新・地震学セミナーからの学び
11 マントルトモグラフィーに隠れた重大問題
僅か2%の速度差から決定されるマントルトモグラフィー
上の図面が地震学で最近良く研究されているマントルトモグラフィーというものです。右の解説を読むと分かるように、僅かに2%という、計算誤差にも入ってしまうような速度の違いから、計算ブロックを色付けしたものです。しかも、この計算はマントルが固体であると言う条件、つまり地震波がその場を伝播するという仮定のもとになされているのです。
その結果として、「ホットスポットを形成するプリュームという流体運動の存在が確認された」というのでは、計算の仮定が崩れたことを報告しているようなものです。マントルは部分的に熔解しているだけだから・・・とおっしゃるのかもしれませんが、たとえそうだとしても、プリュームの存在といわれるところだけでも、計算から除外しなければなりませんし、またそこから先方へは地震波は伝播していないはずですから、地震波の到達時間という観測値に合わせようにも、合わせられないことになります。つまり計算不能になるはずです。マントルトモグラフィーで流体運動を確認するということ自体がナンセンスなことなのです。

何故このようなおかしなことに気がつかないのでしょうか。私はマントルは流体だと思っています。したがってマントルプリュームという対流があるのは当然だと思っています。むしろマントルが流体であることを早く認めて欲しいのです。でもそれは、マントルトモグラフィーを捨てて下さい。ということでもあるわけです。地震波はマントルという流体中を伝播するのではありません。勿論一部分のP波(地球の裏側へ直進する波)は水中を伝播する海震現象のように伝播していきますが、それ以外のP波もS波も、モホ面と液体マントルの間に存在する橄欖岩で構成される固く、緻密な部分を伝わって、中心核103度付近まで伝播しているのです。

これに関しては、繰り返して述べてきましたので。参照項目はいくつもあります。

ライブラリー  36 38 39 40   セミナー 26 120 145  などでも触れています。

最新情報は 1152 1153 にあります。

この問題はレオロジーの解釈を「マントルは熔融物質であるが高圧下では弾性体としても挙動する」 と解釈しなおしています。セミナー[1464]仮説の修正[1465]マントルトモグラフィーの理解に最新の解釈を示しています。(2008.7.26)

マントル熔融論、S波の伝播問題、レオロジー等に関する最新の見解は [2339]、[2341]を参照してください。

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