新・地震学セミナーからの学び
37 マントルとマグマの実像
高校理科の先生が作っておられるHP
http://georoom.hp.infoseek.co.jp/3litho/12magma.htm
にマグマについての解説がありました。よくマントルはドロドロに融けたマグマである、と思い込んでいる人がいますが、これは誤りです・・・と明確に石田理論を否定されてしまいました。そこで少しその文章を紹介をして、反論をさせて頂きます。

マグマの発生
 地球は地殻・マントル・核と呼ばれる、半熟ゆで卵のような三層構造をしています。よく「マントル=ドロドロに融けたマグマ」と思い込んでいる人がいますが、これは誤りです。マントルは地表よりは高温ですが、融点には達していません。つまり固体なのです。マントルをつくる固体はカンラン岩という岩石です。ただしプレート運動やマントル対流のせいで、ごく一部の場所でカンラン岩が融点をわずかに越え、少しだけ融けかかっている(部分融解)ところがあります。このようにしてできた液体がマグマです。できたマグマはまわりの岩石に比べて軽い(密度が小さい)ので浮力を受け、地表近くまでやってきて、マグマだまりをつくります。これが地表に噴火したのが火山であり、マグマだまりのまま冷え固まってしまえば深成岩になります。

図2 マグマの発生から上昇、固結まで

図は簡単化した図。特に日本のような島弧のマグマは発生から上昇(マグマだまり)まで、かなり複雑なプロセスが考えられる。

写真1 マントルのカンラン岩

 玄武岩マグマ(黒い部分)が地下深部から上昇噴出するときに、周囲のマントル(カンラン岩)を巻き込んでしまったもの。カンラン岩はカンラン石(鮮やかな緑色)と少量の輝石(濃緑や黒)、スピネルからなる。カンラン石は8月の誕生石(ペリドット)としても知られる。地下でこのカンラン岩が融けかかってできた液体が玄武岩マグマである。玄武岩マグマは海嶺をはじめ、地球で最も大量に発生しているマグマである。
 カンラン岩は地表にはほとんど露出していない珍しい岩石であるため、学校地学にはあまり登場しない。しかし地球の大部分をつくっている物質であり、見た目も写真のように大変美しい。本サイトではこのカンラン岩を重視する。

さて、私はマントルはドロドロに融けたマグマであると思い込んでいる一人ですので、その理由を述べてみたいと思います。

セミナー[702]で笠原先生の論文を紹介しましたが、

「地殻の下のマントルを作る代表的な鉱物としてかんらん石(橄欖岩)と言う鉱物がありますが、常圧では1800℃を超える様な高温でしか溶けないのにわずか0.5%程度の水を加えると1600℃以下の温度で溶け始めます。このように水が有ることにより、より簡単にマグマができたり、岩石が変形しやすくなります。」

と教えていただきました。

このように1600℃以下の温度で解けてしまう橄欖岩が地球の深部まで固体のままで存在するとは思えません。ニューオフィス34の疑問点でも述べましたがマントルの下部では4000℃と言う高温になっています。地球内部の温度分布は地震波速度の分析からインバージョン法と言う手法で解析したものであり、本当に4000℃になっているのかどうかは分かりませんが、マントル全体が固体であって、部分的に熔解していると言うのは不自然だと思います。まして、プレートが潜り込んで、陸域プレートとの間で摩擦熱が生じ、部分的に熔解すると言う話には信じがたいものがあります。年間数センチの滑りによる摩擦で岩が熔けるとは思えません。

また、「できたマグマはまわりの岩石に比べて軽い(密度が小さい)ので浮力を受け、地表近くまでやってきて、マグマだまりをつくります。」とありますが、浮力と言う概念を個体であると言うマントルに適用するのは間違っていると思います。浮力で浮上するのなら、周囲も液体でなければなりません。マントルは液体でしかもサラサラ状態の超臨界マグマであると思います。

写真1の緑色の部分が橄欖岩ですが、ライブラリー3536などに示したようにモホ面の下のマントルはあるところまでは固体の橄欖岩であり、地殻の第二層を構成するというのが石田理論です。その下は地球深部まで熔融マントルであるとしています。定説と石田理論との比較を下に示しておきます。

地球内部には内核とか外核とか言われる分部があると言われていますが、それも石田理論では懐疑的に思えます。そうした解釈はマントル固体論にもとづくコンピューター解析から出てくる結論であって、その解析手法に疑義があるのですから、その存在も疑わしいと思っています。

マントルは液体ですから自由に対流をしていますし、対流しているからこそ深発地震の説明が、ニューオフィス2326にあるように合理的に可能になるのではないでしょうか。

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・マントルが熔融していることについては「マントル熔融論の証明」(2009,10,09)を参照してください。

マントル熔融論、S波の伝播問題、レオロジー等に関する最新の見解は [2339]、[2341]を参照してください。