Weekly まぐまぐANS News 2003/07/14   06号 より抜粋

◆断層は地震の後に現れたという興味深い目撃談
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明治二十四年濃尾地震の時は岐阜の東北方面数粁のところに
極めて鮮かな土地の段違ひ、すなはち断層が出現した。
當時においても故大森博士はこの断層が殆ど瞬間的に発生したもので
はなくて、地震後極めて緩やかにズルズルと段違ひになつたといふ話
を目撃者たる一農夫から聞いて來られ、著書の中にも載せてをられる
が、博士もこの現象をやや不可解の事實として考へてをられたやうで
ある。
しかしこの断層の出現が極めて鮮かであつたことに幻惑されたためか、
その後の博士の書かれたものには常に断層成生が地震を発生するかの
如き説明を試みてをられたのである。
[解説]
上の文章は石本巳四雄博士の記述の中にある、断層の出現を目撃した
農夫の話です。「断層が動いて地震を起こす」という定説を否定する
興味深い観察例です。断層は地震の後に、極めて緩やかにズルズルと
段違いになった、という貴重な情報に何故目隠ししてしまうのでしょ
うか。
地震時に発生する現象を忠実に追いかけて、納得できる地震理論を作
のが地震学者の務めではないのでしょうか。
断層は地震の結果起こる大地の傷跡です。関東大震災では、断層が現
れませんでしたが、そのことが水素を含む可燃ガスの大量噴出となっ
て、悲惨な火災旋風を引き起こす原因となったのではないでしょうか。
 (石田)