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4.唐山地震(1976.7.28 AM3:42)の前に見られた不思議な出来事
 

白然は確かに人間に警告していた。唐山の東南の海岸では波の音が人の注意を引いた。七月下旬以降、北戴河あたりの漁師たちが不思議に思うことがあった。
 海面に見えていた岩礁がなぜ急に海水に呑まれてしまつたのだろう。いままで網を三枚千せる広さがあった砂浜が、今は一枚がやっとというほど狭くなってしまったのはなぜだろう。
 海辺にあった体を洗うための小屋の中にまで海水が入ってきた。いつも漁をしている海が、どこも全部深くなつた。いつも青く澄んでいたのに、なぜかどろどろになってしまった。
漁師たちは自分の目が信じられなかった。海底深くで何かが起こっていた。伝説の龍が尾を動かして海底の泥を引っかきまわしているようだった。
当時、秦皇島近くの海にもぐった人の語によると、色とりどりの光の一本のベルトが見えたそうだ。金色の火龍のようだったが、あっという間に消えてしまったという。
 水。水もまた人間に警告を発していた。
唐山地区豊潤県楊官林公杜の深さ五〇メートルほどの井戸では、七月中旬ころから、コンクリートの蓋の穴からガスが噴きだした。二十五日目から二十六日目にかけて、噴き出す量が増え、二〇メートル離れたところでもその音が聞こえた。穴の上では小石が浮かび上がるほどの強さだった。唐山地区灘県の公杜にも不思議な井戸があった。それほど深くもなく、いつもなら天秤棒で水を汲み上げることができたのに、二十七目に、ある人が天秤棒に水桶をつけて水を汲もうとしたら水面に届かなかった。そこで家から縄をとって戻ってくると、不思議なことにさっきは下がっていた水面がこんどはいつもよりずっと上がっていて、天秤棒なしで直接水を汲むことができた。その頃、唐山の郊外でも池の水が急に澗れたり、逆に済南市の胸突泉のように水柱が噴き出したりする現象が見られた。これらの水、増えたり減ったりする水は、人間に大自然のどんな情報を伝えようとしたのだろう。

[解説]
地盤は地震の起こる前から奇妙な動きをするのです。井戸の水位も上がったり、下がったりするのです。これは解離層が不安定になっているからです。解離と結合収縮がゆっくりとしたスピードで繰り返され、自然の非爆発的順応速度内の化学反応で、膨れたり、萎んだりを繰り返しているからです。反応速度が速くなるのが爆発的解離反応即ち地震です。井戸の水位が上がり下がりする様子がよく分かる報告です。

(石田)

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