思議なことではないと思います。地震動つまり爆発と発光とが連動していなくても不思議ではありません。
また、中越地震でも発光現象があったことが報道されたようです。
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2004年10月29日
【新潟県中越地震でも直前の発光現象が観測されました】
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【発光″目撃の証言】長岡から震央方向「直後に揺れ」
 新潟県中越地震の直前、長岡市内から震央にあたる小千谷市街方面の空に青白いせん光が目撃されていたことが28日、分かった。専門家によると、大規模地震の直前に表れる発光現象の可能性が高いという。
 目撃したのは小千谷市の近藤進さん(49)と十日町市の藤木和成さん(53)。二人は本震直前の23日午後5時55分ごろ、長岡市内の病院建設現場で仕事を終え、現場内の事務所に戻る途中、南の空が一瞬青白く光るの目撃した。「今、何か光ったよな」と話した直後、突き上げるような激しい揺れに襲われたという。
 発光現象に詳しい東海大地震予知研究センター(静岡市)の長尾年恭教授=センター長=は「発光現象は大規模地震か極めて震源が浅い内陸型地震で見られ、今回の地震に伴った可能性は十二分にある。非常に重要な証言と指摘している。地震に伴う発光現象は阪神・淡路大震災や松代群発地震などで目撃された。地震予知につながる可能性もあり研究が注目されている。
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静岡新聞 2004.10.29 朝刊より

以上のように地震に伴って発光現象があることは多くの事実が観測されていますので、いつまでも、「素人の錯覚」「地震学を学んでからものを言え」式の傲慢な態度は科学的ではありません。「原因がわからない現象の原理を探るのが科学である」はずであります。電球が割れたのを錯覚したとか、電線が揺れて接触し、ショートしたのを見間違えたのだ、というような発言は止めにしてもらいたいと思います。

映像史料:http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/nhk1.mpeg

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2007-08-24 (Fri)
屈折で月が大きく見える理由
2CHを見ていましたら、いつまでも、ANSサイトに失礼な攻撃をする人が居るようですが、その中(『地震雲』ってなんですか?)で、「屈折によってなぜ月が大きく見えるのか判らない、そんなことはない」という意見が見られました。海底を岸壁から見ると、浮き上がって見え、魚や岩が実際より大きく見えるのですが、その理由がライブラリー14の絵(サムネール版)では理解できないのでしょうか。やり取りの一部を紹介します。
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98 04/11/09 23:07:52
>>97
だから、屈折でどうして大きくなるの?
いわゆる浮き上がりや、揺らぎならば分かるんだけど。
「大きくなる」には、レンズ効果が必要でしょ?
>>月が大きく見えるのは、決して目の錯覚ではありません。地表面に暖かく湿った空気が漂うときに起きる光の屈折現象として説明ができるのです。
99 04/11/09 23:17:03
>>88の文章って、もっともらしく書いているけれど、本当は「電波」なんじゃないの?
(注:解説3 月が赤いのは予兆かのこと)
http://www.ailab7.com/ians/ianstuki.html
屈折では大きくならんだろう。
重力レンズじゃないんだから。
>>98にも書いたけれど、揺らぎやつぶれたり(四角い太陽)、色が変わったり(グリーンフラッシュ)ならば分かるんだけどさ。
どうして、屈折で大きくなるのよ?
100 04/11/09 23:18:40
つーことで、「月が大きく見えるのは、地表面に暖かく湿った空気が漂うときに起きる光の屈折現象として説明ができるのです。」
できません。
10104/11/09 23:41:00
>>100
月が大きく見える本当の原理を教えてくれ。
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屈折関係図を見ても理解できないというのは困りものですが、もっと判りやすくするために、以下のように作り直しておきました。


屈折によって低く見えるのはニューオフィス31の解説図の方が分かり易いと思いますが、(同じことなのですが)大きく見える理由は上の図の方が分かりやすいと思います。
月から出た光線は屈折関係により、入射角より屈折角の方が大きくなりますから、図のように曲がりますが、地上の人間の目には直進してきたように見えますから、実際よりも大きく見えるようになります。
月が地平線上にある「月の出」、「月の入り」には空気の二層構造が明確でなくても、空気層を通過する進行距離が長くなりますから、屈折が起こりやすくなります。これが地平線近くにある月が大きく見えることがある原因です。
月が高く上がっても、大きく見えるようならば、空気の二層構造がかなり明瞭に出来ている証拠ですから、蒸し暑い空気が地中から噴出して居る可能性があり、地下で解離層が乱れ、水素ガスが発生して地震が起きる惧れが強いと判断されるわけです。
追加図

1300
2007-08-26 (Sun)
人間が原因の地震200回以上
コロンビア大学の研究者が人為的に起こしてしまった地震が、これまでに200回以上あったと報告しています。WIREDNEWSから抜粋して紹介します。
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「人間が原因の地震、これまでに200回以上」研究結果
コロンビア大学の研究者は、1989年にオーストラリアで起きたマグニチュード5.6の地震は、過剰な石炭採掘が原因だったとしている。ガス採掘や貯蔵所の建設など、人間が原因で起きた地震はこれまでに世界で200件以上ある、と同研究者は述べている。
Adam Rogers 2007年08月23日

オーストラリア史上最大の地震
――1989年12月28日、マグニチュード5.6、震源地はニューサウスウェールズ州ニューカッスル、死者13人、被害総額35億ドル――の原因は人間だった!

石炭を採掘しすぎたために、この地域の断層線を刺激してしまったらしい。『National Geographic Online』にRichard A. Lovett氏が書いた興味深い記事から、要点をいくつか引用しよう。

ニューヨーク州パリセーズにあるコロンビア大学『Lamont-Doherty地球科学研究所』のChristian D. Klose氏が実施した調査によると、この地震は200年に及ぶ地下の石炭採掘によって地殻応力が変化したことが引き金になったという。
(中略)
Klose氏によると、この地域から何百万トンもの石炭を取り出したことが、ひずみを引き起こした応力の主な原因となり、ニューカッスルの地震の引き金になったという。
しかしさらに重大なのは、炭鉱内が水浸しになるのを防ぐために必要な、地下水のくみ出しだ。
「石炭が1トン産出されるたびに、その4.3倍を超える地下水がくみ出された」と、Klose氏は述べた。
もっと恐ろしい事実がある。
Klose氏は、人間が原因で起きた地震を200件以上特定しており、その大半は過去60年以内に起きたものだ。「第二次世界大戦の前はほとんど起きていない」と同氏。
多くは採掘が原因だが、3分の1近くは貯蔵所の建設によるものだという。
原油やガスの産出でも地震を引き起こす可能性があると、Klose氏は付け加える。
古今を通じて人間が原因で起きた最も大きな地震のうちの3つは、ウズベキスタン共和国のガズリ天然ガス田で、1976年から1984年にかけて起きた3件の地震だ、とKlose氏は指摘する。
これら3件の地震はいずれもマグニチュード6.8以上で、最大のものはマグニチュード7.3だった。
Klose氏によると、地中に二酸化炭素を注入するという最近の技術も危険だという。

[日本語版編集部:日本では新潟県長岡市で実証実験が行なわれていた。]
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以上が抜粋した記事ですが、地震爆発論で解説すると、もっと危険度が明確に認識できます。

@:『石炭を採掘しすぎたために、この地域の断層線を刺激してしまった』

とありますが、断層は地震の結果として現れる傷痕ですから、刺激しても「地震が起こる」ことがない限り、再び「ずれる」ことはありません。
そうではなくて、圧力が掛かっていた地下空間を掘削することは、周囲の力学的バランスを崩し、さらに深部にある高熱の解離層の「水の解離バランス」を崩すことになります。
とくに力学的バランスの崩れが岩盤にひび割れなどを起こせば、深部にある解離層の圧力減少は大きくなり、水素ガスの発生は顕著となります。
石油や天然ガスの汲み上げにおいても、汲み上げた量と同じ量の水を送って(置換)バランスを取らないと、地震が発生するということがあります。
汲み上げるだけですと、さらに深部にある解離層付近の圧力を降下させて水素ガスの発生を促してしまいます。

A:『炭鉱内が水浸しになるのを防ぐために、地下水をくみ出した。』
とありますが、地下水のくみ上げは、上に述べたことと同じで、深部にある解離層近辺の圧力降下の原因にもなりますが、地殻深部での水を移動させることは当然解離層付近の水等を移動させることになりますから、解離層を乱すことになり危険であります。

長岡市深沢での液化炭酸ガス注入が危険であると指摘しているのも、注入物と地下水を「置換」することなく圧入しているために、キャップロックの下部で水を押し出してしまうからです。押し出されて、解離層付近にまで移動することが解離度に影響を与え、水素ガスの発生する危険性があるからです。
解離層まで影響を与えない程度の深さで作業をするのなら問題はないのですが、火山地帯にある日本などでは解離層はヒマラヤのような山岳地帯や大陸の奥地などよりは浅いところにあり、地下の人為的行為は慎重に行う必要があります。

追加コメント

少しコメントを追加しておきます。ニュースの訳文で、

(略)この地震は200年に及ぶ地下の石炭採掘によって地殻応力が変化したことが引き金になったという。
この地震は、他の地域の歴史的な大地震に比べるとそれほど大規模なものではないが、オーストラリアは一般に地震活動が活発だとは考えられていないうえ、ニューカッスルの建物はこれほどのマグニチュードの揺れに耐える設計ではなかったと、Klose氏は述べた。

とありますが、この部分は原文では以下の様になっています。

That quake was triggered by changes in tectonic forces caused by 200 years of underground coal mining,(略)
The quake wasn't enormous, but Australia isn't generally considered to be seismically active and the city's buildings weren't designed to withstand a temblor of that magnitude, Klose said.

つまり、Klose氏の主張は
「オーストラリアはこれまで、一般に地震活動が活発ではなかったので、建物の、耐震設計も厳しいものでなかった。だからこの地震は巨大なものとは言えないのに、被害が大きく出た。それは200年以上に及ぶ石炭採掘で、地殻の応力を変化させたことが原因である。」
というものだと思うのです。一読して訳文からはそれだけの主張は読み取れないように思います。

もっと言えば、
「これまで地震の対策など必要なかったのに、石炭を掘って地殻に空間を作ってしまったために、地震を恐れなくてはならなくなってしまった。」
と云うことを言外に含んでいます。
日本でも、このまま液化炭酸ガス圧入プロジェクトが進行すれば(実施計画は海域ですから)「今まで地震のことさえ心配したことがなかった」地域の方も、これからは、「地震だけじゃなくて、津波のことまで心配になってきた。」という話になるでしょう。

1301
2007-08-26 (Sun)
水の解離現象
水が熱によって酸素と水素に解離するという現象を疑問視する方が多いようですが、熱による解離(分離)だけでなく、ある種の磁力の下では簡単に解離し、その解離ガスを燃焼させて石油に代わるエネルギー源とすることが可能であるという夢のような実験が奇しくも今年5月に日米で報道されました。(間違えました。日本の報道は2005年7月でした。)

実は地震爆発説を思い付くきっかけになったのは19年前(1988年秋)に大学の先輩(当時83歳)から「水は熱と磁力をかけると解離しやすくなる。やがて自動車はガソリンじゃなくて水を積んで走るようになる。という話を聞いたことからでした。熱によって解離するのなら、地下水は深部で解離しているだろう、それが水に戻る時の爆発が地震ではないのかというのが、発想の原点でした。
爾来地震爆発説を展開して来ましたが、公式に発表する機会がないまま、揶揄と嘲笑に耐え我慢してきました。デンバーの廃液地下圧入による地震や、中越地震の惨状に出会っても、断層地震説を信奉する地震学者からは何の問い合わせもなく、サイト上での嘲笑と攻撃は今も続いております。

そこで、水が解離するという現実を知っていただくためにも、今年5月に(日本のものは2005年7月)報道された「水を燃料として燃やす」という日米の実験を紹介します。
日本で報道されたのは、(株)理化学研究所の倉田大嗣博士の研究です。
http://plaza.rakuten.co.jp/ecocoffee/diary/200507110001/

報道を抜粋して紹介します。
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水が燃える〜未来のエネルギーが現実に!

「水が燃える?!」 常識では考えられないことが現実になっています。
水はH2O。つまり二つの水素と一つの酸素が結びついてできています。電気分解で水素を燃やすことは可能ですが、その電気分解には膨大なエネルギーが必要なので実用には向いていません(今のところ)。この装置は、水を「ある磁性体」に触れさせて蒸発させるだけです。出てくる水蒸気(解離ガスのこと)は、みごとに燃えました。
 近い将来、水燃焼機関を持った「自動車」。家庭用水燃焼コンロ。家庭用水燃焼発電システムが実用化。環境問題、エネルギー問題は一気に解決するでしょう。それには、多くの人たちが今の常識を捨てる勇気を持たなければならないのかもしれません。
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以上が報道記事の抜粋ですが、既に2004年の段階で、装置は完成していたようで、藤原肇氏との「『財界にっぽん』(2004/10)誌上での対談の中で次のように述べておられます。
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水を燃やすという夢の実現
藤原 あなたは過去十数年にわたりプラスチックの油化という、製油所でやるトッピングの逆を行く装置に挑んでいたが、二年前には水を燃やす装置を作って、私は目の前で水が燃えるのを観察しました。
あの時は水を燃やすために先ず油で加熱して、温度が上昇してから水を燃料として使い、触媒反応で水を燃やすプロセスだったが、最近は水から水素を分離して燃やすとか・・・。

倉田 そうです。あの頃は水を燃やす上で色んな準備して、プロセスにおいても極めて複雑でしたが、最近は単純だが大きな効果が出ています。具体的にいえば、水素と酸素にはそれぞれ原子波動があって、幾つかの分子が集まると共鳴して物性波を出すから、それで水の振動数を確定するのです。振動数というか共鳴数を見つけた上で、ある種のイオン係数を充てて共鳴させ、シンフォニーを生むような形に工夫したら、簡単に水が水素と酸素に分離するのです。

藤原 普通の水は0℃で潜熱を出して氷から水になるし、100℃になると水から水蒸気になって相移転をするが、磁気共鳴を使って水を水素と酸素に分けて、低温で単純な相移転を実現したわけですね。

倉田 簡単に言えばそういうことです。水は普通に熱すると4300℃で熱解離して水素と酸素に分かれると知られています。現在の段階でわれわれがたどり着いたレベルでは、380℃で水素と酸素の熱解離を実現し、水を燃やすという夢を実現している次第です。

藤原 われわれの世代が持つフレームの問題だが、私が学校で学んだ物理や化学の教科書によると、水は水素と酸素が燃えて出来た化合物で、水素と酸素の分離は2000℃に熱した時でも、せいぜい2%程度だと書いてあった。  しかも、われわれが学んだ熱力学の法則だと、水は酸化という化学反応の最終生成物だから、水を燃やすのはエネルギー的に不可能だが、倉田さんのシステムでは380℃という低温で、水素と酸素が100%熱解離するのですね。

倉田 そうです。これまでの熱力学は水は燃えないと教えたので、私は水を燃やす前段階として炭化水素を使って、炭化水素から炭素を外して水素を分離し、それを燃料源にすることから手をつけました。最初の段階でとりあえず成功した方法は、4000℃で水素と酸素に分解するイオン化だったが、油のフレームが1500℃の時に水を触媒に通したら、この温度で水素を分離することが実現しました。

ベンゼン環は1300℃の高熱がないと壊れないが、生体内では体温で分解された酸化が進むのでして、これは酸素か触媒として機能しているお陰だから、酸素に相当する触媒を作ろうと考えた。

でも、炭化水素から水素を分離しても炭素が残ってしまい、炭酸ガスが出る問題は解決しないから、これは単なるステップだと気づきました。そこで、水は水素と酸素から出来ているから、原点に立ち戻り小さなエネルギーを使って、水を低温で熱解離させることに挑戦しました。そして、量子力学の非線形電磁気学と触媒を組み合わせたら、380℃で水を燃やすことが出来たのです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上が日本での報道です。

">

次にアメリカでの報道ですが、燃焼実験の様子が次のようなビデオで紹介されています。
http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20070530_water_ignite/

初報は以下のアメリカのWPBF TV25の報道です。
http://www.wpbf.com/news/13383827/detail.html(動画)

http://www.wpbf.com/slideshow/news/13384010/detail.html(静止画)

報道では
「フロリダのサニベル島に住むJohn Kanziusはガン治療のためのラジオ波発生装置をテストしていたら、この装置によって塩水がろうそくのように火をともすことを偶然発見したとのこと。<br>この装置があれば水をガソリンに代わる新たなエネルギー源として利用できる可能性があるため、期待が集まっているようです。」

と簡単な説明しかなされていませんので、「磁力による水の解離現象を利用して水素を燃やしている。」という理屈が伝わりません。したがって読者の反応も「ばかばかしい」「水が燃えるわけがないでしょう」と言った冷ややかなものが多いのは当然だと思います。

私も、19年前の先輩の話がなければ同じ様な反応で終わっていたのかもしれません。
このような視覚実験による実証があれば、地下深部において水が解離するということ、その解離ガスが燃焼ではなく、爆鳴気として爆発し、再度水に戻る現象が地震であるという「地震爆発説」が少しは信じていただけるのではないでしょうか。

1302
2007-08-29 (Wed)
屈折で月が大きく見える理由(実験)
2chの自然災害版を覗いていたら面白い議論がありました。

月が昇るときや、太陽が沈む時になぜ大きく見えるのか、屈折現象で大きく見えるというのは何故か、よく分からないという疑問に、実験を提案している方がありました。少し、やり取りを紹介します。
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314:07/08/25(土) 18:54:05

「大気による光の屈折で月が大きく見える」などということが、未だかつて現実に起こったことがないでしょ。
大気の屈折で月が大きく見えるなら、それを撮影した画像を見ても実際に大きく写っているはずだ。
でも実際の月は人間の目で見たときに大きく感じられるだけで、カメラで写せば月の画像の直径はいつも変わらない。
だから目の錯覚だ。ウソだと思うなら実際に自分で月を撮影してみればよろし。

324:2007/08/28(火) 08:09:44
「目の錯覚論」よりはhttp://www.ailab7.com/Cgi-bin/sunbbs2/index.html
[1299]の追加図面にある「屈折論」http://www.ailab7.com/images/img027333.jpg
> に一票を投じます。

その絵はうそだよ。富山の蜃気楼を思い浮かべて欲しい。
鉛直方向の屈折率変化では横方向のみかけの大きさは変わらない。
スネルの法則は高校生のレベルで計算できるから、どれくらい変化するか自分でも計算できるよ。

327:2007/08/28(火) 18:14:56
鉛直方向の屈折率変化は縦方向の見かけの大きさは変わるが
横方向のみかけの大きさは変わらない。

330 :2007/08/28(火) 20:49:03
横方向の見かけの大きさは変わらないから、鉛直方向のみかけの大きさだけが変化すると全体としては円がわずかに楕円になるだけですよ。

336 :2007/08/28(火) 23:31:40
曲率無限大のレンズでは大きく見えません。 レンズが厚くても薄くても等倍です。

340 :2007/08/29(水) 00:42:04
それでは実験してみてください。バケツの底に不要になったCDを固定してください。
カメラを固定し、バケツに水を入れない状態と、25センチ程度入れた状態とで、写真を撮ってください。両方の写真を比較してみてください。
明らかに水を入れて撮影したほうがCDが大きく写ります。
私がやってみた実験では8.7センチと8.0センチで一割程度の差があります。
論より証拠です。

342 :2007/08/29(水) 08:00:27
その実験は「月が水平線に近くに存在する時も、近似的には上空に冷たい空気があって、 下に蒸し暑い空気が存在する曲率無限大のレンズと見なせると思います。」というのを再現できていません。
・観察者が屈折率の低い側から見ています。
・観察する角度が"水平線に近く"ありません。
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以上が抜粋要約ですが、屈折によって物が大きく見える現象が理解できず、錯覚と思っている方が多いようです。また、336のように曲率無限大では大きく見えることはない、レンズの厚さには関係ないという方もあります。

そこで340の方の提案に沿って私も実験してみました。24センチの深さのバケツの底にCDをテープで固定し、水深を5cm刻みで増やしてカメラで撮影しました。カメラはCDから約90cmの真上の位置に三脚で固定しました。CDにカメラが写っているのが見えます。

結果は写真のようになりました。CDを月と思って眺めてみてください。
水深の増加と比例して確かにCDは大きく写っています。水深0cmと24cmでは約1割程度大きくなっています。つまり、光が通過する層の厚さも見え方には大きく影響することがわかります。

月や太陽が地平線近くにあるときは、上下二層の空気層がどちらも厚い状態ですから写真の水深24cmのような状況になるわけです。上空に上がった時には水深が5cmと云うような状況になるわけで、月は大きくは見えなくなります。月が上空に昇っても、大きく見えるというときは、二層の屈折率の違いが相当に大きい場合、つまり地下から蒸し暑い蒸気が大量に噴出している場合が考えられるので、

「地震の前に月や星が何時もより大きくキラキラ輝いて見えた。天が落ちてくるように迫って見えた。」

という言い伝えにあるように、大地震の前兆である可能性が高くなります。
屈折の状況は[1299]の追加図に示したとおりです。342の方のコメントは観察している空気層の厚さ、つまりカメラの位置を変化させて撮影しろという意味でしょうか、よくわかりません。

この実験から、314、327、330、336などで主張されている内容が正しくないということが言えると思います。

つまり屈折現象によって、物体が大きく見えるという現象は存在しますし、鉛直方向だけに屈折率が変化している場合でも、水平方向にも大きさが変わります(CDは円形のまま拡大されていますから)。
また、曲率無限大のレンズでは大きく見えないということも否定されますし、 レンズが厚くても薄くても等倍ですという見解も違うことが証明されます。それはバケツ内の水深によって見える大きさが変化することから証明されます。
水族館で見る10センチもあるようなアクリル板の壁はかなり魚を大きく見せているのではないでしょうか。

1303
2007-08-30 (Thu)
屈折率変化が縦でも横方向に拡大する理由
[1302]で紹介した

327:2007/08/28(火) 18:14:56
鉛直方向の屈折率変化は縦方向の見かけの大きさは変わるが
横方向のみかけの大きさは変わらない。

という誤解は屈折現象を教科書的に理解していることからくる錯誤だと思われます。
そこで、屈折率が縦(鉛直)方向にしか変化しない場合でも、縦方向だけでなく横方向にも物体は大きく見えることを説明します。
入射角度がゼロに近い場合は、縦横の区別はありませんから、入射角度が大きい場合について説明をすれば良いと思います。

図に示す海中の物体ACは、船上の人間の目には、浮き上がってA’C’のように見えます。
OAを含む垂直断面内だけで考えていると、横方向に拡大して見えることが分かりませんが、立体的に考えると、水中の物体が横にも拡大して見えることが理解できます。

釣り逃がした魚は大抵「残念!今のは大きかった」と思うのですが、水中の姿しか見てないから、大きかったと錯覚するのでしょう。

1304
2007-09-01 (Sat)
「Moon Illusion」の謎
2chで屈折実験を提案された方が、地平線の近くにある月や太陽が大きく見える理由を、[1299]にある追加解説図を使って、当セミナーの解説どうりに計算をされていました。しかし、それでも、月が大きく見えるのは錯覚である、計算は間違っているという主張をされる方が居られます。

なぜこのように屈折による月や太陽の拡大説を強く否定されるのか不思議ですが、サイト検索で調べてみると国立天文台サイトを始め、ほとんどのサイトで、錯覚論を取り上げていましすので、相当根強く信奉されていることが分かります。また、この問題は「Moon Illusion」 「天体錯視」と言われてアリストテレス(前384〜前322)やプトレマイオス以来解けない難問なのだそうです。

近いうちに300mmの望遠レンズを持っている友人に写真撮影をお願いしようと思っていますが、まずはいくつかのサイトをながめてみましょう。

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月の話 より抜粋
http://puh.web.infoseek.co.jp/aboutmoon.htm

2.地平線近くの月はどうしてあんなに大きく見えるのか

 英語では 「Moon Illusion」 と呼ばれ、古くから知られている錯覚です。古代中国や古代エジプト時代にも、すでにこの現象についての記録があります。
 ちょっと理科に強い人は、「これは錯覚ではなくて本当だ。大気の屈折作用で、地平線近くにある月のほうが大きく見える」と考えるのです。確かに屈折作用はありますが、その影響は非常に小さく、「Moon Illusion」 の原因とはいえません。
 私たちから見て、どの位置にあろうと月の大きさは変わらないということは、簡単に実証できます。
 たとえば、様々な高さにある月の写真を撮れば一目瞭然です。地平線近くに大きな月が見えていたら、親指と人差し指で小さな輪を作り、その輪越しに月を眺めてみると、月はあっという間に小さくなりますよ。つまり、これは錯覚なのです。
 人間は、網膜に映った二次元的な画像情報から、三次元的な像を理解するという優れた能力を生まれながらに持っています。私たちは、物の大きさを、網膜に映る視角の大きさで判断しています。この機能が、いつもとは違う情報に戸惑って出してしまった結論が 「Moon Illusion」 なのです。
 普通、物が近づけば、私たちの網膜に映る視角は大きくなりますし、遠ざかれば小さくなります。脳はこの視角の大小という情報を自動的に翻訳して、近くなった、遠くなったと理解するわけです。
 月が地平線の近くにある時、地面や地平線の影響で、月は実際よりも近くにあるように感じられます。ところが、本当はもっと遠くにあることが頭で判っているので、いつもと同じ視角なのに近くに見えるということは、実際にはもっと遠くにあるものなのだから、サイズはもっと大きいはずだと情報処理をし直してしまうのです。その為に、月は大きく見えるというわけです。

Moon FAQより抜粋
http://www.moonsystem.to/moonfaq/002.htm

 地平の月が大きく見える 

昇り来る月を見つけて、その大きさに驚くことがあります。
天高く昇ってしまうと普通の大きさなのに、同じ月とは思えないほど巨大に見えるのは何故でしょう? 
かつて私も月の出の時にマイクロメーターを使って計ったことがあります。
その時の大きさは31分弱で、天頂に見えるときと全く同じでした。

1 の「月の大きさの違いについて」で触れたように、日々月と地球の距離は変わっていますので、大きさを比較する場合には同じ日に地平線近くの時と天頂付近の時とで比べる必要があります。 
理論的には地平付近の月に比べ天頂付近の月の方が地球半径分だけ近く、逆に大きく見えることになります。
ましてや肉眼で地平の月が大きく見えることはないはずです。
しかしいくら角度が同じでも、大きく見えるのは多くの人々の実感であり、どうして大きく見えるかが問われるのです。
この現象に対して非常に古くから様々な学者達が巧みな説明を付けてきましたが、いずれも明確な説明がうち立てられていないと言うのが現状です。
(参考)http://www12.plala.or.jp/m-light/notebook/Moon_Illusion.htm

身近な自然と科学より抜粋
http://blog.mag2.com/m/log/0000088069/
日の出直後の太陽や日の入り直前の太陽、
月の出直後の月や月入り直前の月が大きく見えるという経験があると思いますが、
私はこの事について真剣に考えた事がありませんでした。
小学高学年から中学半ばまで天文少年だったのに、
「地面に近いところは水蒸気が多いので光が散乱して大きく見えるからだ」
「大気層での屈折で赤い光(波長の長い)だけが見えるので大きく見えるのだ」
と簡単に片付けていました。
ところが、この問題は「天体錯視」と言われてアリストテレス(前384〜前322)やプトレマイオス以来の難問なのだそうです。(略)

天体を見る場合は地平線上に見える太陽や月と、天頂近くに見えるそれらの大きさが変わらないと判っているので錯視になる訳です。

国立天文台サイト
http://www.nao.ac.jp/QA/faq/a0202.html

「質問2-2) 月や太陽が大きく見えるのはなぜ?」という問いには、
「月や太陽が地平線(水平線)近くにある時に大きく見えるのは、目の錯覚によるものといわれています。
ただ、なぜこのような錯覚が起こるのかについて、まだはっきりとした説明はついていません。
月の近くに建物や山などの景色が見えて、それと比較できるときとそうでないときで、大きさの感じ方が違うのではないか、という人もいます。」とあります。

毎日新聞サイト なぞなぞ科学より抜粋
http://www.mainichi.co.jp/hanbai/nie/nazenazo03_11.html
沈む太陽が大きく見えるのは?     2003年 11月 29日

沈みゆく太陽はでっかい。月も地平線近くでは大きく見える。空高い位置にある時と違って見えるのはなぜだろう。
 この問題は古代ギリシャの哲学者、アリストテレスも考えた。以来、古今東西の科学者が数々の説を出しているが、定説はない。
 実は、太陽や月が真上にあろうと地平線近くであろうと、見かけの大きさは変わりない。つまり、錯覚なのだ。
地平線近くにあると、大きく見える理由は何か。アリストテレスは大気の屈折によるとの説を出したが、今では否定されている。夕日の赤は膨張して見えるとの説もあったが、星座も大きく見えることが説明できない。地平線近くでは遠くにあるように錯覚する一方、現実の大きさに変化はないから、大きく感じるとの説もある。
だが、逆に「大きく見えると、近くに感じる」とも言えるため、説得力がない。
 有力な説は「地上の建物や木が同時に目に入り、無意識に比較して大きく感じる」との説だ。「太陽や月を見る時、神経がそこに集中し、意識する周りの風景が狭まるため、相対的に大きく感じる」という類似の説もある。
 国立天文台の渡部潤一助教授は「小学生の時、教室の中から窓を通して見た磐梯山(福島県)が大きく、窓際で見ると小さいのが不思議だった。窓枠は小さいうえ、教室内の卑近なものと一緒に見たから大きく見えたのかもしれない」と話す。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
以上が抜粋です。
「アリストテレスは大気の屈折によるとの説を出したが、今では否定されている。」と書いてありますが、私はアリストテレスに賛成します。ただし、宇宙空間から大気圏に侵入するときの屈折ではなく、大気圏の中で冷たく乾いた層から、蒸し暑い空気層へ進入するときの屈折現象なのです。
計算の方法は、2chで次のように書いておられますので参考にしてください。
「見かけの月の最下端が地平線上に見えている時を想定します。
http://www.ailab7.com/images/img027333.jpg
B点とO点が地球中心と作る角度を求めるとB点での屈折角が決まります。
スネルの法則から入射角を決めると、屈折による角度の増分が決まり、月の最下端が見かけ上降下した量が決まります。
月の最上端は月の視差分だけ減じた値を入射角とし、スネルの式から屈折角を求めます。
上と同じ要領で屈折による角度の増分から、月最上端が見かけ的に降下した量が決まります。その差を月が見かけ上拡大した量とします。
以上で拡大率が決まります。視差の増加量も決まります。」

またグリーンフラッシュ現象を持ち出したかたがありますが
次の回答は正しいと思います。
「グリーンフラッシュ現象は光が進み難くなる領域に進入する時の屈折現象で、しかも波長によって屈折率が違うことが原因で見える現象です。
この屈折では月や太陽が大きく見えることはありません。
大きく見えるのは、光が進みやすくなる領域に進入する場合(水中から空中のように)の屈折でしか見られません。
つまり冷たく乾いた空気層から、蒸し暑い空気層に進入することが大きく見える原因ということです。
水中の魚が大きく見えるのも、月や太陽が地平線上で大きく見えるのも、錯覚ではないということです」
私の計算では冷たい空気の屈折率を1.00028とし、蒸し暑い空気の屈折率を1.00025(温度差25度、湿度差50%)とするなら、厚い空気層が1km上空にある場合6%、500mの場合10%、300mの場合14%となり、100mの時には25%の増加となります。厳密には月の最上端の光が屈折する点が移動することが考慮されていない近似的な計算ですが月が拡大して見える事に関して定性的には問題ないと思います。
大地震の直前には地中から熱水が噴出して高い温度のまま低空100m程度に層を成して漂っているから、
「蒸し暑い夜で、月や星が大きく、星が何時もよりキラキラ輝いて、天が落ちてくるように感じた。」
という言い伝えがあるのではないでしょうか。
大きく見える理屈が説明できないために、貴重な言い伝えまでもが、錯覚と同じ扱いを受けてしまっているのは残念です。

1305
2007-09-03 (Mon)
地平線近くにある月の見え方
月や太陽が地平線近くで大きく見える様子を計算してみました。

屈折率は[1304]の計算と同じく、冷たい空気側を1.00028とし、蒸し暑い空気側を1.00025(相対屈折率0.99997)としています。
海面上に月の姿がすべて現われたときの拡大率は空気が変化する層の厚さによって違いますが、100メートルとすると、25%大きく見えます。
また、月の最下端の屈折角を90度として計算すると、64%も大きな月となります。これは層の厚さを0にする極限操作で、この条件(温度差、湿度差)での最大値となります。
最下端は見えないわけですから、図のように半分程度の姿が見えている状態だと思います。
海面上から1度程度(月二つ分)昇れば6%程度、3度(月6個分)昇れば1%の拡大率ですから、月が大きく見える現象は本当に、地平線付近にあるときに限られます。
もっとも、屈折率の変化がもっと大きければ別でしょうが、上空に上っても、大きく見えるときは地震の前兆である可能性も高くなります。

友人が次の満月に写真を撮ってくれるそうで、楽しみにしています。温度差のある層が上空に出来なければダメですが、層が発生していれば64%も変化する可能性があるのですから、きっと写真でも拡大現象が認定できると思います。

まったく、同じ大きさでしたら・・・依然として「Moon Illusion」の謎として残されるのでしょう。読者の皆様にも、地平線に半分頭を出した月を撮影していただきたいと思います。
上手く撮影できたら、写真をANS事務局(ansin@ailab7.com )へ送付していただきたくお願いします。
(沈む夕陽と少し高い位置の太陽でも結構です。)

1306
2007-09-04 (Tue)
地平線近くにある月の拡大率と相対屈折率
2chの議論者が突然撤退されたようですが、計算はどうでも良いと言う議論は乱暴だと思います。計算された討議者に失礼です。
月が昇る時、太陽が沈む時、驚くほど大きく見えますが、では最大でどれほどになるのかを検討してみます。
[1304][1305]とも相対屈折率を0.99997としていますが、これを変化させて計算しますと、図のグラフのようになります。

これは蒸し暑い空気層の厚さをゼロにする極限(入射角90度)の場合で、拡大率の最大を計算したものです。月が半分海面に姿を見せた時と思えば良いと思います。完全に姿を見せたときには、計算では拡大率が大きく減少します。
計算結果を見ると、相対屈折率が0.99991になると、拡大率が100%に近づいて2倍の大きさに見えることになります。
これは、温度と湿度だけで考えると、上空に真冬のマイナス40度の寒気団があり、地上は40度、湿度100%という真夏の猛暑状態です。そのような状態になるのかどうかは分かりませんが、もし起これば、水平線から昇る月が2倍に見えることになるでしょう。大地震の前には、少なくとも気温が上昇することが多いようです。

高知湾が陥没したという白鳳地震(セミナー[1083])でもそうですが、大地震の前は蒸し暑いものです。神戸の地震(1月17日)では

「今年になってから1月8日、9日、10日と、冬にしては珍しいほどむしっとした暑い日が続いたように思います。とくに9日の日は汗が出るほどでした。」(加古川市 主婦)

と言う証言があります。上空に寒気団があったかどうかは知りませんが、

「1月16日17時20分ころ、診療所より帰宅時、東方の生駒山頂の少し上に満月が異常に大きく輝き、黄金色をして、太陽のようであった(東大阪市 医師)

と言う証言もあります。
友人が撮ってくれる満月の写真が待ち遠しくなります。

追加図面:
月が地平線上に完全に姿を見せた時の拡大率を相対屈折率ごとに計算してみました。

蒸し暑い空気層の厚さが薄いほど、月の最下端から出る光の屈折角([1299]追加図面のθrのこと)が小さくなるので、拡大率は大きくなります。
半分しか姿を見せない時の拡大率のほうがはるかに大きく、上空に上ると急激に拡大率は減少していきます。

1307
2007-09-05 (Wed)
地平線近くにある月の拡大率と相対屈折率(2)
[1306]で計算した、屈折角90度の場合の拡大率というのは、どのような状況のことなのか、曖昧で私にもはっきり分かりません。水面上に半分姿を現した状態ではないかと書きましたが、半分だけ姿を現した状況ならば月の中心点が水平線上に見えるという設定でも、計算ができます。
そう考えて計算すると、月が半分だけ姿を見せた状態は完全に姿を表わした場合の45%程度大きな拡大率になることが分かります。
月や太陽の上端部数パーセントが見えている時の拡大率はもっと大きくなって居るのでしょうが、写真撮影しても何パーセント現れているのかを確認するのは困難だと思います。従って、屈折率90度で計算したグラフはあまり使い道がないかもしれません。
[1306]で述べた「上空に真冬のマイナス40度の寒気団があり、地上は40度、湿度100%という真夏の猛暑状態」が実際に起こっても、月の上端付近の一部が2倍近い拡大率と言うだけではホントなのかどうかわかりません。少なくとも半分は見えて、写真上で直径が計測できないと、確認は出来ません。確認できるとすれば下図に朱色で示す示すように80%弱(1.8倍)くらいの大きな姿ということになります。

上に述べた解釈で月や太陽が半分だけ姿を見せた時の拡大率(蒸し暑い空気層厚100mの場合)を朱色で示しておきます。

1308
2007-09-06 (Thu)
アリストテレスの直感を葬った現代の知
定量的な計算をこれだけ見せられたのに、高等教育の中でも「目の錯覚」という洗脳を受けてきた人たちは洗脳から抜けることが出来ないようです。依然としてトンデモサイト呼ばわりを止めようとはしていません。彼らのこだわりは宇宙空間から大気圏に入る時の屈折が考慮されていない、気圧の変化が考慮されていない・・・というものであります。
これは定量的計算をするまでもなく、[1307]の計算結果を見れば明白に推量されることであります。
つまり拡大が起こっているのは蒸し暑い空気層が薄い場合であり、500kmも上空にある宇宙空間との境界での屈折で有意な拡大を示すことはない、ということは容易に推定が出来ます。

疑問があれば、計算してみれば分かります。拡大が起こるのは入射角も屈折角も限りなく90度に近い場合であります。500km上空で屈折する場合の入射・屈折は水平線上で生じていても、実は68度近辺の浅い入射角度となることは、つぎの屈折説明図を参考にして地球内部角度λを計算すれば直ぐに分かります。

このように大気圏に入射するときには浅い入射角度となるために、相対屈折率が大きいとしても有意な変化(コース変更・拡大効果など)が起きることはありません。月の光はほとんど角度も変えず、大きさも変えず直進して境界を通過するので、屈折の影響を考える必要はないということを意味しています。
このことが理学教育の中で、月の光が屈折によって(たとえ100ppm程度の屈折率変化があったとしても)拡大は起こらないと判断されてきた理由でありましょう。

「大気による光の屈折で月が大きく見える」などということが、未だかつて現実に起こったことがない・・・という高等教育修習者たちの意見が「月が大きく見えるのは大気の屈折による」と考えたアリストテレスの直感を否定してしまったのでしょう。

ここ100年近くの高等教育修習者たちが構築してきた現代地震学でありますが、そこには根本的な誤謬が存在していると私は考えています。土台が違うわけですから、「知的生産に対する敬意を持ち合わせていない」と批判されても困るわけです。計算手法を作ってくれたスネルには感謝しますし、科学の基礎を作ってくれた先人たちには大いに敬意を表明するものであります。
しかし、間違っていると思うものにまで、敬意を表することが出来ないのは当然のことだと思います。
私はマントル固体説、プレートテクトニクス理論、断層地震説などは間違っていると考えていますので、当分の間はトンデモ扱いを受けるのでしょう・・・。

1309
2007-09-06 (Thu)
名著「科学を志す人々へ」より
地震はマグマの貫入することが原因で起こる、と言う「マグマ貫入理論」を説かれた第二代東京大学地震研究所長の石本巳四雄博士は「科学を志す人々へ」と言う名著の中で、先入観を持つことの弊害を述べておられます。科学が進歩するためには常に先入観にこだわらず、自分の目と頭で納得できるまで考察する態度が大切であると私も思います。
尊敬する石本博士の主張を「講談社学術文庫」から抜粋して紹介します。
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科学者と先入主

科学者というものは偏らずして平静な心の持主であろうと想像するが、実は決してさようでなく、先入主の凝り固りとしか見えぬ人にも接することがある。しかし、この人達は決して大なる科学者とは思えないのである。

学者に成る資格の中には、先人が自然現象の中から苦心して取り上げた事実を記憶していなくてはならない。またそれらの事実を根底として組み立てられた系統−−−即ち法則とか定理とかと呼ばれるもの−−−を知っていなくてはならない。

(しかし、)即ち事実と系統とが教えられてしまうと、今度新しい事実が出て来ても両立しない場合に於ては新事実の出現を知らぬことにするか、認めない態度に出る学者がいる。これは全く先入主が心の中にあまり幅をきかしておる結果にほかならない。

 学校に在学中は極めて記憶力のよい善良な秀才であっても、いざ学校を出て自然研究に携ると全く物事の受入れ方の悪い人があるが、これらはあまりに忠実に勉学した結果とでもいえよう。頭の中に先入主が横行して、もはや新しき事実が入り込む余地がないのである。この意味では、いわゆる秀才が研究に携ると得て失敗を招いて退場するのである。この点から見ると、学校での教育というものはだいたいの外郭を教えて、新事実を見つけだすことおよび受け入れる余地を有して置きたいものである。教わる方も、教室で覚える定理、原理も真理と考えないで、何時でも変更され、また発展されるものと観て、剛直な態度を持ち続けないことである。筆者はかつて、

  先入主ほど人の心を偏執たらしむるものはない。恐ろしさを心に抱いてこそ、尾花も幽霊として現われる。したがって自然研究者はいたずらに多読して心の主裁者を造るより、平静にして捉われざる心境を養い、自然に直面する心掛を常に持たねばならぬ。

といったことがあるが、筆者も常に注意していわゆる偏見に陥らざるよう注意をしているのである。しかし、この点は至って難しい。(略)

 元来科学書というものは、すべて正しいことが書いてあると思うと大間違いである。たいがいの本は早ければ十年、遅くとも二十年を経れば、その大半の頁は書き直さなければならぬ運命に逢着する。研究は日進月歩の勢いで進展しつつあるのである。この場合、先入主があっては十年もすれば劣敗者となるばかりである。なお注意すべきことは未だ充分検討の足りない学問に於てはとくに然りであって、大学で習ったことを後生大事に覚えている者の方が後れ、全部忘れてしまったものの方がかえって成功をするのである。これは要するに先入主の齎す悪い影響である。
 もちろんこの成り行きは本人の批判力が足りないためもあって、かような結果に落ち行くのでもあろうが、先入主的批判に侯つことは全く禁物である。

  寺田(寅彦)博士はかつて筆者に「最近のつまらぬ論文は読まぬ方が宜敷い。それよりもアリストテレスの書いたものでも読む方が為めになる」といわれたが、これは至言である。確かに、これは先入主悪癖に染むなということに解し得ると思う。

 一体科学というものは、現象のすべて自然に備っているものを、各時代ある限定された知識を以て説明せんとするものであるから、その時代に於いてある現象が説明し得たと思っても、新事実が出れば破壊されてしまうのである。即ち、今日の自然現象は今日の知識を以て説明されるものであって、明日は当然明日の知識を以て、再び説明さるべきものである。この結果として学説の生るべきは当然ながら、これを固守すれば飛んでもないことに陥ってしまうのである今日の学説は明日の学説ならざるものが多いのである。それは知識が増加する結果にほかならないからである。
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以上がその抜粋です。少しコメントを書いておきます。

・ 新しい事実が出て来ても両立しない場合に於ては新事実の出現を知らぬことにするか、認めない態度に出る学者がいる。
現在、地震学者の大半はこの態度ではないのでしょうか。ペルー地震であれだけ明瞭な発光現象がビデオに撮られても、「町の中には発光する原因はいくらでもあります」、「アレは何かの光を見間違えたのです」、と言う学者が多いのではないでしょうか。大地震の前には月が大きく見えたという言い伝えも、「そんなことがあるわけがない」、「錯覚です」で片付けておられるのではないでしょうか。

・ 先入主があっては十年もすれば劣敗者となるばかりである・・・未だ充分検討の足りない学問に於てはとくに然りであって、大学で習ったことを後生大事に覚えている者の方が後れ、全部忘れてしまったものの方がかえって成功をするのである。
地震学はごく新しい学問です。マントルが溶融しているとすれば理論の土台が崩れ去ります理論による地震波の走時曲線が観測で確認されているから、理論の間違いはない・・・と言うことを後生大事に信じておられますが、これとても観測データを恣意的に集めたのではないのかと追求されると、万全な回答は出せないように思います。プレートテクトニクス理論はいたるところでほころびを見せております。フィリピン海プレートさえ、どこで生まれるのか分からない幽霊のような存在です。

・ 「最近のつまらぬ論文は読まぬ方が宜敷い。それよりもアリストテレスの書いたものでも読む方が為めになる」といわれたが、
アリストテレスを信じて「大気の屈折とはどんなことだろう」と探求してきたほうが真実に早く到達したのかもしれません。

・ 今日の学説は明日の学説ならざるものが多いのである。
果たして、マントル固体論、プレートテクトニクス論、断層地震説・・・などがいつまで学説として存在しているのか、予断を許さないと思います。

1310
2007-09-07 (Fri)
水中のボールが歪んで見える理由
宇宙空間から大気圏に進入するときの屈折現象はほとんど起こらないから考慮する必要がないことは理解できると思います。では[1302]で行った水中のCDを見る実験では、CDが大きく見えたのはどうしてなのかと思う方もあるかもしれません。これは真空の宇宙空間と大気との間の屈折率の違いは200〜400ppmという小さな量ですが、空気と水との間では30万ppmという大きな差があり、このことが原因で大きく見えるわけです。

ところで、大きく見えるはずの水中の物体も斜めから眺めると横方向には大きく見えるものの、縦方向には浮き上がるとともに寸詰まりになって歪んで見えてしまいます。

写真は月に見立てた二つのボールを空中と水中に設置して撮影したものです。

このことと、地平線上の月が大きく見えるという理屈が結びつかなくて、本当に大きく見える理由が屈折なのだろうかと疑問に思う方もあると思います。屈折が起こっているのなら、月も縦方向に縮小して歪むのではないのかという疑問が生じるわけです。

これは地球が球体であることと、月までの距離が長く、屈折点からの距離がほぼ同じになることから説明することができます。

水中のボールを見るときには屈折点からボールまでの距離が大きく違うためにボールは楕円形に歪んでしまいます。理解し難いかと思いますので、図を使って解説をしておきます。

屈折点B、Dからの距離が月を見る場合と、水中のボールを見る場合とでは、明らかに違います。どちらも、屈折による角度の変化Δθ(θr−θi)(θr:屈折角、θi:入射角)はB点の方がD点よりも大きくなります。しかし、移動量はTanΔθに距離を掛けた値ですので、水中のボールの場合はCD>ABですからC点のほうがA点より多く移動します。したがって横方向に平たく歪んでしまいます。

月の場合はCD垂`Bですから、角度差(Δθ)が大きくなる分だけA点のほうがC点よりも移動が大きくなりなります。したがって拡大して見えるわけです。

月が屈折によって大きく見えるということが、なかなか信じられない原因は、お風呂などでも身近に観察できる横方向に歪む現象を見ているから、ということもあるのではないでしょうか。

2chの議論でも、月の形状を気にする方があります。縦と横の倍率が違うはずだから、月がどのように見えるか計算してみろ、と言う意見のようです。これは水中のボールが歪む現象に気をとられておられるのでしょう。月の場合はCD垂`Bですから、月の形状が歪むことはありません。拡大率はΔθの値だけで決まってきます。

なお、宇宙空間と大気圏との間では屈折現象が無視できる程度、つまり光が直進していると考えることができます。したがって、月は屈折率の大きな冷たい空気側に存在しているのと同じこと、つまりボールで言えば屈折率の大きな水中にあるのと同じことであります。光は直進しますので、屈折によって移動する量は屈折角θrと入射角θiの差額Δθと距離だけで決まってきます。

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