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45.深発地震に見られる異常震域の不思議


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 異常震域とは震源地よりも震源地を遠く離れた場所で震度が大きくなるという現象です。深い地震では必ずこの現象がみられます。震源地では無感なのに、遠い場所で有感になるのです。宇津徳治著「地震学」にはつぎのような説明があります。
 異常震域現象は1920年代末から1930年代にかけて石川(1926〜33)その他によって調べられ、次のことがわかった.
(1)異常震域は有感の深発地震には例外なく現われる。浅い地震でもある程度現われることがある。異常震域となるのは、海道,東北,関東地方の太平洋側である。
(2)異常震域内の観測点の地震記象はP波、S波とも短周期の波が多く含まれ、これが体感を生ぜしめている。しかし、同じ観測点の記象でも、異常震域現象を示さない地震では短周期の地震動が、特に卓越するわけではなく、震源の位置によって記象の型が違う。
(3)異常震域はP波の走時残差が負の地域とほぼ一致し、重力、地震、火山の分布などとも関連しているようにみえる。しかし地表の地質とはあまり関係がない。

[解説]
 深発地震は、地殻の下のマントル内で起こる解離爆発です。爆発によって発生する衝撃的地震波は直ぐ上にある橄欖岩の高速伝播媒体を通って伝播しますが、二層構造の地殻の第二層、橄欖岩層は、(1)に表示された地域、北海道、東北、関東地方の太平洋側で地表に接近しているのです。海洋部の地殻は薄く、大陸部の地殻は厚いのですが、この地域、すなわち日本海溝沿いの地域は地殻が薄いために、硬い橄欖岩が地表に接近していて、地震に関して非常に感度の良い地域なのです。感度が良いということは、(2)にあるように短周期成分を含んだシャープな震動を感じるということです。

 東京で観測する北海道方面の地震波には短周期成分が含まれますが、九州方面の地震には、短周期成分が途中で吸収されてしまって、含まれていないのです。これも不思議な現象とされていますが、石田理論で考察すれば、不思議ではなくなります。(3)の走時残渣もおなじく合理的に説明可能です。
 このように深発地震の異常震域は地殻の構造に秘密があるのです。図の左下のウラジオストック付近で生じた地震では、金沢や、新潟で大きな震度でもよさそうですが、そこでは無感になっています。それよりも関東、太平洋側で大きな震度になっています。北海道の深発地震(左上)と浅発地震(右上)でも、本州南方沖の地震(右下)でも、太平洋側がいずれも有感になっています。これは、第二層(橄欖岩の硬い岩盤)を通って震動が伝播されること、したがって第二層が地表面近くにある関東地方が揺れを感じ易くなっていることを示しているのです。(石田)

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