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54.トーマス・ゴールド博士の地軸移動論(現代の地動説)



 ゴールド博士の「未知なる地底高熱生物圏」という書物の序文でフリーマン・ダイソンというひとが、次のように述べています。

  一九五五年にゴールドは「自転軸の不安定度」という表題の革命的とも言える論文を発表した。自転軸が一〇〇万年ほどかけて九〇度回転することがあるというのだ。それ以前の南北両極は赤道上へ、赤道の二点が両極へ移動するのである。質量の運動(石田:移動と翻訳すべきでしょう)が原因で、それまでの自転軸は不安定になり、新しい自転軸が安定するからだという。たとえば、旧両極に蓄積した大量の氷が質量(重心)の安定性をひっくり返すのかもしれない。その論文を専門家は四〇年もかえりみようとはしなかった。その間にことこまかに注目されていたのは大陸が動く現象やプレートテクトニクスの理論だった。それらと結びつくものではなかったゴールドの説は専門家には関心がなかったのだ。予測された回転の仕方は大陸が動くよりもはるかにはやく、大陸の位置を動かすようなものではない。ただ、自転軸に対する大陸の位置が変わるだけだ。

[解説]

 この一文を見ればゴールド博士が「地球は姿勢を変える可能性がある」という現代の地動説論者であることは明瞭です。「地球の姿勢はそのままで、地磁気だけが変わる」という現在の定説とは違っていることは明らかですが、この一文で初めて私は、博士が反・定説論者であることを知りました。つまり、博士のような新説を論じる学者がでても、河原のダイヤモンドのように、石ころの間に埋もれ、忘れ去られていってしまうのです。

それには今のマスコミの力も大きいものがあります。忘却促進力のような力を発揮していますが、本来のマスコミのあり方は、新設、異説も含めて国民が判断を下すための材料を広く提供することにあるはずです。定説と言われるものだけを十年一日のごとく報道しても、専門外の国民は正しい判断を下す手立てがないのです。勇気ある論者を河原のような大量の専門家という石の間から拾い上げて、公平に国民に紹介してこそ、マスコミの存在意義があると思うのです。

まあ、そうした姿勢がマスコミからでてくるまでは、こうやって、HPのうえで、反・定説論者の存在を知らせていく、ということも大切なことであると思っています。つまり、マスコミがしっかりしていれば、税金の無駄遣いもなくなるということでもあります。今は、国民の税金を意味のない研究に無駄に使っているのです。
                   (石田)

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