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3.唐山の地震爆音:地震は爆発現象であることを教えてくれる
張克英(唐山駅の職員)
 地震のときのあの大きな音は一生忘れられません。本当にびっくりしました。
あの朝は二時頃起きて、窓口で入場券を売っていました。三時頃になると、「雨だ、雨が降りそうだ」という声が聞こえてきたので、新しく買ったばかりの自転車をしまおうと急いで外へ出ました。空はぼんやりと赤く、どこかで稲光でもしているようでした。駅前の広場にいた人たちもみんな待合室に入ってきて、雨宿りの場所を探していました。
 あの様子では、待合室に二〇〇人以上の人がいたと思います。出迎えの人、汽車に乗る人、汽車で来て朝一番のバスを待つ人などでいっぱいで、ガヤガヤととてもうるさかった。よく覚えていますが、若い男女二人が入場券を買いに来ました。北京からの汽車を出迎えると言いました。
 「この時間には汽車は来ませんよ。すみませんが五時すぎにもう一度来て下さい」と私が答えると、二人はそのままずっと窓口で待っていました。大地震が来るなんてだれも考えませんからね。地震が来る直前、私は窓ガラス越しに陳さんに話しかけました。夜食の相談です。
 肉まんじゅうを二つ買ってきてくれと話し終わらないうちに、「ドカン」と大きな音がしました。だれもが震えあがるような音でした。私は、急行列車が正面衝突でもしたのではないかと思い、何か言おうとしたとき電気が消えて真っ暗になりました。建物が揺れ始め、待合室は大騒ぎになりました。「お父さん」「お母さん」と呼ぶ声、人が人を踏みつけ、ものがものとぶつかって、いろいろな音でいっぱいでした。

[解説]
昭和19年12月の東南海地震の話を義父から聞きました。あの日は朝から「ゴロゴロー」という怪音が聞こえていたそうです。沖合いでアメリカの潜水艦が演習でもやっているのかと思っていたそうです。日本軍でないところが面白いですね。そしたら、昼過ぎて急に地震がやってきたのだそうです。小爆発を繰り返して、ついに大爆発ということでしょう。唐山駅職員氏の証言するように、唐山地震の状況からも、地震は地下で起きる爆発であることはあきらかです。 「唐山大地震」 銭鋼著からの紹介です。
(石田)
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