新・地震学セミナーからの学び
52 中越地震の発震メカニズム
中越地震は公式発表(http://www.jishin.go.jp/main/chousa/04oct_niigata/)によると、越後川口の北東2.5kmを震央(木沢)として、北東から南西に向かう逆断層が動いて起こった地震であると言われています。

逆断層ならば上盤の日本海側は南東に動き、下盤の太平洋側は北西に動くはずです。確かに発表では次に紹介するようにGPSがそうした動きを確認していると述べています。

「GPS観測の結果によると、今回の地震に伴い、震源の南東側の新潟大和観測点(新潟県南魚沼郡大和町)では北西方向に約10cm、北西側の柏崎1観測点(同県柏崎市)では南東方向に約6cm移動するなど新潟県を中心に変動が観測されている。これらの観測結果は本震の発震機構と調和的である。」

これを読むと、逆断層が動いたということが正しいのかと思ってしまいますが、地震時の初期移動

http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/kyoshin/jishin/041023_niigata/1756/nigata_main.htm

を見てみると震央近くの観測点(川口、竹沢、小千谷市城内)は直下型地震に特有の震源から遠ざかるような動き(川口:南西方向、竹沢:北東方向、城内:西方向)になっていることが分かります。むしろ公式発表にある新潟大和観測点と柏崎1観測点とは共に、引き領域にあって震源に向かって移動していると解釈したほうが納得できるような動きになっています。

下図では川口観測点の動きは「意味不明」と表示してありますが、爆発前に西方向に少し動いているのがわかります。解離ガスの高圧力で爆発前に地形変動が起こったのかもしれません。

また上下の動き(UD)は3地点共に上向きであり、震央を含む一帯が突き上げられるような動きをする直下型地震であったことを示しています。

以上をまとめると、中越地震が逆断層地震であったとは考えにくいのではないでしょうか。

地震爆発論からは、震源での爆発が上向きであった直下型地震であったということになります。

石田理論(地震爆発説)による中越地震の発振メカニズム

川口、竹沢、城内の観測点は図の押し領域に存在し、大和、柏崎は引き領域に存在している、つまり直下型地震であったと解釈できる。