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1411
2008-05-23 (Fri)
地震局の姿勢が追求される中国
今回の地震では、「中国地震局は責任逃れできない」という追求があるようです。
日本では地震学者が追及を受けることもなく「天国」のようですが、いつまで続くのかは分かりません。早く、見直しをしたほうが良いのではないでしょうか。
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四川大地震:地震研究者「中国地震局は責任逃れできない」
http://jp.epochtimes.com/jp/2008/05/html/d60818.html
 【大紀元日本5月22日】四川大地震の事前予報があったとの指摘について、中国地震局のトップは国内メディアの取材で、完全に否定し、如何なる予報をも受けていないと明言した。それに対し、「中国地球物理学会」の天災予測専業委員会の顧問・陳一文氏は、中国地震局のこの主張は真っ赤なウソと反論、中国国家放送局の中央テレビ(CCTV)の番組で「(今回の地震について)中国地震局は責任逃れできない」と述べた。

 5月14日、中央テレビの9チャンネルの英語番組では、、汶川5・12大地震」をテーマとするトーク番組が放送された。地震観測専門家の今回の大地震発生への責任問題を議論する際に、陳一文顧問は生電話によるインタビューを受け、英語で「中国地震局は逃れられない責任がある」と述べ、06年以来の3年間、天災予測専業委員会は中国地震局に3度にわたり中期予測の報告書を提出してきたと説明、特に(地震直前の)08年5月3日には、陳氏が自ら中国地震局に報告書を送り、同地区での強い地震の可能性を予告したと主張、中国地震局が如何なる予報も受け取っていないとの説明に真っ向から反論した。

  当日夜、この番組が再放送された際には、上記の陳氏の発言が削除された。

 陳氏自身は現在も自分の論調を堅持している。5月18日、「華夏速達」の取材を受ける際に、同氏は、http: //cheniwan.sea3000.netというサイトの「地震予測」と「科学共同体および規則」の2つのコラムで、自分の中国地震局に関する多くの評論と付録を掲載している、と説明した。

 同地震予測委員会には、1976年の唐山大地震を正確に予測したとされる研究者が多く加盟していると、陳氏が説明、その権威として、孫威氏の名前を挙げた。

 陳氏の説明によれば、孫威氏は他の研究者と共同で地震の前兆を観測できる設備を開発、毎日24時間連続して観測を続け、中国地震局の断続的な観測より遥かに優れている。また、これらの研究者は地震発生に関する伝統的な原理分析を根底から覆す、地震発生の多くの前兆を逃さず掴むことができたという。

 陳氏は故孫中山(注・台湾国民党の創始者、初代中華民国臨時大総統、国の父と呼ばれている)の秘書・陳友仁氏の孫、英国国籍のユダヤ人のー人である。1942年に英国で生まれ、1950年8歳の時に父の陳依範氏とロンドンから北京に移住、1968年に北京機械学院を卒業。1990年から、地震予報の研究に携わり、中国の地震予測学者の研究を支援・追跡してきた。2002年には、中国地球物理学会の天災予測専業委員会の顧問となり、現在に至っている。
 (翻訳・編集/叶子)
(08/05/22 08:19)
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以上が大紀元の記事です。地震局というのは日本では気象庁に当る組織でしょう。気象庁も、早く地震観を切り替えて新しい地震観を持たないといけません。毎度繰り返される紋切り型コメントでは当セミナーを勉強している読者を納得させることは不可能でしょう。
かなり多くの方がテレビを見ながら「又始まった・・・そんな解説なら素人でもできる。」と思っていることでしょう。

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2008-05-25 (Sun)
地震後に起きる地下内部の変化
地震の後で温泉の湯が枯れるとか、逆に多くなることなどがあります。日本でも、道後温泉が枯れたりしたことがあります。四川の地震では赤い水が出たということです。
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http://jp.epochtimes.com/jp/2008/05/html/d84043.html
地震後、泉水が赤く変色=四川省

 【大紀元日本5月15日】中国四川省達州市渠県龍潭風景区に「老龍洞」という泉水の名所がある。12日の大地震発生後、ここ2日ほど「老龍洞」から流れ出る水が赤錆色をしているという。

現地村民の話では、12日午後2時半前後――ほとんど四川省、汶川県でマグニチュード7・8の地震が発生したのと同時に「老龍洞」も“血”を流し始めたらしい。

 この現象は偶然ではなく、毎回大地震が起きる時に「老龍洞」からは赤錆色の水が流れ出るという。最も長かったのは1976年唐山大地震の時で、錆水が3日間続いたとのこと。この他に東南アジアの津波、台湾地震発生時、似たような現象が起きたという。 
(翻訳・市村)
(08/05/15 10:38)
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これは別府の血の池地獄のように「酸化鉄、酸化マグネシウム等を含んだ、 赤い粘土を噴出」するからでしょう。 付近に、そうした地層があれば、地震による地下水流の変化で赤い粘土を一定期間噴出する可能性があります。

地震に伴って地下での水やガスの動きが変化して、異常な現象の契機になることがあります。[1408]のガス噴出は人為的に点火したので、燃焼が継続していますが、砂漠地帯ではガスが噴出して砂が舞い上がっているのが見られるそうです。You-Tubeの情報では、サウジアラビアのAl Ahsaaシティーという砂漠で見られるそうです。その他にも、場所は忘れましたが、どこかの観光地で可燃性ガスの放出を報道していたのを記憶しています。

youtube動画が消えています。



可燃性のガスかどうかは分かりませんが、地下からガスが噴出しているのは確かでしょう。地震の予兆かどうかも不明ですが、急に噴出が始まったのならば、安定していた地下での水の解離状態が変化した可能性もあります。

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2008-05-26 (Mon)
地震時大火の真相
地震と天然ガスの噴出に関して学んできましたが、大きな地震では震動被害のほかに火災による被害が大きくなることが良くあります。サンフランシスコの大火災は有名ですが、日本でも、関東大震災、阪神淡路の地震で経験したことです。

今回の四川地震では火災による被害はありませんでした。これは、可燃物が少なかったということもあるのでしょうが、地殻内部の構造によってガスが噴出する場合と噴出しない場合があるということです。
本日の産経新聞には越後三条地震が起こった前後のガス噴出の話が紹介してありました。
現在の新幹線三条駅近辺を夜間に提灯をもって歩いていた人の提灯が燃えてしまうとか、近くで地中から出る天然ガスを集めて利用していた人があるとか興味深い話が載っています。その人の話では地震の後ガスの噴出が3倍の強度で噴出し、しばらくして元に戻ったと記事にはあります。

また、2003年の十勝沖地震では、石狩平野の泥炭地帯で天然ガスが噴出し、小規模ではありますが[1408]に示したトルクメンの例のように火が燃え続けるということがあったそうです。

このように、大地震では地中から地震の直接原因となる水素ガスも含めて地下に溜まっている天然の可燃ガスが噴出する可能性がありますから、セミナー[1237][1239];や、ニューオフィス25でも述べたように、「襲ってくる火の手から、我が家を守り、類焼という二次災害を防げ」という呼びかけに従うのは危険であります。消防関係の人には、しっかりとした認識を持ってもらいたいと思います。
ログイヤブログのお勧めリンク先紹介には以下のコメントがあります。
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・ANS観測網・大地震予知観測ネットワーク
「勉強し直しであります。自らの力不足と、不勉強に恥じ入ります。「大地震では地面からガスが出てくる、しかも可燃性のものが含まれている可能性がある。」これは、巨大な問題です。都市そのものを早急に再検討し、送電システムも再検討しなければならないように感じます。」
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上記サイトのコメントのように、大地震の真相と都市機能の防御に関して早急に認識を改める必要があります。

なお、過去におきた歴史的地震のなかで、ガスの噴出が認められるものについては、ゴールド博士から学ぶ(8〜13)としてセミナー[459][500]に紹介してあります。

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2008-05-27 (Tue)
プレート論のご都合解釈
25年前の昭和58年5月26日に日本海中部地震が起こりました。昨日の産経新聞には「悲劇を招いた誤った風評」と題する解説がありましたが、地震爆発論から見れば内容は「誤った風評」ばかりであります。少し紹介し解説しておきます。
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悲劇を招いた誤った風評
(略)プレート(岩板)の衝突により、長い年月をかけて地震エネルギーが蓄積された点は、大陸内部で起きた中国・四川大地震と共通する。日本海で起きる地震の仕祖みは、現在も末解明の部分が多いという。(長内洋介)

(略) 日本列島は4つのプレートがぶつかり合っており、その境界付近で大きな地震が起きる。よく知られているのは、海洋プレートが陸のプレートの下に沈み込んだ太平洋側で発生する海溝型地震だ。
 日本海中部地震は、ユーラシアプレートが北米プレートにぶつかる「日本海東縁部」と呼ばれる場所で起きた。この海域ではプレートの境界線ははっきりせず、点線で描かれることが多い。東西方向に地盤を圧縮する力が働き、地震エネルギーが蓄積されると考えられているが、断層の様子や地震発生の仕組みもよくわかっていない。
 産業技術総合研究所活断層研究センターの岡村行信副センター長は「太平洋側の日本海溝は1億年以上前にできたが、日本海東縁部で東西圧縮による断層活動が始まったのは約300万年前で、プレート境界が新たにできつつある段階。断層帯は複雑で、どこがどう動くのか解明されていない」と話す。
 日本海側のプレート移動速度は年間約1センチで、太平洋側と比べてかなり遅い。大地震が起きやすい場所だが、ひずみの蓄積に数百年から千年単位の年月がかかるため、頻度は高くない。この海域から南に連なる陸域では、「新潟―神戸ひずみ集中帯」の存在がGPS(衛星利用潮位システム)観測で判明した。しかし、海域にはGPS観測点がないので日本海東縁部のひずみ集中は検証できない。
 東北大の海野徳仁教授は「日本海中部地震がなぜ起きたのか、当時は理解できなかった。余震の分析で断層の力向が分かったが、北海道南西沖地震では違う力向の断層も動いており、地震予測は非常に難しい」と話している。
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以上が抜粋して紹介した記事です。
まず、「長い年月をかけて地震エネルギーが蓄積された」とか、「ひずみの蓄積に数百年から千年単位の年月がかかる」とありますが、[1393]で述べたように、岩盤はガラスと同じように微小の歪で破壊しますから、地震を発生させるような「歪を蓄積する」などということはありえません。「新潟―神戸ひずみ集中帯」という概念もまったくナンセンスです。
また、太平洋プレートは大陸プレートの下に潜り込んでいて、ウラジオストックの地下600〜700kmまで降下しているという解釈(勿論地震爆発論ではそのような解釈はしていません)になっていますが、そうならば、ユーラシアプレートが年間1センチで北米プレートの下に潜り込むという解釈はおかしくないでしょうか。どこかで衝突して向きを変えるのか、衝突する前に消えるのか、プレートというのは剛体のはずですから、矛盾が生じてしまいます。


記事にある図中には「ユーラシアプレートが少しずつ東へ移動し、北米プレートに衝突。境界部の大地震で海底を押し上げ、褶曲を形成。沈み込みは始まったばかりで海溝はできていない。」
とありますが、太平洋プレートはなぜ同じような挙動をしないのでしょうか。なぜ褶曲を形成しないのか、説明がありません。
なぜ、太平洋側では海溝が形成され、日本海側では褶曲が形成されるのか、沈み込みが始まったばかりという説明はご都合主義のように思います。
最後に、「北海道南西沖地震では違う力向の断層も動いており、地震予測は非常に難しい。」とありますが、要するに、地震は断層が動いたり、プレートが押したりして起きるのではなく、地下における爆発という化学反応エネルギーが引き起こしているという地震爆発論で解釈するべきであります。

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2008-05-28 (Wed)
CO2地中貯留の国会審議第2弾
四川省で大地震が起こった12日に日本では参議院決算委員会において民主党の風間直樹議員がCO2の地下注入と地震の関連について質問をしています。議員は昨年災害特別委員会でも質問をされ、その内容は議事録に残っております。
今回の質疑内容(33分45秒)は参議院インターネット中継で見ることができます。

質問の中で、液体の地下圧入と地震との間には関連があるという調査報告がバッテル研究所などでなされているのに、岩野原で注入する時に安全性を確認しなかったのか、しなかったとしたら大問題である。現時点で因果関係を調査するつもりはないのか、などと追求しています。調査しないのなら将来、経済産業省甘利大臣の政治責任になる可能性があるという追求に、大臣は危惧を指摘する研究者からも話を伺って進めていきたいと答えています。<br>さらに、質疑の中で、大臣は本年度念のために「地震予知総合研究振興会」に調査を依頼し、因果関係なしと類推できる結果を得ていると答えています。しかし、議員が指摘するように、未知の領域の現象で専門家でも分からないことが起こっている可能性があるわけですから、慎重に対処するのは当然であります。

また、今年度は13億円を掛けて、これまでの10倍に相当する10万トンものCO2を注入する計画です。注入実験が抱える問題が明らかになった現在、この実験を引き受ける自治体があるのかどうかも疑問であり、新潟県下では引き受ける自治体は無かろうと新潟選出の議員は述べています。
セミナー[1283]に紹介したように、今後展開される注入適地とは運搬コストの安い東京湾、伊勢湾、大阪湾、九州北部などでしょう。前にも指摘しましたが、海域部で地震が起きれば津波災害も引き起こされることを念頭に置かなければいけません。
なお、経済産業省では議員の質問を受けて、4名の地震専門家にヒアリングしたということです。阿部勝征中央防災会議委員、大竹政和地震予知連絡会員、島崎邦彦地震学会会長、楠瀬謹一郎産業技術総合研究所主幹研究員という錚々たるメンバーの名前が紹介されていました。
しかし、4人はプレートテクトニクス信奉者であるので、当然ですが因果関係はないという結論を出されたようです。
「環境と経済の素敵な関係」というブログには「CO2地中貯留と地震の因果関係は?」と題して以下のコメントがありました。

「CO2地中貯留と地震の因果関係を支持するのは、静岡理工科大学非常勤講師の山本寛氏や名古屋工業大学元教授の石田昭氏などです。地中の水分の挙動が地震と関係していると考え、CO2の注入が地中の水に影響する可能性を指摘しています。現在の地震学の定説はプレートテクニクスと呼ばれる理論で、陸地の地殻(プレート)の下に、海洋プレートがもぐり込む際に、陸地プレートに歪がたまり、その歪が戻る現象が地震だと説明しています。この理論では、CO2地中貯留で地震が誘発される余地はありません。経済産業省は、風間議員の指摘を受け、地震学者4人に地中貯留と地震の因果関係についてヒアリングしました。4人ともプレートテクニクスを支持しているため、当然ながら「因果関係はない」と結論づけました。」

私は2005年3月の時点でプロジェクト責任者に以下の内容のメッセージを送っております。

「どのような学識経験者がおられても、未知科学に関しては全員素人ですから、「その時点では学者にも分らなかった」となるでしょうね、上述しましたように、学者の審議によって法的責任は免れたとしても、道義的責任が残る可能性はあります。私が最も危惧しているのは地震の原因に関する知識が間違っている可能性があり、それによって地下深部に安易な人為的工作が行われ、多くの悲劇を生むのではないかということです。以上再考していただければ幸甚に存じます。」

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2008-05-28 (Wed)
トーマス・ゴールド博士の革命的理論
少し古い記事ですが、;阿修羅というサイト「地球深層ガス」「未知なる地底高熱生物圏」の著者であるトーマス・ゴールド博士が、ラジオ番組のゲストとして出演した時の記事が紹介されていました。

石油などの地球資源に関する革命的に重大な内容ですので、ニューオフィスに63として転載させていただきました。(原文はこちら
また、ゴールド博士は地震現象に関してもプレート説を否定してガスの噴出説をとなえ、ポールシフトなどにも言及されている世界的に著名な研究者です。このセミナーでも何回も紹介させていただきました。

さて、ゴールド博士が「石油・石炭は化石燃料ではない」と提起される根拠の一つは、これらの物質(炭化水素)が他の幾つもの天体の内部で実際に生成されている事が発見されたことである、そうです。地球以外の天体に、恐竜や巨大植物が繁茂した形跡は無いのに、炭化水素が存在するということは、地球においても当然誕生の時からすでに内部に炭化水素が存在したと考えるに十分の理由があるということです。
しかしながら、

「石油が全て化石からできているという古い理論は非常に根強いもので、天文学者が他の天体に関するほぼ完璧な証拠を提示しても、それらはただ無視されます。特に、これらを「化石燃料」と呼称する石油地質学者にです。一度誰かが名前を付けたら、みんな信じ込んでしまったと言う訳です。」

とあるように、いったん流布した通説を訂正することは大変なことなのです。しかも一番根強く信奉しているのが、西ヨーロッパとアメリカであり、

他の多くの国では、私の主張が採用されています。ロシアでは非常に大規模にやられていますし、中国でも同様です。ただ、西ヨーロッパ諸国とアメリカだけが、泥中にずっぽりと嵌っていて、他のものを見ようとしない様です。

とあるのは、これらの天然地下資源は常に地球内部で自然に形成されているということが明らかになると困る強力な利権団体が存在し、「化石燃料の枯渇」という脅しを使い、大衆の意見(特に石油産生国に対するアメリカの政策について)と石油の値段を操ろうとしているせいなのでしょうか。だとすれば開かれた民主主義国家という通念こそが間違っていることになります。開かれた社会というのは錯覚で実は雁字搦めに拘束された社会なのかもしれません。

 似たような話になりますが、他の天体にはプレートテクトニクスが存在しないというのに、地球にだけはプレートテクトニクスが存在するというのもおかしな話であります。

ご存知のように月にはプレートテクトニクスは存在しませんが、月震は起こります。プレートが押す時の歪が蓄積されて断層が動き月震が起こるわけではありません。月の内部には依然として高熱のマグマが存在し、その動きによって解離ガスが発生し、貯留され、時々爆発という月震が起きていると考えるほうがよほど合理的であります。(セミナー[1063]参照)

「化石燃料」という概念と同じで、やはり「一度影響力の高い人間が提起し、多くの人間が唱和しだしたら、みんな信じ込んでしまったと言うことなのでしょうか。
博士と同じ口調で言えば、「岩盤の歪は蓄積されないこと、地震波の走時表は成立しないこと(注:参照)などを指摘しても、地震研究者からはただ無視されます。特に「プレート理論」を信奉する地球物理学者にです。一度影響力のある誰かが発言すると、みんな信じ込んでしまったと言う訳です。」・・・・ということになります。

注:走時表の件は、[3090]にも書きましたが、高周波成分に関しては成立すると修正しています。地震波の主要成分は走時表のような伝播はしていません。

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2008-06-01(Sun)
月震と地震の相違点
月震について次のサイトに専門家の解説がありますので、抜粋して紹介し、最後に「月震爆発論」としての解釈を説明します。
http://www.terakin.com/ja/mq/index.html(「月震の種類」参照)


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http://www.terakin.com/ja/mq/mqtype.htmlより引用)


月震全般の特徴

(地球上の地震波と違って) まず、最大の振幅になるまでに随分時間がかかることがわかります。 地球の地震でしたら、最大の揺れがやってくるまでにせいぜい1分程度しかかかりません。しかし、月震は最初の揺れから最大の揺れに達するまで数分、ものによっては10〜20分もかかるものがあります。
また、地球の地震は数分経てば収まりますが、月震は揺れがずっと長く続きます。特に隕石の衝突のような、比較的大きな地震は揺れが長く、中には5〜6時間も揺れが続いているものさえあります。
月震はすべて、非常に小さいものです。 マグニチュードという単位で比較すれば、深発月震はM1〜2程度、最大の月震(浅発月震)でM3〜4程度と見積もられています。M1〜2という規模は、地球では極微小地震として扱われて、人間が感じることはまずありません。M3〜4は小さな地震に相当しますので、震源の真上にいたら地震を感じることがあるかも知れませんが、それでも、建物を破壊したりすることはまずないでしょう。

深発月震

深発月震は、月震の中でもっとも多く発生するものです。「深発」というからには深いところで起こります。月の半径は1738kmですが、深発月震が起こる深さは800〜1150km程度と推定されていますので、相当深いところで起こるといってもよいでしょう(地球の深発地震は深さ500〜600kmくらいで起こりますが、地球は半径6738kmもあります。それと比べても、随分深いところで起きていることがおわかりかと思います。)
深発月震には面白い特徴がいくつかあります。まず、震源が決まっていること。同じ震源で発生する深発月震はいくつかのグループに分けることができます。これらのグループは現在109グループ分類されていて、それぞれにA1、A2、…という名前がつけられています。特徴が似ているためにグループが統合されたものもありますので、現在では52のグループに分けられています。

 同じグループに属する地震は、波形が極めてよく似ているという特徴があります。例えば、右に示したのは、深発月震の中でもっとも活発な、A1と呼ばれているグループの月震ですが、このようにずらりと並べると、非常に波形がよく似ていることがおわかり頂けると思います。一番下に示したのは、上に並べた波形を足し合わせて作った合成波形です。
深発月震は、ほとんどが表側で起こります。しかし、唯一の例外として、深発月震グループのA33と呼ばれるグループは、裏側で月震が起きていることがわかっています。このように、裏側でも進発月震が起こるのかどうかということはまだわかっていません。何しろ、アポロ計画では月の裏側に月震計を持っていきませんでしたから。

 もう1つ、深発月震の変わった特徴は、発生に周期があることです。その周期は、月と地球の位置関係に大きく関係しています。発生の時期や振幅の変化が、地球と月の位置によって周期的に変化することがわかっているのです。
 このことから、深発月震の原因は月と地球の相互作用=潮汐力が原因だろうと考えられています。ただ、月と地球の潮汐力は深発月震のエネルギーよりもはるかに大きいので、深発月震が潮汐力により直接起こされているというとは考えられません。少なくとも、「きっかけ」にはなっていると思われていますが、詳しいことはわかっていません。

浅発月震

 浅発月震は、アポロの7年間の観測でもたった28例しか捉えられていない、極めて珍しい月震です。ですから、性質がよくわかっていないということもありますが、それをまとめると次のようになります。
震源の深さは、ほぼ300kmくらいと推定されている。これは、深発月震よりは浅い(それでも、地球の地震はふつうは数十kmくらいの深さで起こりますから、ずっと深いことには変わりないのですが)。
P波、S波を区別しやすい。また、遠くで起きている(ことになっている)にもかかわらず、周波数が高い成分が多く含まれている。
 浅発月震の発生原因としては、月内部の応力分布などが上げられていますが、何しろ28例しかありませんので、その性質すら明らかでないという点が問題です。
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以上が抜粋したものですが、この中にある月震の特徴を「月震爆発論」の立場から説明してみます。


月震と地震の相違模式図


・ 最大の振幅になるまでに時間がかかる・・・という点ですが、月は冷却が進行しているために、月殻が厚く(300km〜800km)、多くの月震は深さが800〜1150km程度の深部で発生します。したがってP波とS波の到達時間差が長くなるのは当然で、S波としての最大振幅はP波到着から相当遅れることになります。
・ 月震は揺れがずっと長く続きます;・・・という点ですが、地球では30〜100km程度の地殻内で起きる爆発ですが、月では少なくとも300km以上の厚さのある月殻の底部で起きる地震ですから、当然振動は長く継続します。近くの工場で起こった爆発は激しいものの短時間で収束しますが、遠くの工場で起こった爆発は長く継続するのと同じ理屈です。
・ 深発月震は、月震の中でもっとも多く発生するもので、800〜1150km程度と推定されている・・・とありますが、800kmという深さはほぼ月殻の底部を表し、1150kmという深さは月内部に存在する熔融マントル内での解離ガスの爆発を意味するのでしょう。浅発月震が起きる300kmという深さは月殻内に存在するマグマ溜りの位置での爆発点を意味しているのだと考えられます。
・ 深発月震は震源が決まっている・・・とありますが、月内部のマントル対流が沈み込む場所が決まっているということを意味していると考えられます。地球でもマントル滞留が沈み込む場所は決まっていて、そこには火山帯ができていますが、月では冷却が進んでいて噴火を示すような火山は存在しないはずです。
・ 深発月震では、発生に周期がある・・・ということですが、月内部のマントルに働く潮汐力が周期的に変動することに関係します。マントルは熔融していますから、潮汐力によって圧力が変動し、このときにマントル内部の解離水と結合水の割合が変化します。この変化によって解離能力以上に解離した混合ガスが爆発を起こしていると考えると、月震の周期性は理解ができます。
・ 浅い月震の解説で、P波、S波を区別しやすいく、遠くで起きているにもかかわらず、周波数が高い成分が多く含まれている・・・という点に関しては、少なくとも硬い岩盤である月殻が300km以上はあるわけですから、振動に含まれる高周波成分が減衰されずに伝播することが考えられます。地球では月ほど冷却が進んでいませんから、地殻が薄く、堆積物も厚く積もっています。これが地震と月震との相違を生み出していると考えられます。

ゴールド博士は地球以外の天体に炭化水素が存在することから、石油などの地下資源が化石燃料ではないことを見破り、その指導により北欧で地下資源の発見がなされているようです。
同じく、プレートテクトニクスが存在しない月でも月震が起きていることから、地球の地震もプレートテクトニクスとは無関係であることを見破ってはどうでしょうか。

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2008-06-03 (Tue)
地震学者は地震予知を研究していない
地震学者の島村英紀氏が書いた「地震は妖怪 騙された学者たち」(講談社+α新書・2000年8月発行)を読みました。正直に地震研究の実態を吐露されたことが逮捕という災難の遠因だと言う人もありますが、私にはよくわかりません。地震学者たちが「地震予知」を標榜して研究費の獲得、勢力の拡大を図ってきた内幕が書かれてありましたので、紹介します。第一章「あざ笑う地震妖怪」から抜粋してみます。
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日本には地震学者が約二千五百人いる。この数は地震学会の会員数だ。地震学という学問が明治時代に日本ではじめられたこともあって、世界で最大の地震学会が日本地震学会なのである。
会員がこれほどたくさんいるのは、地震予知研究が国家計画として発足したこの三十五年のあいだに、各官庁や大学で地震予知関係のポストが大幅に増えたせいだ。気象庁、建設省国土地理院、建設省建築研究所、通産省地質調査所、科学技術庁、郵政省通信総合研究所といった各官庁や、東京大学地震研究所など各大学が競って地震予知研究をうたい、人員を増やしてきた。
 しかし、このうち、現在じっさいに地震予知を専門に研究している学者は、一般の人が驚くほど少ない。学会での地震予知の研究発表も、全体のわずか数パーセントにも満たない。これは、地震がどういう過程を経て起きるか、といった本質的な理解なしに、前兆現象だけをつかまえることで地震予知できる、予知したい、というバラ色の夢が幻想にすぎなかったことが分かってきたからなのである。
 学問の側でこのようなむずかしさに直面しているさなかに、阪神淡路大震災(一九九五年)が起きて大被害を出した。これを機会に国はいち早く「地震予知研究」の看板を下ろして「地震調査研究」という看板に掛け替え、科学技術庁が一元的に統括するようにした。予算も大幅に増えた。しかし、これは看板を替えただけで内実はそれまでとほとんど変わらない。あえて言えば学者主導型から役人主導型になって、学問の時々刻々の現状や展望に対応しにくくなっただけである。(略)
 地震予知は、一筋縄ではいかない、そしてむかし考えられていたよりもむずかしいことが分かってきた一方で、学問的には、近年、地球科学は大きな進歩を遂げた。むかしの常識では理解できなかった不思議な大地震についても研究が進んでいる。そして、ますます明らかになってきたことは、地震予知を含めて地震の研究は、地球を研究することと一体になった「総合的な科学」でないかぎりは進められない段階になっていることである。
しかし、これについて述べることは本書の趣旨ではないが、研究をめぐる環境には問題が山積している。たとえば日本中の市町村すべてに地震計を設置するといったばらまき行政に見られるような役人主導型の計画が、実際に学問を進めることになるのかどうか、いま、研究のあり方を問われているのである。


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以上が第一章の要旨です。
「近年、地球科学は大きな進歩を遂げた。むかしの常識では理解できなかった不思議な大地震についても研究が進んでいる。」・・・とありますが、私には、砂漠で魚を探しているような滑稽さを感じます。魚は水のある海か川でないと見つからないでしょう。



フンボルトの地震観に基づいて地震爆発説を念頭においておられた小川琢治、石本巳四雄らの先達はなんと壮大な勘違い研究をしているのかと後輩たちの不甲斐なさを嘆息されているのではないでしょうか。

1419
2008-06-03 (Tue)
民間の研究所にも研究費を
島村氏が10年ほど前に朝日新聞に投稿された文章が氏のサイトに載っていました。
http://3.csx.jp/shima/rondan79.htm


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『論壇』(朝日新聞。主張・解説面)、1997年9月25日
科学を置き去りにした新「地震予知」体制
新聞での題は「国の地震研究態勢を問う」


いままで三〇年以上にわたって同じ方針で続けられてきた地震予知計画は「戦略」に無理があった。前兆を捉えて実用的な地震予知をするという戦略である。いままでの地震予知計画はこの戦略を軸にして、長期的前兆を捉えて地域を絞り込む戦術とか基礎研究とかが組み込まれていたのだった。そして、この戦略が難しいことが露呈したのである。

 じつはこの戦略は、学者によって政府に「役立つ科学」として迎合した形で作られたものだ。国民の地震予知への期待を人質にとっているわけだから、役立つ計画にすれば予算や人員をとりやすかったのである。

そのうえ、計画の策定とその後の実施の過程には限られた学者しか関与できなかった。閉鎖的に予算を配分していたから、予算を使えたのは、小規模の予算の例外を除けば、国立大学では旧制帝大だけであった。
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[1418]と合わせて読むと、旧帝大だけに集中配分されていた地震予知研究費がこれからは役人主導型でばら撒きの方向へ進んで行くのでしょうか。
「戦略が難しいことが露呈」・・・とありますが「前兆を捉えて実用的な地震予知をするという戦略」に間違いがあったとは考えられません。本当の原因は砂漠で魚探しをしていたことに根本的な問題があったのだと思います。

また、大きな地震が起きるたびに報道される画面なのですが、震度を表示する○印は豆が撒かれたように、驚くほどびっしりと全国に撒かれています。これほど大量の地震計が本当に必要だとは思われません。地震計は地震が起こってからの情報です。本当に必要なのは地震が起こる前に現れる予兆を検知する計器であります。

石田地震科学研究所では現在会員各位にコンパス(方位磁石)や磁石の異常等を計測していただいています。本当は水素濃度計を全国に配置し、地下から漏れ出る水素濃度の分布状況を計測したいと熱望しているのですが、実現していません。将来的には船舶や自動車に積載して走行していただければ、地震予知の可能性が高まるはずです。


上記の政府予算を民間研究所にも配分していただければありがたいと思っているのですが・・・・。

1420
2008-06-04 (Wed)
「騙された学者たち」より学ぶ
「地震は妖怪 騙された学者たち」からの学びを続けます。第二章の「再び妖怪退治の夢」から要旨を抜粋してみます。なお、「妖怪地震」と呼んでおられるのは、ニューオフィス59でも紹介した地中に水を注入した時に発生する地震など、発生原因が明確でない地震のことを指しておられるようです。
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人間が呼びさました妖怪地震


 私の研究室の大学院生や助手を連れて大西洋のアゾレス諸島に行ったことがある。北緯三十七度。ポルトガルの西千三百キロ、大西洋のほぼまん中に、ポツンと浮かぶ火山列島だ。ポルトガル領の島で、島民は漁業や農業で暮らしている。(略)
 アゾレス諸島は九つの島からなるが、そのどれもが火山島で、島にある山の頂上に登ると、足下に深い火口がぽっかり口を開けていて足がすくむ。ここでは雨が降ると約二日後に地震が起きる。つまり火山のカルデラに雨がしみこんで、その地下水が地震を起こすのである。
 岩の中で歪みが溜まっていって地震が起きそうな状態になったとき、地下水は岩と岩の間の摩擦を小さくしてすべりやすくする、つまり地震を起こしやすくする働きをするらしい。(後略)
;ヨーロッパ最大の地震の謎
 大西洋のまん中にあるポルトガル領のアゾレス諸島について話を続けよう。
 日本はプレートが地球のなかに沈み込んで消えて行く場所だが、大西洋の海底にある海嶺は、逆にプレートが次々に生まれている場所だ。プレートの謎を解くためには、日本と大西洋と、両方を調べたい、というのが研究の動機である。


島村英紀著「地震は妖怪 騙された学者たち」(講談社+α新書・2000年8月発行)より
赤字は管理人が加工・付加したものです


 図7にあるように、大西洋中央海嶺で生まれたユーラシアプレートと北米プレートは、ともに地球を半周して、日本列島の西側で再び会う。そして、ここでのプレートの押し合いが北海道南西沖地震(一九九三年)や日本海中部地震(一九八三年)を起こしたのである。つまり、日本付近の大地震を研究するためには、アゾレス諸島やアイスランドなど、日本で地震を起こすプレートの誕生の地も調べる必要があるのである。
 私たちがアゾレス諸島へ行った理由は、この島が占める地球科学上の位置にある。ここはアフリカプレート、アメリカプレート、そしてユーラシアプレートという三つの巨大なプレートが同時に生まれている三重点といわれている「源」をつくっている不思議な場所なのである。世界中にも、こんな場所は滅多にない。しかも、このうちのアフリカプレートとユーラシアプレートの境は、ヨーロッパ最大の地震を起こしたことがあるのだ。(略)


私たち地球物理学者が津波と聞いて思い出すのはリスボン大地震である。
一七五五年にポルトガルの沖で起きて、大津波がポルトガルの西部を襲った。リスボンの町は高台と平地とが入り組んでいる複雑な地形をなしているが、その平地の部分がほとんど津波にさらわれてしまった。当時のリスボンの人口二十三万人のうちの三分の一もが犠牲になった地震である。
 これはヨーロッパで史上最大の地震だった。遠く英国や北アフリカでも人体に感じられ、マグニチュードは八・五と推定されている。(略)
震源はポルトガルの沖二百キロほどのところだ。(略)
ポルトガルやスペインはユーラシアプレートに載っており、一方ジブラルタル海峡を境にして南側のアフリカはアフリカプレートに載っている。この二つのプレートは、ともにアゾレス諸島のある大西洋中央海嶺で生まれている「兄弟」のプレートなのだが、その間では「仲たがい」が起きている。
 この海山の西側では二つのプレートは東西にこすれあっているのに、海山を境にして東側では、南北に押し合っている
のである。(略)
 この兄弟の「仲たがい」が巨大な地震を生み、海山ができた原因にもなっているのだと私たちは考えている。(略)
日本の近くで起きる地震は、極東でのローカルな事件にはとどまらない。ときには、日本に起きる大地震は、世界的な事件の帰結であることもわかってきた。たとえば津波で大被害を生んだ北海道南西沖地震(一九九三年)は、ともに大西洋の海底で生まれた二つの巨大な妖怪、ユーラシアプレートと北米プレートが、それぞれ地球を反対周りに半周して、再び日本で会したときに起きた地震であることがわかった。私たちが大西洋で毎年繰り返している海底地震観測は、この意味では、日本の大地震を研究していることにもなるのである。地球にはそもそも国境がない以上、地球の事件を追いかける地球物理学者にとっても国境はない。
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;以上抜粋して紹介しました。


「ユーラシアプレートと北米プレートが、それぞれ地球を反対周りに半周して、再び日本で会したときに起きた地震である」・・・とありますが、ユーラシアプレートの誕生場所でもリスボン大地震のような地震が起こり、ユーラシアプレートの内部に位置する唐山や四川でも巨大な地震が起こり、プレートの反対にある端部でも地震が起きる・・・ということは【どこでも地震が起きている】というのと同じことです。
プレートの押し合いで歪が蓄積し、それが飽和状態になって歪が開放されるのが地震であるというのはまったくの誤謬であります。何度も書いておりますが([1393]など)プレートという岩盤はガラスと同じような堅固な固体であってホンノわずかな歪(10-4)で破壊してしまうものなのです。
そのようなプレートに跳ね上げるとか、岩石を空中に放り上げるような爆発的な現象を起こす能力はありません。
又、図中に赤色で書き加えましたが、ユーラシアプレートが北米プレートの下に潜り込めば、やがてユーラシアプレートは消滅するということを意味します。しかし、大西洋が中央海嶺から湧き出すプレートにより拡大しているというニューカッスルグループの論理には矛盾があります。
大陸はアフリカと南米のように激変的に(といっても数十万年はかかるでしょうが)水平方向に移動することもありますが、もっと高い頻度で垂直方向にも変動し、大陸の沈降・浮上という現象を繰り返しています。これはグランドキャニオンやヒマラヤ山脈の地層をはじめとして、各大陸上に水中でしかできない堆積岩の地層があることで証明されています。


以上、図7のような解説は間違いであると考えます。

1421
2008-06-04 (Wed)
 続・「騙された学者たち」より学ぶ
続いて、第三章「地底の妖怪」を覗いてみます。
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海底の妖怪 
 海底を妖怪が走ったことがある。
 だいぶ前のことになるが、その妖怪が走り抜けたのは一九二九年十一月十八目。北米大陸沖の大西洋の海底であった。
 その日は、夜八時三十二分にカナダの大西洋岸の沖で、マグニチュード七の地震が起きた。カナダやアメリカの東海岸には滅多に地震は起きないから、この場所では珍しい大地震だった。
 津波で何人かの犠牲者が出たり、漁船や網が流されるなどの被害が出た。しかしそのほかは、いちばん近い陸からでも約三百キロという、東京から名古屋くらい離れたところに起きた遠い地震だったから、煉瓦を積んだだけでセメントで固めていない弱い煙突が倒れたり、道路の側壁が崩れたりした程度の小さな被害ですんだ。
海底を妖怪が走り始めたのは、地震が終わってからだった。この辺の海底は、当時、世界でももっとも多くの海底電線が敷かれている場所だった。ここを通るのが、アメリカやカナグからヨーーロツパに行く最短距離だからである。
 その妖怪は、まるで鎌でも持っているように、この海底電線を次々に切っていったのである。
 海底電線は、何時何分に切れたかが自動的に記録される仕組みになっている。切断というのは海底電線にとっての最大にしてもっとも厄介な事故だから、それぞれの電線ごとに記録が残る仕組みになっているのである。電線が敷いてある場所はもちろん分かっているから、それぞれが切断された時間から、妖怪が走り抜けた速さが計算できることになる。
 それによれば、妖怪ははじめは時速百キロを超えるような猛スピードで走りはじめ、だんだん速度を落としていった。
 それでも三時間後に時速八十キロ、九時間たっても時速三十キロで走り、結局は十三時間半も走り続けて、七百キロも先にあった海底電線までも切ってしまったのである。七百キロは東京から青森までの距離である。最後の電線を切ったときの時速は二十二キロ。それでも自転車なみである。
 切られた海底電線は十二本にもおよんだ。(略)


しかし、切れなかった海底電線も何本かあった。切れなかったのは海岸に近い浅い大陸棚に敷いてあった電線だった。震源の真上の水深は二千〜三千五百メートルだったから、つまり妖怪は、震源の近くから海の浅いほうへは走らずに、海の深いほうへ走り下ったことになる。
 妖怪の正体は何だったのだろう。まず嫌疑をかけられたのが地震断層だった。
 地震は地下で断層が食い追って起きる。震源が浅ければ、その断層が地上にあらわれることも多い。阪神淡路大震災(一九九五年)では淡路島で地震断層が地表にあらわれたし、一九九一年に起きた日本最大の内陸地震、濃尾地震(マグニチュード八・〇)では、地震断層が山野を突っ切った。岐阜県では平らだった畑に、高さ六メートルもの土手がいきなり出現したのである。海底でもこんなに地面が食い違ってしまったら、地面や海底に敷かれていた電線が切れてしまっても不思議ではない。
 しかし、カナダ沖の事件では、犯人を地震断層とするのには無理があった。
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以下その他の考えられる理由について、話が展開し、結局「雲仙・普賢岳の火砕流のようなものが海底に起こったと思ってもらっていい。」となっています。
しかし、海中では浮力が働きますから、普賢岳の火砕流のように斜面を駆け下るような挙動になるとは思えません。また、フンボルト地震観のように地震と火山現象とを同一視しておられるのも、定説地震学者としては「ご都合主義」の姿勢がうかがえます。
では海底で何が起こったのか、ということですが、以前熱海沖の初島へ送る東京電力の海底送電線が切断したことがありましたが、同じ現象の大規模なものが大西洋で起こったとのではないかと考えます。
当時東京電力は次のようにコメント(セミナー[431])しています。

「東京電力は24日、島と市街地を結ぶ電線の海底ケーブルが高熱を受けたような状態で、切断されていたことを明らかにした。水深30メートルの海底で、同社は人為的に切断された可能性があるとみて、第3管区海上保安本部に被害届を出す方針。 同社によると、切断場所は、全長12・7キロのケーブル(直径12・7センチ)のうち市街地側から1・2キロの地点。目視点検をしたところ、ケーブル表面の防護鉄線が高熱を受けたように変色し、電線を包むポリエチレン製の防護皮膜(厚さ1センチ)も不自然にはがされ、中心にある電線の断面が青黒く溶けていたという。」
又、熱海在住のH.Kさんからは当時次のような報告([430])をいただいています。
「このケーブル切断前にド〜ンド〜ンと言う音を相模湾よりから聞きましたが、以前より雷音では無い音が聞こえる場合が有りました。(単純に何の音だろうでかたずけましたが)天気が良く、乾燥している時に聞いたとおぼろげに覚えていますが、温度差による空気の振動かなとも思いますが・・・?この地域は山が囲み、集音しやすい環境ですので良く聞こえるのです。」

このように規模の小さな地震であっても海底では送電線をガスバーナーで溶断してしまうような高熱ガスの噴出があると認識すべきです。当時の報道にはテロ活動を疑うような論調がありましたが、地震学の間違いはテロ活動という「妖怪」を作り出してしまう可能性まであります。
大西洋の事件は地震の後に、海底から噴出した高熱ガスが海底に敷設してあった送電線を次々に溶断していったというのが真相であると思います。
島村氏が妖怪と考えておられる現象は、「地震爆発説」というフンボルト流の地震・火山観でいえば、妖怪でもなんでもないことになるでしょう。

1422
2008-06-05 (Thu)
続々・「騙された学者たち」より学ぶ
第三章「地底の妖怪」にはギャオの話が書いてあります。ギャオとは地溝帯のことでアイスランドでの呼び方です。地下からマグマが出てきて冷えて固まり、新しいプレートが誕生する場所つまり海嶺が地上に出ている場所というのが定説の解釈なのですが、私は[1354]で述べたようにかつて海底にあった地殻の亀裂や海嶺部分が巨大地震を伴う変動で浮上したもので、言ってみれば“海嶺の化石”のようなものと考えています。

http://www.iceland-kankobunka.jp/gnrl/info/outline/geology.htmより


つまり、厳寒期には湖水の表面に“御神渡り”という氷のひび割れが発生するように、地殻の表面にできるひび割れ現象であると考えています。海底にあったときにはマグマを噴出したこともあるでしょうが、地上に浮上してからは冷却が進行してひび割れの形状だけが残っているわけです。まずはそのギャオに関する記述を紹介します。


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地球の割れ目から地震を見つける
謹厳そうなドイツの学者が困惑していた。一九九六年九月にアイスランドで開かれたヨーロッパ地震学会の会場でのことであった。


アイスランドなど大西洋中央海嶺では、毎年一センチほどの速さで、新しいプレートが生まれて拡がっている。一方太平洋プレートは東太平洋の海底にある海嶺で生まれ、はるばる一万キロの旅をしたあと、北海道や東北日本の地下に毎年十センチほどの速さで潜り込んでいる。地球科学の教科書にはこのように書いてある。しかし、この記述に疑いが出る事実が見つかったからだ。
アイスランドには、いかにも両側から引っ張られてひび割れたような特有の地形がある。ギャオといわれる地形だ。このギャオとは、地下からマグマが出てきて冷えて固まり、次々に新しいプレートになっていくところなのである。(略)


ドイツの科学者は、アイスランドでいちばん大きくて目立つギャオの周辺に観測器を置いて、三十年にわたって地面の動きを測り続けてきた。
しかし、いかにも拡がっていそうなこのギャオでは、プレートは拡がっていなかったのである。いや、プレートが生まれるどころか、じつはギャオの両岸の距離はむしろ毎年縮んでいた
これは地球科学の常識からはありえないことだ。つまりこの三十年のあいだ、少なくともここでは新しいプレートは生まれもせず、プレートも拡がっていなかったのである。
実直なドイツ人の困るまいことか。彼の研究費は、ほとんど尽きかけていたのである。
ようやく、というべきか、一九七七年を境に距離は拡がり出した。そして、測定開始以来三十年近くたったいまになって、ようやく差し引きゼロになった。
さて、なぜこのようなことが起きたのだろう。
プレートが動く速さといって知られているのは、じつは何十万年ものあいだの平均速度なのである。これは海底の岩に残っているむかしの地磁気の記録から調べるものだ。ふつうは数百万年の間に数百キロメートル海底が動いたことが分かり、割り算をして平均的な速さを求めたものである。
正確に言えば太平洋プレートは毎年十センチ「動いている」のではなくて、「いままで数百万年のデータでは、年平均十センチ動いてきた」のである。
つまり、プレートが動く時々刻々の速度は、少なくともアイスランドでは、どうも違うらしい。
もしかしたら、日本付近でも太平洋プレートの動く速さは年ごとに違っているのかもしれない。そうだとしたら、大地震の起き方などに影響する可能性がある。
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文中にあるギャオの両岸の距離が変動していないというのも、プレートの誕生の地ではないからであり、海底にあった海嶺が浮上した姿であると思います。アフリカにある大地溝帯とか、トラバーチンという地形などもみな海底に存在したものが浮上した姿であると思います。


アフリカの大地溝帯は大陸が裂けて海が形成されつつある場所というのが定説の解釈ですが、そのようなことは無いと思います。周辺にトラバーチンというブラックスモーカーの化石(?)があることは海底が隆起したことを物語っています。


また、プレートの誕生する場所であるはずのギャオが開くのでなく一定期間でも縮んでいくのが観測されたというのは、プレート論の破綻を意味していると思います。プレート論が正しければアイスランドは拡大しているはずですが、そうした話は聞いたことがありません。
ハワイが日本に近づいているという観測データがプレートテクトニクス理論の“錦の御旗”か“葵の印籠”のような感じがありますが、同じプレート上にあるドイツも日本に近づいているという奇妙なデータもありますし、100年後にはハワイが遠ざかっていくという観測データがでる可能性もあるのではないでしょうか。[211]で以下のように述べましたが、少なくともGPS観測では地殻の本体部分の挙動を観測することは不可能であると思います。

「人工衛星からGPSを使って、地上の動きを観測すると、観測点が、少し動いたということのようです。これをもって、「迫り来る東海大地震」に結びつけるのは、皮膚科の医師が、骨の癌を宣告するようなものではないでしょうか。地殻の上に堆積している柔らかい土壌が少し動いたことを、サイレント地震と呼び、なおかつ大地震の前兆だとするのは、「如何なものでしょうか?」。枯れ尾花を幽霊と脅すようなものではないでしょうか。」
GPS観測によれば「日本アルプスが沈む」というプレートテクトニクス理論と矛盾する結果も報道されたことがあります。プレート論では地球の真の姿は見えてこないということに早く気づかなければいけません。

1423
2008-06-06 (Fri)
断層地震説では説明できない巨大な跳び石
四川省には核関連の研究所や工場がたくさんあったそうですが、その核施設の多くが破壊されたようです。放射能漏れが心配されています。(5月26日放映)


youtubeの動画が消えています。


中には、核施設が爆発したのではないかという以下のような報道もあります。
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現地の村民によると、5月12日地震発生当時、多くの村民は農作業をやっていた。突然地面と山が激しく揺れ始め、同時に凄まじい爆発音に伴い、付近の山頂に穴が開き、そこから歯磨き粉を絞り出すかのようにコンクリートの破片が噴出した。この様子は、約3分間続いたという。

 中国新聞社が報道した噴出の時間と現象に基づいて、地下の火山爆発の可能性を排除できる。「核施設の爆発によって発生した強烈なエネルギーが地下建築物を砕き、その破片を地上に押し上げてきた可能性が高い」と専門家は分析している。
 国外の中国情報サイト「博訊ネット」も専門家の見解を引用し、核爆発が発生したと伝え、コンクリートの破片は中国軍の地下軍事施設のものと報じた。
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核爆発が発生したと伝える記事の信憑性は不明ですが、確かに、断層がすべることが地震であるという定説では写真のような大きな岩が市街地の中にまで転がってくるということは説明できません。


http://beiryu2.exblog.jp/8040898        http://beiryu2.exblog.jp/7997269 より


これは大規模な跳び石現象(セミナー[1268])が起こったことを示しています。地震の震源は10km程度の浅発地震のようですから、跳び石現象が見られた中越地震のように、980galを超える加速度が爆発によって巨石に作用し、市街地にまで跳んだものと推定されます。地震の揺れによって転がってきた石によって自動車が街の中で写真のように押しつぶされるとは考えられません。かなり大きな加速度を持った石によって押し潰されたのでしょう。勿論急斜面の崖が近くにあって、その上部から落下したとも考えられますが・・・崖と市街地との位置関係はわかりません。
右の写真の説明には以下のような文章があります。
「この上の写真の巨石をご覧頂きたい。どう見ても自然に崩落したものとは思えない。核爆発で吹き飛ばされたのではないか?という疑問の湧く奇怪な形状である。」
これを書いた本人は地震爆発説をご存知ないから核爆発まで想定したのでしょうが、そこまで考える必要はないと思います。ただし、白い防護服の救援隊の姿は放射能汚染を推測させるものであり、ただ事ではないように感じます。日本の救援隊や医療チームが現場から遠ざけられた真相にも関係するのかと想像させてしまいます。

1424
2008-06-07 (Sat)
唐家山せき止め湖決壊危機から学ぶ
綿陽市の上流にある唐家山せき止め湖が決壊する可能性があるという報道があります。
http://www.recordchina.co.jp/group/g20041.html
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2008年6月3日、排水路工事が完成し小康状態と見られていた四川省綿陽市北川県の唐家山せき止め湖だが、上流の小型せき止め湖との連鎖的決壊などの可能性が高まったことが発表された。唐家山せき止め湖決壊の可能性は93%に達するという。四川新聞網が伝えた。

3日午後4時時点で、唐家山せき止め湖の水位は736.9m。水位は前日比で1.1m高まった。湖周囲の土手と水面の距離は最低地点で3.14mにまで接近している。

発表によると上流で2mmの雨が降ればせき止め湖の水位は1m高まるため、3m程度の水面上昇はいつ起こっても不思議ではない。また上流には小型せき止め湖があるが、その土手はすでに唐家山せき止め湖に接触し浸食されている状態にある。小型せき止め湖が決壊すればドミノ式に唐家山せき止め湖も決壊する可能性が高い。当局は93%の可能性で決壊すると推定している。

現在、同せき止め湖の貯水量は2億800万立方メートルを超え、日本の黒部ダムに匹敵している。決壊すれば綿陽市の3分の1を飲み込むと見られる。現在、25万人の市民が避難を終えている。(翻訳・編集/KT)


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文中に「水位は736.9m」とあるのは、次の記事にある70mが正しく、一桁間違えている可能性があります。


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唐家山せき止め湖、決壊の可能性増大
2008-06-05 10:27:33

 唐家山せき止め湖対策本部の最新発表によりますと、唐家山せき止め湖は水量が2億立方メートルを上回り、水位が70メートルを超えた上、浸水現象も出ています。このため、余震や上流の降雨量、それに地質構造など不確定要素の影響を受け、決壊の可能性が絶えず増大しているということです。
唐家山は北川県に近く、大地震で山が崩れて、土砂がジェン(さんずいに前と書く)川をせき止めたため、大きなせき止め湖ができました。
 観測によりますと、せき止め湖の上流でも2000万立方メートルにおよぶ山崩れが発生しており、余震、水位の急激な変化によってさらに崩れる可能性が大きくなっています。それが崩れると、水が押し寄せ、せき止め湖の決壊を引き起こして、大洪水が発生する危険があるということです。
 それに備えて、唐家山の下流にある綿陽市では、5月31日から25万人を超える住民を避難させています。(翻訳:東)
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せき止め湖の決壊による洪水も心配ですが、貯水深が増えれば新たな地震を引き起こす可能性もあります。放射能汚染、決壊による洪水、新たな地震発生の可能性・・・・中国は大変な難題を抱えてしまったことになります。
なお、この問題は決壊による洪水被害だけではなく、すでにせき止め湖による増水で被害が出ているようです。
被害が出る恐れのある「せき止め湖」
http://jp.eastday.com/node2/node3/node15/userobject1ai37635.htmlより



ここで、地震学セミナーとしては取り扱い領域を超えますが、中国の偉大な為政者であった唐の太宗の教えを書いた「貞観政要」という書物から、天災時における為政者の心がけを学ぶことも大事なことかと思います。

現代中国の為政者の耳に届くかどうかわかりませんが、為政者自身がダム建設の熱心な推進者で、その利権を私物化しているという話を漏れ聞きますので、ぜひとも、先輩の話に耳を傾けたもらいたいものと思います。

1425
2008-06-08 (Sun)
今回の地震もプレート説では説明できない
四川地震の現地取材をしている産経新聞の福島記者が、新聞記事になっていない内容をブログに書いておられますので、抜粋し、写真も入れて紹介させていただきます。

http://sankei.jp.msn.com/world/china/080607/chn0806071831002-n1.htmより


■(1)堰止め湖決壊の危険性で緊迫している四川省綿陽市北川県の唐家山地区に中国で最も重要な核研究施設および空軍施設が集中しており、それら50施設のうち20の設備移転が完了していない。
(2)それが理由で唐家山堰き止め湖の排水作業が遅れている。このまま唐家山堰き止め湖の排水が行われば、この地域に埋められている過去40年分にわたる大量の核廃棄物や危険な軍事化学工業原料が地下水にしみて広域核汚染あるいは化学汚染が引き起こされる可能性があるという。
(3)この堰止め湖決壊による水没範囲に中国最大の核研究所「中国工程物理研究所」のほか、核工業の839基地、核工業建設集団24建設公司総本部、中性子爆弾製造の857工場、核弾頭貯蔵庫、解放軍の空気動力発展研究センターもある。
(4)北川県に隣接する安県は解放軍の最先端技術研究所43カ所が集中し、軍最大の風洞実験施設群もあるという。この風洞実験施設は空軍の空中予警機をふくむすべての最新鋭機種の研究開発、実験を行っている。もっか、軍2万の兵士が安県一帯で、軍事研究所施設の移転や保護工作をおこなっているという。
(5)環境保護省は唐家山堰き止め湖の排水にからみ、排水の通り道にある12施設の99個の放射性物質の安全確保を指示しているが、これらは民生用のセメント工場。本当は、公表されていない軍事施設の放射線源の方が問題で、これらは民生用の数万倍、数十万倍の強さ。
(6)ついでにいうと、堰き止め湖の水が流れる地域の化学工場には大量の廃棄化学物が埋め立てられており、安県だけでもその量は10万トンにのぼり、水につかれば広域土壌汚染を引き起こす可能性もある。
■えーっ?こんなにあるのか。しかも、ぜんぜん安全確保できていないもよう?断層に沿ってわざと核施設をつくっているみたいだ。地震が起こりうる断層の上に、核施設つくる軍って、何かんがえているのか?こういう危険、まったく想定していないかったのか?




http://hi.baidu.com/0916wy/album/item/280a67cf5bbeed29f8dc61a1.htmlより


竜門山断層の図↑



■この素朴な疑問に、ある地震学者はこう答えていた。竜門山断層帯の主要活動期間は2億年前から6500万年前で、多くの学者たちは、すでに活動を休止した“死んだ断層”だと思っていた、と。断層の周辺にばかすか核施設を作った軍も、まさかまさか2億年前の断層がいきなり動くとは思っていなかった、ということだ。

■今回の地震のメカニズムについて、ここで簡単に触れておこう。東京大学地震研究所の纐纈 一起教授に西南交通大学のシンポジウムの席で教えてもらった。

■今回の地震は逆断層タイプ(青藏高原がのっているインドプレートが四川盆地ののっているユーラシアプレートがぶつかり乗り上げる形でおきる)地震。一般に内陸部の大きな地震は断層の横ずれによるものが多く、今回の地震は逆断層タイプでは世界最大なのだという。

■国際指標のモーメント・マグにチュードは7・9(中国地震局の発表はM8・0)。断層のずれ幅は10メートルから3メートルで動いた断層の長さは250キロ、ずれた断層面積は1万平方キロ、だそうだ。これは阪神大震災の30倍のエネルギーを放出したことになり、阪神大震災の死者が6430数人、とすると、今回の地震の死者が万単位になるのは有る意味致し方ない、そうだ。ちなみに、青藏高原ののっているインドプレートと、ユーラシアプレートは地殻の厚さが違うなどで、揺れの伝わり方がずいぶん違い、ユーラシアプレート側は台北でもM2・7の揺れが観測されているのに対し、青藏高原側はあまりゆれが広がらず、被害も大きくない。

■同じシンポジウムで、李天斌・成都理工大学教授は今回の地震を起こした竜門山断層について、過去数百年の間に、M7以上の地震を起こした記録がない、とはなしていた。過去最高でもM6・5。だからこそ、たまりにたまったエネルギーが大爆発したのだ、と。

■竜門山断層は3本の平行した断層から構成されており、震源地の汶川県映秀鎮と北川県をとおる竜門山中央断層が動き 連動して綿竹とか安県を通る南側の断層が動いた、といわれている。しかし、別の断層の上の青川も被害がおおきかった。特に青川は大きな余震もあった。

■被害の大きかった映秀鎮、北川県、綿竹、青川はいずれも断層の真上なのだ。北川県は、断層の真上なので、そんな危ない同じ場所に町を再建できない、だから県城は移転する、という話もある。李教授は北川が、最も被害がひどい(有る意味、震源地よりひどい)その理由については、地質上の問題があるのではないか、原因を究明しないといけない、とはなしていた。(略)

■こういった専門家の方々の説明をきいて、素人として、ふと気になったことがある。今回の地震というのは、誰もがおきるはずがない、と思っていた場所でおきたこと。汶川県映秀鎮にしろ、北川県にしろ、軍の施設が集中している地域であったこと。特に北川県の被害はひどくて、同じ場所に町が再建できないらしいこと。でも、震源地の映秀鎮は5年かけて同じ場所に町を再建する予定だということ。

■ひょっとすると、山をくりぬいて核施設とかつくったりしたことが断層になんらかの影響を与えて、休止していた断層が突然動いたりしたんじゃない?とか、北川県などの被害は、実は地震だけでなくて、地下基地かなんかが爆発したんじゃない?とか。地震の被害が2日間、把握できなかったって、これは、軍がなにか隠蔽しようとしたんじゃない?とか。放射能汚染されているから、同じ場所に町を再建できないんじゃない?とか。そういう、根拠のない想像が、情報が十分公開されていないと、どんどん広がるね。

■でも、テロや戦争は、人類の英知と外交努力で防ぐことができる。地震は、人間には防げない。これは大地の怒り、大自然の怒りなのだ。今回の地震で、中国の人たちは、テロや戦争より恐ろしい地震、人類ごときの英知では決して防ぎきれない自然の力、怒りというものをひしひしと思いしることができたのではないだろうか。山をくりぬき、核施設をつくり、使い切れないほどの核兵器を作ることの愚を(しかもいざ問題が発生したら、しっかり素早く安全が確保できる能力もないのに)、このさい国民もちょこっと考えてみれば、いいのではないだろうか。
<2008/06/07 03:27>


▼ 「福島香織」の記者ブログ<北京趣聞博客 (ぺきんこねたぶろぐ)> http://fukushimak.iza.ne.jp/blog/
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以上抜粋して紹介しましたが、断層が動くという物理現象でこのような爆発的な破壊現象を説明することはできません。
「青藏高原側はあまりゆれが広がらず、被害も大きくない。」とありますが、人口密度が違いますし、被害の実態が把握されていなのかもしれません。あるいは報道がなされていないだけかもしれません。「たまりにたまったエネルギーが大爆発した」という学者の説明がありますが、「歪」は蓄積されないことを考えれば論理性を欠く説明です。
地震は断層が動くという物理現象ではなく、爆発と爆縮という化学反応であるという認識を地震学者やマスコミ人にも持っていただきたいと思います。

地震学が間違っていると、安易な地下深部の掘削や廃液などの地中圧入、または巨大ダムの安易な建設などが行われ、悲劇を生み出す可能性があることを知っていただきたいと思います。


このセミナーで丁寧に説明を繰り返してきたつもりですが、いまだに(2ch・地震学スレ)
「新地震学が、疑似科学だというのは、基礎的なことを調べればすぐわかる。
単にオカルト的にムー大陸とかアトランティス大陸なんてものが本当に沈んでいると信じている時点でも充分トンデモだとわかるけど。」

という攻撃をする大学院生か若い研究者がいます。
小規模なものなら、世界中に海底に没した文明の遺跡が、また地上でしかできない鍾乳洞が各地の海底にあります。グランドキャニオンをはじめ、どの大陸にもかつて海底にあったことを示す堆積層が存在します。大陸の沈没と浮上を説明する理論をトンデモ扱いする根拠がいったいどこにあるのか、納得のいく根拠を示して議論して欲しいものだと思います。

1426
2008-06-11 (Wed)
恐竜時代の断層生き返る?
四川の大地震は恐竜時代から休んでいた「死んだ断層」と思われていたものが、ゾンビのように生き返って滑ったという解釈だそうです。
私は大きな地震が起きるたびに「未発見の断層」が動いたという報道を聞くのは、「断層が無かった場所に新たに傷ができた」と解釈していますので、恐竜時代の「傷痕」まで持ち出すことはナンセンスだと思っています。記事の内容が正しいとはとても信じられませんが、紹介しておきます。
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http://www.asahi.com/special/08004/TKY200805210150.html
「死んだ断層」揺れた 主な活動は恐竜時代 四川大地震

2008年05月21日13時35分
 中国・四川大地震を起こしたとみられる竜門山断層帯は長期間めだった活動がなく、「死んだ断層」と考えられていたことが、中国の過去の地層調査や歴史文献の記載などからわかった。専門家は「活動度が低くても大地震が起こりうるわけで、日本でも注意が必要だ」と指摘している。

 
東京大の池田安隆准教授(変動地形学)が地震予知連絡会に報告した。
 それによると、竜門山断層帯が主に活動したのは2億年前〜6500万年前までで、ちょうど恐竜がいた時代。それが1千万年前以降は活動が低調で、地震で断層がずれた量を年平均に換算した「活動度」は垂直方向に年1ミリ以下。竜門山断層帯の西側にあり、頻繁に大地震を起こしている鮮水河断層帯の年10〜20ミリと比べ、10分の1以下だ。
 このため、専門家も「死んだ断層」と考え、注目していなかったという。
 中国地震局によると、文献などから、鮮水河断層帯ではマグニチュード7以上の地震が頻繁に起こっていることがわかっているが、竜門山断層帯の地震についてはこうした記録はない。池田さんは「三国志の時代(3世紀)から人口が多い地域なので、大地震があれば何らかの記録に残っているはずだ」と指摘する。
 日本の地震調査委員会が地震の発生確率や規模を調べているのは、約200万年前以降に活動した活断層。原子力発電所の設計で考慮する活断層も、12万〜13万年前以降に活動したものとされている。
 地震予知連の大竹政和会長は「ショッキングなデータだ。日本も、活動度が低い活断層だからといって安心していいわけではない」と話す。(黒沢大陸)
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昨日、最近地震予知の仕事をしているという元大学教授(土木工学)の方と、少し対話をしましたが、やはり地震の原因は断層が動くことであると信じておられました。
「地表に現れる断層は長い断層のほんの一部であって、地下では繋がっている。地表の短い断層を繋げてみるとM8程度の地震を起こす可能性のある断層もある。」という解釈のようでした。
関東近辺で長い断層が見られないので緊迫感が生まれないけれど、そのように解釈して断層を再検討すると関東圏でM8程度の地震が起きる可能性はある、という意見でした。
関東大震災では地表に明瞭な断層が現れなかったようですが、観察できない地下内部では長い断層が滑っていると解釈されているのでしょう。
;断層は巨大な地下爆発の傷痕であり、小さな爆発では傷はできない、という地震爆発説とはまったく違う解釈です。
1427
2008-06-11 (Wed)
断層は爆発破壊で自由端になった場所
昨日談話した元大学教授も、「建物被害は確かに断層線の上に並んでいる」と語っておられました。
構造関係の研究者ですが原因と結果の因果関係を取り違えておられるように思いますし、四川地震に関しても因果関係を取り違えた報告・報道がありますので、紹介しておきます。サイト上では記事が消えてしまうことが多いので、あえてお叱りを覚悟の上で転載します。
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http://www.asahi.com/special/08004/TKY200806020147.html
断層近くで建物倒壊率8割も 中国が衛星画像分析


2008年6月4日7時46分
 四川大地震を起こした断層の近くで、建物の倒壊率が8割に達する地域のあることがわかった。中国・国家減災センターによる衛星画像の分析データを、日本の研究機関の専門家らが国内の学会で発表した。



 学会発表した防災科学技術研究所のカク憲生研究員(カクは赤におおざと)や構造計画研究所の司宏俊さんらによると、データは国家減災センターのサイトに掲載されていたもの。13〜18日、複数の衛星が撮影した可視画像やレーダー画像をもとに、被災地の町や村ごとに建物の倒壊率が推定されているという。
 静岡大の林愛明教授が現地調査で確認した断層を重ねあわせると、断層に沿った地域や、その西側で倒壊率が高い。多くの地区が倒壊率4割以上で、特にブン川(ブンはさんずいに文)から北川にかけての山間部を中心に8割の地域が目立つ。
 司さんは「建物の被害が大きかった地域は揺れが大きかったことに加えて、農村部のため建物の耐震性が低かった可能性もある」とみている。(黒沢大陸)


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以上がその記事ですが、「断層に沿った地域や、その西側で倒壊率が高い」というのは「被害の大きい地域に地震の傷痕が見られる」ということであって、建物の被害と地盤の被害(つまり断層)とは、同じ傾向で現れている・・・ということに過ぎません。



専門用語を使えば片持ち梁の端部のように、支持がない自由端では支持のある固定端よりも変動が大きくなるのは当然です。したがって構造物ではなるべく固定端・支持部があるようにラーメン構造にして被害を少なくするわけです。
唐山大地震でも炭鉱労働者は坑道から無事に生還していますが、地下深部の炭鉱が地上より破壊が少ないのは、坑道が自由端部とならないためです。地下深部に巨大な鍾乳洞のような空間があれば別ですが大抵は地表のような自由端部ではないからです。
地表の断層とは大きな震動によって、地盤の耐久力がなくなり、鉛直方向と、平面方向の二重に渡って自由端になってしまったわけです。その上に載っている建築物の被害が大きくなるのは当然であります。
つまり、地球内部方向への鉛直と平面的な広がりの両方向に自由端になってしまった地盤の傷痕が断層であり、その周辺で被害が大きくなるのは当たり前であるということであります。

近くに活断層が走っているという情報を聞いて、脅えている住民も多いようですが、断層付近で建物被害が大きくなるかどうかは、断層という傷痕が再び地表面上で自由端になるかどうかで決まります。傷痕が癒えてしっかり固着していれば、傷口が開いて自由端になることはないですから、傷痕の上に家を建てたからといって、それだけで危険度が高いということはありえません。
鉛直方向に見て自由端から抜け出ることは地下構造にしない限りは無理なことです。
断層と被害の関係を正しく認識しないと、ゾンビにおびえるような愚かしさを呈することになってしまいます。
1428
2008-06-15 (Sun)
昨日の地震から分かること

昨日発生した岩手・宮城内陸地震では広範囲に渡って地面が陥没したという報道があります。
http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20080615ddm010040164000c.html


今朝のテレビでは溝上恵東大名誉教授が、長野県西部地震で発生した御岳山周辺の崩落現象を紹介して、このようなことはよくある現象だと説明したおられました。
また、どの報道を見てもプレート論による解説であって、逆断層が動いたことになっています。

しかし、今回の陥没現象は御岳山周辺で見られた急斜面の崩落ではなく、広範囲に渡る地盤一体の陥没現象ですから、形状から見ても逆断層による地形変化とは関係がありません。明らかに引き領域に当たる場所の一部が陥没したことを示しています。規模が大きくなると、瓜生島や高知湾の沈没のような陥没現象という地震の「爆縮効果」による地変が現れたものです。

気象庁幹部は「震源地付近で明らかな活断層は見つかっていないが、地形的にはあってもおかしくない」としてあくまでも「断層が動いた地震」で解釈しようとしています。
今朝の産経新聞から紹介します。
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 北米プレート(岩板)に乗っている東北地方の太平洋側は、西へ移動する太平洋プレートによって常に押されている。今回の岩手・宮城内陸地震は、このプレート移動の影響で地盤が東西に圧縮され、片側の地盤が乗り上げる逆断層型の地震だった。震源地のやや北には、同じ仕組みで起きる「北上低地西縁断層帯」という活断層があり、今回との関連が注目される。
 岩手県の内陸部では、北上盆地と奥羽山脈の境界に沿って、複数の活断層が南北に伸びている。今回の震源地付近で明らかな活断層は見つかっていないが、「地形的にはあってもおかしくない」 (気象庁幹部)という。
 震源地の北には、政府の地震調査委員会が国内の主要な活断層として評価した北上低地西縁断層帯がある。同断層帯の南端が地表の下に隠れ、震源地付近まで伸びていた可能性も否定できない。
 地震調査委による平成13年の長期評価によると、同断層帯は長さ62キロの逆断層で、過去3万年間に少なくとも2回活動。最新の活動時期は4500年前だった可能性がある。;同調査委は今後30年間にマグニチュード(M)7・8程度の地震が発生する確率を「ほぼ0%」と評価していた。
 この評価は同断層帯の全体が一度に動く場合を想定したものだが、岩手県は昨年、同断層帯を南北の2つの区域に分けた調査結果を公表。それによると、今回の震源地に近い南部の「出店断層帯」はM7.3の地震が想定され、最新活動時期や活動間隔は「不明」とされていた。
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[1426][1427]で紹介した元大学教授も述べていましたが、地表面に現れる断層はほんの一部であって、見えない地下ではつながっている可能性がある・・という解釈が最近流行しているようです。
しかし、地下内部は自由端ではありませんから、自由端である地表のように地盤の傷ができ易い場所ではありません。したがって、断層が地表面に現れないで地下内部にだけ発生しているという解釈はおかしいと思います。
そのような地盤の傷痕があるとすれば、過去においてできた地表の傷が一旦陥没して水面下に位置し、その上に堆積物が沈殿して、再度浮上して陸地になった・・・という解釈しかありえないと思います。

それよりも、最初の断層は「いったい、いつ、どこで、どのようにして誕生したのか?」

という疑問にどのように答えるのでしょうか。最初はプレートが押し合う力で、断層ができた・・・というのなら、断層とは傷痕に過ぎません。「活断層」というような常に動いているはずはありません。今回のように、「断層がなかった場所に大爆発によって初めて地盤の傷ができた。」というのが真相だと思います。地震断層説は原因と結果の因果関係を間違えています。
大きな地震のたびに「未発見の断層」という表現がなされますが「未発見」ではなくて「未存在」であるケースが多いと私は考えています。

1429
2008-06-16 (Mon)
4000ガルを超える爆発現象
岩手・宮城の地震で、4000ガルを超える加速度が記録されたということです。このような激しい物理現象がガラスと同じような性質を持つ岩盤の反撥現象によって起きるはずがありません。
これは震源が浅い地震であったため、つまり加速度計が爆発点の近くに設置されていたために大きな加速度が記録されたことを意味しています。毎日新聞の報道を紹介します。
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<岩手・宮城地震>4000ガル超 国内観測史上最大を記録
6月16日0時47分配信 毎日新聞

 岩手・宮城内陸地震で震源に近い岩手県一関市で、瞬間的な揺れの強さを表す加速度が4022ガルを記録していたことが分かった。観測点を設置していた防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が15日、発表した。重力加速度の4倍を上回り、国内の地震で4000ガルを超えたのは初めて。重力加速度(980ガル)を超えると、固定されていない物は飛び上がる。

 観測によると、上下方向の揺れが水平方向の約3倍あり、上下に断層がずれる逆断層型地震を反映している。研究所は「逆断層の真上の地震対策を考える上で貴重なデータになる」としている。

 これまでの記録は、04年10月の新潟県中越地震の2515ガルだった。【江口一】
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重力加速度(980ガル)を超えると、固定されていない物は飛び上がる・・・とありますが、固定されていない地表面の岩石などは重量に関係なく、飛び上がってしまい、人間には凶器と化することを意味します。振動による破壊というよりも、爆発による破壊現象というほうが正確でしょう。大きな地震の度に「○○断層が動いた」という報道がありますが、今回は断層が存在しなかったのに、地下の浅い場所で爆発が起きたということです。
加速度計の設置場所である一関は震央から約30km離れていますから、大陥没があった震央近くではもっと大きな加速度となり、地殻が爆破されたというような状況だったのでしょう。この地域は那須火山帯に属する温泉の多い場所でもあり、噴火こそみられなかったものの、[1407]に紹介したセントヘレンズ山の崩壊を小規模にしたような山体崩壊現象だったのかもしれません。
セントへレンス山の山体崩壊


[1428]では「瓜生島や高知湾の沈没のような陥没現象という地震の「爆縮効果」による地変」と説明しましたが、この周辺が引き領域に入っていないとすれば、この山体崩壊だった可能性もあります。どちらにしても、断層地震説では説明ができない地変であります。

注:防災科学技術研究所のサイトをみると、地震計の設置場所の一つは、岩手県一関市厳美町字祭畤とあります。祭畤(まつるべ)温泉の近くのようですから、4000ガルを計測したのがここの地震計ならば、ほぼ震源の真上に近い場所のようです。
『研究所は「逆断層の真上の地震対策を考える上で貴重なデータになる」としている。』と記事にありますが、断層がこのような加速度で食い違いを見せることはあり得ません。爆発現象だからこそ大きな加速度になるのです。

1430
2008-06-16 (Mon)
見込み捜査のような調査
今回の地震では前もって知られていた断層は存在しなかったというのが周知の事実のようですが、「未知の断層がある」「新しく発見した」「地表には出ない断層がある」「こんな大地震で断層が現れないはずは無い」などのコメントが飛び交い、見込み捜査のような調査が行われています。
結局は「もっと全国を精細に調査する必要がある」という流れになっていくような感じがします。どこかで止めないと壮大な「税金の無駄遣い」が進行しそうです。報道からいくつかを拾って紹介します。
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http://sankei.jp.msn.com/affairs/disaster/080616/dst0806160023000-n1.htm
【岩手・宮城内陸地震】地表に現れた地震断層か 東北大教授が段差発見
2008.6.16 00:24

 岩手・宮城内陸地震で、地表に現れた断層とみられる段差を、東北大の大槻憲四郎教授らが見つけたことが15日、分かった。
 大槻教授によると、段差が見つかったのは宮城県栗原市の栗駒ダムの北約1キロの山中の道路上。北東に向かっており、地表に現れた長さは約24メートル。西側の地盤が東側の地盤に乗り上げる「逆断層」で、東側が約50センチ落ちていた。
 14日夕方に発見、今回の震源域に隣接する北上低地西縁断層帯との関連はないとしている。約500万年前にできたとみており、活断層とはされていなかった。

大槻教授は、岩手県一関市の水田付近でも、この断層とつながる同様の段差を見つけたという。同教授は「古い断層も再び動くと、このような被害が起こる。活断層だけ注目するのは防災対策上、不十分」としている。

http://mainichi.jp/select/opinion/closeup/news/20080615ddm003040108000c.html
岩手・宮城内陸地震、発生のメカニズム 「未知の断層」か
 岩手・宮城内陸地震では、山間部を中心に土砂崩れやがけ崩れが相次ぎ、多くの人が被災した。震源が深さ8キロと極めて浅いのも特徴だ。今回の地震はどんなメカニズムで起き、なぜ土砂災害が多く発生したのか。

 ◇把握の断層帯、確率0%・・・政府
 今回の地震は、地震波の解析から、プレート(岩板)同士が押し合い、断層の片側がずり上がることによって起きる「逆断層型」とされる。だが、どの断層が動いたかについては専門家らの意見が分かれる。
「未知の断層による地震と思われる」。気象庁の担当者はそう語り、把握している断層とは別の断層によるとの見方を示した。
 今回の震源域には、花巻断層と出店(でたな)断層から構成される「北上低地西縁断層帯」という活断層がある。しかし、この断層帯が今後30〜300年に地震を起こす確率は、政府の地震調査研究推進本部の詳細な調査で「ほぼ0%」と分かっている。
 気象庁は、北上低地西縁断層帯によるものでないとの見解だ。未知の断層説の根拠は、余震発生の分布から、地震を起こした断層の面が北西に向かって深くなる形で傾いているとみられることにある。北上低地西縁断層帯南端にある出店断層の断層面は、これまでの調査で南西方向に深くなるように傾斜していることが分かっており、両者の傾きが異なっているからだ。
 また出店断層の延長とすれば、この断層の端は地下に沈み込む方向にあることから震源は深くなるはずだが、今回の震源は8キロと浅い。気象庁地震津波監視課の横田崇課長は「このような未知の断層は全国にあると考えられ、マグニチュード(M)7前後の地震は、どこでいつ起こるか分からない。備えが必要だ」と話す。
 14日夕に臨時で開かれた政府の地震調査委員会は、北上低地西縁断層帯と今回の地震との関係について「現時点では不明」とした。阿部勝征委員長は「出店断層の長さや向きは、今回の地震の余震域と異なる。動いた断層が出店断層の延長上にあるかどうか、決め切れなかった」と説明。大学と防災科学技術研究所が15日以降、約130カ所に地震計を設置し、余震データの収集と分析を進める。

一方、東京大地震研究所の島崎邦彦教授(地震学)によると、北上低地西縁断層帯の追加調査の結果、出店断層の影響は断層の南西部にも及んでいる可能性のあることが最近になって分かってきた。このため、島崎教授は「今後の余震分布が、震源から出店断層に向かって浅くなるなら、出店断層が原因の可能性が高い」と気象庁とは別の見方を示す。

 長谷川昭・東北大名誉教授(地震学)は、周辺を含めた断層の再活動説を取る。今回の地震は奥羽山脈に沿った「ひずみ集中帯」の中で起きているとし、「震源域周辺には出店断層を含めた四つの断層があることが分かっており、いずれかが再活動した」と話す。

http://www.47news.jp/feature/iwate-miyagi_earthquake/47news/051360.html
「詳細な活断層調査必要」 専門家が緊急現地調査
 岩手・宮城内陸地震との関連が疑われる北上低地西縁断層帯。活断層研究が専門の渡辺満久東洋大教授(地形学)、鈴木康弘名古屋大教授(変動地形学)らの現地調査に記者が同行した。
2日間にわたる調査で地表に断層は見つからなかったが、鈴木教授は「国内の活断層を網羅しているのは、1980年代の調査を基に作成された『日本の活断層』だけ。活断層の延長部には本当に活断層はないのかなど、国内の活断層を詳細に調査し直すべきだろう」と指摘した。

 渡辺教授らは地震発生の14日、日没直前に、同断層帯南端とされる岩手県奥州市胆沢区に到着。周辺を調べ「何もない」と渡辺教授。震源が浅いマグニチュード(M)7・2の直下型地震で地表に断層が現れないはずがない。現場は過去の地震で緩やかにたわんだ地層が露出しているが、水田や道路に異常はない。
(2008年06月15日)

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080614-2892868/news/20080616-OYT1T00337.htm
地震断層の段差?道路や田を横切る…奥州市などで確認

岩手・宮城内陸地震で地表に表れたとみられる断層。(岩手県奥州市衣川地区で)

 岩手・宮城内陸地震で地表に表れた地震断層とみられる段差を、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)活断層研究センターの現地調査チームが15日、震央(震源の真上の地点)から東南東約8キロの岩手県奥州市内などで確認した。

 主に西側の地盤が東側に乗り上げる「逆断層型」で、段差は40〜50センチあり、道路や田などを横切って延びていた。
場所は奥州市衣川地区の県道49号沿いの山間部。東西に走る県道の南側にある田や川で、広範囲にわたって西側が40〜50センチ盛り上がっていた。川では段差部分で小さな滝ができていた。県道の舗装も幅約5メートルにわたって割れ、西側が東側より約50センチ高くなっていた。

 これらの段差の境目を結ぶと、直線に近い緩やかな「逆くの字形」のカーブとなり、南北約1キロにわたって延びていた。
 また、この断層の南西約6キロの同県一関市厳美町内でも、断層による田の隆起と樹木の傾きが数百メートルにわたって見られた。ただ、一関市の断層が奥州市で見つかった断層とつながっているかどうかは不明という。

 震源近くには出店(でたな)断層があるが、遠田晋次主任研究員は「今回確認した断層は出店断層とは離れており、地震の原因が出店断層ではない可能性が高い」と話している。

(2008年6月16日11時28分 読売新聞)
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学者の意見は一致していないようですが、以上が代表的なコメントだろうと思います。
確率0%の土地に大地震が起こっても、地震確率という概念を捨てようとしない学者や役所の担当者には疑問を感じます。
また、真意が伝わっていないのかもしれませんが、現地調査で詳細に調べても見つからないものを「存在しないはずがない」として、さらに見つけようとするのは滑稽な感情すら覚えます。

なぜ断層地震説にこれほど拘泥するのでしょうか。4000ガルもの加速度が断層の動きとしてなぜ発生すると考えられるのでしょうか、どのようなメカニズムで重力加速度の4倍もの力が生まれてくると想定されるのでしょうか。
恐竜時代の断層とか、500万年前の断層とかが再び生き返ると恐ろしいことになる、といって「活断層だけに注目するのは防災対策上、不十分」としていては、国家のトレンチ掘削費用はいくらあっても足りません。
地震は爆発現象であるという新しい観点から地震現象を見直して、適切な対応をとっていただきたいと切に願っております。

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