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44.深発地震が早く伝播する理由


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 深発地震の研究をしたのは、気象庁長官を務めたこともある和達清夫博士です。100Kmを超えるような深い所で、地震など起こらないと考えられていた頃のことです。またこの深発地震は、浅発地震よりも早く伝播するという不思議な現象があることを発見したのも、和達博士です。

[解説]
 震源の深さが60Kmより浅いものを「浅発地震」、60Km〜300Kmのものを、「やや深発地震」、300Kmより深いものを「深発地震」とよんで区別しています。

図の(a)は若狭湾西部で発生した浅発地震、(b)はほぼ同じ場所の深さ400Kmで発生した深発地震の地震波伝播(P波)の様子を示したものです。地図の上では同じ場所で発生した地震であるのに、明らかに深い地震のほうが早く伝播するのがわかります。地震発生の一分後に、浅発地震の波は東京〜新潟近辺にしか達していないのに対し、深発地震の波は北海道南西部にまで届こうとしています。これは 深発地震の謎、不思議な現象として知られていますが、解離爆発地震論・マントル溶融論・地殻二層論・内部供給型解離爆発論などの一連の石田理論で考えれば、不思議でも、謎でもなく、簡単明瞭な説明が可能です。

 深い地震とは地殻の下、マントル内で解離爆発が起こり、その地震波が橄欖岩で出来た高速伝播媒体(地殻の低層に当たる部分)の内部を伝播していく地震です。一方浅い地震は花崗岩や玄武岩という低速伝播媒体(地殻の高層に当たる部分)の中を伝播していく地震です。この違いから明らかにわかることですが、深い地震のほうが早く伝わるのです。異常震域という問題も同じように、合理的な解釈が可能です

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(石田)

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