新・地震学セミナーからの学び | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
64 世界各地の深発地震面の形状 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
深発地震面とは熔融マントルの流れを反映しているだけで、プレートの運動とは無関係である | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ハワイの場合は地殻内部での地震で、深発地震ではない。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
・アリューシャン付近では深発面は北へ向かって潜り込んでいる。北米プレートの潜り込みとすればセミナー[1528]などで述べたように、一枚のプレートが各地で別々の方向に潜り込むことになって矛盾があります。
・東方のアラスカでは、緯度が高くなると、深発地震面が浅発地震面と離れていく傾向が見えます。北に向かって地殻の厚さが増えるために、マントル対流が地殻の下に潜り込んで離れるのではないかと思われます。 ・小笠原、バヌアツ、トンガ付近の深発地震面に関する考察はセミナー[1525]、[1528]に述べてあるとおり、プレート論で解釈することは不可能であると思います。 ・大陸奥地のパミール高原付近で見られる、数少ない内陸性の深発地震に関しては[1527]に述べてあるとおり、この辺りが古代には海底であった名残なのではないかと推測されます。 ・南米の低緯度地帯(ペルー北部)では深発地震面の分断が見られます。[1528]でも紹介した定説信奉者の以下のような考え方、 ★ 「太平洋プレートのマリアナ海溝に沈み込んでいる部分は古くて厚くて冷たいので、密度が大きいために自ら沈み込む力が強く、真っ直ぐ垂れ下がるように沈み込んでいます(上田・金森のマリアナ型とチリ型)」 ★「マントルへ沈み込んで垂れ下がっているプレートは、垂れ下がり部分が長くなると張力が増し、途中で切れてしまうことがある(金森サイクル)」 は物性論としては科学的根拠に乏しい考え方であります。 ・ニューヘブリデス諸島はE型として分断する一例となっていますが、東経側だけを見て判断しているようです。西経側と連続してみると、分断のように見えるのは、トンガ海溝からの深発地震面であることが分かります。 ・分断する件をマントル熔融論で解釈すると、ペルーの場合マントルの対流が紙面とは交差する方向に高緯度のチリー方面から流れている可能性もあります。ペルーの深度200km付近で対流が水平に移動するために分断が生じ、その下方500km〜600km付近で再度現れる地震面は高緯度帯からの対流に含まれる解離ガスが爆発しているという可能性です。当然マントルの対流は海流のように立体的に複雑に蛇行して移動している可能性が考えられます。 ・ハワイの地震分布は深発地震とは言えませんが、海溝で上昇するマントルと同じような形状を示します。マグマが上昇して地震を起こしていると考えられる。つまり地殻内の地震であります。 |
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日本から南に向かって緯度を二度刻みで区切り、深発地震面の形状を調べて見ました。
気がついた点を箇条書きにしてみます。 |
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・日本を南下すると、西方の九州ー南西諸島で西向きに潜り込むマントル対流が現れる。
・これは北緯25度の台湾付近で逆向き(東向き)に潜り込む対流に連なっていて、これがフィリピン海溝の深発地震面に接続している。 |
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・小笠原付近の深発面は、北緯30度あたりから分断が見られるようになる。 ・同時に潜り込みの傾斜が強くなり、26度付近ではほぼ垂直にもぐりこむようになる。 |
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・北緯25度の付近では500〜600km付近で太平洋側に反転するような傾向がある。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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・小笠原諸島南部の北緯22度辺りでは浅部の幅が広くなり、潜り込む深度は300〜400km程度で終わっている。
・さらに南下してマリアナ海溝付近では、深発面は薄く垂直で600kmを超えるようになる。 ・台湾から南下した深発面は200km程度の深さでしばらく続いていく。 |
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西側:ルソン島付近 東側:サイパン付近
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西側:フィリピン海溝 東側:マリアナ海溝
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・マリアナ海溝の深発面は北緯10度くらいで消滅する。
・フィリピン海溝につながる深発面はルソン島あたりで二筋に分かれる傾向が見える。 ・二筋のうち最初は西方の地震面が明瞭であるが南下すると東側が明瞭になってくる。 ・フィリピン海溝の潜り込みは、最初はほぼ垂直であるが、南下すると、北緯10度付近で分断が見られ、下部は西方に傾斜している。 |
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・北緯10度辺りから西方にスンダ海溝の深発地震面が現れる。
・スンダ海溝の潜り込みはスマトラ地震が起きた北緯5度辺りでも250km程度で、全体に日本海溝のような深さまでは潜っていない。 ・フィリピン海溝から南下すると、ミンダナオ島辺りで二つに分離する傾向がある。 ・その後赤道付近では明瞭な深発面はなく、深発帯という形状を示すようになる。 |
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↓↑フィリピン海海溝
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↓スンダ海溝
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