新・地震学セミナーからの学び
14 海底の年齢2億年説は表皮だけの話である
海洋底の地質は、大陸の地質よりもずっと単純で、二億年の寿命しかないと言われています。それは、海嶺で誕生し、二億年ほどかけて海底を移動し、やがて海溝部で地球内部に消えていくからであると説明されています。でもそれは違うと地層が語っています。斉一説ならば、グランドキャニオンが海底にあった時代からそうだった(二億年説)はずですが、海底の寿命が二億年であるとすると、矛盾がうまれてきます。
ニュートン誌創刊10周年誌(1991Vol.11No.8)をみると、

「グランドキャニオンには、これまで3回の堆積ー隆起ー侵食のサイクルがあったらしい。現在みられる地層は初期の堆積によるものである。古生代から現在に至る新しい地層が欠如していることは、最近の2億5000万年間が隆起と侵食の時代であったことを示している。」

と解説してあります。現在見られる地層とは、先カンブリア時代(約6億年前)の地層から古生代(約2億5000万年前)までの地層です。それ以降の新しい地層がないのだそうです。何回も海底に沈んだことがあったようですが、少なくとも、2億5000万年前に海底にあったとき、最も年配の地層はその時から2億年前のものですから、いまから4億5000万年前の地層があるのはわかります。しかし6億年前の地層があるのは矛盾しています。こんな簡単な計算ではいけないというのでしょうか。それともこんな簡単なことも分からないのでしょうか。どこの大陸にも堆積岩の地層がありますが、一番上の地層の年代から二億年分の地層しか存在しない、などということはありません。明らかに、これは間違っています。

海底の寿命が2億年であるというのは海底の表皮の寿命は、と言いかえなければなりません。海底拡大説は間違いです。プレートテクトニクス理論の正しさを裏付けたと言われている深海掘削船グローマー・チャレンジャー号が採集してきたのは、堆積物という海底の表皮のサンプルです。骨のサンプルをとってきたわけではありません。その表皮を作っているのが、火山山脈です。NHKの地球大紀行(1)「驚異の海底世界」という記事のなかに、この火山山脈に関するものがありますが、それからの紹介です。
謎の黒煙・・・ブラックスモーカーの正体
一九七九年、メキシコ沖二〇〇キロメートル、深さ二六〇〇メートルの海底にもぐったアルビン号は、不思議な現象を発見した。それは、海底に奇妙な煙突状の岩石が林立し、そこから黒煙がもくもくと噴き上げていたのである。差し込まれた温度計は、そのプラスチック部分が、たちまちのうちに溶けてしまった。
黒煙は非常に高温の熱水だった。水圧二六〇気圧というばく大な海水の圧力がなければ、おそらく爆発的に噴出しているに違いない、火山現象であった。それまで科学者が想像もしていなかった異様な光景だったのである。この煙突のようなものはブラックスモーカーと名づけられ、世界中の学者の注目を集め、研究が進められた。調査によると、このブラックスモーカーから出る煙は温度二五〇度、黒煙の正体は鉄、銅、亜、鉛と硫黄の化合物(硫化物一であった。
以上ですが、海嶺中央の谷間には、この奇妙な煙突(チムニー)が、林立するのだそうです。同じ記事から紹介します。

地球の海を取り巻く海底大山脈
その山脈は、アイスランドの北の北極海の氷の下から、アイスランドをへて大西洋を南下し、インド洋へと続き、一つはそれから紅海へと延び、一つは東太平洋へと延びて、カリフォルニア半島に突っ込み、さらにカナダ沖で再び顔を出している。総延長七万キロ以上、山すそから測る高さはおよそ三〇〇〇メートルにもなる巨大な山脈である。これは陸上のすべての山脈をつなぎあわせた長さにも匹敵する。これほどの山脈は陸上にはない。

さらにこの巨大山脈の頂上をよく調べてみると、そこには山脈の方向に沿って谷が続いていることがわかった。山脈の頂上が割れて谷間になっているのである。しかも、これまでに見つかった熱水噴出現象は、いずれもこの海底山脈の項上の谷間で起きているのである。地球を七万四〇〇〇キロメートルにもわたって取り巻く巨大山脈は、火山山脈だったのだ。

以上からわかるように、世界中の海底に走っている海嶺は海洋プレートという地殻をつくっているのではなくて、その表皮をつくっているのです。それより古い表皮がないというのは、地球は2億年も同じ姿勢でいることはないということでしょう。激しく浮上、沈降を繰り返してきたのです。

右の写真は、アフリカのアファー三角地帯にあるアベ湖のトラバーチンという奇観です。かつてはここも、海底にあってブラックスモークをだしていたのです。今は地上に浮上中です。
ニューオフィスD ライブラリー43  セミナー112 271 参照
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