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1.唐山地震ひび割れから噴出する可燃ガス
 みんながぶっぶっ言いながら腰を下ろして待っていると、二時頃になって本当に電気がきたんです。そこでまた働きだしました。一生懸命やったもんで、三時頃に仕事は全部終わりました。機械を片づけて村に帰った人もいましたが、私ともう二人は脱穀場の掃除をするので残っていました。突然頭の上で「ゴロゴロ……」と雷が落ちたような音がしたと思うと、地面も山も揺れ始めました。私は足ばらいをくったように引っくりかえり、右へ左へごろごろころがりました。立ち上がれなかったのです。そのとき電気が消えました。
振りかえって後ろを見たら、恐ろしい光景でした。大きな火の玉が一っ地中から飛び出して、目がつぶれるほど真っ赤でパチバチと音を立てていました。そいつは空の途中まで飛び上がり、だんだん暗くなりました。夜が明けてから火の玉が飛び出したところに行ってみると、一列のひび割れがあり、両側の土が焼けこげていました。

[解説]
 以上は唐山地震の体験者の話です。爆発音があったこと、その後ひび割れからガスが噴出し、火の玉現象になったということです。ガスは水蒸気に戻らなかった水素ガスと酸素ガスでしょう。このような可燃ガスが大火の原因になるのです。日本の古い地震記録にも、奈良の若草山から火柱がたったとか、紀州では沖合いの海上に火柱が立ったという記述がたくさんあります。

(石田)


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